とある魔術の仮想世界[2]   作:小仏トンネル

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第29話 奇策

 

「ひゃっほー!2キルー!」

 

「なんだよ、カゲムネさん達を殺ったって言うぐらいだからもっと手応えあると思ったのによぉ…」

 

「おい、まだ気を抜くな。向こうにはまだウンディーネを含めて2人残っている。あのスプリガン2人を蘇生される前に焼きはr…」

 

「そうだな、回復役を先に狙っておくのが集団戦の定石だもんな」

 

「でも流石に女の子2人を12人でいじめるのは紳士的じゃないと思いますのことよ?」

 

「なっ!?」

 

 

完全に2人のスプリガンを焼き払ったと思い込んでいたサラマンダーの攻撃魔法隊の目の前に現れたのは、リメンライト化したはずのキリトと上条だった

 

 

「きっ、貴様ら一体どうやって…!」

 

「いや普通にアンタらがリメンライトに夢中になってる間に煙に紛れてタンクの人たちの横をこっそり通って来たけど」

 

「そこも重要だけどそうじゃなく!死んでリメンライト化したんじゃないのか!?」

 

「あーあれな、あれは幻惑魔法だよ」

 

「ッ!そういうことかよっ…姑息な手使いやがって…!」

 

「そっちの方が人数は多いんだからそれぐらいは勘弁してくれてもいいだろ?」

 

「チッ!攻撃メイジ隊は距離を取れ!一旦後退してから攻撃を再開する!」

 

ダダダダダッ!!!

 

「さて、じゃあキリト、後ろのタンクと回復メイジの6人は任せる。俺もあっちの攻撃役のメイジ6人をぶっ飛ばす」

 

「そうだな、それで丁度6対6だ」

 

「そんじゃま、背中はお互いに預けるとしようぜ」

 

「おう、頼りにしてるぜ、上やん」

 

「任せとけ、キリト」

 

ダッ!!

 

 

2人はお互いに背を向けると、それぞれの標的に向けて駆け出した

 

 

「うおおおおおおおおお!!!!!」

 

「くっ…!全員攻撃開始!」

 

「「「Ek verpa einn brandr muspilli, kalla bresta bani, steypa lundr drótt!!!」」」

 

ギュアアアアアアアアッッッ!!!

 

「ふんっ!!」

 

バキィィィィィン!!!

 

 

6人のサラマンダーのメイジへ向かって突撃する上条に6つの火球が襲いかかった。しかし、彼は自分が突き進む道の妨げになる火球だけを判断し、その右手で火球を打ち消した

 

 

「なっ!?爆裂魔法を打ち消した…だと!?」

 

「オラァ!!」

 

ドゴオオオオオッ!!!

 

「ギャス!!」

 

ボウッ!!!

 

「次ッ!!!」

 

「ひぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

バキィィィィィィッ!!!

 

ボウッ!!!

 

「い、一瞬で2人を素手で…!お前は一体…!」

 

「ただの平凡な大学生さ」

 

ドゴオオオオオォォォォォン!!!

 

「・・・これのどこが平凡だよ…」

 

ボウッ!!!

 

 

敵の爆裂魔法を打ち消し、敵陣に飛び込んだ上条はあっという間に3人のプレイヤーをその右手の拳で沈め、それぞれリメンライトとなって燃えた

 

 

「く、クソッ!よくも隊長を!!このウニ頭やろおおおおお!!」

 

ガキィン!!

 

「ッ!クソッ!」

 

「あばよ!!!」

 

ドガァァァァッ!!!ボウッ!!!

 

 

杖で襲いかかってきたサラマンダーの攻撃を盾で難なく防ぐと、その顔面に拳をぶち込み、エンドフレイムと共に真っ赤に燃え上がった

 

 

「ば、バケモンだ…逃げろぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

ダダダダダダダダダダ………

 

「え!?あ、おい待てよ!俺だけ置いて行くなよ!ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「さーて、残るはお前だけだな」

 

ザッザッ…

 

「ひ、ひいっ!?」

 

 

ゆっくりと残された1人のサラマンダーににじり寄る上条。そんな彼の異常なまでの強さとオーラに、残されたサラマンダーは腰を抜かしてへたり込んでしまった

 

 

「た、頼むっ!何でも言うことは聞く!だから命だけはっ…!!」

 

「おう、もちろんだ」

 

「・・・え?」

 

「さて、モノは相談なんだがね君」

 

 

素っ頓狂な声をあげるサラマンダーを他所に、上条はへたり込む彼と同じ目線になるまで腰を落とし、自分のウインドウを開き、あるページを相手に提示して見せた

 

 

「これ、今の戦闘でゲットしたアイテムとユルドなんだけど…」

 

「そ、そんなの見りゃあ分かるよ…」

 

「今から俺たちがする質問に答えてくれたらあげちゃおうかな〜なんて…」

 

「えっ!?………マジで?」

 

「ああ、マジマジ。だけどちゃんと嘘偽りなく質問に答えること。これが条件だ」

 

「・・・よし、その取引受けた」

 

「っしゃ!話が分かる人で助かったぜ!」

 

「おーい上やん!すまん!調子に乗りすぎてこっちは全員ぶった切っちまった!お前の方で…って心配することなさそうだな…」

 

「おうよ。上やんさんにぬかりはありませんのことよ?」

 

 

こうして上条達はサラマンダーの集団を見事に撃破し、後方支援をしていたリーファとアスナが歩み寄ってきたところで残されたサラマンダーに尋問を始めた

 

 

「確か今日の夕方ぐらいだったな…さっきのメイジ隊のリーダーの人から携帯メールで呼び出されてログインしたらさ、お前たち4人を12人で狩るって言い出してさ」

 

「うんうん」

 

「最初はまぁ別に集団PKなんて珍しくもないから思わなかったんだけど、なんでもう出かける前の最初っから標的も決まってんのかなって思ったら、古森でカゲムネさんのパーティーをやった連中だって言うから、なるほどなって」

 

「カゲムネ…?古森…?ああ、俺がリーファを助ける時に倒した人たちのパーティーのことか」

 

「で?なんで私たちを狙ったの?目的は仇討ち?」

 

「いや、俺も最初はそう思ったんだけど、実際はもっと上のメンツの命令だったらしい。なんか…『作戦の邪魔になる』って…」

 

「その作戦ってのは?」

 

「俺みたいな下っ端にゃ教えてくれなかっんだけどさ、近々相当デカイことを狙ってるみたいだぜ?今日なんてログインした時、すんげぇ人数の軍隊が北に飛んで行くのを見たよ」

 

「北…世界樹攻略に挑戦するつもりなの?」

 

「まさか。最低でも全軍にエンシェントウェポン級の装備が必要だってみんなで金貯めてる真っ最中だぜ?」

 

「ふーーん……」

 

「俺が知ってるのはこんなとこだな…それよりアンタ!さっき約束した物はちゃんと貰えるんだろうな!?」

 

「ん?ああ、もちろん!俺はエギルみてぇにはなりたくねぇからな。ほれ」

 

「おっほい!サンキュー!恩に着るぜ!また美味しい話があったらよろしく頼むよ!」

 

 

そう言うとサラマンダーのプレイヤーは上条一行に背を向けると、足早にその場を立ち去っていった

 

 

「おう!今日はありがとなー!お互いナイスファイトだったー!」

 

「・・・まぁ、これで当初の目的は果たせたからいいんだけど…本当に男の子って…」

 

「身も蓋もない…ですよね…」

 

「全くです。パパは上やんさんみたいになっちゃダメですからね!」

 

「お、おう!はははは…」

 

(俺も残り1人にしたら上やんと同じような条件で話を聞こうと思ってたなんて口が裂けても言えない……)

 

「さ、そんじゃ目的も達成したことだし、ルグルーの街に入ろうぜー!」

 

 

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