とある魔術の仮想世界[2]   作:小仏トンネル

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第30話 ログアウト

 

「うわー!ここがルグルーかー!結構お洒落な街じゃない!」

 

「本当だな…街の雰囲気が洞窟の空洞にマッチしていていい感じだ」

 

「あ、ねぇねぇキリト君!あのアクセサリーすっごく可愛い!」

 

「えーー…俺より上やんの方がお金持ってるじゃないか…」

 

「もう!キリト君に買ってもらうのがいいの!」

 

「ははは、分かってる分かってる。ちょっとからかってみただけさ。すいません、これを彼女に…」

 

 

ここは世界樹の前に佇む山岳地帯にポッカリと空いた洞窟、ルグルー回廊の途中にある、中立の地下都市「ルグルー」である。周りの地底湖からまるで浮かんでいるように見えるこの街は、中立都市なだけあって、様々な種族のプレイヤーが行き交い、地下を照らす灯の彩が美しい街だった

 

 

「よし、一先ずは今日の目標は達成だな。みんなこの後ログアウトすんのか?」

 

「俺とスグはどうせ家で2人だし配慮し合えば別にまだ出来ないことはないんだが…アスナはどうだ?」

 

「うーん…私は流石にそろそろログアウトしないとマズイかなぁ…」

 

「じゃあキリもいいし、みんなで宿屋に泊まってログアウトしない?」

 

(まぁ、俺は本当はログアウトなんてする必要ないんだけど…みんなに気使わせちまうし言わねぇ方がいいよな)

 

「そうだな、それが一番だ」

 

「よし、じゃあ宿屋に行こっか。ユイちゃん、ここから一番近い宿屋はどの辺にある?」

 

「はいママ!この先の角を曲がって右です!」

 

 

こうして上条一行はユイのナビゲート通りに宿屋にたどり着き、それぞれ一部屋ずつ宿の部屋に泊まることになった

 

 

「とりあえず明日はどうする?俺はいつでも大丈夫だけど」

 

「えー、大学生なのに大丈夫ー?」

 

「ほっとけ、大学生は基本的に授業かバイトがなけりゃ暇なんだよ」

 

「明日は日曜だし、私も特に用事はないからいつでも大丈夫だよ?」

 

「俺も大丈夫だ。まぁスグが許してくれればだけど…」

 

「本当だよ。アスナさんを探したい気持ちは分かってたけど、三日三晩ダイブし続けてログアウトしてすぐに貧血でぶっ倒れたこと、あたし忘れてないからね?」

 

「あ、あの時はどうもすいませんでした…」

 

「ははは、キリトも結構無茶するんだな」

 

「笑い事じゃないんだよ本当に?私はニュースで聞いたことがある程度で実体験はないけど、現実ではゲームに夢中になりすぎて体調崩してる人いっぱいいるんだよ?」

 

「まぁVRMMOはかなり精神力使うからな…ゲームは一日一時間!…は無理だとしても根詰めすぎるのは良くないな」

 

「で、その…スグ…明日は…」

 

「んー…しょうがない!今回は上やんさんのお手伝いもしないといけないから特別に自由にプレイすることを許します!」

 

「よっしゃ!」

 

「ただし!無理は禁物!私も一緒に行くからね!」

 

「え?明日は日曜だけどスグは剣道部の部活があるんじゃ…」

 

「えー?明日は風邪引きそうな気がするー♪」

 

「・・・いい根性してるぜ…」

 

「いや、そんな気使わなくていいんだぞリーファ?現実のことも大切だろうし別に俺は…」

 

「いいの!今回のサボりは上やんさんと上やんさんの世界のSAOに囚われたみんなを助ける為の慈善事業なんだからノーカン!」

 

「さ、サボってるっていう自覚はあるんだね…」

 

「ま、そういうことならみんな明日は10時半にダイブしよう。明日は一気に洞窟を抜けて央都アルンに向かう。異論は?」

 

「ない!」

 

「OK!」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

「それじゃみんな、今日はおつかれ!また明日頑張ろう!」

 

「はーい!じゃ、おやすみー!」

 

「うん、みんなおやすみ」

 

「おう!また明日なー」

 

ガチャ!ガチャ!ガチャ!ガチャ!

 

 

4人はそれぞれ一日の別れを告げると、ALOからログアウトするため、それぞれ宿から与えられた部屋へと入っていった

 

 

バタンッ!

 

「さて、どうするかなぁ…現実では8時ぐらいだろ…まぁ街で飯でも食うべきか…」

 

 

しかしそんな中、この男上条当麻だけはログアウトの手順を踏まずに、自分の部屋でこれからの自分の予定を練っていた

 

 

「まぁ別に俺はログアウトする必要がないってだけでログアウト出来ない訳じゃないからな…ログアウトするってのも一つの手だが…」

 

「忘れかけてたけど、問題は俺が今いるのは並行世界かもしれないってことだよなぁ…みんなもう気にせず落ちたけど、俺は下手に落ちて再ログインしたところで、次もこっちのALOに入れるって保証はねーからな…最悪自分の世界のALOにログインしちまってキリト達と離れ離れになっちまうかもしれねーし…」

 

「でもそれを試すためにログアウトするってのもアリかもしれねーな…ログアウトして先生とか土御門たちに並行世界のこととかこのALOについて聞けば何か分かるかもしれねーし…」

 

「・・・そうだな。一応ほぼ丸2日ダイブし続けちまった訳だし、まだ8時ぐらいなら先生も病院にいるだろうし話をして、土御門にも事情を…後は世話にもなってるし吹寄に一応なんとかなってるって電話して…」

 

「後は美琴のやつにも顔を……ッ!」

 

 

一度ログアウトして現実世界に戻ろうかと考える上条。そんな彼の脳裏に、不意に御坂美琴の姿がよぎる。彼女のことを思い浮かべた瞬間、そんな自分の考えが矛盾にまみれていることに気づいて頭を振るった

 

 

「ええいっ!!ダメだダメだっ!何を急に弱気になってんだ俺は!現実に一旦戻るリスクだって自覚してんだろうが!それにみんなを助けるまでは戻らないって決めて、現実のみんなにそう誓ってコッチに来たんだろうが!しっかりしろ!」

 

「・・・はぁ、ダメだな。ログアウトがあるってのはこんなにも甘えが生まれて、心に余裕が出来て、安心感があるもんなのか…SAOじゃこんなこと一回もなかったから知らなかったぜ…」

 

コンコンッ…

 

「ん?」

 

 

自己嫌悪に陥り、頭を垂れる上条の耳に不意に聞こえてきたのは、自分の部屋のドアをノックする音だった

 

 

(一体誰だ?宿の人か?それともキリト達の中の誰か落ちずに俺んとこに来たのか?)

 

「どなたですかー?」

 

<私よ私ー。ちょっとここ開けてくれなーい?

 

(私?ってことは女子…ってことはアスナだな。リーファの一人称はあたしだし)

 

「はいはいただいまー」

 

ガチャ!

 

「急にどうしたんだよアス…ナ…?」

 

「やっほー♪」

 

「・・・・・ぇ?」

 

「元気してた?」

 

「みこ・・・と……?」

 

 

上条がドアを開けたその先に立っていたのは、先ほど彼の脳裏をよぎったまさにその少女、御坂美琴だった

 

 

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