「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?」
ドドドドドドドドドドドッ!!!!!
シルフ領から世界樹までたどり着くまでの一番の難所と言われるここ、ルグルー回廊では今、一人のプレイヤーが目にも留まらぬ早さで疾走し、一人のプレイヤーがその手にしがみつきながら勝手に引っ張られ、悲鳴を上げながらではあるが、同じく目にも留まらぬ早さで洞窟を疾走(?)していた
「出口だ!!!」
「えぇぇっ!?」
上条に言われ、リーファは手を引かれている間ずっと瞑っていた目をようやく開いた。するとその先には、洞窟の出口から射し込む光が見えたかと思えば、あっという間に洞窟の出口から外へ出た
バンッ!!
「とうっ!!!」
「うわあああああああああああああああああああ!?!?!?」
「ほらリーファ!早く翅出さないと落ちるぞ!」
「はわわわわわ!ほっ……」
しかし出口を出ると道がなくなっておりその先は崖だったが、上条は崖で思いっきり跳躍し空へと飛び出した。そして背中から翅を出し、飛行を始めると、それを見たリーファも慌てて翅を出し飛行姿勢を整えると、ほっと胸を撫で下ろした
「寿命が縮むかと思ったわよ!?ってかもう縮んだわよ!!」
「ははは、なるべく時間はかけたくないからな…どわっ!?」
「え?急にどうしたの…うわっ!?おっきい…これが…世界樹…?」
「こんなに近づいてやがったのか…」
洞窟を抜けて正面を見ると、二人の視線の先には天に向かって高くそびえ立つ世界樹があった。外にいれば世界樹は基本的にどこからでも見えるのだが、先ほどまで洞窟にいたせいか世界樹を目にするのが久しぶりな上、ルグルー回廊を抜けたことでぐっと距離が近づいた為か、今までよりもさらに巨大に見え、二人は呆気に取られていた
(あの樹の上にオティヌスが…SAOから囚われた美琴やみんながいるのか…待ってろよ!全部終わらせてすぐに助けに行くからな!!)
「領主会談が行われる近くの蝶の谷ってのはどの辺なんだ?」
「え?えっと…確か…」
上条にそう聞かれるとリーファは左手を振って自分のウィンドウを開くと、マップ画面を表示し、自分達の現在地と領主会談場が行われる近くの蝶の谷の位置を確認すると、目指す先を指差した
「北西のあの山の奥よ!」
「会談が始まるまでの残り時間は?」
「えっと…あと20分…!」
「間に合うか?」
「私たちのトップスピードならなんとか…!」
「よし…飛ばすぞリーファ!はぐれるなよ!?」
「そっちこそ!」
ギュンッ!!ギュンッ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一方その頃、会談場では6人のケットシーとケットシー領主「アリシャ・ルー」を含めた計7人のケットシーと、同じく6人のシルフとシルフ領主「サクヤ」を含めた計7人のシルフが対面用の長机に向かい、会談を始めようとしていたその矢先……
「お、おい…!アレは…!サラマンダーじゃないか!?」
「なにっ!?」
「どうしてサラマンダーがこんなところニ!?」
ズラリと領主会談場を取り囲むサラマンダーの大部隊。シルフとケットシーの両者が気づく頃にはもう既に完全に包囲され逃げ場がなくなっていた
「このままじゃ逃げられないヨ!」
「くっ…!やるしかないのか…!?」
「・・・・・」
スッ…
シルフとケットシーの14人がそれぞれ武器を構え、臨戦体勢をとると、サラマンダーの軍隊の指揮官が片手を上げ、攻撃用意の指示を出す。そしてその片手が振り下ろされ戦いの火蓋が切って落とされようとしたまさにその瞬間…!
ドオオオオォォォォンッッッ!!!!
「うおわぁ!?」
「こ、今度は一体何だ!?」
「見たところプレイヤーみたいだネ…でもあれは…スプリガン…?」
「・・・・・」
スクッ…
突如としてサラマンダーの軍隊とシルフとケットシーの両者の間に、黒い何かが凄まじい土煙を巻き上げながら飛来した。やがて土煙が晴れると、そこには着地してからおもむろに立ち上がった上条がサラマンダーに睨みを利かせていた
「双方!剣を引け!」
ザワザワザワザワ……
「な、何が何やら…」
「サクヤ!!」
「リーファ!?どうしてここに!?」
リーファは翅を背中にしまい着地すると、自分の種族の領主であるサクヤの元へと駆け寄った
「えっと…簡単には説明出来ないの…ただ一つ言えるのは、あたしたちの運命は『あの人』次第ってことだわ」
「このサラマンダーを率いてるリーダー!出て来てくれ!話がある!」
上条がサラマンダーの軍隊に向けてそう叫ぶと、サラマンダーの軍隊が道を開け、その奥からゆっくりと1人の男が姿を現した。そして上条もその男と話をするべく、同じ目線で話せるよう翅を広げ飛び立った
「俺を呼んだのは貴様か?こんなところに何の用だ?どちらにせよ殺すことに代わりはないが、その度胸に免じて話だけは聞いてやろう」
サラマンダーの軍隊の奥から現れたリーダーの男は、ガッシリとした体格の持ち主で、装備品は周りのサラマンダーからは一線を画すほど絢爛な一級品の物で、その背丈は上条よりも一回り以上大きかった
「俺の名は上やん、見ての通りスプリガンだ。話を聞いてくれることには感謝する。俺の要求は簡単だ、今はあまり事態を荒げたくない。せっかく遠出してくれたとこ悪いがここは穏便に軍を退いてくれないか?」
「そんな明確な理由もない要求をこちらが受け入れるとでも?」
「だろうな。だからこの要求を受け入れないならコッチにも考えがある」
「・・・ほう?一体何だ?言ってみろ」
「全員まとめてかかって来い。俺が全員ぶっ飛ばす」
「「「・・・・・」」」
「・・・クッ」
「アッハッハッハッハッ!!!!!」
ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!
上条の一言に周りが沈黙し、数秒の間が生まれる。しかし、サラマンダーの誰かが少し噴き出して笑った瞬間、上条の目の前のリーダーも大声で笑い始め、彼の周りのサラマンダーの軍隊も大声でゲラゲラと笑い始めた
「クックック…そうそうか。ここにいる68人のサラマンダーの軍隊を貴様1人で相手すると?」
「ああ」
ドワッハッハッハッハッハ!!!
「あ、あのバカはなんてことを…!」
「な、なぁリーファ…本当に彼に任せて大丈夫なのか?」
「ハッハッハッ!カッコつけたところ悪いが、そんな初期の片手剣を装備してる折、単身こんなところに乗り込んでくる貴様のような愚か者の相手は俺一人で十分だ」
スゥーッ…シャキィン!
そう言うとサラマンダー軍隊のリーダーは背中の鞘から赤く輝く一振りの両手剣を抜き放った
「そうだな…俺の攻撃を30秒耐え切ったら貴様の要求を受け入れてやろうじゃないか」
「へぇ、随分気前がいいじゃないか」
「なに、貴様にはそれこそ随分と笑わせてもらった。芸者の芸を見たからにはそれ相応の対価を支払わねばな」
そう言いながら両手剣を構えるサラマンダーのリーダーの様子を伺うと、上条も自分の背中の盾を左腕に装備し、右手の拳をより強く握り締めた