とある魔術の仮想世界[2]   作:小仏トンネル

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第43話 グランドクエスト

 

遡ること30分前、次第に夜が訪れたアルンの街を歩き世界樹の根本へとたどり着いたキリトとアスナは、妖精の騎士を象った二体の巨大な彫像が守るゲートの前に立っていた

 

 

「ここが…」

 

「ああ、世界樹の頂上にたどり着く為の唯一の道だ」

 

『未だ天の高みを知らぬ者よ、王の城へ到らんと欲するか』

 

 

[グランドクエスト『世界樹の守護者』に挑戦しますか?]

 

 

騎士の像からどっしりとした威厳の込められた声が聞こえ、キリトの手元にクエスト受注のためのウインドウが表示された

 

 

「アスナ、分かってるとは思うけど…」

 

「うん、無茶はしないよ。今回は情報収集のためにちょこっと覗いて適当に戦っていけるとこまでいくだけ。ここで死に戻りしたら元も子もないもんね。でも、無茶しちゃいけないのはキリト君も同じだよ?」

 

「ああ、分かってる…よし、押すぞ」

 

[OK] ピコンッ!

 

『さればそなたが背の双翼の、天翔に足ることを示すがよい』

 

ズゴゴゴゴゴゴ…ズズンッ!

 

 

扉を塞いでいた彫像の剣がゆっくりと動き、それと同じくして巨大なゲートが開いていき、やがて重低音と共に完全に開ききった

 

 

「行くぞユイ、しっかり頭を引っ込めておけよ」

 

「はい。パパ…ママ…頑張って…」

 

ヒョコッ…

 

 

そう言ってユイはキリトの胸ポケットにすっぽりと頭の先まで入り込んだ

 

 

「行くぞ、アスナ」

 

「うん、キリト君」

 

ブォンッ!!シャキィン!!

 

 

ついに開いた世界の中心の巨大な扉の前でキリトは背中の大剣を振り下ろし、アスナは腰の鞘から細剣を抜いた

 

 

コッコッコッ…

 

「・・・中は暗いね…」

 

「ああ…暗視能力付加魔法が必要なのか?」

 

「・・・ううん、待って。明るくなるみたい」

 

 

ブウウゥゥン……

 

 

建物の中の明かりが灯され周りを見渡すと、そこはとてつもなく広い円形状のドームだった。樹の内部らしく壁や床を蔦が覆っており、壁にはいくつものステンドグラスが張り巡らされており、天に向かって壁伝いにほぼ垂直に伸びた壁のその先には…

 

 

「あっ!見てキリト君!あの一番上のところ!」

 

「ああ、見えてる」

 

 

ドームの天蓋の頂点に蕾があり、中心に円形の扉が見えた。4枚の石版がまるで花弁のようで、あそこにたどり着けばあの蕾が咲き先の道が開くのだと想像するのは難しくなかった

 

 

「あの先に…空中都市が…」

 

「高い…でも、届くはずだ」

 

 

シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュンッ!

 

 

すると、壁に貼り巡らされたステンドグラスの中から人の形をした何かが現れた。それは白銀の鎧を纏った巨躯の騎士で、その手には長大な剣を携えており、その数はみるみる内に増殖していき天蓋への道を塞いだ

 

 

「あれがガーディアンか…!」

 

「多い…10体以上…ううん、もう何10体もいる…!それに加えてまだまだ増えてる…!」

 

「よし、俺はガーディアン達の相手をしてあいつらの集団の中に穴を作ってそのまま上に行く。アスナはガーディアン達にターゲットを取られない後方から魔法で俺を支援してくれ」

 

「分かった。行こう!キリト君!」

 

「ああ」

 

ビュンッ!!!ビュンッ!!!

 

「「いっけええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」

 

 

キリトとアスナは背中の翅を限界まで広げると、自分を鼓舞するように叫び地面を蹴り、頂点に向かって飛び立った

 

 

「行って!キリト君!」

 

「おおおおおおおおおおおお!!!」

 

ズバンッ!ズバンッ!ズバンッ!

 

「ああああああああああああ!!!」

 

ブゥンッ!ドスッ!ザクッ!

 

 

キリトは自身の戦闘本能の赴くままに黒い大剣を白銀のガーディアンに向かって振るい続けた。その剣に切り裂かれたガーディアンは立ち所に白煙を上げて四散する

 

 

(よし!コイツら一体一体の強さはそんなに大したモンじゃない!数さえ凌ぎきれば…!)

 

「キリト君!後ろ!」

 

「ッ!?クソッ!」

 

「!!!!!」

 

ドスッ!!

 

「がっ!!」

 

 

ガーディアンが背後からキリトに向かって突進していき、その手に握られた剣が彼の背中に突き刺さり、不意に痛覚に鋭い痛みが走った

 

 

(なん…だ…?これ…いつもと違う…仮想空間でダメージを受けた時に感じる違和感とは違う…これじゃまるで本物の…痛み…?)

 

「くっ!だああぁっ!ぬああああぁっ!!」

 

ズバンッ!!バアァァン……!

 

 

キリトは自分が感じた鋭い感覚を誤魔化すように雄叫びながら回転し、ガーディアンの首を大剣で切り落とした。すると背に刺さった剣は消え、やがて痛みに似た感覚はなくなった

 

 

「何だったんだ…今の…」

 

「キリト君!回復行くよ!」

 

「あ、ああ!頼む!」

 

「þú fylla heilaqr austr brott sudr bani!」

 

キュイイイイイイィィィ!!!

 

 

アスナがキリトに向けて右手を伸ばし回復魔法を唱えると、治癒をもたらす光がキリトを包み込み、背中の赤く染まった傷口を塞ぎ減少したHPバーを全快した

 

 

「よし!行くぞ!!」

 

ズバンッ!ズバンッ!ドスッ!!ザクッ!ザンッ!ザンッ!

 

「うあああああああああああ!!!」

 

 

ドゴオオオオオォォォォォン!!!

 

 

「道が開いた!前進するぞアスナ!」

 

「うん!」

 

ギュンッ!ギュンッ!

 

 

迫り来るガーディアンを次々に切り倒していき、その集団の中に強引に抜け道を作り出した。そして二人はその道を全速力で無我夢中で駆け抜けた

 

 

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