とある魔術の仮想世界[2]   作:小仏トンネル

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第49話 生還

 

「はぁっ!はぁっ!はあーっ!」

 

 

未だかつてない程の絶望的な状況からどうにか生還し、リーファはその体を石畳に投げ出して何度も荒い息を吐いていた。自身を蝕んでいた痛みはドームを出たことですっかり消え、今では少し違和感が残っている程度だった

 

 

「上やん…君…」

 

 

そして彼女の腕の中には小さな黒い残り火。感傷に浸る暇はないと左手を振ってアイテムウインドウを開く。その中から『世界樹の朝露』という蘇生アイテムをオブジェクト化させると、青い小瓶を手に取り、小瓶の中の輝く液体を上条のリメンライトに注いだ

 

 

シュウウウウウ……

 

「上やん君!よかったぁ…間に合っt…」

 

ガシッ!!

 

「痛っ!?」

 

「どうしてだリーファ!どうしてあんな危険なマネした!?」

 

 

黒煙に包まれリメンライトから実体化した上条を見るなり、リーファは立ち上がって彼と視線を合わせ安堵に胸を撫で下ろそうとしたが、そんな彼女の両肩を思いっきり掴み、上条は怒号にも近い声で彼女を問いただした

 

 

「だ、だって…あのままじゃ上やん君が…」

 

「誰がそんなことしろって言った!?後は全部俺一人でやるって言っただろうが!なのに…それなのに…!あんな無茶しやがって!次もドームの中のペインアブソーバーがLv.4のままだなんて保証はどこにもねぇんだぞ!?」

 

「だ、だって…だって…」

 

ガバッ!!

 

「・・・ふぇっ!?///」

 

「無事で…よかった…本当に…」

 

 

自分を叱りつける上条の言葉にリーファは思わず涙を溢しそうになったが、その前に上条の腕の中に包み込まれていた。そして上条はそんな彼女の存在を確かめるようにリーファをきつく抱きしめた

 

 

「ちょ、ちょ…上やん君…嬉しいんだけど…そろそろ苦しい…///」

 

「・・・えっ?のわぁっ!?す、すまんリーファ!わ、わざとじゃないんだ!体が勝手に…!」

 

「あ…う、ううん…いいよ別に。あたしは上やん君と違って心が広いからそんなことじゃ怒らないよ」

 

「いや心が広いってお前な…怒るったってあんだけ無茶すりゃ俺じゃなくたって怒るぞ…それこそキリトとか大激怒だろ」

 

「・・・どうかな…」

 

「・・・え?」

 

 

呆れたようにリーファに声をかける上条だったが、当のリーファは何やら後味の悪いような顔で俯いて石畳を見つめていた。すると、何やら階段を上る足音が近づいてきた

 

 

タッタッタッタッ!

 

「いた!スグ!上やん!」

 

「リーファちゃん!上やん君!」

 

「キリト!アスナ!」

 

「よかった…無事だったのね!」

 

「ああ…クリアに至るまでは叶わなかったが…リメンライトになったところをリーファに助けてもらって何とか戻ってきた」

 

「・・・そっか…」

 

「?」

 

 

アスナは上条が無事だったと安堵すると、上条は自分に起きた事情を説明したが、その話を聞いた途端アスナは暗い表情を浮かべ、上条から視線を逸らした

 

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

 

しかしその一方でキリトとリーファの二人は互いを真剣に見つめ、何も語らずその視線を逸らさなかった

 

 

「な、なぁアスナ…あの二人なんかあったのか?」

 

「しっ!今はダメです上やんさん!」

 

「え?お、おう…分かった…」

 

 

上条はアスナに密かに耳打ちで二人の事情を聞こうとしたがユイにそう指摘され、一先ずは二人を見守ることにした

 

 

「・・・お兄ちゃん…言っておくけど、あたし間違ったことをしたとは思ってないからね」

 

「・・・ああ、分かってる。ごめんスグ…間違っていたのは俺の方だ」

 

「・・・え?」

 

「上やん、頼みがある」

 

「え?俺?」

 

「俺と…一度だけデュエルをしてくれないか?」

 

「・・・その理由は?」

 

「正直なところ俺は…SAOとあまりに状況が違いすぎるこの世界を…このALOの世界のことをSAOと同じようにこの仮想世界がもう一つの現実だと受け入れきれてなかった。アスナを見つけ出す為の手段の一つで…この世界は所詮ただのゲームだと…そう思い込んでいた」

 

「だから俺は確かめたいんだ。上やんからはこの世界がどう見えているのか、上やんはSAOでも、このALOでも同じように仮想世界をもう一つの現実だと受け入れて戦ってきたはずだ」

 

「キリト君…」

 

「俺はもう一度思い出したいんだ…俺がSAOで感じた世界はどうだったのかを…そうじゃないと、俺は今ここで上やんやスグと一緒に戦う資格がない」

 

「お兄ちゃん…」

 

「パパ…」

 

「だから頼む上やん、一度だけでいい。俺と真剣勝負でデュエルしてくれ」

 

「・・・分かった。受けて立つぜ」

 

 

こうして上条一行はアルンの北側にあるテラスへと移動した。次第にALO内の時間設定は夜を超え、日の出とともに妖精の世界を柔らかな陽射しが照らしていた

 

 

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