とある魔術の仮想世界[2]   作:小仏トンネル

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第5話 妖精の国へ

 

「さて、まずは買い出しだな…どんな感じのゲームか大体は分かったが、まだ詳しくは分からないし…最低でも2週間分の食料は溜め込んでおきたいしな…」

 

 

病室を後にし、病院の出入り口の自動ドアを背にしてこれからの私生活の作戦を考えていた

 

 

「でも…どうすっかなぁ…大学入ってから結局バイトもしてねぇし…この二年の巨額の入院費で口座も素寒貧だ…何より問題はALOのを遊ぶための『アミュスフィア』とかいうゲームハードを俺は持ってない…一体いくらぐらいすんだ?」

 

 

そう言って上条はポケットから買ったばかりのスマホを取り出し、アミュスフィアの値段を検索した

 

 

「・・・無理だ…」

 

 

しかし、その画面に提示されていた金額はとても上条の口座に預金されている金額では届くことのないほどの金額だった

 

 

「まぁそりゃゲームハードだもんな…って感心してる場合じゃねぇか…アミュスフィアはナーヴギアの後継機らしいからナーヴギアで動くかもとは思ったが…そもそもナーヴギアは政府の役人さんに証拠物として持ってかれちまったからなぁ…」

 

「それにあの様子じゃインデックス達もソフト持ってきただけでアミュスフィアは持ってきてなさそうだったし…インデックスに譲ってもらって郵送してもらうか?…いやでもアイツらも忙しいみたいだしそりゃ流石に迷惑だよな…どうしたもんか…」

 

 

ここまで来て新たな問題にぶち当たった上条はすっかり頭を抱えて悩みこんでしまっていた。しかし、金銭面の事情というのはどうにかしようとしてどうにかなるほど甘いものではない

 

 

「仕方ない…父さんと母さんに頭下げてお金振り込んでもらうか…もうどっちにしろそれしか方法ないもんな…さてそうなったらいくら振り込んでもらうか決めないと…」

 

ウィーーン…

 

「なにやらお困りのようだね?」

 

「へ?」

 

 

病院の出入り口の自動ドアが開く音がしたかと思えば、誰かが上条に向けて話しかけてきた。上条がその声の方向へ振り返ると、そこにはカエルに良く似た顔をした医者が立っていた

 

 

「先生…」

 

「話の大まかな事情はさっきの彼らから聞いたよ。それに今の君の状況を察するに、ソフトを持ってるだけでハードがないし、それを踏まえたこれからの生活費も心もとないと見えるね?」

 

「な、なんでそこまで分かるんでせうか?」

 

「伊達に長いこと君を患者として見ていないからね」

 

「そ、その節は色々とご迷惑をおかけしまして…」

 

「まぁそんなことより、そんなお困りの君にうってつけの物がある」

 

「え!?本当ですか!?」

 

「僕の後に付いて来るといい」

 

 

そう言うと冥土帰しは病院の中へと戻り、上条もその後ろを歩いて付いて行った。そうしてしばらく病院の中を歩いていくと、階段を降りた先に何やら病人用のベッドに巨大な機械が備えつけられている一室へとたどり着き、冥土帰しがその部屋のドアを開け、上条も一緒に部屋に入った

 

 

「えっと、先生…このバカでかい機械は一体何です?」

 

「これは『メディキュボイド』と言って、いわゆる医療機器の一つだね」

 

「それで、この機械を俺に見せた理由は一体…」

 

「このメディキュボイドはね、フルダイブ型VR技術を搭載した医療機器なんだよ」

 

「えっ!?フルダイブ機能を!?」

 

「元々は手足が動かなくなった患者がリハビリのために仮想世界で手足を動かしたり歩く感覚を取り戻すために開発された代物でね。その出力はたかがゲーム機のアミュスフィアとナーヴギアなどとは比にもならない。言うなればフルダイブ機能を医療用に転用した物と言えば伝わるかな?」

 

「じゃあ、コイツを使えば…」

 

「ああ、ALOにダイブすることも可能だし、体調面に関しても何の異常もない君なら例え1年以上飲まず食わずでダイブし続けても、当面は何の心配もないね」

 

 

冥土帰しの口から語られた内容は上条からすればこれ以上はないと思えるほど完璧な条件だった。しかし、だからこそ心の中に罪悪感が芽生えてしまった

 

 

「で、でもいいんですか?」

 

「ん?何がだい?」

 

「こ、こんな機械俺が使っちゃって…何より他にもこれを使う患者さんだっているんですよね?」

 

「そこは心配いらないさ。メディキュボイドはこれ一台しかない訳じゃない。それに、君がコレを通じてゲームの世界に行けば、結果的にこの病院で寝た切りの多くの患者が救えるわけだね?」

 

「・・・先生…」

 

「情けのない話だが、このSAO事件の患者だけは僕じゃどうやっても治すことが出来ない。本来は患者のことを患者に任せるなんてことは言語道断なんだが…それでも僕も君と同じで彼らを何とかしてやりたい。だから上条当麻君、無理を承知で頼む。僕の為に患者のみんなを…」

 

「何水臭いこと言ってんだよ先生。逆にこっちがお願いしたいし、お礼を言いたいですよ。それに、俺だって何回先生に助けられたか分からないんだ。少しぐらいは恩返しさせてくれ」

 

「・・・すまないね。だが、困ったことがあればいつでも言いたまえ。君はいつまでも、僕の患者だ」

 

「ああ。ありがとう、先生」

 

「それじゃあ、ALOのソフトを僕に。もうこの瞬間から始めめてしまうが問題ないかな?」

 

「もちろんだ先生。もうこれ以上立ち止まってたら発狂しちまいそうだ」

 

 

そう言って上条はカバンからALOのソフトを取り出し、冥土帰しに手渡した

 

 

「それじゃあ早速準備に取り掛かろう。上条君はそこのベッドに寝そべって頭にメディキュボイドのヘッドギアを装着して待っててくれるだけで大丈夫だね」

 

「はい、分かりました」

 

 

すると冥土帰しは病室を出て隣の制御室へと入り、上条はベッドで横になり、その頭にメディキュボイドを装着した

 

 

「準備OKです、先生」

 

 

上条がそう言うと病室のスピーカーから冥土帰しの声がマイク越しに聞こえてきた

 

 

『うむ、こちらも準備完了だ。いつでも行きたまえ。健闘を祈る』

 

「・・・ふぅ〜…」

 

 

上条は目を閉じ、深く息を吐く。そして新たな世界に飛び立つ為の魔法の言葉を口にした

 

 

「リンクスタート!!」

 

 

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