進撃の旅行記 作:クレイモア
あ、ありのまま今目の前で起こっている事を話すぜ!!
迷い込んでしまった野外映画スタジオらしき敷地中で特撮マニアの(全裸の)オッサン達が自ら怪獣か何かに扮してはっちゃけているんだと思っていたら、変な機械を腰に付けてスパイダーマンみたいに家々の隙間を自由自在に飛び交う小人達が現れた。
何を言っているのか分からないと思うが俺自身、目の前の光景が信じられない。
それに小人達の存在だけでも驚きなのに全裸のオッサン達がその小人達を捕まえて次々と捕食している。
一瞬、あれらはロボットや立体映像か何かかとも思ったが、この場にいるからこそ分かる。
オッサン達にしろ、小人達にしろ、どちらもロボットや映像なんかのそんなチャチなもんじゃ断じてない。
あれらは明らかに生命体だ。
しかし、オッサン達は一見すると人間のようだがその実、化物か何かのようだ。
それに対して血を流し恐怖の悲鳴を上げる小人達は人間に近い生物だろう。
遠くてよく分からないが言葉を使って連携を取っているような社会性があるようだし。
……ガリバ旅行記か借りぐらしアリエッティの世界にでも迷い込んだのか、俺は。
それにしてもオッサン達が小人を捕食するシーンがグロすぎて頭がどうにかなりそうだ。
……とりあえずこんなヤバイ場所からはさっさとおさらばしよう。
って、やべえ!!
見るのに夢中になっていたら5〜6人の小人と3人のオッサンがこっちに向かって来てる!!
早く逃げないと巻き込まれ――あ。
「……」
振り返ったら髭を生やした全裸のオッサンが居た。
というか、何か知らんが勃してるんですけど!!
ほ、掘られる!?
あ、ちょ、無言でこっち来るな!!
クッ、こうなったら覚悟を決めろ、赤井(あかい)永蓮(えれん)!!
「おんどりゃああ!!っ!?死なない!?」
熊対策で持っていたコンバットナイフで心臓を一突きにしたのに!!
「熱っ!?」
心臓を刺したのにオッサンが普通に動いている事に唖然としていたらオッサンに肩を掴まれたんだが、その手が滅茶苦茶熱い!!
「イッ……テエェ!!」
左肩を噛みやがったこの化物!!ゾンビかテメェは!!
「この化物が!!」
……あ、あれ?マジで殴りはしたけれど、殴ったオッサンの頭が砕けたというか弾けたんだが。
どうなってるんだ?
拳に付いた血も何か蒸気を上げながら徐々に消えていってるし。
って、オッサンが立ち上がりやがった!!顔が半分吹き飛んでいるのにまだ生きてるのかよ!!
というか、コンバットナイフで刺した傷や半分吹き飛んだ顔が再生してる!!
こいつら不死身かよ!?
どうすりゃいいんだ!!