Q.どうしてこの時間に投稿したのか。
A.何故かこの時間に目覚めてしまったので。
あと昨日の昼に本文は大体仕上がっていたからです。
久しぶりの投稿、面白く書けているでしょうか……。
そんな事より、あけましておめでとうございます。
筆者の家族は去年の年末に体調を崩して辛そうでした。
読者様方はお身体に気を付けて。
1/8 少し修正
・三人称視点
「服もほとんど乾いたし、そろそろ出発しましょうか」
「うん」
20分ほど炎で温まった後、二人は出発する事にした。
どの階層にいるのかはわからないが、かなり奥深くだろうと思われる。
その為、二人は慎重に慎重を重ねて奥へと続く巨大な通路に歩みを進めた。
二人が進む通路は正しく洞窟といった感じで、低層の四角い通路とは違い、岩や壁があちこちからせり出し通路自体も複雑にうねっている。
さらに複雑で障害物だらけ、通路の直径は20メートルはあり、狭い所でも10メートルある。
歩き難くはあるが隠れる場所も豊富にあり、物陰から物陰へと隠れながら進んでいった。
そうやって進み続けて何十分かした時、初めて道が分かれた。
二人が進んできた道を合わせれば巨大な十字路になる。
二人は岩の陰から少しだけ身を出して考える。
「分かれ道かぁ……どうしよう、間違えた道を選んで奥に進んで行っちゃうだけは避けたいなぁ……」
「………ッ、隠れてっ」
「わっ」
何かが動いたのが見えた四季が、慌ててハジメの腕を引っ張りながら岩陰に身を潜める。
ハジメは立ったまま、四季は四つん這いになってから、そっと顔だけ出して様子を窺うと、自分たちのいる通路から直進方向の道から白い毛玉がピョンピョンと跳ねて来たのがわかった。
見た目はウサギ、しかし大きさが中型犬程もあり、後ろ足がやたらと大きく発達している。
そして何より赤黒い線がまるで血管のように幾本も体を走り、ドクンドクンと心臓のように脈打っている。
明らかにヤバそうな魔物の為、しばらくは様子をうかがう事にした。
しかしあのウサギがこちらの道に進んで来ないとも限らない。
(気付かれない様に左右の道に進めないかな……)
と思いながらも観察を続ける。
突然、ウサギがピクッと身体を震わせたかと思うと、背筋を伸ばして立ち上がった。
警戒するように耳が
二人は即座に岩陰へ、張り付くように身を潜めながら冷や汗を流す。
しかしウサギが警戒したのは二人では無かった。
「グルゥア!!」
獣の唸り声と共に、大型犬くらいの大きさに白い毛並みを持っている、狼のような魔物がウサギ目掛けて岩陰から飛び出して来たのだ。
その狼には尻尾が二本あり、ウサギと同じように赤黒い線が体に走り脈打っている。
その二尾狼が飛びかかった瞬間、別の岩陰から更に二体の二尾狼が飛び出す。
先程と同じ体勢で岩陰から顔を覗かせ、その様子を観察する二人。
どう見ても狼の群れがウサギを捕食する瞬間であり、このドサクサに紛れて移動出来ないか、とハジメは考えた……
……その直後。
「キュウ!」
という可愛らしい鳴き声を洩らしたウサギはその場で飛び上がり、空中でクルリと一回転すると、その太く長い足で一体の二尾狼に回し蹴りを炸裂させた。
ドパンッ!!
という、ウサギの足蹴りが出せるとは思えない音を発生させて、二尾狼の頭部にクリーンヒットし、
ゴギャ!
という明らかに鳴ってはいけない感じの音を響かせながら、狼の首はあらぬ方向に捻じ曲がってしまった。
「「…………………………」」
唖然とするハジメと四季。
さらにウサギは回し蹴りの遠心力を利用して更にくるりと空中で回転すると、逆さまの状態で
ベギャ!
断末魔すら上げられずに頭部を粉砕される狼。
直後、更に二体の二尾狼が現れて、着地した瞬間のウサギに飛びかかった。
今度こそウサギの負けかと思われた瞬間、何とウサギはウサミミで逆立ちし、足を広げた状態で高速回転した。
飛びかかっていた狼二匹が竜巻のような回転蹴りに弾き飛ばされ壁に叩きつけられる。
グシャァ!!
という音と共に血が飛び散り、狼だったモノがズルズルと壁を滑り落ち、動かなくなった。
最後の一匹が唸りながらその尻尾を逆立て、バチバチと放電を始めた。
「グルゥア!!」
咆哮と共に二尾狼の、固有魔法だと思われる電撃がウサギ目掛けて乱れ飛ぶ。
……が、しかし、高速で迫る雷撃をウサギは素早いステップでかわし、電撃が途切れた瞬間一気に踏み込み、狼の顎にサマーソルトキックを叩き込んだ。
狼は仰け反りながら吹き飛び、
グシャ!
と頭から地面に、音を立てて叩きつけられた。
そしてウサギは、
「キュ!」
という勝利の雄叫び(?)を上げた。
(……嘘だと言ってよママン……)
(……えぇぇ……)
未だ硬直し続ける二人。
ヤバイ、などというものでは無い。
((気がつかれたら絶対に死ぬ……!))
偶然にも思考が一致した二人が、表情に焦燥を浮かべたその時、
カラン……
という音が洞窟内に響いた。
ハジメが無意識に足を後ろに下げた際、足元にあった小石を蹴ってしまったのだ。
あまりにもベタで……致命的なミスである。
ハジメの顔は青ざめ、四季の額からドッと冷や汗が噴き出る。
音の発生源である小石に向けていた顔を、ハジメはギギギ……と油を差し忘れた機械のように、四季は流石というべきか素早く回して、ウサギの姿を確認する。
ウサギは、ばっちり二人を見ていた。
赤黒いルビーのような瞳が二人の姿を
ハジメは思わず後退る。
四季は素早く立ち上がり、鞘を放り投げる様にして短剣を抜いた。
やがて、首だけで振り返っていたウサギは体ごと二人のいる方に向き直り、グググ……と足に力を溜めた。
(ッッッ!!)
直後、ウサギは地面を粉砕しながら跳躍し、後ろに残像を引き連れながら、途轍もない速度で突撃してきた。
ハジメと四季は、それぞれ別の方向に、全力で横っ飛びをした。
直後、一瞬前までハジメのいた場所に砲弾のような威力の蹴りが炸裂し、地面が爆発したように抉られた。
硬い地面をゴロゴロと転がったハジメは尻餅をつく形で停止し、四季はハジメと同じ様に転がったもののすぐさま立ち上がり、ウサギに向き直った。
ハジメは陥没した地面に青褪めながら後退る。
(ハジメくんは……無事ね、でもあの体勢じゃ……)
「ハァッ…!ハァッ…!」
ウサギは余裕の態度でゆらりと立ち上がると、隙だらけのハジメに狙いを定め、再度地面を粉砕しながら突撃する。
「南雲くん!!」
「……ッ!!」
咄嗟に地面を錬成して石壁を構築したハジメは、しかしその石壁を容易く貫いたウサギの蹴りを受け、衝撃で吹き飛ばされ地面を転がった。
「ぐぁっ……!」
咄嗟に左腕を掲げられたのは本能のなせる業か。
転がっていたハジメが停止した時、蹴りを受けた左腕に激烈な痛みが走った。
見れば左腕がおかしな方へ曲がり、プラプラと揺れている。
ハジメが痛みで蹲りながら必死でウサギの方を見ると、今度はあの猛烈な踏み込みはなく余裕の態度でゆったりとハジメに向き直る。
四季は庇う様にハジメの前に出ると、ウサギをキッと睨み付け、短剣を構える。
しかし、ウサギの目には二人を見下すような、あるいは嘲笑うかのような色が見え、『
しかしほとんど心が折れたハジメには、自分の命を投げ出してでも守ると決意した四季に庇われ、尻餅をつきながら後退るという無様しか出来ない。
次はこいつだ、と言わんばかりに四季に狙いを定めたウサギは、ハジメに見せつけるかの様に大袈裟に動きながら足に力を溜め始める。
(ああ……やめろ……やめてくれ……!)
最悪の未来を想像したハジメの目から涙が溢れる。
そして遂に地面を粉砕しながら、即死級の威力の蹴りが四季に繰り出され……
「「……………………?」」
……る事は無く、ウサギは何時まで経っても動かなかった。
まさかまだ自分の反応で遊ぶつもりなのか、とハジメが絶望的な気分に襲われていると、四季が奇妙なことに気がついた。
「……震えている……?」
四季のその言葉を聞いたハジメが腕で涙を拭い、ウサギを注視すると、ウサギの身体はふるふると震え、目からは一切の余裕が消えているのが分かった。
(な、何?何を震えて……これじゃあ
"まるで"ではなく、事実ウサギは怯えていた。
二人がやってきた通路から見て右側の通路から現れた、新たな魔物の存在に……。
ソレは後に、力弱くとも心優しかった
もうちょっとだけ『奈落の底』は続くんじゃよ。
物語が大きく動くのは次回からですかね。