ありふれた転生者の異世界巡り   作:折れたサンティの槍

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僕が投稿した話はちょくちょく加筆やら修正やらしてます。
前話の後書きは時間のある時にでも読んでもらえると助かります。

そんな感じです。

感想を元に修正してみた。


プロローグ3 『"日常崩壊"』

side ハジメ

 

 

教室のざわめきで意識が覚醒していくのを感じる。

居眠り常習犯なので起きるべきタイミングは体が覚えている。

どうやら昼休憩に入ったらしい。

 

突っ伏していた体を起こし、10秒でチャージ出来る定番のお昼を取り出す。

何となしに教室を見渡すと、購買組が既に飛び出していったからか人数が減っている。

それでも自分の所属するクラスは弁当組が多いので3分の2くらいの生徒が残っており、それに加えて4時限目の社会科教師である畑山愛子先生が数人の生徒と談笑していた。

 

朝に、あるラノベのヒロインの口調を真似ながら本音を語っていた両儀さんはというと、水筒とお握りをモサモサ頬張っていた。

お握りは多分手作りでは無いだろう。

両儀さんは、実際は和料理が得意で物凄く美味しい。

本人曰く、良家に生まれたために舌が肥えているので他人が作ったのなら不味くても許せるが、自分で作るものなら絶対に妥協出来ないとか。

彼女の父曰く、普段自炊する事は無いらしいのだが作り始めると止まらず、結果食卓には豪勢な食事が並ぶ様になるとか。

実際彼女の家に行った時に、「夕御飯作るから食べていかない?」と言われ手料理ヤッターなんて思いながら頷き、いざ食卓に座ってみるとその迫力に「ヒェッ……」っと声が漏れたり。

全部美味しくて完食しましたがね!

 

じゅるるる、きゅぽん!

 

そんな事を思いながら午後のエネルギーを10秒でチャージした僕は、もう一眠りするつもりで机に突っ伏そうとして、女神みたいな悪魔……白崎さんがニコニコしながら自分の席に近づいて来るのを確認してしまった。

 

しまった、月曜日という事もあってか少し寝ぼけ過ぎていた様だ。

いつもなら彼女たちに関わる前に教室を出ていたのだが、流石に1日徹夜(夜更かし)してからの寝落ちは地味に効いていたらしい。

 

「南雲くん、珍しく教室にいるんだね。お弁当?良かったら一緒にどうかな?」

 

教室を不穏な空気が漂い始める。

いやもう本当になしてわっちに構うんですか?

思わず意味不明な方言が飛び出しそうになった。

あと一瞬両儀さんの方見て勝ち誇った様な顔しましたけど、両儀さんは面倒くさいから作らなかっただけです。

本気出されたら多分あなたの負けです(アークエンジェル級2番艦艦長並感)。

 

「あ〜、誘ってくれてありがとう、白崎さん。でももう食べ終わったから、天之河くんたちと食べたらどうかな?」

 

そう言って、中身を吸い出されたお昼のパッケージをヒラヒラと見せる。

断るのも「何様のつもりだ」とか思われそうだが、昼休憩の間ずっと針のむしろよりは幾分かマシだ。

 

しかしこの程度の抵抗は意味を成さなかったようで。

 

「えっ!?お昼それだけなの?駄目だよちゃんと食べないと!私のお弁当、分けてあげるね!」

 

まさかの追撃である。

もう勘弁して!いい加減気づいて!周りの空気に気づいてよ!

僕からすれば、この"悪い意味で空気が読めない・鈍感"という欠点のせいで、白崎さんを好きにはなれそうにない(・・・・・・・・・・・)よ!

 

刻一刻と増していく圧力に冷や汗が流れるのを感じていると救世主が現れた……少なくとも今の僕にとってはだけど。

その救世主とは、既に都合良く両儀さんの言葉を忘れているであろう天之河くん、そして八重樫さんと坂上くんだ。

 

「香織、こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝たり無いみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて、俺が許さないよ?」

「気持ち悪……」

 

爽やかに笑いながらそんな台詞を吐く天之河くん、その言葉にキョトンとする白崎さん、さらっと天之河くんに毒を吐く両儀さん。

ちょっと両儀さん?いくら嫌いだとしても声に出すのはどうかと思われますわよ?

 

「え?なんで光輝くんの許可がいるの?」

 

素で聞き返す白崎さんに思わず八重樫さんが「ブフッ」と吹き出した。

白崎さんの鈍感と天然が合わさり最強に見え、更に両儀さんによる追撃の毒舌により(光輝の精神への)ダメージは更に加速した!

 

天之河くんは困った様に、若干引きつった笑いを浮かべながらあれこれ話しているが、結局ハジメの席に学校一有名な四人組+一人が集まっている事実に変わりは無く周りの視線が突き刺さる。

 

もういっそこいつら異世界に召喚されたりしないかなぁ。

どう見てもこの四人組そういうのに巻き込まれそうな感じがするもん。

どこかの世界の神か姫か巫女か誰でもいいので召喚してくれませんかね……。

 

そんな事を思いながら、いつも通りどうにかしてお茶を濁して退散しようと椅子から腰を上げたところで…………凍りついた。

 

自分の目の前にいる天之河くんの足元に"純白に光り輝く円環と幾何学(きかがく)模様"が現れたからだ。

その異常事態には周りの生徒も直ぐに気が付いた。

全員が金縛りにでもあったかの様に輝く紋様………魔法陣らしきものを注視する。

魔法陣は徐々に輝きを増していき、教室全体を満たす程の大きさに拡大した。

自分たちの足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる生徒たち。

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

未だに教室にいた愛子先生が「みんな!教室から出て!」と叫んだのと、

 

 

 

 

 

 

右腕を誰かが掴んだのと、

 

 

 

 

 

 

 

魔法陣が爆発したかの様に、カッと輝きを増したのは同時だった。




オリ主介入小説だけど、基本ハジメ視点になりそう。

【悲報】白崎香織、(勝手にライバル認定している)オリ主に負けない様にハジメにアタックし続けていたら、割と取り返しのつかない所にまで来てしまっていた(香織はやはりそれに気付かない)。

次回予告
・召喚された直後にパニックにならず、冷静に周囲の確認が出来るハジメくんは型月主人公の素質があると思うんだ。
・この緊急事態に「愛ちゃんが頑張ってる……」って和む生徒たちって緊張感無さ過ぎじゃない?ヤーナムにでも放り込んでやろうか?
・原作の『異世界召喚』の話を久しぶりに読んだけど、あの状況で話し相手をしっかり観察出来るハジメくんは流石主人公やなって……実際は魔王になったけど。

そんな感じ。

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