ありふれた転生者の異世界巡り   作:折れたサンティの槍

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前回の予告詐欺。
ゲーム的に言うとまだチュートリアルなので原作とはあまり変わらず。


それぞれの話のサブタイトルは、

○○○(時系列的には、原作のこの話の中)『○○○(筆者が気分で付けたサブタイトル)』

という感じ。

少し修正。


ステータスプレート 『天より降りたる神の使徒』

side 四季

 

 

戦争に参加する事になってしまった以上、私たちは戦いの(すべ)を学ばなければならない。

私たちがこの世界の人間よりも強力な力を持っていると言っても、元は日本という平和な国に浸かりきっていた高校生たちである。

それ故にいきなり魔物や魔人と戦うなど不可能である。

 

 しかし、その辺りの事情も当然予想していたらしく、イシュタル曰く、この聖教教会本山がある【神山】の麓の【ハイリヒ王国】にて受け入れ態勢が整っているらしい。

 

その王国は聖教教会と密接な関係があり、聖教教会の崇めている創世神エヒトの眷属である……ナントカという人物が建国した、最も伝統ある国であるのだとか。

自らの命に関わらない話は聞き流していたので覚えていない。

 

私たちは今いる【神山】と呼ばれている山を下山しハイリヒ王国とやらに行くために、聖教教会の正面門にやって来た。

聖教教会は神山の頂上にあるらしく、教会の荘厳な門を潜るとそこには雲海が広がっていた。

高山特有の息苦しさや寒さを感じていなかったのは、おそらく魔法か何かで環境を整えていたからだと思う。

クラスメイトたちは、太陽の光を反射してキラキラと煌めく雲海に、透き通るような青空という雄大な景色に呆然と見蕩(みと)れている様だ。

その辺りで私はようやく警戒を少しばかり解きはしたけれど、いつか「騙して悪いが」などと言われるのではと完全に解く事は出来なかった。

 

イシュタルに促されて先へ進むと、柵に囲まれた円形の大きな白い台座が見えてきた。

おそらくは、大聖堂で見たものと同じ素材で出来ているであろう回廊を進み、促されるままその台座に乗った。

 

台座には、巨大な魔法陣が刻まれている。

柵から雲海に落ちるのを嫌がった生徒たちが中央に身を寄せる。

それでも興味が湧くのは止められないようでキョロキョロと周りを見渡していると、イシュタルが何やら唱えだした。

 

「彼の者へと至る道、信仰と共に開かれん、〔天道〕」

 

その途端、足元の魔法陣が鮮やかに輝き出し、ロープウェイのように滑らかに動き出した台座が、地上へ向けて斜めに下っていく。

どうやら、先ほどの“詠唱”で台座に刻まれた魔法陣を起動(?)したようだ。

ある意味、初めて見る“魔法”にクラスメイトたちがキャッキャッと騒ぎ出し、雲海に突入する頃には大騒ぎになった。

うるさいなぁ……いい歳した男女が子供みたいに……。

 

その内、台座が雲海を抜けたことで地上が見えてきた。

眼下には大きな国が見えた。

山肌からせり出すように建築された巨大な城。

その城から放射状に広がる城下町は、ハイリヒ王国の王都だろう。

台座は、王宮と空中回廊で繋がっている高い塔の屋上に続いている様だ。

 

……側から見れば、今の私たちはまさに"雲海を抜け天より降りたる神の使徒”に見えるのでしょうか。

そんな光景を見せられては、聖教信者が教会関係者を神聖視するのも無理は無いのかも知れない。

 

この世界には異世界に干渉できる程の力をもった超常の存在が実在しており、文字通り“神の意思”を中心に世界は回っている。

自分たちの帰還の可能性と同じく、世界の行く末は神の思うがままなのだろうか。

 

そんな風に思った私は、徐々に鮮明になってきた王都を見下ろしながら、言い知れぬ不安が胸に渦巻くのを感じていた。




キリがいいので今回はここまで。

次回は原作とだいぶ変わりますかね。

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