TS転生したからロールプレイを愉しむ   作:ドスコイ

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まだ回復はしていませんが続きを。


第六話(裏)初任給で母親に何かを買ってあげる息子の如く

『とまあ、そんなことがあってだな』

 

 俺はその日、外に出していたダンテからの報告を自室で受けていた。

 スペルビアに放り出してから基本的に放置していたのだがあっちも色々あったらしい。

 リーンくんやフォローを入れた奴隷達についてはあれからも様子を窺っていたのだが、ダンテはね。

 ある使命を果たす以外では好きにして良いと申しつけていたから特に気にしていなかった。

 

「(にしても貴様、騎士団に入ったのか。いや、私からすれば都合は良いのだが)」

『安定した職、安定した給料、生きて行く上でコイツは欠かせねえからな』

 

 世知辛いねえ。

 

『アンタみてえな無敵さと万能さがあれば何をしても好きにやれるんだろうが、生憎と俺はそうでもないからな』

 

 一応、ダンテの潜在的な能力はザインとタメを張るぐらいには設定してある。

 いきなり頭角を現すのも不自然だから経験を積み段階的に強くなるよう仕掛けが施してあるが……。

 

『まあそれはともかく話を戻すぞ。俺らを襲ったモンスターは未確認の新種でな。

その強さは森林の統計的に考えるともう少し先、少なくとも表層に出て来るようなレベルではないみたいだ』

「(それなりに強い訳か。にしても、よく退けられたな)」

 

 集団を纏め上げるために必要なカリスマをダンテは持ち合わせている。

 なので慌てふためく連中を落ち着かせることは出来るだろうが、少し意外だ。

 話を聞いていると、その騎士団の人間はどうにもふぬけた印象を受けてしまう。

 まとまったとしても、そこから全員が生還出来るとは思えなかった。

 

「(貴様、よっぽど身を削ったのか?)」

 

 初期状態の彼では無双をかますというのは厳しい。

 だから、相応の自己犠牲を課したのだと思ったが――――

 

『バーカ。んな訳ねえだろ。全員が出せるもん絞り尽くした結果さ』

「(ほう……)」

『人間を低く見過ぎだぜ魔女様よォ。そりゃアンタからすれば英雄だろうがパンピーだろうがどれも一緒だろうさ。

だから見えねえんだろうな。人間ってのは存外、根性のある生き物なんだぜ?

魂まで燃やし尽くすような情熱を以って臨めば、出来ないことなんざそうそうねえ』

 

 ”人間”を語るダンテの言葉には確かな熱が籠っているように思えた。

 

『アンタ自身もそれを証明してるはずだぜ?』

「(と言うと?)」

 

 不思議なものだ。

 ダンテは肉体の組成こそ人間だが、その本質は人間のそれではない。

 限りなく人間に近付けどもそこまで。それ以上は無い。

 だと言うのに俺は人間と語らっているような錯覚を受けていた。

 

『魔女になる前は人間だった。人間から魔女になったんだ、アンタは』

「(そらまあ、そうだろうよ)」

 

 しかしそれが何だと言うのか。

 

『人間として気が狂うような修練と執念の果てに森羅万象を操る境地に辿り着いた。

才能があったから? 良い師に恵まれたから? 当然、それらもあるだろうさ。

だが才気に溢れ良い師に恵まれた程度で至れるような存在じゃないだろう? 始原の魔女なんてのは。

今回俺達が覆した劣勢なんぞ比にもならねえ。才気とそれを伸ばす師なんてのは最低限度の条件にしか成り得ない』

 

 俺の記憶を与えはした、だが経験した訳ではない。

 だと言うのに語ってくれるじゃないかダンテ・マルティーニ。

 苛立ちか、好奇心か、今彼に抱いている感情の正体は俺にも分からない。

 

『とどのつまり最終的に必要になるのは意思の力だ。

師に――愛する母に応えたい、あの人の笑顔が見てみたい。

その一心で、その情熱でアンタは超えられない壁を幾つもぶち抜いたんじゃねえのか』

「(……買い被りだな)」

 

 師匠を母親のように慕っていたのは事実だし、喜ばせたいと思ったのも事実だ。

 だがダンテが語るような大層なものではない。

 

『買い被り? 世辞を言えるような器用さはねえよ。本心さ。アンタは何にも負けぬ意思を持っていたからこそ最後の試練を――――』

「そ れ 以 上 は 止 め て お け」

 

 自分でも驚く程に無機質な声だった。

 だが、このまま続けさせていれば俺はダンテどころか……いや、止めておこう。

 

『アンタは……』

「(何だ?)」

『いや、何でもねえさ。だが、俺がアンタを尊敬してるのは確かだぜ』

 

 心を読んでやろうか――とも思ったが止めた。

 これまでの発言が単なるおべっかなら所詮は被造物でしかないし気にもしない。

 だがダンテは自らの意思で自らの言葉を紡いだ。

 ならばそこに敬意を表して無粋は止めておこう。

 

「(フン、話の腰を折って悪かったな。続きを話せ)」

『ん? おう。とりあえず難を逃れた森を出たんだがな。その後、興味深い話を聞いたんだよ』

「(と言うと?)」

『似たような事例がちょいちょい報告されてんだとさ。べスティア大森林だけじゃなくあちこちで』

 

 RPG風に言えばその地域のレベルに見合わないようなモンスターが出る事例が頻発してる訳か。

 それはちょっと、気にかけておいた方が良いかもしれないな。

 問題は無いと思うけどそれでまた出兵計画に支障をきたされたら困るし。

 スペルビア上層部の動向を注意深く見守るとしよう。

 

 だがそれはそれとして、

 

「(そう言うことなら貴様の潜在能力を解放しておくか? もしくは任意で段階的に解除出来るようにしても構わんぞ)」

 

 経験積んで徐々に強くなっていくんじゃ、いざって時間に合わないかもしれないしな。

 今回だってそう。運良くギリギリ対処出来る敵だったから良かったものの、そうでなければ無残に殺されていただろう。

 

『いや必要無い。俺は俺でやっていくさ。ああ、面白い連中と一緒にな』

「(そうか、貴様がそう言うならそれで良いさ)」

『アンタは良いのか?』

「(どう言うことだ?)」

『おいおい、忘れたのか? 俺ぁアンタに造られたNPCだぜ? 役割果たす前におっ死んじまったら意味ねえだろうが』

 

 ああ、言わんとしていることは理解した。

 だが必要は無いだろう。その時はその時だ。

 別の誰かが同じ役割を担ってくれることを期待するか、片手落ちだが当初の想定通りに済ませれば良い。

 NPCについて思い付いたのはシンケールスに来てからだしな。

 

「(構わん。貴様の好きにすれば良い)」

 

 課した役割については出来そうならやってくれればそれで良い。

 あれだ、行けたら行く的なふんわりとした認識で問題は無い。

 

『……』

「(どうした?)」

『いや、アンタまるで”エレイシア”だと思ってな』

 

 ロールプレイしてんだから当たり前だろ。

 

『そう言うことじゃねえんだが……まあ良いや。んじゃ俺はこれで。そろそろ行軍再開だし』

「(そうか。しかし、貴様王都に戻ったら今回の功績で出世するか金一封でも貰えるのではないか?)」

『ん? あー……そうかもな』

「(折角だ、何か奢れ)」

 

 初任給で母親に何かを買ってあげる息子の如く。

 

『ふざけんじゃねえぞ!? 着の身着のままで放り出しやがった癖に!! テメェなら金なんぞ幾らでも用意出来るだろうが糞が!!』

 

 と一方的に念話を切られてしまった。

 ちょっとした冗談だったのだが、ダンテの奴……俺の知らないところで金に苦労したのか?

 奴を王都に放り出してから騎士団に入るまでに辿った道が気になるな。

 

「(しかし……ふむ……)」

 

 ダンテから聞いたモンスターについての話。

 基本的に静観するつもりだが、俺の目的とは別の部分で気にかかることがある。

 

「(……シンちゃんとポチは大丈夫かな?)」

 

 何の制限も無ければまずあの二人を害せる存在は居ないだろう。

 シンちゃんならザインを始めとする英傑クラスと当たればどうにもならないがポチは違う。

 ポチをどうにか出来る存在なんてそれこそ俺ぐらいだ。

 だけど今は二人共に枷を嵌めて力を制限している。

 今日も、

 

”そんじゃ行って来ますね!”

 

 と元気に出て行った二人だ。

 冒険者になってからそこそこ経つが毎日楽しげに討伐依頼をこなしている。

 これまでも傷を負って帰って来ることはあったが、身の丈に合わない依頼は受けていない。

 指導員のロッドと言う人が無理そうなのは止めているからだ。

 しかし、あんな話を聞いた後ではどうにも気になってしまう。

 

「(こんなところに居るはずのない、だからな)」

 

 可能性としては皆無ではないのだ。

 

「(…………確か今日は遺跡に蔓延るモンスターの駆除に行くとか言ってたな)」

 

 どうせ家に居るだけなのだ、少しばかり外出するのも悪くはないだろう。

 そう決断し、二人の居所を探り転移魔法を発動する。

 

「カビ臭えし辛気臭え……オッサン、どうにかならねえのかよ?」

「いや、遺跡ってこんなもんだからね? オジサンに言われても困るよ」

「気にしなくて良いよオッサン。チビのワガママは無視すれば良い。つか、不満があるなら帰れば?」

「あんだと糞蜥蜴!?」

「何だよ糞チビ」

 

 外でもこんな感じなのかぁ。

 いや、俺の目が無い分余計に遠慮が無いように見えるな。

 互いに敵愾心剥き出しだもの。

 

「(と言うか、仮にも目上の大人をオッサン呼ばわりて……)」

 

 シンちゃんの境遇で大人を敬えと言うのは難しいだろう。

 ポチの正体を鑑みれば人間を敬えと言うのは難しいだろう。

 それでもこう、表面上ぐらいは取り繕って……いや、そんな世間の機微を察するのは難しいか。

 ああ言うのは教育ありきで、そして今それが出来るのは俺ぐらいのもの。

 だけど俺のキャラ的に人に合わせてとか言えないし仮に言っても俺が言うから従うだけ。

 子育てって難しいなあ。

 

「(唯一の救いは二人共、彼に心を許しているところか)」

 

 見た感じ、シンちゃんもポチもロッドを嫌っているようには見えない。

 多少なりとも認めてやっていると言う感じだ。

 それは多分、ロッドの人柄によるものだろう。

 こうして見る限り、彼は随分と二人を気にかけてくれているようだし。

 

「(見た目通りにちゃんと子供扱いをしてくれている、大人の責務を果たそうとしている)」

 

 好印象だ。

 大人の責務を果たせていない俺からすれば頭が下がる思いである。

 

「はいはい、そこまでにしようね。それよりほら、今日の討伐対象は覚えてるのかい?」

「あ゛? 忘れてる訳ねーだろ。あれだろ、アンデッドだろ?」

「そうそう。遺跡に蔓延るアンデッドの駆除だ。ちゃんと武器に聖水は撒いたかな?」

「遺跡に入る前も確認したよね? やったって言ってるじゃないか」

「アハハ、ごめんごめん。いやね、オジサンは心配性なんだ。だからついつい……ね?」

 

 言葉通りの意味ではないだろう。

 冒険者としての心構えをそれとなーく伝えているのだと思う。

 直接、何度も何度も気にするぐらいが丁度良いと言っても素直に聞いてくれなさそうだし。

 

「っと、敵の気配がするよ。二人共、戦闘準備だ」

「おう、殺って殺るよ!!」

「雑魚なんてパパっと片付けてやるさ」

 

 そうして戦闘が始まった。

 見た所、俺の目論み通り二人は技術を学び始めているようで以前までの雑さは薄れている。

 だがそれよりも目を引いたのはロッドだ。

 

「(……良い大人で、良い指導者なんだな)」

 

 大人として子供を心配してはいる。

 だが、それを押し付け過ぎれば子供の自由意思を殺すことになりかねない。

 シンちゃんやポチの強くなりたいと言う強い意思を尊重し、ついつい手助けしたくなるだろうに我慢している。

 我慢し、私情を交えないように甘過ぎず辛過ぎない適切なタイミングで助言を飛ばしている。

 良い大人で良い指導者という俺の評価は間違っていないと思う。

 

「(この分だと大丈夫かな?)」

 

 戦闘をこなしながら遺跡を進み、目的であるアンデッドモンスターも問題なく駆逐していく一行。

 時に冷やりとする場面はあったもののロッドのサポートのお陰で問題はなかった。

 

 ――――だが噂をすれば影が差すと言う言葉から逃れることは出来なかったのだ。

 

「うお!? な、何だ!?」

「二人共! オジサンに掴まるんだ!!」

 

 突如として床が崩落し、三人の身体が投げ出された。

 突然のことに驚く二人とは違いロッドは直ぐに冷静さを取り戻した。

 空中で手を伸ばし自分の身体にしがみつくよう子供達に言い含めると眼下に視線を向ける。

 

「底が見えない……この遺跡に地下なんてなかったはずなんだがねえ……!」

 

 多少の焦りはあるもののロッドの瞳に絶望の色は見えなかった。

 培った経験と機転により何とか出来ると言う自負があるのだろう。

 ならばここは彼に敬意を表し、もう少し静観を続けるのが正解か。

 

「シンちゃん、ポチくん。ちょっとデカイ衝撃が来るけど手を離さず我慢しておくれよ?」

「……分かった」

「君に任せるよ」

「OK! こんな時でも落ち着いてるようで何よりだ。大物の風格だねえ……!」

 

 軽口を叩きつつロッドは呪文を唱え始めた。

 道中で見た彼のスタイルはショートソードを使った二刀流だったが魔法も使えるらしい。

 

「(ああ、大規模な魔法を下に撃ち込んで落下の衝撃を殺すつもりなのか)」

 

 その予想は正しく、地面が視界に見えた時点でロッドは極限までチャージしていた魔法を発射。

 多少傷は負ったものの落下の衝撃を殺せたお陰で最低限のダメージで留めることが出来た。

 

「ったた……何だい此処はぁ……地底湖? こんなの見たことも聞いたこともないよ……」

 

 広大な地下空間に広がる巨大な地底湖。

 亀裂から差し込む太陽の光が水面に反射する様は酷く幻想的だ。

 

「ようオッサン、どうするんだ? かなりの高さだから昇るのは無理そうだぜ」

「……僕が飛べたら楽なんだけどなあ」

 

 ポチは首輪を触りながらそう漏らした。

 

「とりあえず警戒しつつ周辺の探索を――ッ!?」

 

 凶事は手を繋いでやって来る、そう言いたいのか更なる不運が彼らを襲う。

 20mほど前方の大地に黒い魔法陣が浮かび上がったのだ。

 魔法陣から姿を現したのは全長10mはあろうかと言う四本腕の巨大な髑髏だった。

 髑髏はその四腕に朽ちた大剣を持ち、瘴気が漏れ出す眼窩で三人を睨み付けている。

 

「対軍級!? 馬鹿な、何だってこんな場所に……!」

「言ってる場合か、あの骨野郎。あたしらを逃がすつもりはないようだぜ」

「ああ、やるっきゃないね」

 

 今の自分達では勝てないとシンちゃんもポチも理解している。

 だが前者は生来の不屈さで、後者は竜種であるがゆえの矜持で立ち向かうつもりで居た。

 しかし、

 

「馬鹿野郎! 何言ってやがる! お前らはさっさと逃げやがれ!!」

「お、オッサン……?」

 

 普段の柔らかな態度から一変、荒々しい口調で子供達を叱り飛ばした。

 そんなロッドに戸惑っているのかシンちゃんもポチも目を丸くしている。

 

「……奴の背後に小さな横穴が見えた。パッと周囲を見た感じ、道らしい道はあそこにしかねえ。

俺があのモンスターを引き付けるからお前らは横穴に迎え。

何処に続いているか分からんが、兎に角遠くへ遠くへ逃げろ。行き止まりだったら……息を潜めて隠れるんだ。良いな?」

 

 反論は許さない、そんな態度だ。

 ロッドは子供達から視線を外すと今にも襲い掛かって来そうな巨大髑髏を睨み返す。

 

「……暴走(バースト)

 

 そう呟いた瞬間、ロッドの痩躯が膨れ上がった。

 身体のあちこちに血管が浮かび、肌からは蒸気が立ち上っている。

 この姿を見れば一目瞭然だろう。

 

「(肉体のリミッターを外し、その上にドーピングまで重ねているみたいだな)」

 

 今も絶え間ない激痛が全身を苛んでいるはずだ。

 だと言うのにその表情は冷静そのもの。

 彼は極自然に自身の終わりを定め、死を受け入れていた。

 

「……俺が仕掛けると同時に走れ。良いな?」

 

 返事は聞かず、ロッドは走りだした。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 戦意に呼応し、髑髏もまた動き出した。

 この場で最も強い存在であるロッドに視線が釘付けられた瞬間である。

 

「チィッ……!」

 

 生来のセンスと積み重ねた努力、そこに命を投げ捨ててまで強化を施した。

 それですらどうにかこうにか避けるのが精一杯の攻撃の嵐。

 文字通り手数が違う。その上、一撃でも当たれば致命を避けられない。

 そんな絶望的な状況で尚、悪態を吐きながらも目は死んでいなかった。

 

「お、おい……オッサン……」

「……」

 

 そんな光景に二人は戸惑っていた。

 理由は違えど結論は同じ、何故ロッドが命を懸けているのか分からないのだ。

 

「何してやがる!? 早く逃げろォ!!」

「に、逃げろって……オッサン、何でこんな……」

 

 シンちゃんは俺に恩があるし、絶大な好意を抱いている。

 だが彼女は俺を人間だとは思っていない。

 だからこそ、分からなかった。

 自分の知る人間と言う生き物の本性は唾棄すべきもののはずなのに。

 何故、ロッドは自分のために命を捨てようとしているのか。

 

「何でも何もねえ! 大人が子供を護るなんて当たり前の事だろうが!!」

「ッッ!」

 

 ショックを受けたようによろめいたシンちゃんをポチが支えに入る。

 彼もまたシンちゃん程ではないがロッドの言葉に衝撃を受けたようだ。

 

「何なんだ……人間って……って、危ない!!」

 

 これまで四本の腕しか使って来なかった髑髏が足を使った。

 ただの足払い、だが人間にとっては絶命に至る一撃だ。

 咄嗟に飛び上がって回避したは良いものの、今のロッドは完全に無防備だ。

 身動きの取れない空中、相手の腕は完全フリー。必ず死ぬ、必ず殺される。

 

 ――――そう、俺が居なければ。

 

「!?!?!!」

 

 髑髏の巨体が吹き飛び壁面に叩きつけられる。

 それと同時に空中に浮かび上がっていたロッドが子供達の下まで引き寄せられた。

 

「うちの下僕が世話になったな」

 

 ロッドと言う男に敬意を表しその面子を立てて今まで動かなかったが、もう十分だろう。

 もう十分に彼は男を見せたし、大人の背中を教えてくれた。

 ここからは力を振るう事しか出来ないババアの出番だ。

 

「あ、あなたは……?」

「ルークス様!?」

「マスター! 何で此処に!?」

 

 三人の言葉を無視し、軽くロッドの身体を撫でる。

 暴走の停止、並びに傷付いた身体の修復はこれで終わった。

 

「亡霊風情が一体誰を見下している?」

 

 立ち上がった髑髏の視線はロッドから俺に固定されていた。

 その眼窩の奥に燃ゆる殺意は完全に俺だけを貫いている。

 

「――――頭が高いわ愚か者」




王都に放り出されたダンテは心優しい美人シスターと出会い
彼女がいる貧しいながらも温かみのある孤児院で世話になり
シスターや子供達と触れ合ってていく内に……
みたいな経緯があって前話のダンテになったって感じですが
そこらについての詳細は機会があれば外伝か何かで書きます。

ただ詳しく描写するとコイツ、創造主よりリア充になるんですよね。

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