小説ジャガーマンシリーズ   作:いのかしら

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どうも井の頭線通勤快速です。

あけましておめでとうございます。

小説ジャガーマン流行れ


「ジャガ瀬船」森豹外

ジャガーの渡しはジャングルちほーに張り巡らされた川を上下する板である。

1日2度回ってくるそれは、どのようなフレンズであろうと、たまたま居合わせることが出来れば乗ることができ、そこから回っていく先へジャガーへ行き先を告げれば対価なしで連れて行ってくれる。

そういう代物である。

それを運ぶのがこの

顔がでかくて、首が太くて、脚が短くて、ちょっとずんぐりむっくりな感じする、頑丈な体をしてる

ジャガーというフレンズである。←女の子やぞ

時には立たないと乗り切れない程度の人数でさえ乗せることもあった。

この島の長である者に通ったことではないが、その辺りは半ば黙許だった。

 

住みか、またはその周辺に居ればジャパリまんが供給されるフレンズにとって、移動は必ずしも必要なものではない。

せいぜい水場への移動ほどであろう。

そしてこの川そのものが水場であるゆえ、渡る者というのは他に友人があり会いにいく者や、みずべちほーのペパプのライブに行く途中の者など僅かだ。

 

だが彼らの道中、ジャガーは良く客の話を聞いた。

自分の住んでいるところの話。

自分がどのような動物であるかの身の上話。

自分の知り合いのフレンズの話。

それ以外にも良くボスが現れる場所が変わったり、新たに楽しい場所が見つかると、間違いなくその話はすぐにジャガーの耳に入った。

良い話であれば共に喜び、悪い話なら共に心を痛め、時に不覚にも涙を流すことさえあった。←ここすき

そのためジャガーはジャングルちほーの情報を細やかに知ることができた。

そしてジャガーは惜しげも無く他のフレンズに伝えた。←ここもすき

無論話していいかはそのフレンズに確認を取ってからである。

それゆえその話を聞きに川を渡る用もないのにジャガーの渡しに乗る者が時々いた。←頼もしぃ〜

 

いつのころであったか。

フレンズには日付という感覚はなく、時代は循環するものと考えているため、何月何日とは表すことができぬ。

おまけにずっと季節も同じようなものだから、その日を特定できる条件もない。

が、とにかくその日もジャガーはいつもと変わらず川をぐるぐると巡っていた。

今日これまで乗せたフレンズは4人、そのうち3人は対岸へ渡るためではなかった。

ジャングルの葉の一部が川に浮かぶ夕暮れに近くなり、ジャガーはこのまま今日は終わるのだろうと考えていた。

 

しかしふと脇を見ると、これまで見たことのないフレンズが立っていた。

ジャガーは板を岸へ寄せる。

その者の顔はその時初めて確認できた。

その名はわからん。全然わからん。

もしや噴火で新たに生まれた者かとも思ったが、まぁ相手が話したがらないのだから仕方あるまい。

蛇のフレンズらしくフードを被っていたり、毛皮の色はジャガーに近いとか、サーバルの如く立派な耳が付いてたりするとか、鳥の羽が付いていて空が飛べるとかそういうのはなくってぇ……

「乗るか?」

そのフレンズはコクリと頷いた。

 

「どこまで行けばいいんだい?」

行き先を決められていないまま、ただ先へ進むことを求められたジャガーはそう尋ねた。

だがそのフレンズは答えようとしない。

この痩せ気味の、顔が青白いフレンズの様子を見るに、いかにも神妙で、いかにもおとなしく、ジャガーでさえ先達か何かと敬って、何事につけても逆おうとせぬ、口を除き。

だがその一方でこのジャングルちほーのジャガーに全力で遠慮するような態度ではない。

ジャガーは不思議に思った。

 

ワイトナカイもそう思います。

 

そして板に乗った後、ただ安全を確かめるだけではなく、絶えずこのフレンズの様子に細かく注意をしていた。

 

その日は日が沈みつつある中で風が止み、空一面を覆った薄い雲が月の輪郭を霞ませ、土の方に残るひんやりした感じはなく全ての水気が靄となって立ち上りそうであった。

あたりはひっそりとしていて、ただ板に当たる水の囁きを聞くのみである。

 

顔色も良くないし、話したくないなら横になれば良いと言ったが、首を振って応じようとしない。

行き先が告げられぬまま板を進めるしかなかった。

雲の濃淡に合わせて月光が増減するのに応じて、月を仰ぐそのフレンズの瞳には微かな輝きしかなく、それがほんの僅か揺れ動く。

先程からジャガーは不思議だ、不思議だ、全然わからん、と心の中で繰り返している。

もしこのフレンズが旅人なら、とジャガーが考えると、違和感しか生じない。

ジャガーにとって旅とはかばんのようににこやかに進むものだからである。

このような暗い顔をして、やたらでかい袋とともに進むものではない。

かといって気兼ねしているようでもない。

そうであれば声をかけて即座にこの板に乗り込むわけがないからだ。

本当に全然わからん。

 

この板に乗る者は大半が物見遊山にでも行くかの如く陽気である。

そうでないものもいるが、人に話せないほど悪い気持ちを持ちながら乗る者はいない。

この者が生まれつきこのような顔であるというならそうであるのかもしれないが、どうもそうとも思えない。

フレンズの情の果てにこのような様であるのか、などと考えているが、このフレンズはどうしたのだろうとジャガーが考えても、考えるほど分からなくなる。

 

加ガー岬、なにが起こってんのか全然わからん!

 

離れてからしばらく、ジャガーが進んでいる川は支流の一本へと合流した。

ジャガーは再び呼びかけた。

「どうしたんだい。

行き先もなけりゃ向こうに渡るのかどうかも分からん。

一体何を思っているのさ?」

「はい。」

やっと答え、辺りを見渡した。

余りにも執拗に見回すものだから、ジャガーは再び声をかけざるを得なかった。

「あぁ、別に何かを問いただしたいとかそういうのじゃないから。

ただどういう心持ちで川を下るのか、そしてどこまで下るのか、それを聞きたいだけさ。

私はジャガー。

今までたくさんのフレンズを乗せてきたけど、大抵は何か楽しいことがあったと話してくれるのがほとんどなんだ。

あなたほど寂しそうに乗るフレンズは見たことがない。

いったい何を思っているんだい?」

そのフレンズは顔をこちらに戻した。

顔の口角を上げようとしているようだが、それが不十分ゆえ真顔にしか見えぬ。

「ありがとうございます、ジャガーさん。

なるほどフレンズの身の上であっては日々の暮らしは楽しいことばかりでございましょう。

その気持ちはつい先日までの私なら簡単に思い起こすことができたでありましょう。」

随分と丁寧な口調である。

思わず僅かばかり速度を落としてしまった。

「このちほーは結構な土地でございます。

しかしそのちほーの、いや他のちほーのいかなるフレンズも、私の苦しみは完全には理解出来ますまい。

ここからどんどん川を下っていただきますが、この先が私が居て良い場所だというのを願うばかりです。」

「川を下った先って……どこまでだい?」

「私がそこに着いたらお話しします。

そこまでの渡し賃はジャパリまんをお渡ししますので。」

「いいよいいよ、いつも貰ってないから。」

「そういう訳にはいきません。」

幾度か問答が続いたものの、ジャガーが折れて丸く収まった。

 

「後ろの袋は?」

「ジャパリまんです。

居場所が決まらずこれが尽きたら、そこが運命なのだと落ち着きます。」

「そうかい。」

ジャガーはそうはいったものの、聞くことごとに予想もつかぬ話ゆえ考え込み黙り込んでしまった。

このフレンズと自分とではおそらく比べようのない差があるのではないか、と。

それにしてもこのフレンズは袋いっぱいにジャパリまんを蓄えている。

対してこちらはボスを見つけたらそれから食べる分だけもらう生活だ。

蓄えることはほとんどない。

真面目な性格なのだろうと推察していた。

自分はこうはなれそうにない。

 

 

「さぁ、大きい川に出るよ!」

ひときわ広い川が彼らの視線の先に広がった。

とはいってもそれを見せるのは月明かり。

「広いですね。

月も合わさり、実に見事です。」

ただそれだけ答えた。

顔を見ると視線をこちらには合わせてこない。

「いろいろ聞くようで悪いけど、何があったんだい?

その訳を聞かせてくれないか?

こちらは移動中は人の話を聞くのも仕事なんだよね。」

こちらが話に相槌を返していたためか、少しは信頼されたようだ。

そのフレンズはしばし躊躇った後、口を開いた。

「かしこまりました。」

それでもまだ躊躇いがあるようで、呼吸の音のみが数度繰り返された。

そして小声で話しは始まった。

 

コミケは行けませんでした……

ジャガーさん合同近場じゃ売り切れてるみたいだし、どうしたものか……

あ、でも狙ってたテルマエフレンズは近場でGETしました。

 

「恐ろしいことを致しまして、なんとも申し上げようがございませぬ。

あとで思いますと、どうしてあのようなことができたのかと不思議でたまりません。

全く夢中だったのでございます。

私にはコンビの相手がおりました。

私がこの身体にて目覚めた時、すぐ近くで同様に目覚めた者でした。

しばらくしてとしょかんとやらで身の上が分かると訪ねてみましたが、そこの博士たちにはどうもいまいちピンとこない代物だそうでございます。

相方が何者かは分かりましたが、こちらが何者かは分からない。

それでも相方は私を認め、その先過ごす中でも離れぬようにいたしまして、共に助け合って生きてまいりました。

ある時私は初めて意識を得た場所の近くにおりました。

特に用もなく、気が向けば何処かしらにはあるであろうジャパリまんでも食えば良いかと相方と共に考えておりました。

するといきなりセルリアンが現れたのです。

気味悪い色をしたセルリアンでした。

私は咄嗟に対峙しようとしました。

一匹ならば即座に石を叩けば良い。

勝ちが私には見えておりました。

しかしみるみるうちにあたりのセルリアンは数を増していきました。

こうなっては逃げるほかありません。

すぐに相方の手を引いて逃げ出しました。

距離が少し離れ、もう少し先の崖の上まで行けば逃げ切れる、そう思った時です。

私が相方の手を握っていた右手は後ろに、そして下にぐいと引きずられました。

何事かと振り返ると、相方が足の方を触りながら座り込んでおります。

思わず立ち止まりどうしたどうした、と声を掛けてみますと、足をくじいたようです。

もともと相方は2本足で走る生き物ではなかったらしく、長距離を走り続けるのは決して得意ではありませんでした。

あともう少し進めるか、と尋ねましたが、立つことさえ私に支えられなければ不可能でした。

ここからは動けない、ならば打つ手は一つ、断固としてここを守り抜くのみ。

そう思い私は相方が何か言ったことを聞かずにセルリアンに突っ込みました。

自分で言うのも何ですが、私はある程度腕が立ちます。

その腕で2人の危機を救ったことさえあります。

今度も何とかしてやろうと勇み立ち、野性解放さえ発動して攻撃を繰り返しました。

しかし多すぎました。

1匹倒そうものなら、その間に次のセルリアンが足元にいます。

そいつを蹴り飛ばし、殴り、石を潰し……

しかしそれを繰り返しても止まらない上、セルリアンは四方から攻め寄せてきます。

結局飛び出したはいいものの、いつのまにか足元に相方が迫っていました。

いや、私が相方に迫っていました。

私が右のセルリアンに対処しようとした時、左のセルリアンが相方に襲いかかりました。

体力を奪われつつあった私はそれを即座に蹴り飛ばすこともできず、相方は一部がセルリアンに呑まれてしまいました。

何とか引き離した時には呑まれた左腕からは煌びやかなサンドスターが垂れ流されておりました。

大丈夫かと声をかけますが、何を言ってるかも聞き取れないほど弱く呻くのみ。

痛みに堪えているようでありました。

私はセルリアンをしばし近づけまいと奮闘し、幾らか距離を取ることに成功しました。

私にはある考えがずっと浮かんでおりました。

しかしそれをセルリアンと共にはねのけながら戦っておりました。

ところが相方が言ったのです。

私を置いて逃げろ、と。

ああ、聞いてしまった、その言葉。

私は一度拒否しました。

コンビを組んだものの為に戦わざれば、何がコンビたるか、と。

あなたは必死に戦ったし、私は逃げられない。

このまま耐えても最後にはここの土の上でサンドスターが尽きてしまうでしょう。

ならばあなただけでも生き残るべきなのだ、と。

ああどうすれば良いのでしょうか。

このまま見捨てるのが最上だと?

冗談じゃない、とは思いました。

私は再び脚に力を入れ、セルリアンを追い返そうとしました。

また石を潰し、セルリアンを無限に弾き続けてやろうとしました。

その結果2人とも呑まれたとしたら、その時はその時だ、とさえ考えておりました。

しかしその時、相方がもう糸のようなか細い声で、涙を流しながら訴えかけてきたのでございます。

逃げろ、と。

ただ逃げろ、と。

そして生きろ、と。

声が途絶えれば、目が物を言います。

まるで逃げない私を早くしろ、早くしろ、とさも恨めしそうに見つめてくるのでございます。

この顔を見た時から私は本格的に気が狂ってしまったのです。

頭の中をぐるぐる回っていた輪が止まりかけると、私の腕はもう戦いたくないと言うように急速に軋み始めました。

そして相方に今までありがとう、と大きく叫ぶと、崖の方へと足が動いておりました。

今思いますと、最後の顔だけはしっかり確認すべきだったというのも、後悔の一つにございます。

途中で意識を取り戻し背後を見てみますと、相方の姿はセルリアンの群れの向こうに消えておりました。

その後は崖を登り切り、ただひたすらその場を離れました。

雨が降り始め足元が悪くなって滑って転ぼうとも、その場から離れるのに必死でございました。

後で知ったことでございますが、その後セルリアンハンターがその場に来ていたようなのです。

すなわちもう少し私に勇気と力さえあれば、セルリアンを撃退できた。

そして相方は生き残れた。

あの程度の傷ならとしょかんか手先の器用な者のところに連れ込めば死には至るまい、と思えてきます。

それを考えるとあぁ本当は私が相方を死なせたのではないか、と押しつぶされそうで、こうして旅を続けているわけでございます。」

下を向き俯き加減に話していたそのフレンズは、こう言って視線を膝の上に落とした。

 

クリスますやんかは被ってるのも多くて、それもまた良いですやんか。

お前も投稿するんだよ!

ちなみにベイ(ウィー)ユニバースのオリコン1位すき

 

なるほど他のフレンズにはそのまま理解出来るものはそうそういることはない。

いない方が健全に違いない。

ジャガーはその話をまるで目の前で起こっているような思いで聞いた。

目の前に立ちはだかる崖を見た。

背中の方からセルリアンが来て、背筋が震えた。

しかしこれは本当にこのフレンズのせいなのであろうか。

ここまで思い悩むほど罪のある話なのだろうか。

そのままこのフレンズが戦い続けても、その後がいつなのかによっては助からぬものだったかもしれない。

相方が逃げて良い、と言ったから逃げた、と割り切れるほど凡庸なフレンズではないのは話しぶりからもわかる。

しかもセルリアンに呑まれる痛みは相当なものだったらしい。

助からぬならば苦しみを縮めた、と考えられるのかもしれない。

 

トラウィーアルすき

てかぺぷ式ドードーちゃん、くっそかわいぃー!

 

だが結局セルリアンハンターが来た。

助かった可能性が生まれてしまった。

それを疑い続ければ確かにこのようになってしまうのも頷ける。

 

ジャガーはいろいろ考えた末に、コンビの相方もおらぬ自分では全然わからん、判断は下せぬ、と結論付けた。

しかし困っているフレンズを見捨てられるほどこのジャガーも凡庸ではない。

何とかならないものか、と思い悩みつつ、暗闇に入りつつある中、この沈黙の2人のフレンズを乗せた木の板は、黒い水の上を滑っていった。

 

唯ちゃんマンも拡大の兆し!

そうだ、ニコニコでパワプロドリームカップIIというのがありますやんか

その大会の中に参戦しているのがゆゆ式ときんモザ連合です。

前大会思わぬ活躍を見せたので今大会も期待!

ちなみにゆゆ式きんモザ連合の試合は2試合先です!

お前も応援するんだよ!

なおけもフレはないんだなこれが

ガルパンはいるけど

 

 

「ここら辺にあまりフレンズのおらぬ場所はありませんでしょうか?」

沈黙を先に破ったのは、このフレンズの方であった。

「ん?」

「他のフレンズがおらぬ場所が理想でございます。」

「それはほとんど無いよ。

なにせこのジャングルちほーはフレンズがとても多いちほーだからね。」

「そうですか……」

「それにしても、どうしてそんなところに?」

「しばらくは相方へ祈りつつ、静かに暮らそうと思います。

その為には静かで、あまり邪魔のない場所が良いのです。」

「ふーん。」

なかなか良く分からぬ話だ。

他のフレンズと会わずに過ごしたくない、この感覚はどうも理解できない。

「そういえば何のフレンズか分からないって言ってたけど、何か得意なことはあるの?」

「生憎特にこれといった特徴が無いのが特徴でございまして。」

「泳げる?」

「溺れぬ程度には。」

 

 

しばらくすると、両側の光を遮っていたジャングルのうち、右側が不意に開けた。

木の類はなく、草だけが茂っている。

「ここは?」

このフレンズが声を掛ける。

「ここ?

ここなら前に川の流れが変わっちゃった時に陸になったところだよ。

確かにここはあまり他のフレンズがいないところだけど、ここは次大雨が降ったら流れがこっちになるかもしれないから、あまりお勧めしないよ。」

「ここにします。」

「いいのかい?」

「ええ、正直ゆきやまちほーとかさばくちほーとかの住みづらい所には行きたくはございませんので。

その辺の岸に止めてください。」

「……分かった。」

ジャガーは言われた通り岸に板を止めて、このフレンズが降りるのを待った。

しかし動く動作が伝わってこないので振り返ろうとすると、やっと立ち上がり板をひょいと飛び越えて袋を背負った。

「今日は重くて面白くも無い話を長々と聞いていただきありがとうございました。

こちらは礼でございます。」

先ほど折れたゆえ、ジャガーも仕方なく二つジャパリまんを貰う。

「また来るよ。」

「……私のために煩わしい目に遭ってもらうわけには……」

「じゃあ、私の気が向いたら。」

「……その時はよろしくお願いします。」

このフレンズが茂みの奥へと進むのを確認して、ジャガーは元来た道を帰り始めた。

 

 

ジャガーはあんいんばしにたどり着いた。

今日の空には薄く雲が覆っているが、そのカバーを突き破れる星の光は地上に降り注ぐ。

ジャガーは板を岸にあげると、その橋の板の一枚の上に寝転がった。←ここすき

このまま寝床に入る気にはならなかった。

やけに身体が火照っている。

それはこのいつもより蒸し暑い夜のせいではないだろう。

橋が少し沈み、ジャガーの毛皮を濡らす。

やはりジャガーは川に浸っているのが相応しいようだ。

このまま何もせず放っておける程ジャガーはフレンズとしての精神を損なっているわけではない。

明日からちょくちょく様子を見に行くことを決めた。

もらったジャパリまんを食べながら見る空の星が増えた。

 

次の日、一周回ってからジャガーは昨日の例の場所へと赴いた。

そこではそのフレンズが木や蔦を大量に積んでいるようであるが、当人がそこにいない。

ジャガーは板を岸に上げ、その場で腰を下ろして少し待っていた。

すると当人が肩に長めだが太さはそこそこの丸太を抱えて帰ってきた。

「あれ、ジャガーさんではないですか。」

「そうよぉ、遊びに来たよ。」

「わざわざこんな私のために訪れていただきありがとうございます。」

「それでこんなに蔦とか集めて何を作っているんだい?

橋でも通すのかい?」

「いえ、とりあえず雨風をしのげる小屋を作ろうかと考えております。」

「小屋?」

「木で壁を作って屋根として板を被せます。

こうすることで雨が降っても濡れる心配は減ります。」

「なるほどねー。

で、それはどうやって作るつもりなんだい?」

「蔦を掻き集めて丸太と丸太を結びつけて、それを繋ぎ合わせて壁を作ります。

少し丸太の間に隙間が出来ますが、そのままで構いません。

屋根はそれを二層重ね合わせた上でそこら辺の草を刈って被せて、雨が入ってこないようにします。」

「手伝うよ。」

「大丈夫ですか?

かなり手間のかかる作業ですが。」

「まっかせてー!」←頼もしぃ〜

 

いくらか時間が経ったのだろう。

真上で照っていた日の光は斜めから差し込んでいる。

「どぅへ、つかれたぁ〜。」

「大丈夫ですか?」

「へーきへーき。」

小屋は未だ壁のほんの一部が出来たのみである。

「今日はここまでにしておきましょう。

ジャパリまんでも食べますか?」

「ああ、ありがとう。」

そのフレンズが袋から取り出したジャパリまんをジャガーは受け取って頬張る。

「それで、この先もこの作業を続けるのかい?

手伝いがいるなら他のフレンズでも呼ぼうか?」

「いえ、これは出来るだけ一人で進めたいので結構です。」

「それじゃあ私の手伝いは?」

「ジャガーさんは昨日私の話を聞いてくださったので構いません。」

「よく分からないねぇ。」

 

ニコニコでけものクトゥルフ第1章完結!

イイハナシだからみんなも見に行きマスク♪

 

 

数日おきにジャガーはそのフレンズのいる場所へ行った。

作業を手伝う時もあればただ話すだけで帰って来ることもあった。

そしてその度に川を回る回数が1回になるため、それが気になる3人組が現れた。

彼らはフレンズではないが、何故かジャガーのそばにいる。

一人は鉄の鎧を身にまとう男、キャシャーン。

一人は最強の悪魔、デビルマン。

一人?は正統派レスラー、タイガーマスク。

「行くかー!」

「尋ねるマーン!」

「赴いてみマスク♪」

それぞれの掛け声と共に、ジャガーの背中を追いかける。

 

赴いてみマスク、行ってきまスカンクと同じノリ……する……

 

ジャガーが尋ねると、後ろからやたら目立つ格好をした3人もその場に登場した。

これに驚かぬフレンズはそうそうおるまい。

「……この人たちは?」

「あー、うん、私にも全然わからん。

でも悪いフレンズじゃないから。」

「はぁ……」

あまり機嫌は良くなさそうだ。

だが岩をも砕くデビルカッターで切られた丸太やタァー!の一言で一斉に落ちた周りの蔦、そして夜にも輝くキャシャーンのキラーン!

作業効率としては格段に上がった。

そしてジャガーの手伝いもあって、小屋はその日の夜のうちに完成した。

 

風邪引きました。

引いてなかったらこの小説昨年度中に投稿できるはずだったのに……

鼻水と痰が辛いです……

 

「本日は本当にありがとうございました。

遅いですし今日は泊まって行ってください。

粗末なものしかご用意出来ませんが。」

「ありがとうございマスク♪」

しかしタイガーマスクはタァーの一言の後、即座に横になって眠り始めた。

残りの4人はジャパリまんを齧りつつ、話をし始めた。

「小屋は出来たけど、これからどうするんだい?」

「暫くは座禅したり瞑想したりして過ごして、これからどうするかを考えていきます。」

「ざぜん!……ってなに?」

「図書館で見たところだと、座って目を閉じてじっとなにも考えずにいることで、気持ちを安定させたりするものだそうです。

最近本当に気持ちが沈んだままで、自分もそれを受け入れがちなので……

相方のこともどうするか、まだ決めておりませんから。」

「相方?」

ただ付いてきただけの2人が口を挟む。

「そういえばお話ししておりませんでしたね。

あまり気持ちの良い話ではありませんが、お聞きになりますか?」

デビルマンとキャシャーンの頷きを確認してから、このフレンズは再び先日ジャガーにした話をゆっくりと繰り返した。

2人はじっとこのフレンズの目を見ながら話を聞いていた。

夜は更け、川から吹く風は少し強くなる。

「ジャガーさんが来てくださっていることで気分の風向きは良くはなってきております。

しかしそれで相方への想いが相殺されることは決してありません。

最近ではそれでも生き続けるしかないのかと思っておりますが、それが相方を本当に切り捨ててしまうようで、どうにも踏ん切りがつかないのでございます。」

「正しいことが、正しい結果をもたらすとは限らない。」

急に声がした。

互いに向かい合っていた4人はそれぞれの顔を見渡すが、誰もさっきの言葉を発してないようだ。

となれば、1人しかいない。

むくりと起き上がる。

「君の話を聞くに、確かにそこに残るのは正解だったかもしれない。

しかし君は近づくセルリアンを即座に蹴り飛ばす瞬発力も失われたなかで、さらに敵を後退させていた。

おまけに君はその時、セルリアンと対峙しているその時、セルリアンハンターが来ると知らなかったのだ!

そのまま戦い続けてどちらもサンドスターを失うか、せめて片方が生き残るか。

そして君は後者を選んだ。

確かに前者の方が良かったかもしれない。

だがこうして君が生きたからこそ、君はジャガーさんと出会ったし、私たちはこの話を今聞けているではないか。

そして小屋を建て、川に入って過ごすことが出来るではないか。

これは後者を取ったら出来なかったことだ。

過去を捨てることはできない。

だからこそいま、この状況を享受しなくてはいけないのではないか?」

「……」

「どちらを選ぶのが正しいのか私には分からない。

仮にどちらかが正しくとも、それを選んでふさわしい結果が来るとも限らない。

正しさは結局自分にとってものものに過ぎないからな。

逆に自分では正しいと思い、実践することで自分が辛い目に合うこともある。

君が今辛い気持ちであるからといって、それが正しくないわけじゃないということさ。」

「それいったら私もかつての仲間を全て敵に回したな。

だがそれを後悔はしていない。

守るべきものがあると知っていたからな。」

「俺も命を捨てた上でここにいるな。」

「えぇっ?」

いきなり話された3人組の過去にジャガーは驚きを隠さない。

てかキャシャーン何者?

「まぁ結論、君がそんなに相方に囚われたまま世捨て人になることを相方が望んでるか、一度考えたらどうだ?」

「……ですが、私は今何のフレンズか分かっておりません。

その中で私が何者か規定していたのは、その存在を初めて互いに確認したのは相方です。

それが失われた今……自分って何なのかな、と考えてしまうのでございます。」

「なら私たちが名前をつけようか。

君が何かはわからないけど、互いに名前で呼べば分かり合えるよ。

だって私たちはフレンズなんだから!」

「……フレ……ンズ……」

「そうだな。

我々がそうじゃなくても、君が君であることを認めることは出来るじゃーん。」

「そのくらい容易いことだな。」

「これからもちょくちょく来るし、フレンズとしてよろしく頼むよ。

別に私たちと友人になったからって相方を捨てなきゃいけない理屈はないでしょう?」

「……」

そのフレンズは前に体を倒し、嗚咽を繰り返す。

次に顔を上げた時、その目は赤くなり、涙で溢れていた。

「ありがとうございます……

少しは……気が楽になりました……」

「いいよいいよ。

そういえば前はなんて呼ばれてたの?」

「いえ、特には……ただ呼ばれたら対応してましたし、基本離れ離れになることもなかったので……」

「……なんて呼んだら良いだろうか。」

考える間に夜は更けていく。

 

サンタサーンの呪文すき

 

決まらぬまま翌朝。

いつのまにか寝ていた5人は次々に目を覚ます。

結局名前は決まらないままだ。

案はぽつぽつ生まれはするのだが、それ以外の案を排除して決められるか、となるとそこまでしっくりこない。

ここにいない相方も聞いて納得してくれそうな呼び名、その条件ではなかなか決まらないのも当然であった。

「どうしようかァー!」

「タァー!(同調)」

「全然わからん!」

すると急にデビルマンが空を見上げた。

「誰だ?」

空に見えるは二つの影。

それらはゆっくりと空を回った後、ゆっくりとこちらに向けて落ちてきたぞ!

「待たせたのです。

お前がこんな地味なところにいるとは。」

「かばんみたいに頭が良くて従順なヒトは良いですが、お前は頭が良いけど捻くれた面倒なフレンズなのです。」

いきなり何事だろうか、と5人は顔を覗き込む。

 

助手のたこ焼き顔すき

 

「ハカセたち、どうしたの?」

「そこのフレンズが何者か、調査の末ようやく分かったのです。

お前は……」




次も時間ができたら

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