が、私にまともな休みはないです
第三者Side―
切り立った崖にゴツゴツと起伏の激しい岩山、さながら未開の惑星のような空間の上空に2人の少年が向かいあって浮いていた
「さて、ルールを確認しようか悠我」
「俺か兄さんどちらかの戦闘不能で勝敗を決める、また別場所で同じことをしているフェイトとなのはの勝敗を含め、二勝した方が勝ち」
「負けた側は勝った方に持っているジュエルシード全てを差しだす」
ジュエルシードを掛けた事実上の最終決戦、そのルールを互いに確認し、双方宙に浮いたまま肩を回したり、股関節を動かしたりと軽くストレッチを開始する
ここの空間は管理局の訓練用の仮想空間で、この場でどんなに暴れても後で元通りになる、故にカンピオーネである悠我が好き勝手に権能を使用しようと現実空間には全く影響がないわけだ(だが、この空間が耐えられない程の事をすれば、全くとは言い切れない)
フェイトとなのはもこことは別の空間で同じような形式で行う事になっている
それ以外のアルフやフェンリル達はアースラでモニタリングしている
「それじゃ、はじめようか」
「あぁ、俺は兄さんの全力を所望するよ」
「それなら心配無用だ、僕は最初から全力で行くから!」
開始の合図も号令も何もなく、始まった、ジュエルシードをかけた戦い、もとい悠我と悠希の本気の兄弟喧嘩
最初に動いたのは悠希、そして言葉通りに開幕から全力で自己の持つ最強の力、王の財宝を開け悠希の後ろに八つの波紋が広がり、その1つ1つから太めの鎖が悠我を捕らえるために伸びる
「あれ?波紋の数が八つに増えてる!?前は二つしか開けないって、言っていなかったけ?」
「あれから、練習したんだ!結局八門までしか増やせなかったけれど」
悠希の波紋の数が増えている事に驚きつつも、自分を捕らえるために伸びた鎖に捕まる気も全くない悠我、しかも反撃するでもカウンターをするそぶりも見せず、GZの翼を広げ空を泳ぐ様にかわしていくだけ
「ちょっとは反撃でもしたらどうなんだ!」
「反撃してもいいけれど、したらしたですぐに勝敗が決まっちゃうよ?」
笑顔でそう答える悠我
悠希は知らない事だが、悠我はカンピオーネ、神さえ殺した男なのだ、そんな人間がただ少し強いだけの子供に負けるわけがない
「そうかよ!」
王の財宝を使った、攻撃を止めた
見た目では分からないが、確実に今、悠希の体に変化が起きたのを悠我は気が付いた
《相棒、アイツは今確実に身体強化の類の魔法を使った、それも恐らくかなり強力なモノを》
ヴェーダが言い終えたのと同時に、悠希の姿が目の前からいきなり消えた
そして、悠我が背中に違和感を覚え反射的にデバイス展開しそれを縦に構えて自分の身をそれに隠す、その姿勢が作られた直後、2本の細み剣がぶつかった
「へー、加速魔法かな?一瞬ドキッとしちゃったよ」
「一応、お前の死角から切り込んだつもりだったんだけどな、どうして気づいて、どうして反応出来たのか不思議だよ」
今の攻撃に反応出来たのはやはり、カンピオーネのある種の勘にも似た、突発性の異常な反射神経のおかげだろう
そして、弟に死角から本気で、しかも真剣で斬りかかってくる悠希の方もある意味、異常と言える
悠希が鍔迫り合い状態に近かった自分の剣をあっさりと手放し、加速も使って後ろに飛び退く、何故兄がそんな行動をしたのか分からない悠我だったが、その剣が爆発したことでその疑問は解決された
「やったか?」
「はい残念、全然効いてないよ」
「チッ」
爆発の煙の中から、悠我の声が聞こえて、舌打ちする悠希
爆発させたのは無限の剣製の効果によって作られた、剣を相手の至近距離で意図的に爆発させただけ、『壊れた幻想』そのままを使っただけに過ぎないが、普通ならかなり大きなダメージになるはずだが、所詮は魔力で作られ魔力の詰まった剣を爆発させただけ、魔法に対し強い耐性を持つ悠我には、無駄だった
「こんな能力まで持っていたんだ兄さんって、もしかして無限の剣製?なら今の爆発も納得出来るけど・・・・随分アレな特典を選んだね」
「そう言うお前は、神様の力を貰ったみたいだな」
「ちがうよ、これは俺が殺して奪ったモノだ、強盗殺人?いや強盗殺神だね」
「殺した?神を?冗談だろ人間が神を殺せるわけがない」
「ですよねー普通信じないですよねー、アハハ」
そう言い、今度は悠我が仕掛けようと動こうとするが、それは出来なかった
悠我の両足首のあたりに1つの波紋広がり鎖が伸び、両足首をぐるぐる巻きに締め付ける
「なに!?」
それに気を取られ隙に両腕を巻き込んで胴体も鎖に巻きつかれ、それから一気に顔だけを残し全身を巻きあげ、悠我の自由を完全に封じた
戦闘中の集中した状態での奇襲なら失敗していただろう、が少しの会話が悠我を鈍らせ、上手い具合に悠我を捕まえる事が出来た
「ふ、この程度の鎖、ブチ破ることぐらい・・・・あれ?出来ない」
「それをただの、ホームセンターで市販されている様な鎖とは思わない事だ、悠我!それは、鍛冶職人の方に作ってもらった特注品だ、強度はお前が体感しているとうりだ!」
誰の伝手の職人だよ!と内心で想いながら、拘束が緩くならないか体を強く揺するが、当然意味がない、獲物を拘束する紐を緩く縛る狩人はいないという事だ
身動きの取れない悠我を、身体強化で強化された足で思いっきり、蹴り飛ばし近くの崖の岩肌にめり込む
普通、岩壁に人の体がめり込むと衝撃だけで内臓が潰れたり傷ついたりするが、体が頑丈な悠我は
「人ってホントにめり込んだりするんだ」
自分の事である事を他人事のように客観的な感想を述べ楽しそうだ
そんな緊張感がまるで無い悠我を他所に、悠希は王の財宝を開き、中身を出して何時でも打ち出せるように構える、しかもそれだけではなく波紋から覗かせているのは宝具だ
「なんで宝具を!持っていないみたいに言ってたはず」
「あの時、公園でお前がばらまいた時だ、魔法のシールドで防ぐんじゃなくて波紋を盾代わりにして、攻撃を防ぐのではなく吸収したのさ、だから僕らにはお前の攻撃は当たっていない、あたっていたら公園が原型を留めない程の爆発に巻き込まれてで無事なわけがないじゃないか、爆風の被害には遭ったけどね」
「泥棒みたいな真似をしてくれるね」
「あれだけ持っているんだ十本や二十本なんのことはないだろ?」
右手を振り上げ、悠我に何かをぶつけるように手を振り下ろし、それを合図に宝具が一斉に悠我に放たれる、宝具が物体に衝突するときに起きる爆発で悠我にダメージがあるかは分からないが、宝具が直撃すれば効果はあるはずだ
爆発と衝撃に押されながら、めり込んだところから少しずつ下へ降下しついには地面にまで落ちてしまうが、それでも悠希は攻撃を止めない、恨みが有るわけでも憎しみが有るわけ度もないが勝ちたい気持ちが手加減をさせない、宝具の撃っては回収撃っては回収を永遠と繰り返す事20分、王の財宝を維持する力が切れたのかようやく攻撃を止める悠希
辺りは宝具の爆発によって引火した木の煙と土煙のせいで視界が悪く、悠我がどうなっているか確認することは出来ない
「はぁはぁ、やった、僕自身が、言うのもなんだけれど、死んで・・・・ないよね」
息が切れて、言葉も片言の様になってしまう
やったことに自分でも引いてしまっている悠希、とりあえずこれで勝敗はついただろうと、大きく深呼吸し一息ついた
*
アースラ
艦橋で悠希と悠我の戦闘を観戦していた人たちは、今の悠希の連射で悠希の勝利と悠我の敗北を確信していた
「ユーくん大丈夫かな?死んで無いよね」
「死んだら死んだで、悠我はそこまでの奴だった、それだけだ」
すずかの心配する一言に冷たく言う宗信
自分の家の子に結構な物言いだがこれが神叢家らしいと言えば神叢家らしいと言える
ちなみになのはとフェイトの試合は既に終わっており、フェイトは医務室になのはも一緒にそこにいる
「勝敗もついたようですし、彼らの回収準備を」
「はい」
リンディがそう判断し回収の指示を出しエイミィがそれに応え準備を始めるが
この空間で唯一それに異議を唱える者がいた
〈まだ終わっていないと思うが?〉
「どういう意味かしら、どう見たって終わっていると思うのだけれど」
異議を唱えたのはフェンリル、それに解せない顔で反論するリンディ
フェンリルは嬉しそうな声で、はっきりと
〈この神たる俺を、神狼フェンリルを打倒した程の人間がこの程度でやられるわけではない、そう俺は言いたいのさ〉
自己の正体をいきなり明かすような事をさらっと言ってから、全員に画面に視線を戻すように顔を動かし促し、全員がなぜかおとなしくそれに従った
そして画面に映し出されていたのは
鎖が引きちぎられる破壊の音と煙の中にたたずむ巨大な影だった
誤字脱字感想アドバイス等がありましたらよろしくお願いいたします
相変わらずの低クオリティ