魔法少女リリカルなのは〜転生してきた魔王〜   作:蒼天の天国

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どうも蒼天の天国です

今回から回想篇です
今回、視点は特に指定しませんが基本的に悠我視点です




32話 魔王の降誕記〈上〉

「熱い、熱い熱い熱い!ただひたすらに熱い!」

 

念仏のように熱いを繰り返し叫ぶ白地のTシャツに黒字の短パン姿の少年・・・つまりは俺が大きめの登山リュックと薄い長方形の布で包んだ木箱を背負いながら、パンクした白と黒のモノクロカラーのクロスバイクを押して、炎天下の中歩き続けている、この時の俺はまだ黒い髪に瞳の日本人らしい容姿だった

 

「やっぱり新幹線とか使えばよかったかぁ、流石に新潟から東京までを自転車で行くと言うのは無理があったか」

 

自分の無謀さに自分で呆れ、思わず天を見上げる

高校生活最初の夏休みをまさか母親の「東京の知り合いの骨董品店の所まで届け物」と言うお遣いで始まる事になろうとは微塵も思っていなかった、さらに夏休み期間中の楽しみにしていた部活を休む事になり、代わりの思い出作りとして、地元新潟から届け先の東京まで自転車で行く、などとこんな無謀に挑戦をしたのがそもそもの間違いであった事にハイテンションで自転車を漕いでいたらタイヤがパンクして気が付く

熱中症や脱水症を防ぐために適度な水分を補給しながら歩いているが、流れ出る汗がアスファルトの地面に垂れ進んだ跡を点々と作る

 

 

 

 

 

 

 

パンクした自転車を押しながらようやく目的地の東京に入り、その骨董品店の場所までの地図をポケットに入れていたスマートフォンのアプリで確認する

流石は東京、人で溢れ返っており道行く人も様々だ、それ故にこんな長い木箱を背負いパンクした自転車を引いている人間がいれば不思議がって何人かの人がこっちをチラチラ見てくる

別に疾しい事をしている訳ではないと、自分に言い聞かせながら下町の道を進んでいく

 

少し進んだ道の端に、白と赤のワンピース姿の女の子が一人ポツンと空を見上げていた

ただそれだけの立ち姿がとても絵になる、濡れ鴉色の腰まで伸びた髪に黒曜石の様に光る瞳、顔立ちは日本人らしい輪郭に明るく温かみのある印象を受ける綺麗という言葉が相応しい顔、手足はスラット長く美しく又腰のくびれも美しい、ワンピースなので胸の大きさが一目で解る、恐らく「D」はあるだろう

 

男ならば仕方のない最後に目が行く部位、そしてこんな美少女と恋人関係だったなら俺の青春はきっと色鮮やかだったのだろうが、生まれてこのかた只の一人も彼女を作った事のない俺の悲しい妄想

そんな彼女を横眼で見ながら前を通り過ぎようとした時、俺の人生はこの瞬間から変わったのだろう

 

「ねぇ、君の背負ってるその木箱の中身は何?」

「ほへ?」

 

話しかけられるとは思っていなかったので、変な声で答えてしまった

確かにここまでの道也でこの中身を聞きたかった人は大勢いたはずだ、しかしこうして直接聞いて来たのは彼女が初めてだった

 

「箱の中身は知らないよ、俺はこれをあるところまで届ける様にと言われているだけだからね」

「そう・・・・私もその場所まで付いて行っていい?」

「うーん・・・・良いんじゃない?」

 

本来はダメだろう、が普段男友達としか話さない俺が見知らぬ土地でいきなり美少女に話しかけられたせいか、そんな事を深く考えられず了承してしまった

 

俺の一歩後ろを彼女がテクテクと歩く

 

「・・・・」

「・・・・」

 

どうしよう気不味い、会話が全くない

これじゃテンプレ的モテない男のソレじゃないか、どうにかして話題を作れ俺!これをきっかけにモテる男に進化しろ!

 

「あ、あのさ、名前なんて言うの?俺は神叢悠悠我16歳、神の叢に悠久の我と書いて神叢悠我」

「私は・・・・「皇祥子(スメラギ・ショウコ)」16歳」

「おお!俺と同い年!それに珍しい名字だね、どこか良家のお嬢さんですか?」

「良家かどうかは知らないけれど、それなりに歴史のある家よ」

 

お!これは上手くいけてるのではないか?

 

「ああやっぱりそうなんだ、この近くに住んでるの?」

「いいえ、家は三重県にあって、ここには観光で来てるの」

「へー三重なんだ、三重と言えば最近山火事が有ったよね」

「あったわね」

 

この年の夏は酷い猛暑が続き毎日最高気温記録が塗り変えられる、等と言う面白珍事が起こっていた、それが原因か三重では大規模な山火事が起こったそうだ、だが三重の山火事って猛暑が始まる前だった様な気もするがテレビがそう報道してるんだ、俺の気のせいだろう

 

それなりの会話が成立できて、沈黙のままと言う最悪な状況にならずに、無事に目的の骨董品店まで到着できた

店の外観は古い木造建築で築5,60年は経っているだろう感じだった、そして店の外観の中央にデカデカと「古(いにしえ)」と浮き彫りの施された看板が掛けられていた

店の入り口の引き戸を開く、古い引き戸でよくある滑りの悪い手ごたえを無理やり開き店内に祥子と共に入る

黄色い光を放つ吊るし電球で照らされた店の中は天井まで積み上げられた年代物骨董品が文字通り並べられ・・・もはや無造作に置かれていると言っても過言ではない感じに置かれていた

店の奥のレジの隣に置かれた椅子に座った白髪頭に丸眼鏡をかけた猫背の老婆が一人俺に目を向け話しかけてきた

 

「よく来たね、お前が静香の息子の悠我だね」

「はい」

 

静香とは俺の母親の名前だ、母の知り合いと聞かされていたのでてっきり同い年の女性化と思っていたが、高齢の女性だとは

 

「後ろの娘は知らないがアンタの女かなんかだろう・・・・まぁいいさ、私の事は気軽にセッちゃんとでも呼びな」

 

祥子との関係を何やら誤解しているのだが、それを話し出すと話がそれそうだし、祥子自体が別に気にしている様子も無いのでセッちゃんの誤解についてはスルーする

 

「ではセッちゃん、早速だがお届け物を受け取って下さい」

「おお!待っていたよ」

 

担いでいた長い木箱を下ろしながら店の奥に進む

後ろに続くように祥子も付いてくる

平たい作りの品の上に置くように促され、それに従い木箱を横に置き蓋を開ける

 

「剣?」

「そうだよ剣だ、それもただの剣じゃない」

 

箱に入っていたのは長さ100㎝あるだろう長い作り黒い刃に柄と唾の部分に装飾が施された太刀、宝剣の類が収められていた

祥子はやっぱりと言った顔、セッちゃんは新しい玩具を見る子供の様な顔をしていたが俺は新潟から刃物を背負って運搬してきたという事実に引いていた

 

「かなり手の込んだ作りの宝剣ですね、見た目古そうなのに作られたのは最近みたいだ」

 

俺がそんな感想を呟くと、女性二人が俺の顔を見ながら

 

「「はぁ?」」

「え?違うの」

「違うも違うさ、これは宝剣ではなくて神造物つまりは神具さね」

「そう、神代の時代から存在する物」

「ほぉアンタはこの小僧よりは知識があるのかい」

「ええ」

 

女性2人に通じる物が有ったのか俺の理解不明は他所に盛り上がりそうな雰囲気だ

 

「えーと、つまりこれは神の道具って事?何その中二小道具」

「まぁいいさ、これの名前は「十握剣」だ」

「ああそう、そう言う設定なのね」

 

頭の回路が些か付いていけなくなってきたので、そう言う設定で全て受け流す事にした

 

「さて悠我、これともう1つの荷物と共に一緒に向こうへ飛んで貰うぞ」

「は?何処に」

 

背中に有る小さい正方形の木箱を取り出し、剣を納められた箱の上にその木箱を置く

木箱の上にはチケットとパスポートが乗せられていた

パスポートを手に取り誰のか予想は出来ているが、一応の確認をしている向こうから

 

「向かう先はギリシャじゃ」

 

案の定パスポートはおれの物で、どうしてセッちゃんが持っていたのかは謎として

夏休み気易く請け負ったお遣いがまさか海を渡る事になるとは、かなり面倒くさい事になりつつある事にテンションは下がっているが、顔は笑っている事に自分自身気が付いていなかった

 

 

 

「さて、今日はもう遅い、悠我は内で泊る事になっているが、そっちのお嬢さんはどうすかね?なんなら泊めるよ」

「それではお言葉に甘えさせて頂きます」

 

日も暮れ始める時間

セッちゃんの言うとおり俺れここで泊る事になってたが、まさか彼女まで一緒に泊まる事になろうとは見知らぬ少女を泊めるセッちゃん、スゲーとしか感想が出てこない

 

「じゃ2人ともこれ」

 

渡されたのは銭湯の割引入浴券

確かにここに来る途中に銭湯が幾つかあったが、あの下町の銭湯に入れるのか!これはこれで休み明けの話のタネが出来そうだな

 

「我が家にはきちんと風呂があるだろうが、先だろうが後だろうが男の入るのには抵抗があるだろう?」

「はい」

 

あぁ祥子のためなのね、まぁいいさ!銭湯に入りたいのもまた本心だから!

着替えのないという彼女にセッちゃんが着物を貸して、2人そろって一番近くの銭湯まで歩いて行く、今度は先ほどとは違いかいわが少なかった

 

風呂上がりの火照った体を特に涼しめる事もせず銭湯入り口で祥子の事を待つ

10分近く経った頃、入口の暖簾から薄水色の浴衣を普段着なれているのか違和感なく着こなしを黒髪をポニーでまとめ、先程まで来ていたワンピースを手に抱えた祥子が出てきた

紅く染まった顔は入浴前とはうって変り初々しい感じを醸し出し、今どき浴衣のギャップと黒髪ポニーテールが普段見慣れないせいか想わず、ドキッっとしてしまった、ただ1つ残念なのが履き物がヒールだったことだ

 

「じゃ帰りましょうか」

「お、おう」

 

やはりキョドッてしまいまともに返事が出来ない俺を他所に俺の前をするすると歩いて行く

ふと想う、浴衣とは言えば下着をつけないと言う都市伝説が存在するが、はたしてそれは事実なのだろうか?以前祖母からソレは間違いだと言われたが、ならばいま彼女の手に持っているにもから覗いている、俗に言うブラジャーらしきものは一体何なのだ?

 

「ふーむ、謎だ」

 

顎に手を当て思案する俺、ノーパンはないとしてもブラはどうなのだ?

特に意識したわけではないが彼女の尻と背中を交互に見ながら、考え続ける俺

そんな事を考えていたらいつの間にか、古に到着していた

 

「お、帰って来たね、夕飯は出来てるからとっとと食べて寝てしまいな」

「はい」

 

夕飯に出されたそうめんを食べ終え、いざ床へと思ったがここで重大問題が発生した

客間の部屋が一つしか無い、それも畳6畳の狭い部屋、残念ながら廊下で寝ると言う選択肢は廊下の幅が狭いため不可能、よって一緒に寝る事になってしまった

 

「・・・・はぁ、一体どんな嬉し恥ずかし青春イベントだよ」

 

寝ている祥子を起こさない様にボソリと呟く

ふと隣で寝ている祥子を見る、布団に入り既に数時間が経過しその間に何度か寝返りをうったせいか祥子の着物が少しはだけ、艶やかな上胸か少し顔を覗かせ甘美な寝息とシャンプーの桃の甘い香りが合いなって、心臓の動悸が一気に跳ね上がる

 

「・・・・ヤバい」

 

高校生男子の溢れる女体への好奇心と欲求がすぐ隣で無防備で眠っている少女の体へ手を伸ばしそうにさせる

落ち着け、落ち着け我が右腕!ここで手を出せば社会的信用は失うし彼女の高感度はもう二度と上がらない、もしかしたら許嫁がいるかもしれないがそれでもフリーという可能性を信じ・・・・なに意味のわからない事を考えているんだ神叢悠我

彼女に背を向け目を強く閉じる

眠気が来るまであと30分、それまで悶々とした物が俺の中で渦巻き続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝

寝る事は出来たが結局2時間寝ただけで、ここ数日の自転車移動の疲れを取るには足りず全身を熨しかかる様なダル気と激しい睡魔を何とか抑えつつ、古から羽田国際空港までタクシーで向かう、出立した時間が早朝だったため夢の中にいた祥子とは別れの挨拶も出来なかった

移動途中の車内で何度も落ちそうになる意識を頬を抓る等で必死に繋ぎとめ、カウンターで出国の手続きを早々に済ましギリシャ行きの機体に乗り込んだ、しかしよく剣が引っ掛からなかったよな、普通なら危険物持ち込みで捕まるのに、疑問に思うが引っ掛からなかったのなら大丈夫と考える

指定されていた機体後部の窓際の席に座り、シートを最大まで下げて眠りやすくする

これでギリシャに到着するまで眠ればこの睡魔も薄れるか

そう考え瞼を閉じた、それと同時に俺の隣に誰かが座る音と気配を感じ、ああ隣の席に誰か来たんだな、と理解し眠気はあったが隣の席の人間の人がどう言った人なのかと言う好奇心に負け、半目で隣の席に座った人を見た

 

「は!?」

「昨夜ぶりですね」

「なんでここにいる」

 

隣に座って来たのは今朝、別れのあいさつも出来ずに最早一生会う機会は無いだろうと思っていた祥子だった

 

「セッちゃんさんに私も入ってみたいと冗談のつもりで言ったら、チケットとパスポートを用意してくれましたので」

「へー」

 

どうやってチケットとパスポートを用意したんだか、まさか偽造?嫌しかしこの国はかなりそういったシステムが進んでいるのでは?とあれこれ思考を巡らせたが眠気で頭の周りが普段以上に悪くなっていたため無理やり納得し、折角の美少女との花色フライトをただの睡眠欲求を満たすためだけに不意にしてしまったのだった

 

 

 

 




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