魔法少女リリカルなのは〜転生してきた魔王〜   作:蒼天の天国

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今回で過去篇は終了です




34話 魔王の降誕記〈下〉

何処かに避難しなければと、物を伝いながら出来うる限り早足で避難できそうな場を探し始めて幾時間、目に映り込んだのは父さんの研修施設だった

まじめに探してたどり着けず適当に歩いてたどり着ける、そんな皮肉にもにた現実に少し嘆息しながら、気を引き締め直し、荒れ狂う大雨強風の中を進んでいく

 

これで雨宿り出来ると安心した時、その安心は消えうせた

眼前の建物に雷が落ちで建物自体を吹き飛ばしたのだ、現実的に考えれば高々雷ごときで大きい建築物が壊れるなど有り得ないことだ、だがこの施設にはそんな現実的には有り得ない神具が多く保管されている、それが建物が落雷で崩壊した原因と頭の中ですぐに考え至った

 

「おいおい、マジかよ」

 

落雷で吹き飛んだ建物の瓦礫の下敷きになった人がいる、自分の中で考えうる最悪の結末に恐怖し、強風で体が飛ばされる危険性など一瞬で捨て去り、博物館だった物の瓦礫の山に走る

 

「父さん!俺の声が聞こえたら返事してくれ!!!!父さん!」

 

人力で除けられる礫を犬が地面を掘る様にどかしていく、その間ずっと父さんを呼び続けるが、返事が返ってくる事は無く、耳に入る音なんて風の音と雨が地面に当たる音だけだ

何度も返事の無い呼びかけを続け、呼んで返事が返ってこない度に増える不安、挙句に泣きだしそうになっていた

 

徐々に瓦礫を除ける手も止まってしまいその場に座り込んでしまった

今頭の中を支配しているのは、たった一つ

 

 

“ふざけんなよ、神様”

 

 

随分勝手だと思うが、理不尽な現実を突きつけられた時に俺たち人間が抱く感情なんて結局は神に対する物だけなんだ、窮地に追いつめられたら頼み祈る、奪われれば怒り恨む

神は信じないと普段言っていた自分が結局は神か

 

自虐混じり笑いを薄く浮かべ周りを見渡す、あるのは瓦礫、そしてそこから覗かせる収蔵品と『人の屍』だけ

雨に流された血が流れている、きっと普段見たら吐くだろう、がそんな健全な反応さえ出来ない程、無気力になってしまっていた、しまいには雨音と風の音さえ聞こえなくなり、無音のせかいが広がった

 

「どうすりゃいいんだよ、俺」

 

ぼそっと、何かに助けを求めるように泣き声で呟き、空を仰ぐ

あぁもうどうとでもなってしまえばいい、もはやヤル気の一切合切を捨て去りただ時間を無為に過ごす

だが、

 

 

「ここで何をしている少年」

 

 

俺の右肩を誰かが掴む、肩に乗せられた手は大きく低く厳かなでな声音、しかしその声には少し聞き覚えが有った

声の主を見ようと右に化を向けると、今朝別れたばかりの男が2人立っていた

 

「ダンディにジジィ・・・?」

 

そう、昨日ドンチャン騒ぎを共にしたオッサン2人だ、だが何かが変だった

1つは服装、ダンディは古代ギリシャ風の服装にジジィは唾の広い帽子にマント、手には槍という時代錯誤もいいとこの服装

2つは顔付き、2人とも可笑しな顔をしているわけではないが、なんだ?表情に人間味がないと言うか、ワザとらしいと言うか、まるで石像が話しているかのような感覚

 

「凄いですねその格好、コスプレか何かですか?だとしたらこの天候でダンディの格好はちょっと寒くないですか?」

「我々の質問に答えよ少年、ここで何をしている」

 

表情はそのままに声だけ怒気を含んだ声で再び聞かれる

 

「この天候で安全な場所に逃げようと歩いていたら父さんの勤め先のこの施設にたどり着いて、だけどいきなりの落雷でこの有様っすよ、で絶望ナウです」

 

それを聞いて初めて怒りの表情に顔を変えたダンディ

なぜ今の言葉で怒りを覚えたのかは全く想像できないが、ダンディは続け

 

「なれば少年もここの者か?」

「いいや、でも神具は届けた」

 

何を思ってかは自分でもそう付け足して返したかは解らないが、そう返すのがベストだと感じそう返した

 

「そう少年も不届き者の同類か」

「何が不届きかなのか、どうして怒っているのか聞かせて貰ってもいいですか?」

 

なんだかさっきから自分の思考が可笑しくなっている、その理由も解らないし父さんが死んだという事がそうさせているのかもしれない・・・・いいや恐らく落雷で死んだのではなく目の前のオッサンに殺されたのだろう、そんな気がする

 

「人の身の程で神々の道具を調べるなど度し難き無礼!」

「故に我が天誅を下した、ってわけ?」

「察しがいいな」

 

挑発的な俺の発言に歯ぎしりしながら怒りの色を激しくしながら俺の推測を否定せずに肯定するダンディ

 

はぁだからかな?普段なら歳上に対して絶対にこんな態度と言動は取らないが、彼らふたりに対してはそうする気はなかったから

 

「・・・・少年よ、一時の友誼に免じて選択させてやろう、1つは見逃してやるから逃げるか、我々、神に対しての不敬な言動を誅され殺されるか、選ばせてやろう」

「神か・・・・ジジィも神だったりするのか?」

 

「我は神だとか言う」中二乙なダンディの発言を無視し、ジジィに顔をむけて煽る感じの口調で聞く

 

 

「少年、貴様死にたいのか?」

 

座ってる俺のTシャツの襟元を掴み上げ立たせ、顔をち近付けて怒りの色が濃い両目で俺を睨みつける、怖い日常的にこんな経験のない俺にとって恐怖心にも近い物を呼び起こさせるには十分以上だったが

掴まれた手を払い、平然を無理やり装って

 

「勿論死にたくはないさ、でも逃げる気も無い」

「言っている事が矛盾しているぞ」

「いいや矛盾なんてしていないさ、あるだろ?この場から逃げずに生き残れる方法が、第三の選択肢が・・・・「俺が2人を倒して勝ち残る」これが有るじゃないか」

 

足元に転がっていた、折れて先の尖った鉄製パイプを片手で拾い上げ、尖った方を2人に向ける

 

それを面白っく思ったのか、怒りが一周して頭が吹っ飛んだのか2人、2柱の神は大笑いし始めた

 

「小僧、良き戦士とは思っていたが、まさか愚か者だったとは思い違いをしてしまっていたみたいじゃな」

「怒りも忘れて笑っていしまったぞ、人が神に勝てるわけがないだろ」

 

色々バカにしてくれる言葉を言ってくるが、そう言い返される事は予想していた、だから別に気にもしない

 

「確かにそうかもね、でも実際この世界にはそれをなし得た人間が居るんだ、なら勝てないまでもアンタらを殴ることぐらいは出来るんじゃないか?」

 

『この世界には神殺しが存在し、彼らは神に勝利し王となった』

父さんからそう聞かされた時は、単純に「そうなんだ」としか思わなかったが、さっきダンディに睨まれた時、俺は心の底から死を実感した、それを無理やり押し殺して彼らと格好付けて会話しているがそろそろ限界だ、会話しているだけで恐怖する相手に勝つ奴なんてキチガイだと思うよホント、カンピオーネって言う奴らは

 

俺の空元気にも等しい想いで紡いだ言葉に、ジジィが一歩前に出て返す

 

「良いだろう、神へのその挑戦、儂受けてやろう」

 

もう本格的にダメだ、そう頭の中では絶賛後悔中だが、心は不思議と落ち着いていた、体全身が興奮したように熱くなるのを自覚出来る程に、心臓の通常通りではないが動悸もけして早くもない、例えるならばそう、試合前の待ち時間みたいな

 

「ジジィ、アンタ本当の名前なんて言うの?どうせ俺の名前なんて聞く気がないだろうが戦う相手の名前ぐらい聞いておきたい」

「良いだろう、

 

我名は『オーディン』!北欧の神々の王にして戦と死と魔術を司る神なり!

 

この地へ来た理由はこの男に誘われて来たと言ったところか、のう『ゼウス』よ」

「それをこの少年に伝える必要な全く無いぞ」

 

オーディンが高らかに名乗りを上げた後、ダンディの名前をチラっと言ったのが聞こえ思った感想は1つ

 

『あ、やべぇ、こんなビックネーム2柱に喧嘩売っちまったよ、こりゃ死んだな俺』

 

と呑気にそんな事を思った

 

「では始めようか小僧」

「おう!」

 

オーディンが持っている槍の先を俺に向けるように投擲体制に移る

あの槍、オーディンと言う名前と俺の中二知識で推測するに多分『グングニル』だよね、特性までは知らないけど

それと手に持つパイプを見比べて、さらに勝率が下がった気がした

 

「これで勝てたら、自慢してやろ」

 

誰にだよ!と自分の言葉に自分でツッコミを入れて

前に走り出そうとした時、襟もとを逆向きに引っ張られ引きずられ始めた

 

「え?」

 

前の神様に集中しすぎて全く後ろを気にしていなかったら不意打ちに近い形で後ろに引っ張られ尻もちを突いてしまう

そしてズルズルと後ろに牽引され、どんどんオーディンがとゼウスから離れて行く

向こうも呆気に取られ顔がポカーンとしていた

神でのあんな顔をするんだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人が見えなくなるところまで引きずられ、裏路地に入った所で解放され、引っ張った奴の顔を見る事が出来た

 

「祥子!?」

 

昨日意味不明な別れ方をした少女がずぶ濡れのワンピース姿でいた

 

「悠我!貴方何に対して喧嘩を売ったのか理解出来てるの!?相手は神、戦って勝てるわけないでしょ!」

「そ、そう怒るなよ祥子、美人な顔がもったいぞ」

「ふざけないで!!」

「すいませんでした」

 

本気で怒っているらしい彼女に冗談を言ってみたら胸座掴まれ怒鳴られた

しばしの沈黙の後

 

「勝つ心算はなかったと言えばウソだが、別に勝たなくても一発殴れればそれで良かった」

「無理よ、仮に成功しても神の怒りを買って殺されるわ」

「前言ったじゃん、俺には母さんがかけた幸運のお呪いがあるって、もしかしたら逃げられるかもしれないって」

「こうも私は言ったわ、人間がかけた術なんて神に効かないって」

「そうだたかな?」

 

それを言った後、大きいため息を1つ吐いて祥子が俺の頬に両手で触り目を覗きこむように視線を合わせ、優しく呟く

 

「悠我ってホントに不思議ね、今日まで色々な人間を見て来たけれど貴方みたいなバカは少なかったわ」

「こんなあれでバカだと言われるのは雰囲気ブチ壊しだよ、でバカなのか理由が聞きたいな、でも褒め言葉に聞こえるのは俺が目覚めてしまったから?」

「そう言う所がバカなのよ、普通の人間なら神に合えば悲鳴を上げ狂騒し死ぬわ、でも貴方は神と会い、こんな状況でも冗談を言える程が我が強い、死ぬには惜しい人よ」

「褒めてる?」

「ええ、最上級で、だから貴方はここで寝ていなさい、後は私がやるから」

「は?」

 

祥子が俺の額を人差指の指先で触れると、途端に意識が朦朧とし始める

立っていることも出来ずうつ伏せに倒れる、立ちあがろうともがいてみるが、もがけるだけで立ちあがれない

 

「もし、もう一度会えたなら、その時はきっと貴方の事を覚えていないでしょう、そして貴方を殺しにかかるかもしれない、そうなったら」

 

最後まで言わず、悲しげな表情を浮かべ走り去っていく

そして意識は途切れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると体が自由に動かせる事が解り、まだはっきりしない意識の中フラフラと立ち上がる

かなりの時間眠ってい居たのだろう周りは暗く雷雲からの降り注ぐ大雨と落雷と強風の勢いは相変わらずだが、変わっている事がある

雨粒は熱湯の様に熱く、吹く強風も大型のジェットヒーターを焚いてるみたいに熱い、そしてこれほどの大雨が降っているのにも関わらず、あちらこちらでは家が激しく燃え盛っていた

 

さてどうすっかなぁ、これからあの場に引き返し父さんの仇討をしたい気持ちと折角祥子に拾わせてもらった物種、生かすため逃げたい気持ちとの二つが並存している

きっと後者を選択するのが最良の選択なのだろう、それがきっと常識なのだろう

だが、そんなのはちっとも面白くないし、俺の事だ、逃げれば後々後悔しまうだろう非日常の今が日常へと戻ってしまう

 

「なにも無い平凡なんて真っ平ごめんだ、そうだろ神叢さん!」

 

悩んで気づけば、あの場所に向かって走り出していた

降り注ぐ熱湯の雨からの湯気で足元が見えにくく数度転びそうになる、崩れた家々が数時間前より増えているし少し高いところから見れば、街の所々に直径数百メートル級のクレーターが幾つも開いている、信じたくはないが落雷が原因だろう、街路樹や木造建築物等燃えそうな物は全て燃えている、考えたくはないがあるいは人も

 

 

 

 

そうした景色を横目に見ながら走る事数分

 

「やあ神様、数時間ぶりでございますね」

 

昼間と同じ場所とは思えない程に荒廃してしまった博物館の上空に浮かぶ様にたたずむゼウスとオーディンそれからもう一柱

新たに居た神は日本の巫女服そのままの衣を纏い、手には刃渡り100㎝近い黒い刃に柄と唾の部分に装飾が施された剣を持ち2人と同様、顔は美しく麗しいが無表情、が場違いな巫女服よりも手に持つ凶器より驚いたのは知っている顔だったからだ

 

「もしかしてそっちの神様は祥子だったりするのか?」

 

その女神の顔は日本で新たに知り合った少女の顔そのままだった

 

全く何の冗談なのか、母さんからのお遣いから始まったこの旅行で関係をもった全ての人が人間ではなく神様だとは、ドッキリでも質が悪い

 

「何とも愚かな事をしたな少年よ、折角そこの女神に拾わされた命を再び棄てるとは、度し難い愚かさだぞ」

「ましてや神々の決闘の場、人間がおいそれと立ち行って良いわけがない」

 

俺が寝ている間に戦っていたのだろう、ゼウスもオーディンもこの祥子に似た女神も切傷に火傷に打撲、一様にダメージを負っていた

これほどの負傷を負っていても眼だけは鋭いままだった

 

「良いじゃん別に、それに俺言ったぜ・・・・・『一発殴らせろって』だからここに戻って来た。でそこの祥子似の女神様は一体何てい名前なのかな?」

 

もともと無信教者だ、神様を敬う精神なぞ持ち合わせていない

 

「いきなり現れた上に神に対する言葉の慎みさえ持ち合わせない人間に妾が名乗るとでも?でもまぁ良い、冥土の土産として聞け・・・・名は『天照大神』司るは太陽なり」

 

オーディンの時とは違い静かに名乗りを上げる天照

口調も一人称もまるで違う、本当に姿かたちは祥子だが別物の神様になっちまったみたいだな

 

だが内心納得する物が有った、だから名前が『皇 祥子』なのか

中二知識が間違っていなければ、伊勢神宮では天照を『天照皇大神』に『皇大神』そして『天照坐皇大御神』とも呼ばれ、そこから『皇』が来て、祥子は字こそ違うが『照』を変えただけか

随分捻りの無いネーミングセンスだ、でも彼女が太陽の女神だと自然と受け入れてしまっているのが怖いくらいだ

 

ついでに頭の思考回路がショートしてしまったのか、ここの三柱に対して一切の恐怖も畏怖も何にも感じなくなってしまい、感じるのはただの敵愾心のみ・・・・いやもう1つあるな、これは多分、好奇心だ

 

不謹慎だと思うし、自分でも気が付かないうちに浮かべていた楽しそうな表情

 

「じゃ俺も混ぜて始めようぜ、神様」

「あくまで我々に刃向うか、その心意気は認めようだが無理じゃあきらめよ人間」

「あきらめよ・・・・か、あのさぁ俺の好きなマンガにこう言うセリフが有るんだけど、《あきらめが人を殺す。あきらめを拒絶した時、人間は人道を踏破する権利人となる》って」

 

某吸血鬼マンガの主人公(?)のセリフだ、ついでに言えば《あきらめたらそこで試合終了だよ》でも良かったが、かっちょ良く言い返すにはこれが良い

 

「それが?どうしたと言うのだ」

「べつに、ただ諦めさえしなければ、勝てないまでも、全員でないまでも一発殴れるかもと言いたいだけだ!」

 

幸いここの場所は神具が多く保蔵されていた施設があった場所だ、探せばいくらでも対抗出来そうなものが転がっている、現に目の前に一対の双剣が落ちている

双剣なんて使った事も無いし、一本だったとしても中学生の時にやっていた部活の剣道程度もしくはゲーム由来の技しかないが、気休めとしては上等だ、なんたって神に挑むのだ殴るという最高目的を抜かせば素手よりは爪楊枝一本でも持っている方がいい

目の前の双剣を拾い、額面通りに構える

 

まぁ痛い死に方はしたくないな

 

声に出さずに愚痴って大きく深呼吸、死ぬ覚悟はできてる、何時しんでもいいように生きているつもりだ

 

神々に向けて進撃する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

降り続いていた熱湯の雨も吹き荒れていた熱風も止み、空を覆っていた雲も晴れ白き始めた瑠璃色の夜空が、薄れゆく意識の中でぼんやりと見える

 

体が全く動かない、それもそうだろう左腕は肩から斬り落とされ右目は潰され、脇腹と左腿を槍で貫かれ満身創痍、死んでいないのが奇跡とも思えづ状態だ、感覚が麻痺しているのか痛みを全然感じられない、

 

あぁヤベェな、これ死ぬかも

 

仰向けで倒れて、空を見上げている視線を少し下げると、今の今まで死闘を繰り広げていた三柱の神が胸に刺し傷を得たままたたずんでいた

 

「一発だけ殴ると言っておきながら、我々全員を殺すとはな、それも少なくとも共に過ごしたであろう者の胸を一切の躊躇なく刺すなど、この少年肝が据わっておるのか薄情なだけなのか、不思議じゃ」

「そうだな、だがしかしこの少年ももうじき死ぬ、この戦い勝者無く終わるか」

「勝者がいない?貴方がたの眼は節穴か?妾たちの力がこの少年に流れ込んでいるのに気が付かぬか?」

「フ、ッハハハ・・・・そうかそうなのだな、なれば次に現れるは我が娘か」

 

天照の言葉にゼウスが何か得心がいった顔で空を仰いて高笑いし、それに続き他の二柱の神も同じ空を見上げ、俺もそこを見ようと眼を向けたが、誰かが空から舞い降りてきたのを薄らと認識したのを最後に記憶が途切れた

 

 

 

 

 

 

 

「新たな神殺しの誕生に気付き早速来たか、パンドラよ」

「ええパパ」

 

現れたパンドラは倒れて寝ている悠我の元でしゃがむ

 

「ふふっ、この子が私の新しい息子ね、三柱の神々と相対して勝利するなんて先が楽しみ、傷は全て直しておいてあげる」

 

優しく語りかけるように呟く、それはまさに母が子に向けるように

 

「さぁ皆様!この子に祝福と憎悪を!最も新しき神殺しとなるこの子へ捧げて頂戴!」

 

「貴方は太陽の女神を落とした、ならば妾の代わりに地上の全てを焦がし、己が住む世界を照らすが良い」

「小僧、これから相見えるであろう数多の神々を討滅し、そして最後はその力によって滅びるがいい」

「少年よ、このゼウスを殺めたからには一切の敗北も認めん!逆縁の果てに再び見えるその時まで牙を磨き続けていろ!」

 

天照、オーディン、ゼウスがそれぞれ悠我に向けて言葉を残し消えて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目覚めると父さんがベットの脇で今にも泣きだしそうな顔で座っていて、俺と目が合うと本格的に涙を流し抱きついて来た

普段なら毛嫌いするはずの抱擁、だが今はそれがなんだか嬉しく思えた

 

あの時父さんは別の用事で別の場所に居たため、倒壊した建物の下敷きにならずに済んだらしい

泣きつく父さんを引きはがし今の状況を端的に聞いた後再び眠りに就く

 

結局、俺の勘違いで無謀に神に突っ込んで神殺しになってしまったわけだ

自分の適当さに嫌気がさしたが父さんが無事だった事は素直に喜ぼう

 

 

 

 

 

 

 

【二十世紀初頭 ギリシャにて新たに誕生した極東の神殺しについての報告より抜粋】

 

かの土地にて確認された神は三つ、ギリシャの神ゼウスと北欧の神オーディンそして日本の神天照大神、神叢悠我は驚くべき事にこれらの三柱を殺戮し八人目の神殺しとなったのです

 

神叢悠我の証言よると、オーディンはゼウスが呼び寄せ、天照大神は神叢悠我が日本から連れてきたため、関わりの無いギリシャの地に二柱が降臨したようです

 

我らの前で権能を行使していないため、どうの様な力を持つ権能を簒奪したかはわかっていません、しかし行使の際は一切の制約なく発現出来ると思われます

そして神叢悠我が殺戮した神は各神話の最高神クラスです、間違えても我々人間にとって優しい物は1つも無いでしょう

 

なお、神叢悠我の家系は日本では代々名のある呪術師の家ですが、本人にはその知識の一切がなく、彼の両親はそれを秘匿していた模様

つまり、七人目の神殺し草薙護堂の時もそうであったように、魔導師とカンピオーネは似て非なる存在であることの新たな証明となる

 

 

 

 

 

 




誤字脱字感想アドバイス等が有りましたらよろしくお願いいたします

戦闘シーンを書いたら二万文字を余裕で超えたので割愛させていただきました

自分でも思うのですが少し弱っていたとは言え、只の人間が三柱の神を殺せるのか?と書いていて自分で突っ込んでしまいました。がやってしまった物は仕方が有りません
某スパルタの亡霊も同じようなものです

あと数話やったら、A’sに行きます
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