Side悠希―
「端的に指示を出す良いな、兄さん?」
「良くわからないが、わかった」
見た事のない術式の結界に突入し、彼女達を襲った襲撃者と顔を合わせる事が出来た
ハッキリ言って状況が上手く掴めない、悠我の方は全部わかっているみたいだけど僕は全く理解できていない、だから無理やにでも理解するしかない
「兄さんは後ろに居るライトグリーン色のバリアジャケットの女性を頼む」
そう言われ悠我の視線の先に居るライトグリーン色のバリアジャケットに身を包まれたショートボブの優しそうな女性に視線を向けた
見た感じは後方支援タイプにも見えるが
「わかった、けどお前はどうする?」
「どうするかって?愚問と言うんだぞ、それは。残りは俺が片づける、彼女達の目的は兄さんの魔力だ、ならば彼女達の中で入り番戦闘緑が低い彼女の相手をして貰いたい、今の状況で一番怖いのは兄さんが倒されて奴らに魔力を奪われる事だ、理解してくれ」
やはり何か知っているのか悠我?
悠我の言う通り僕の魔力が目的だとして彼らの中で一番力が弱そうな人間に当てる、そこは理解できるし合理的だと思う、けど言いかえればそれって悠我、お前が残った三人を相手にするってことだろ
「無理はするなよ」
不敵な笑みを浮かべる悠我
「じゃ、行ってくれ!」
「了解!」
悠我の掛け声でショートボブの女性の元へ真っ直ぐ飛びバインドで拘束、動きを封じた所で体当たりし結界の端まで飛び去る
悠我が戦うとなったらきっと大規模な攻撃をするはずそうなれば最悪巻き添えを食う可能性が大きい、味方攻撃に巻き込まれるモノ程悲しいものはない
「もう一人の子を放っておいてよかったの?」
「アイツが自分でやるって言っていましたし、アイツの戦闘力は規格外ですしむしろお姉さん以外の三人の方が心配ですよ」
「へぇあの子そんなに強いんだ、具体的にはどれくらい?」
探る様に聞いてくるお姉さん
悠我の実力か、どれくらいだろ?具体的に聞かれるといまいち返し方に困る
「・・・・惑星丸々焼き尽くす程度?管理局公認の問題児?もしくは局の支配者?」
「そ、そうなの・・・・本当に強いのね」
まぁそうだよねそう思うよね、僕だってそう思うもん
すごいよ悠我、敵にも呆れられているぞ
「はぁ、・・・・1つ聞きたいんですけど、どうして沙紀やなのは達を襲ったんですか?あの小さい女の子が言っていたみたいに彼女達の魔力が目的だったのか?理由は?どうして襲う必要が有ったんですか?」
「・・・・」
「ダンマリですか、もしも力が欲しかっただけとか言うくだらない理由だったら僕は貴女達を許しませんよ」
銃剣を向け強く言い放つ
お姉さんたちが悪い人には見えない、だから理由が有るんだろう、けどこっちは家族と友達がいきなり襲われて怒っているんだ、理由が開かせないなら問答無用で仇討をするだけだ
悪い気もするけど討たせてもらう
「アイアンハート!『王の財宝』16門の開門位置と砲撃コントロールの全てを任せる、貯蔵分全て撃ちつくしてもいい!弾幕援護!」
〈了解、しかし貯蔵分全てを撃ち尽くした場合、再装填までかなりの時間を要する可能性が有ります、あまり全て出す事には賛同しかねます〉
「そんな事は後でどうとでもなる!補充だって悠我に手伝ってもらえばいい!今は勝つ事に演算を全て回してくれ」
お姉さんを囲むように変則的に展開される『王の財宝』の砲門、僕の砲撃をかわきりに砲門から打ち出される様々な造形の剣、一発打ち出すと門が閉じてまた別の場所に展開され再び剣を打ち出す
死角も当然として様々な角度から剣を打ち出しているにも関わらず一撃も当たらない
「当たらない!命中率が悪いのか?いいやそうじゃないな単純に実力に差があるせいだ、なら気持ちでカバーするしかないな」
毎秒32発で打ち出される剣、『王の財宝』内の剣の総量はおよそ10万本このペースなら一時間も立たずに撃ちつくしてしまう
どうすればいい、何か拮抗状態へと持ちこめる何かが欲しい
心の中でそうつぶやくと結界内に黄金が煌めき始めた
「これは・・・・悠我の剣!」
〈ええ、恐らくは弟さんが『黄金郷の勝者(ブレイズ・オブ・チャンピオン)』を発動したのでしょう、これは好機ですよマスター〉
「ああ」
クロノさんから貰った悠我の能力についてのレポートによればこの黄金の剣は相手の力を削ぎ落す事が出来き、剣の本数も範囲内に無限に出現する
「悪いが使わせてもらうぞ!悠我」
銃剣を待機形態に『王の財宝』も全て閉じて空中に垂れさがる様に浮かぶ剣を二振り掴む
「ぐっ!うあぁぁあぁあぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!!・・・・なんだよこれ全身が痛い!」
〈警告!その剣をすぐに離して下さい!剣から膨大な魔力がマスターへ逆流してコアを浸食しています!このままだとマスターの体が耐えられず破裂します!〉
アイアンハートが状況を報告してくれているが身を裂く様な痛みで上手く耳に伝わってこない
それに手を離そうにも、柄から手が離せない
痛みを何とか堪えながらお姉さんに顔を向けると
「ごめんなさい」
僕の目の前にまで接近していた彼女の手から伸びた緑色の糸に体を拘束されていた
痛みで拘束されている事に気が付かなかったのか!
先程とは逆に動きを封じられ、そして拘束されたまま大きく振り回されビルの側面に叩きつけられる
「がっ!」
体の内側と外側の二つの痛みに意識を失いかける
〈身体ダメージレベルが危険領域に達しています〉
アイアンハートの機械質な声がかなり危険な状況だと教えてくれる
うっすらと見える景色に映ったのは、お姉さんが僕を縛っていた緑色の糸でビルの貯水タンクを吊るし上げている
あれで止めを刺す気か?本当に死ぬんじゃないかな?
「悔しいな、もっと体を鍛えて強くしておけばよかった」
痛みを我慢して呟いたその言葉に1つ閃いた
結構危険な賭けだな、でも上手く行けば僕の手から離れない黄金の剣を扱えるかも知れない、勝機があるかもしれないのならやってみる価値はあるよな
「アイアンハート、剣から逆流してきている力を身体強化に全て回せないか?」
〈・・・実行は可能です、しかし体が適応出来るか、どのような副次的効果があるか予測できません、最悪マスターの命が失われてしまいます〉
「最悪。なら平気な可能性だってあるんだろ?ならやろうか、博打を打つのは嫌いじゃない、やれ!」
直後、体を支配していた痛みが退いて行き逆に力が湧いてくる感覚と全能感が全身を支配する
「成功したみたいだな」
〈はい、しかし制限時間が有ります、カウントは30です。それを過ぎると恐らく意識を失います〉
「だったら時間がもったいないな。いくぞ、アイアンハート!」
視界の端にホロウインドウのタイマーが展開され、表示された数字が徐々に減って行く、時間がない
両足に力を込めて踏み込む、その瞬間に世界の動きが遅くなり体重が考えられない程軽くなったように感じた
そしてお姉さんの背後に回り一撃加える
「くっ!いきなり速くなるなんて、実力を隠していた見たいね」
「ただし30秒限定ですけどね」
残りは19秒
まだ行ける!
足元にシールドを広げそれを足場にし再び超加速ジャンプ、どうやら脚力も想像以上に上がったみたいだ
シールドを多数展開しそれを足場として三次元的な機動で高速攻撃を連続して加えていくが、お姉さんが避け深くまで刃を入れられない、精々上を薄く切るくらいだ
〈カウントは残り6です〉
「わかってる・・・・うっ!」
そこり時間が減り一気に蹴りを付けようと再び加速攻撃をしようとした時、心臓に激しい痛みが襲ってきた、体の方も徐々に硬直して来ている
なんだよこれ、まさか副作用か!?ならもう少し待ってくれよ
〈カウントオーバーですマスター〉
「クソ・・・・」
徐々に落ちて聞く事を認識しながら、そこで意識が途絶えた
SideOut―
******
Side悠我―
「お疲れさんです」
「見ていたの?」
「ええ、もっともアンタが兄さんをビルに叩きつけてからですけど」
バリアジャケットの所々が斬られ全身ボロボロのシャマル先生
後援型である彼女がここまでダメージを加えらるなんて経験は少ないであろう
「ここに居ると言う事は3人は倒されてしまったみたいね」
「ええ、それなりに難儀しましたよ、赤毛の子は軽くあしらう事が出来たけど、巨乳剣士のシグナムさんはそれなりに骨が折れましたよ、ガチムチ筋肉お兄さんは俺の使い魔がお相手をしましたよ、・・・・多分死んではいないと思う」
「そう、なら次は私かしら?」
「いや、そんな事はしない、理由は簡単回復要因のアンタまで倒したらあの3人の回復を誰がやるんですか?帰りが遅いと可愛いご主人さまに心配されるだろ?」
「・・・・何処まで知っているの?」
「なんでも知っている、アンタの知らないアンタの事まで一切合切なんでも知ってる。どうだろうか交換条件、取引と行かないか?」
イイ笑顔でそう提案した、もう一度言う、イイ笑顔でだ
少し警戒されていしまったかな?だけど俺は気にしない!
「何かしら」
「今日の所は見逃して上げるし、局の方にも何にも言わないでおいてあげよう」
「それで見返りは何?私は何を貴女にすればいいのかしら、私の身体?」
「小学生に身体?って聞けるアンタは跳んだ変態だよ。そんあ難しい事ではないさ、下で倒れている俺のバカ兄貴を治療してほしい、魔力が足りないと言うのであれば分けるし、否と言うのであれば叩き斬る」
俺の言葉に少し驚いた顔を浮かべるシャマル先生、普通に考えれば割に合わない取引だよな、子供一人を治療するだけで自分たちの命が助かるのだ、安すぎる取引だよな
「考えるまでも無いわね、その提案に乗るわ、正直この状態での戦闘は避けたいしあまり時間もかけてはいられないしね。ただ魔力は分けて貰ってもいいかしら?」
「お安いご用で」
兄さんの傷を癒して貰い、シグナム達三人を連れてシャマル先生は姿を消した
残されたのは俺と気を失っている兄さんだけ
「おい、兄さんのデバイス、アイアンハートって言ったっけ?」
〈はい、何でしょうか〉
「どうしてあんな無茶をさせた?持ち主の身を守るのがアンタら相棒の役目だろ、どうして止めなかった?理由を聞かせてくれ」
〈「可能性があるのならやってやる」「博打うちは嫌いではない」と言う様に言われましたので。それにマスターの成長や可能性を信じるのも我々の役目です〉
理由を聞いて少し笑えた、何ともバカバカしい、まるで昔の俺みたいじゃないか
成程、兄弟と言うわけだ
「全くバカモノだな俺の兄さんは、人間が神具を使えばこうなるって言うのを事前に言っておけばよかったな、無謀な事はしないと考えていたが、まさかこんな愚か者だったとは」
〈やはりこれはそう言う類のモノでしたか〉
納得した様な声で頷くアイアンハート
そう予測していたならもっと強く止めろよ。とはあえて突っ込まないでおいておこう
「ああ、そしてあの超加速は『神速』に限りなく等しい物だろう、心臓に痛みがなかったか?」
〈最後の方にそのような症状が出ていました〉
「そうか」
意外とこの権能は汎用性があるのかもしれない、振れた者に権能に近い力を与える、見返りに大きな負担を与えるが、カンピオーネでもない人間が神の力を使うと言う事を考えれば割は言いのかもしれない
もし握った剣が一本だけだったらもっと上手く負担が少ない使い方が出来たのかもしれない、違う剣なら違う効果があったかもしれない、人によって差があるかもしれない、俺の掌握度合いが進んだからかも知れない
「興味が尽きないな」
《試すなよ?危険すぎる》
「わかっている、さて帰るとしよう、皆が待っている」
眠った兄さんを担ぎ、雪の降り始めた夜空の下を歩き始めた
誤字脱字意見感想等が有りましたらよろしくお願いたします
ウルスラグナの権能を強化(?)しました
剣を持った時の効果はカンピオーネ原作の10の化身に由来する予定です