第二次月戦争の跡 アストライアー編   作:まぐねたー

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 アインハンダーの擬人化のキャラクターを考えていたら動かしたくなってしまったので書きました。一年前から20周年までに完成させると意気込んでいましたが一気に全部公開する勇気がないので毎週月曜日更新という感じにしようかなと思います。頭の中では完成してます…多分。挿絵も過去絵を使ったりしてるのでデザインが固まってなかったりします。ご了承下さい。不慣れでまとめ方もめちゃくちゃになってしまうと思いますがご意見を頂ければ参考にします。


第1話

 彼がアインハンダーに乗ると聞いて私は真っ暗な谷底に落とされた様に感じた。軍に所属していれば戦死は良くある事。だけど彼はとても優秀だから絶対に死なないと信じる事が出来た。なのに何故一番危険な任務に就いてしまうの?彼が家を飛び出してから毎日泣いても諦められず忘れられなかったから私も死ぬ事にした。

 髪を切って気分を変えて、休んでいた訓練の分も取り返した。彼の後を追いたいから私は無理を言ってアストライアーに乗り込んだ。彼が死んだなら仇を討って私も死ぬ。だから私は彼より先に死にたくなかった。彼の通った道は敵が少なかった。彼はまだ生きている。最高速度でぶっ飛ばした。もし彼に追いつけたら守れるかもしれない。

 ミサイルの発射台まで来た時に朝焼けの空に沢山の星が瞬いた。近づくとそれは星ではなく大量の戦闘機だった。A.O.Sの通信は機体の戦闘データを採って無人戦闘機が完成したので私はテストの標的に抜擢されたと言った。私が全速力で逃げると幾つものミサイルが飛んで来て擦りながら避けるのがやっとだった。このままでは機体が持たない。寝る事も忘れて朦朧としながら逃げた。私のデータも彼のデータも採られている。彼より弱い私があの群集に敵うはずがない。そして彼も敵わないだろう。あれを倒して仇を討つべきなのに、何も出来ない。戦って死ぬつもりでいたのに怖い。私は願いも果たせずにずるずると地球で隠れ暮らす事になった。誰か味方を作らないと…諦めつつも対策を考えていた。セレーネ軍の目的はもう破壊だけだ。もう終わりなのだろうか…

 

 私は手術室のベッドに寝かされていた。

「おお、起きたか。」

 そこには白衣の医師がいた。

「うーん…ここはどこ?」

「ここは手術室。事故で大怪我をしたから色んなパーツの移植をしたんだ。」

 身体を見ると両手は義手になっていた。背中にも違和感を感じて手を回すと脊椎に機銃が付いていた。

「両腕が…えっ?背中も…?嘘でしょ、何があったの?」

「残念だが私達もよく分かっていない。君何か覚えているか?」

 よく思い出せない。あまり良い思い出じゃない。話したくない。

「少し時間が経ったら思い出すだろう。しばらくしたらまた訊きに来るから隣の部屋で休んでいなさい。」

 椅子には畳まれて置かれた薄布のマフラーと着ていたであろう軍服の上着があった。

(寒い…)

 着たかったが大きな義手が付いている為着られなくなっていた。仕方なくマフラーを巻いて上着を羽織り廊下に出た。部屋の外は白いコンクリートと時々小さな窓があるだけの質素な場所だった。

(病院というには広すぎるし患者が居ない。研究所みたい。)

 部屋に入ると鏡があったので見てみた。そこには見たことのない自分の姿があった。綺麗な白髪。まつ毛の長い大きな目。翡翠色の瞳。透き通る様に白い肌。ノースリーブのスーツとアーミーパンツとブーツを身に付けていた。その顔と身体は美しく整った作り物の様で直視するのに戸惑った。

 

【挿絵表示】

 

(えっ?これは誰?

 …おかしい。既視感がない。私はここまで若かった?何歳だっけ?…何だか作り物みたい。こんなに可愛かったっけ…?

 こんな色の瞳だったっけ…?

私はこんな姿じゃなかった気がする。どこまで記憶を失ってしまったの?ぼんやりとした記憶しかないけど大切な人がいた気がする。

 それとこのスーツ、ぴっちりでちょっと恥ずかしいな…この義手で上着着れないし、どうしよう…他の腕が良いなぁ)

 誰かがドアを叩いた。

「誰?」

 そこには私と同じ風貌の可愛らしい男の子が居た。けれど私と違う点は綺麗な碧眼の瞳で、嬉しそうにこちらを見つめていた。

 

【挿絵表示】

 

(そっくり…弟なんて居たっけ?)

「こんにちは、お姉ちゃん。これ、あの部屋から出てきた人に渡すようにってお兄ちゃんが。」

 小さなメモを渡された。

『嘘の記憶に騙されるな。

彼等を騙して逃げろ。』

「何…これ?意味が分からない。」

(でもこの筆跡、何処か見覚えがあるような。)

「うん、僕も。でも絶対だって。そうしないと利用されて大変な事になるかもって。でも、あのお兄ちゃんはおかしくなって逃げちゃったから、当てにしなくて良いと思うよ?」

「おかしくなったって何が?詳しく聞かせて。」

「お兄ちゃんはあの部屋から出てきていつもの記憶喪失だったけど、自分は外から来たとか、戦争の前に別れた恋人の事を思い出したとか、変な事言ってたんだ。あっ僕ここにいちゃいけないんだ。僕が来た事内緒だよ。じゃあね。」

「ちょっと待って!まだ聞きたい事が…どこに行けばまた会えるの?」

「2階の寮だよ。またね。」

(あの部屋から出て来て『いつも』の記憶喪失?変な事を思い出す?『嘘の記憶に騙されるな』…これって…)

 

「やあ、気分はどうだい?」

「何ともないわ。」

「それは良かった。で、何か思い出せたかな?」

 この人達怪しい。取り敢えず嘘を吐いた。

「何も思い出せないわね。私、寮に帰りたいんだけど。」

 技術者達が耳打ちした事が僅かに聞こえた。

「何だ植え付けの失敗以前に記憶も消せてないじゃないか。」

「また今度やり直そう」

「悪かった。実験は失敗だ。帰って宜しい。来週また調整するから付き合ってくれ。」

 あと一週間でまた記憶が消される。時間がない。

 私は急いで2階に駆け上がった。この雰囲気からすると軍事施設みたい。防火扉を開けるとあの子供に瓜二つの姿の少年や似た青年がこの場だけで30人近くいた。全員同じ白い髪、青い瞳、透き通る様な白い肌、整った顔。服装。青年達は全員長身で鍛え抜かれた身体だった。子供が鬼ごっこをして年長が仕方なく面倒を見ている。異常な光景に一瞬で凍りついた。気付いた一人の青年が振り返った。

 

【挿絵表示】

 

「ん?何で女子がこんな所に?どうした、何か用か?」

 私よりも頭二つ分位背が高くて、力もずっと強そうで怖くて尻込みして後ずさった。

「あ…あ…」

 尻餅を付きそうになった。

「おっと。…大丈夫か?」

 逞しい両腕で抱えられて顔が一気に近付く。全員同じで君悪がっていたけれど一人を見ると小さなあの子とは違う凛々しい顔で、やはり作り物の様に美しくて緊張で赤面してしまった。

「俺の顔に何か付いてる?立てるか?」

「はっ、はい…」

 恋人がいるはずなのにちょっとときめいてしまった。フラフラと肩を支えられて立ち、再び辺りを見渡した。全員似た姿形だけど兄弟にしては多すぎる。どうして?ここはおかしい。ぼんやりと覚えている常識ではありえないはず。まるでみんな大量生産された人形の様な…

「何か錯乱してる?寮を間違えたのか?精神安定剤、医務室で貰ってくるか?」

「あ…あの…子供を探してて…」

「どの子供?番号は?」

「番号?え?」

「あー…記憶を消されたばっかなのか。取り敢えず子供全員集めよう。」

「あ…ありがとうございます。」

「おーい子供等ー集合ー」

「なになにー?」「みんなで遊ぶのー?」

「俺はガキに含まれないよな?」

「取り敢えず来い。」

「何だ何だ?」

「おー…女子とか初めて見た。」

 大人まで集まって来た。

「あ、さっきのお姉ちゃん。」

「あ、良かった。全然区別が付かなかった…

質問したい事が沢山あるの。」

「うん!いいよ。」

 でも私がここの施設の概要を探っているのはあまり知られたくない。

「ちょっと二人になれるとこない?」

「んー?僕の部屋は兄弟沢山いるからなー…」

「う…うーん…二人きりで誰にも見つからない所が良いの!」

「え?なんで??」「えっ?そういう関係?」「やばくね?」

「…ううん、お前達そういう関係だったらやめとけ。そいつまだ小さいし、似てるから兄弟かもしれないし、そもそも指導部の許可なしにあんな事やこんな事…「何興奮してキモい事言ってんの」「変態」「あーうるさいな。で?実際どうなんだ?」

「私とこの子が付き合ってるかって?」

「ここって男と女が関わる事なんて滅多にないもん。」

(記憶ではこんな弟いないはずよ。それにもちろんこの人達も兄弟にいない。私が忘れてるだけ?こんなに多い兄弟を?何かがおかしい。決定的に。)

「ち、違います!え、えーっと、その、記憶喪失だから…この子が色々教えてくれて…」

「別に俺等も教えられるけど。何でそいつと二人きりにならないといけないの?」

 あーもうめんどくさい…

「お…女の子の秘密が大勢の男の人に知られたらどうするのよ!」

「そっかぁ…じゃあ女子に訊いても良いのに。気に入られちゃったんだなぁお前。」

「女子はイジメ多いからな~もしかしてそれで…」

「あぁ…気の毒に。」

(何なのよコイツら勝手に決めつけて…30人も居ればツッコミも多いわけだけど…)

「お姉ちゃん。色んな所見てみよう。」

「うん…」

 手を握ってくれて少し心強かった。

 義手で体温が伝わらなくても。

 

「女子って本でしか見た事なかったけど…実物ってメッチャ可愛いな。」

「うんうん。」

「未確認生命体だったもんな。それが子供産むとかなんか気持ち悪いと思ってたけど…」

「いいなぁ…」

 

「お姉ちゃん、そういう関係って何ー?」

「ちょっと…その話引っ張るの!?」

「僕も質問したいー!」

「…私の質問が終わったらね。」

 あの人と一緒に二人で手を繋いで歩いた事、あったかな?私の事「ミリアム」って呼んでくれてた…よね?

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