主人公の個性とかまったく考えてない。
冒頭のヒロアカ世界の説明は勝手に作り上げただけなので公式とかではないです。
でも、あの世界ってかなり停滞した文明だよね。
この世界に『個性』というものが浸透してから、人間の社会は大きく変わった。
所謂ヒーロー社会と呼ばれる現代は、『個性』に依ってより優れた文明を獲得した。天才というのは曖昧な表現ではなく機械で確実に測定できる『個性』となり、人類の進化にこれまで以上の多様性を『個性』はもたらした。
人々は自分の才能を目に見える形で理解することで人生の目標を明確なものとし、世間には安寧の象徴とも言えるヒーローが日常として溢れる。より明るく輝かしい未来を歩む事を選択する活力有る人々が大多数を占めるようになった。
しかし、それと同時に社会の闇はより根深く、汚泥を煮込んだかのように陰湿で、まるで花を毟るように呆気なく命のやり取りがなされる、ぐずついた物になった。
その筆頭として、敵(ヴィラン)と呼ばれる悪党が存在する事が当然となり、創作物の世界のように正義 対 悪の構図が明確なおぞましい社会になった。
『個性』が世界にもたらしたものについて、多くの学者は口をつぐむ。
それは彼らが無理矢理飲み込んだものが今の平和な社会を否定するものであるからだ。危険な事から目を逸らし、輝かしいものを称賛する、そんな群衆を相手取ることを恐れたからだ。
ある学者はこう言った。
「『個性』のみを称賛するこのままの社会を続けていては、我々はやがてその報いを受けることになるだろう。法の整備や教育改革、それこそが今の我々が早急に行うべき事である」と。
それは『個性』がほぼほぼ社会に浸透した、ヒーロー社会の初期に世界に発信されたメッセージであった。そしてその彼の言葉の通り、その少し後から犯罪は凶悪化の一途を辿り敵(ヴィラン)が現れた。
現在彼は思想犯保護観察の名目で半服役状態と公にはされている。
世界は笑顔と光に溢れている。それが何を意味しているのか理解している人間は多くない。
誰もが平和の象徴を信じ、ヒーローが世界の平和を守る社会にどれ程の安定があるだろうか。
…あぁ、まったく住みにくい世の中になったものだ。
常森かぐやはプロヒーローである。
大きくはないが自分の事務所を持ち、基本的に常駐のサイドキックは雇わず事務方を三人雇っている。政府からの要請や担当区域の敵(ヴィラン)鎮圧以外で単独ヒーロー活動を行うことはない。どちらかと言えば他所のヒーローの一時的なサイドキックとして雇われる事が多い。
己の実力に胡座を掛いていられるほど常森の『個性』は強くない。現にビルボードチャートJPで上位に食い込んだ事はなく、精々が二桁を維持し続ける程度で、そのためあまり社会的に有名なヒーローではない。
そんな彼女が一時的に事務所を畳む事になったのは一通の手紙が原因だった。
大判の封筒が重く感じる程度に詰まった資料と、『雄英高校教員募集案内』と書かれた身に覚えの無い小冊子。そしてそっと添えられるように入っていた『ヒーロー協会からの指令書』。
曰く、常森かぐやは雄英高校の教員として職務を全うせよとのことである。
何故自分が、という気持ちはあったが更に詳しく読めば自分のサイドキックとしての支援能力の高さと安定した実績、担当区域の治安の良さ、何より教員免許の所持を理由に選出されたのだという事らしい。
なるほど理解した。ならば渋る道理も無いだろうと、思うが早いか先方に了承の手紙を送り、事務員達に一時的に担当区域にやって来るヒーローの説明とヒーローには政府からの連絡の仲介人である一人を除いた事務方二人の口利きをして、顔を合わせた次の日には荷物をまとめ雄英高校へと足を向かわせた。
「君が担当する科目は化学、勿論ヒーローとしての指導も行ってもらうが君には教師としての役割も期待しているよ」
根津校長の言葉を聞きながら私は何時になく緊張していた。故郷に錦を飾るとは言うが、まさか自分が母校で教師をやる日が来るとは。
「そんなに緊張しなくても大丈夫サ!君の他にも教員は居るし、彼等のサポートもついてるからね。指導教員はまだ本決まりでは無いけれど来週には通達が行くようにするからね」
そう言う根津校長に返事をして、応接室を後にする。
「あ、拙い。今になって実感出てきた」
やばいやばいと無意識に口から漏れる言葉を聞きながら今更ながら選択を早まったかと、暴れる心臓を押さえつけるように深呼吸を一度、二度…。
「何やってんだ常森」
三度息を吐く前に唐突に後ろから声を掛けられて肩が跳ねる。バッと後ろを振り返れば携帯栄養補給ゼリー飲料を啜るキューピーのたらこの着ぐるみがいた。
「誰がたらこだ、誰が。それで、廊下でラジオ体操なんて始めて何してんだ?」
「…お久しぶりです、相澤先輩」
この歩く寝袋の名前は相澤消太。「抹消ヒーローイレイザーヘッド」の名で活躍するプロのヒーローであり、私の同業者である。
私同様世間での認知度は低く、しかしヒーロー業界では名が知られているという、私との共通点が多いヒーロー。とはいえその実力は私よりも圧倒的に高く、認知度が低い理由も、単に目立たない私とは違って「仕事に差し支える」という理由で本人がメディアの露出を嫌っているからというカッコいい理由だったりする。
「そういや会うのは仕事以外じゃ卒業以来か。懐かしの母校の空気でも堪能してたのか?」
「いや、まぁ…少し緊張を解そうかなと。あと、私が事務所を立ち上げた時にお祝いに来てくれたじゃないですか」
また、彼も私同様雄英高校の卒業生であり、私の一つ上の先輩でもある。学生時代、私は山田先輩と睡先輩、もといプレゼント・マイクとミッドナイトを合わせた三人に色々と可愛がられた高校生活を送っていたのである。
「今になって緊張してたのか…本当に昔から変にずれてるな、お前」
「聖職者の肩書きの重さを噛み締めているんですから放っておいてくださいよ」
珍妙な見た目の先輩に珍妙な生き物を見る目を向けられるのは非情に腹立たしいが、ここはぐっと我慢である。
「お前の指導教員だが、マイクか俺のどちらかになりそうだ」
「あー、何となくそうなんだろうなとは思ってましたが推薦したの先輩方なんですね」
「まぁな」
まるで悪怯れる事の無いその姿はいっそ清々しさすら感じる。元々断る気は無かったとはいえ一言ぐらい連絡を寄越してくれても良かっただろうに。
まぁ、ヒーロー協会が書いてあるとはいえ教員免許有りを理由に雄英に私を寄越す筈が無いので予想はできたのだが。
だって私弱いし、弱いし!
「オール・マイトが来ることもあって有事に対応できるヒーローを増やすべきと話が出てな。お前に白羽の矢が立った」
「弓引いてた人が何言ってんですか。でも、正直先輩方に覚えて貰えていて嬉しかったですよ」
割りと仲良くしていたとはいえ社会人になると切れる繋りというのは少からず存在する。連絡しないままに連絡先だけ残ったアドレスの何と多いことか。
そんな現実を知っているからこそ、ついついこんな昔と変わらないやり取りに嬉しくなってしまう。子供っぽいかもしれないがこれは仕方ない。
そんな私を相澤先輩がじっと見つめてくるが、どうしたのだろう。というかドライアイなのに大丈夫なのかそれ。
「…よし、マイク誘って今晩は飯でも行くか。少し早いが歓迎会してやるから後で連絡寄越せよ」
「へ?あ…やったぜ」
「ありがとうございます、だ」
「ありがとうございます先輩!」
先輩の思考がどう帰結したのか分からないがただ飯にありつける事が決定した。
やったぜ。
期末試験で根津校長の代わりに主人公が上鳴と葦戸の相手をする。
以外に大きな活躍の場を思い浮かべられないので没。
添えものになるなら原作読んでりゃいいよねってなるから仕方ない。
日常ものなら書けなくもないけど、ヒロアカの世界では無理だよなってことでこっちも没。
でもこんな設定の主人公がいてもいいと思うんだよ。