主人公を喋らせないスタイル
しとしと、と雨が降る。
「雨ね」
そうだな、と後ろから返事が返る。
互いの背中を背もたれ代わりに預け、開いた本に視線を落とす。
「ね、お昼なにがいい?」
一度思案するように唸ったあと返事が返ってくる
「なんでもいいって……それが一番困るんだけど?」
彼の笑い声に合わせて背中が揺れる。
「この天気じゃ買い出しにも行けないものね」
バイクだとずぶ濡れ。
傘を差して歩くにも距離があるし、時間も掛かる。
「出前?……まぁ悪くないんじゃない?というか私が来ない日は出前で済ませてる、なんて言わないわよね?」
背中越しに彼の心臓の音が伝わる。
「もしかして図星?私には節約しろなんて言っておいて、自分は散財してるのね?まさかとは思うけど外食もしてるんじゃない?」
言葉を探すように言葉にならない声を漏らす。
「やっぱり…どうせあの
彼がつるむとしたら変態かエギルさんかクラインぐらいだろう。その中で日常的に会えるとしたら変態しかいない。エギルさんやクラインは社会人だから仕事もあるだろうし。
「どうしたの?いつもの軽口が聞こえないけど?」
彼の真似をして煽るように問いかければ恨めしそうな声が返ってくる。
「愉しそうだなって?いつも揶揄われてるからそのお返しよ」
実際ちょっと楽しい。
いつもは煽り癖のある彼が反論できず、負け惜しみしか言えてないんだから。惜しむべきは彼と背中合わせになってるから、その顔が見れないことかな?
「今回は許してあげる。それでお昼はどうする?まさか変態には奢れて私には奢れない、なんて言わないわよね?」
観念した様に両手を挙げた彼は次の機会にちょっとお高めのお店に連れて行ってくれることを約束してくれた。
木綿季とアルゴには悪いけど、これはお隣りに住んでる特権ということで許してもらおう。
「それじゃお昼は冷蔵庫の中身で何か作るわね。前に追加してから何か使ったりした?」
本を閉じてくっつけてた彼の背中から離れる。
何も使ってない、という言葉に前に冷蔵庫へ追加した食材を思い出しながら冷蔵庫を開ける。
「…………」
冷蔵庫の中身は確かに前に追加した食材が手つかずで入れられていたが、買った覚えのない大量のエナジードリンクがすし詰めにされていて、私が買った食材を奥に押しやったり変形させていた。
「颯真、正座」
困惑する彼に私はもう一度告げる。
「正座」
その後、成人男性が女子学生に正座からの説教をされるという珍事が起きるがそれはまた別のお話。
すごい久しぶりに書くと全然書けない。
これがブランクか