sword art onlineー黒と灰ー   作:戒斗

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いきなり七十四層なのは、早くファランの大剣を出したかったのと同じ二刀なら同じタイミングで披露して、連携させた方が絵面的に映えるかなと(小説なので絵面もなにもないのですが)
一応、ALO編も構想していますのでそれが終わり次第、回想と言う形で過去の話をピックアップしていきたいと思います。

GGO編も考えております。



第2斬:七十四階層迷宮区攻略

キリトが扉を開ければ、青い炎が部屋の中を照らし輪郭だけだった部屋の中央に鎮座する石像を照らした。

否、あれこそがこの階層の主だろう。

 

山羊の頭にボディビルダー真っ青の筋骨隆々の体。

腰からは蛇のような尾が生えている。

手には無骨な大剣。物理攻撃型のボスであることは予想はできる。

 

「誰も挑んでない相手と戦う。血沸き肉踊るって奴だな」

 

背負った大剣【ファラン】を引き抜き、右手で肩に預け相手の動きにいつでも反応できるよう、集中力を高めていく。

 

HPバーは六本。その上に表示された名は【The Gleameyes】。

【輝く目】もしくは【光る瞳】。

パッと見悪魔をモチーフにしてるであろうモンスターにしてはイカす名前だな。

 

「転移結晶をいつでも使えるようにな?少しでも危険を感じたらーー」

 

転移で逃げろ、と続けようとして被せて来るように咆哮。

ビリビリと空気の衝撃波が走り抜け、グリームアイズが臨戦態勢に移行したのが分かる。

 

「キリト、アスナやるしかねぇ。ダウンさせてその隙にー」

 

「いやぁぁぁぁ!!」

 

「うぁぁぁぁ!!」

 

「はい?」

 

後ろを振り向いてみれば、奇声と共に遠ざかって行く見慣れた後ろ姿が。

 

置いて行かれた!?

 

「・・・・・・」

 

正面に向き直れば、心なしか気まずそうなグリームアイズの姿。

 

「に、逃げる訳じゃねえからな!準備もせずソロで戦えるかぁ!」

 

伝わるはずもない捨て台詞と共に突き出された巨剣を振り上げた【ファラン】で軌道をずらして、ボス部屋の外へと恥も外聞もなく転がり出る。

ボスは共通してボス部屋の中からは出てこない。つか、出てこれるなら、茅場の顔面を陥没するまで殴ってやる。

 

ボス部屋解放と同時にエリアを徘徊する階層主。

無理ゲーだっつーの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敵前逃亡をやらかした二人はボス部屋から五分程離れたモンスターが侵入できない安全エリアで仲睦まじく肩を並べて、休憩してやがった。

 

「敵前逃亡は重罪。尚且つ独り身にリア充振りを見せつけた。裁判なしの極刑だ」

 

「俺だけ!?」

 

予備動作なしからの振り下ろした一撃は、攻略組の中でもまともに反応できるのは僅か一握り。

 

その中で完全に脱力していた状態で、間一髪とはいえ魔剣【エリュシデータ】を引き抜き、防ぎきったキリトの反応速度がいかに飛び抜けてるか嫌でも分かるだろう。

 

「はいはい二人とも。じゃれ会うのはそこまでにしてお昼にしよ?」

 

「アスナさん!?危うく俺、真っ二つになるとこだったんですけど!?」

 

アスナの奴、大分イイ性格になってきたな。良いではなくイイ。そこがミソだ。

 

キリトの方も俺が本気で攻撃してるきてる訳ではないのを知ってるから、それ以上ツッコミを入れることなく、アスナの隣にまた腰を下ろした。

 

「はい。前にアルト君から注文があったBLTサンド」

 

二人の正面に腰を下ろして、受け取ったBLTサンドを頬張る。

 

「オーロラソース味、完成したんだな」

 

「ちょっと時間が掛かっちゃったけどね」

 

知ってる人も居ると思うが一応解説。

アスナは【料理】スキルを完全習得(コンプリート)したことで、調味料の制作と味覚パラメーター可視化によってリアルでの調味料に近い味が作れるようになったのだ。

 

・・・誰に言ってんだろ。

 

因みにオーロラソースとはマヨネーズとケチャップを混ぜ合わせたソースで英語のオーロラではなく、明け方を意味するフランス語のオーロラが由来らしい。

マヨネーズとケチャップが混ざりあった色合いが明け方の空に似ていることからついたそうな。

 

完全に蛇足だな。

 

逃げた理由の問い詰めは面倒だから、取り敢えず初見での情報開示といこう。

 

「体格からするに物理メインのボスだとは思うが」

 

「ブレスもあるだろうね」

 

「蛇の尾っぽも生えてたから、後ろに回り込めば安心、とはいかねぇだろうな」

 

「後ろも正面も危険度はあまり変わらないみたいだな。となるとセオリー通りにタンク役が剣の攻撃を受け止めて、その隙に削るのが妥当か」

 

・・・人付き合い苦手なくせに攻略とかそういう話になると饒舌になるよなキリトって。

 

「盾持ちが十人は必要だろうな。それもSTR特化の奴」

 

「ローテを組まないといけないから、最低でも三十、贅沢を言えば四十人必要だ」

 

「盾と言えばキリト君はどうして盾を持たないの?片手剣のメリットって盾を持てることでしょ?」

 

生存率重視のアスナらしい質問だな。俺も気になってたし、丁度よかったか。

 

「い、嫌ーそれは、その・・・」

 

頬を掻いて目を泳がすキリト。

怪しい。疑ってくださいって言ってるようなもんじゃねえか。

アスナもジトーと擬音が付きそうな目で見てるし。

 

「ふーん。まぁあいいわ。スキルの詮索はマナー違反だしね」

 

「スイッチもPOTローテも知らなかったご令嬢がこんな立派に・・・」

 

「アルト君!!」

 

感極まって泣いたフリをすれば、顔を真っ赤にしたアスナに怒られ、ウンウンと頷くキリト。

甘いな、人をからかう事に全力を尽くす俺が隙を見逃すはずがないだろ。

 

「厨二だったキリトが今や攻略組のトッププレイヤー。爺は嬉しゅうて涙が出ます」

 

「何歳だお前!?それに俺は厨二じゃない!!」

 

「ツッコミのテンポが悪いな。お前はノリツッコミで対応するべきだ。アスナを見習え」 

 

「まさかの駄目出し!?」

 

「二人とも本当に仲が良いね。ちょっと妬けちゃうかも」

 

放課後の教室でするような馬鹿話がしばらく続き、後ろから掛けられた声もあえて無視する。

 

「・・・無視しないでくれよぅ」

 

「「「リーダー!?」」」

 

「よう、クライン暫く振りだな」

 

年甲斐なくいじけ始めた赤い野武士、クラインを見るのも飽きた。

年上相手にはそれ相応の敬意は払うが、クラインは別だ。敬ってほしいと言うなら、女相手に鼻の下を伸ばす癖をやめろ。

 

「アルトよぅ。俺ぁお前さんになにもしてないよな?嫌われることなんてしてないよな?」

 

「当たり前だろ。だから抱き付くな」

 

正確には足にすがり付いてるんだが、男に密着されて喜ぶ野郎はいねぇ。

STRにものを言わせて、右足を振り回すがクラインが剥がれねぇ。こいつ妙なところで変な技を。

 

その後、クラインがアスナにお見合いめいた自己紹介をして「心に決めた相手がいますので」とやんわりと断られてたな。

キリトも地味にダメージを受けてたみたいだが。

ふーん。

 

「まぁ元気出せ。初恋ってのは往々に(みの)らない」

 

「初恋なんかじゃない」

 

肩を組んでからかうように言ってやれば、思い詰めた表情で呟かれた。

その顔はどこかで見たことがあって。

 

・・・あぁ、あのクリスマスの時の。

 

「悪い。流石にデリカシーが無さすぎた」

 

「いいさ。受け止めて折り合いをつけなきゃいけないことだから」

 

まぁ多少、前に歩き出したわけだ。

良い傾向だな。過去を振り返るならまだしも、囚われてちゃ目の前のものも見えなくなるからな。

 

 

 

 

マッピングも粗方終了ということで、クラインのギルド【風林火山】と共にまだ踏破していない部分をマッピングしてから、街へ戻ろうとクラインの提案をアスナが了承。

 

キリトはクラインに思うところがあるのか、あまり良い顔をしなかったが。

 

「厄ネタが来たな」

 

取り敢えず、入り口への道を戻ろうと踵を返して見えたのが統一された防具に身を包んだ四十人ほどのプレイヤー。

アインクラッド解放軍(ALF)】、【軍】と略称される奴等だろう。

 

「あまりややこしくするなよ?特にクラインとアスナ。アスナは【血盟騎士団】の副団長。クラインは言わずもがな。【軍】とのいざこざはギルド同士の衝突に発展しかねねぇ」

 

「了解」

 

「あたぼうよ」

 

「アルトって頭が良いのか悪いのか分からなくなるときがあるよな」

 

「頭の出来と趣味趣向は別ってだけだ」

 

キリト、後で埋めてやる。

 

【軍】の連中が、俺たちの前で立ち止まるとリーダー格らしき男の「休め」の声と共にその場に座り込んでしまった。

 

安全エリアとは言え不用心すぎる。連中の様子を見るにマトモな休息をしないまま迷宮区を探索でもしてたんだろう。

ここはゲームの中だから肉体的な疲れはしないが精神的な疲労は溜まる。その疲れを溜めたまま、迷宮区の攻略なんぞ自殺行為だ。

 

「私は【アインクラッド解放軍】コーバッツ中佐だ。君たちはこの先のマッピングは終了しているかね?」

 

あ?

 

「終了している場合、そのマッピングデータを提供していただきたい。これは要請ではなく命令である」

 

提供じゃなくカツアゲの間違いだろ。一層にいるあいつから話は聞いていたが、横暴にも程がある。

 

「な、なんだそりゃ!?あんたらマッピングの苦労は知ってるはずだろ!?それをタダで寄越せなんざ虫が良すぎるじゃねぇか!?」

 

「我々はアインクラッドに囚われたプレイヤーの解放のために戦っているのだ。君たちには我々に協力する義務がある」

 

「八割方のマッピングでよければ」

 

「キリト!?」

 

「いいんだクライン。どうせ街に戻ったら無料で公開するつもりだったし」

 

確かに。好きに探索して得たデータで一儲けなんざ、それこそ虫が良すぎる。何よりアスナが許さねぇだろ。

 

「俺も賛成だ。マッピングデータでなくとも稼ぐ手段なんざ幾らでもある」

 

俺がクラインを宥めてる内にキリトはコーバッツにマッピングデータをの送信を終了。

マッピングデータ一つでいざこざ無しで終われるならその方がいいだろ。お互い、な。

 

「協力感謝する。行くぞ!貴様ら!」

 

コーバッツの喝にノロノロと腰をあげる【軍】構成員。

だいぶ疲労が溜まってるな。まさかこの調子でボスを攻略なんざしねぇよな?

 

「一つ忠告しておく、一目だけボスを見てきた。今のあんた達じゃボスの攻略は絶対にできない一度本部に戻って作戦を起ててからの方がーー」

 

「我々【軍】はそこまで軟弱ではない!!」

 

重々しい行軍の足音が遠ざかって行く。

 

「なぁあいつら本当にあの調子でボスと戦うつもりじゃねぇよな?」

 

「キリトが注意も警告もした。その上であいつらが死んだら、コーバッツって奴の判断ミスだ。俺たちが気にすることじゃねぇよ」

 

「口ではそんなこと言いつつ、その足はボス部屋へ向かっていたのでしたまる」

 

「キリト、後でもぐ」

 

「ナニを!?」

 

 




投稿初日にUA100越え・・・。恐縮です。
駄文の二次ですが、お気に入りをしてくれた読者様もいるようでありがたいです。

初心者に毛が生えた程度の拙い物ですが、読まれている方がいると思うと今更ながら恥ずかしいです。

次話でようやく出せます。


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