誤字脱字のある駄文という自己評価
泣きたくなった。文才が欲しい。
七十四階層攻略完了の翌日。
俺は街に繰り出すーー
「ふ、ぁぁぁ~」
ことなく自宅で惰眠を貪っていた。
と言うのも特双剣の戦いかたは非常に頭を使う。
相手の攻撃を弾く方向、角度、タイミングetc.etc。
リアルであれば情報過多で頭痛に苛まされること請け合いだな。
俺の家があるのは、森に囲まれ主街区も木造の建物で統一された六十七階層だ。
森林地帯ではあるが
コンクリートジャングルで生まれ育った俺の自然の中で暮らしてみたい、と言うささやかな夢を叶えるのにドストライクだったのである。
朝になれば鳥の
今は朝十時前。昨日は夜九時頃からの記憶がないから、恐らく十二時間ほど爆睡していたのか。
リズのとこ行って武器のメンテして、エギルんとこでポーションの補充。あとなんかあったけ?
ベッドの心地よさに予定を丸投げにし、静かに押し寄せる眠気に瞼が落ちかける。
「起きたカ?アー坊」
「半分寝てる。つかどうやって入ってきた?」
「つれないこと言うなヨ。扉開けっぱなしで床の上で爆睡してたアル坊をベッドに運んだのはオイラだゾ」
ウッド調の家具で統一した部屋にある異物。
ロリもとい情報屋【鼠】のアルゴ
βテスト時代にクエストのクリア報酬の【体術】スキルを確かめようとしたところ、クエストを受注出来るNPCにクリアしないと消えない髭を描かれ、クリアしないままクエストを断念。
以降、その髭をトレードマークとして情報屋をしていた為【鼠】の名がついたらしい。
そのクエストのクリア条件は素手で岩を砕くというもので、一万回クリティカルを出さないと砕けないという仕様。
話を戻そう。
「
「扉開けっぱなしだったのは本当だけどナ」
マジか。不用心過ぎだろ俺。
そのままPKされて得意様が少なくなるのは、寝つきが悪くなるから、と言う理由で見張りも兼ねて休ませてもらっていたというのがアルゴ弁。
「それも嘘デ、本当はアル坊と熱い一夜をーー」
「もう少し成長してから出直しな」
ロリは恋愛対象にはならない。
「無理矢理部屋に連れ込まれたって、アーちゃんに報告だナ」
「おま!それは反則だろ!!」
サイテーと言われ家畜でも見る目で見られるのは間違いない。それだけは回避しねぇと!
「アルゴさん?ここにフローリア限定のスイーツ食べ放題のーー」
「話を聞こうカ」
アルゴの買収になんとか成功し、変な目の冴えかたをしたおかげで二度寝をする気もなくなった。
かといってレベリングをする気分でもないしな。
今日はテキトーに時間を潰して明日から、解放された七十五層でレベリングとモンスターのドロップデータの収集、【特双剣】の熟練度上げを平行してやって、アルゴに売り付けよう。
取らぬ狸のなんとやらだが、予定がないよりマシと思うことにしよう。キリトに暇人と言われたら立ち直れない自信がある。
アイツだけには負けたくないが、俺に負ける姿も見たくはない。矛盾しているが、男子特有の複雑な感情というやつだ。
日付が変わり、俺がいるのは先日解放された七十五層転移門の前にある巨大なコロシアムの観客席。
どういうわけかキリトと【血盟騎士団】団長サマが決闘をすることになったらしい。
ことの顛末をエギルの店で二人でイチャコラしていたキリトとアスナを問いただしたところ、アスナは【血盟騎士団】を脱退しようとヒースクリフを説得しようとしたらしいのだが、キリトは売り言葉に買い言葉で奴の申し出を承諾。結果このようにデュエルをすることに。
まぁキリトの気持ちも分からなくはないが、アスナを戦利品として扱うのはどうかと思う。
今回の相手はこのアインクラッドの中で最強の異名をとる男、ヒースクリフだ。奴を表す言葉は最強のみではなく、生きる伝説やら聖騎士など。
奴もまた俺やキリトと同じユニークスキル保持者だ。俺達よりも早く発現したそのスキルの名は
【神聖剣】
十字を型どった盾と剣を装備した攻防一体の力。何度かボス攻略戦で見たことはあるが、奴の盾を貫いた攻撃は今まで見たことがない。
それだけ奴の防御力は鉄壁なのだ。俺でさえアレを突破できるかどうかは分からない。キリトもその防御力は重々承知はず。
勝機があるとすれば二刀流による手数勝負。
そう考えていたところでコロシアム全体が湧いた。闘技場中央に目を向けるといつもの黒衣のキリトが現れた。背中には二本の剣が吊られている。
そして彼から少し遅れて赤い鎧と白のマントを装備した【血盟騎士団】団長、ヒースクリフが現れた。
二人が現れたことで会場のボルテージは最高潮だ。確かにユニークスキル保持者同士が戦うともなれば興味を引かれるのも無理はない。
闘技場中央でメニューウィンドウを操作しているようで、それが完了した後、互いに距離をとって得物を構えた。
恐らくあいつ等の視点にはカウントが始まっているだろうが、
先手を取ったのはキリト。地を蹴り、黒剣をヒースクリフに向かって突き出すが、十字盾に防がれる。
それは予想済みだったのだろう。キリトは攻撃の手を休めず、次々に攻撃を放っていく。
ヒースクリフはそれらを一切表情を変えることなく盾で見事に捌く。時に盾を突き出すことでキリトの視界を狭め、細身の長剣でカウンターを放っている。動きに一切の無駄がなく、キリトに付け入る隙を与えない攻防は凄まじいの一言だ。
盾と剣の攻撃によって大きく弾かれたキリトは体勢を整えるが、その隙にヒースクリフが一気に距離を詰め、キリトが応戦しようとしたが、奴は剣でフェイント、本命の盾でキリトの腹部を穿った。
だが、その程度でやられる男ではない。キリトは右手の黒剣がを黄色いエフェクトが包み込み、次の瞬間にはヒースクリフの盾に直撃していた。
金属と金属がぶつかり合うけたたましい音が響くが、ヒースクリフも無事ではなかったようで、その場から弾き出されるが悠然としたステップで着地すると、キリトに向き直って何か言っているようだ。
鉄壁の名に偽りなしか。
再びの剣戟音に視線を戻すと、キリトとヒースクリフが交差するように剣戟をほとばしらせていた。火花が散り、砂塵が舞うその光景は互いに持てる力を出し切っていることは攻略組でなくとも分かるだろう。
その剣戟の中でキリトの反応速度と攻撃速度が一足飛ばしに上がっているように見えた。
ヒースクリフの鉄壁の防御をキリトの剣が突破し、奴の頬に傷を与える。
掠めた程度故か、ダメージ判定はなし。それでもその一撃は大きい大きい意味がある。
動揺か驚愕か、ヒースクリフの動きが遅れをみせた。その隙をキリトが見逃すわけはなく、グリームアイズ戦で見せた十六連撃を放つ。
弾ける燐光が星屑のように煌めき、走る剣閃は剣戟というよりも剣の奔流に等しかった。
凄まじい剣閃によってついにヒースクリフの防御をついに弾き、ヒースクリフへ振り下ろされた左の剣が奴の身体に食い込みそうになった瞬間。
「ッ!?」
一瞬、ほんの一瞬。コンマ数秒。刹那の瞬間。
ヒースクリフの弾かれた盾がコマ飛ばしのように引き戻された。キリトの剣が受け流され、背中を晒したキリトにヒースクリフの長剣が貫く。
勝負は確かにヒースクリフの勝利で終わった。
キリトが放った最後の一撃。弾かれた盾は間に合わず、確実に直撃する一撃だ。
だがあの一瞬の時間のブレのようなものが勝敗を逆にした。
・・・確かめてみるか。
「ヒースクリフ」
「やぁアルト君。七十階層攻略の時以来だね」
コロシアムの舞台裏。控え室から裏口へと続く廊下でヒースクリフを見つけることができた。
【血盟騎士団】の本部があるグランザムに戻られれば、一介のプレイヤーでしかない俺は接触ができない。まさに千載一遇のチャンスというわけだ。
ヒースクリフの野郎はアレだけの戦闘の後だというのに随分と疲れを感じさせない。
鉄仮面の奥に隠しているのか、精神力で圧し殺しているのか。
もし後者であれば、それだけの強い精神があるからこそ最強ギルド【血盟騎士団】を設立することが出来たのだろう、と賛辞を送るとこだ。
「ヒースクリフ、アンタあの一瞬なにをした」
「なにをとは?」
「キリトの剣がアンタの盾を弾いた瞬間だ。あの瞬間だけアンタの動きは速過ぎだった」
「ほう」
オレの言葉に彼は感心した様な声を漏らした。純粋に感心したという声色。
「残念だが、先ほどの戦闘はおかしなことなどないよ。がむしゃらに引き戻した盾が間に合い、キリト君の攻撃を防ぎ、彼に勝利した。それだけのことさ」
「そうか。なら、そういうことにしておいてやる。でも覚えておけよ、アレは明らかにおかしかった。特にアンタの目の前にいたやつはそう思ってる」
「キリト君に尋ねられたとしても同じ回答しか出来ないがね。君が七十階層攻略の時言っていた言葉『理性よりも本能が勝る時もある』。そう言うことさ」
考えるより先に体が動いた。
言うに事欠いてそれか。
「私も君に一つ話がある。よかったらグランザムへ来てくれるかね」
少し時間が掛かりましたが、書いては消しを繰り返して気がつけばご覧の通りです。
随時誤字脱字を確認、修正していきますので、今話から投稿に時間が掛かる恐れがあります。