sword art onlineー黒と灰ー   作:戒斗

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フェアリーダンスは短いです。


フェアリーダンス編
第1翔:the Abyss Watcher


あの鉄の城から解放され一ヶ月が過ぎた。

すっかり筋肉が削げ落ちた体を戻すため二週間ほどリハビリに費やしたわけだが。

 

ヒースクリフこと茅場晶彦との最終決戦はアルトが遺した剣を取り、アスナにクライン、あの場にいたプレイヤーたちの声を受け、激戦の果てに討ち取った。

 

そして、アインクラッドに生き残っていた六千人近くのプレイヤーが解放されたはずだった。

SAO内での情報と引き換えにナーブギアとアスナに関する情報を聞き出したとき、アスナが未だリアルに戻ってきていないというのだ。

 

アスナが運び込まれた病院を聞き、何度かお見舞いに行ったが、レクトの須郷と名乗るアスナこと結城明日奈の婚約者から金輪際来ないでくれと言われた。

 

その時、リアルの連絡先を交換していたエギルこと本名アンドリュー・ギルバート・ミルズからのメールで目を見開かされた。

 

限界まで引き伸ばしたんだろう。

解像度が悪く輪郭や髪らしき色しか判別できなかったけど、俺にはわかる。

この人影はアスナだと。

 

詳しい話をエギルの店で聞き、あの画像は妖精たちがメインのオンラインゲーム、アルヴヘイムオンラインの中で撮影されたものだと教えてもらった。

 

最高難易度のグランドクエストなるものをクリア出来ないプレイヤー達が、ロケット方式で世界樹の上を目指して飛んだ結果この画像を撮影できたのだという。

 

残念ながら運営側はすぐに対策し、限界高度を設定。同じ方法で上を目指すことが出来なくなった。

つまり、アスナと会うためには世界樹を攻略しなければならなくなったわけだ。

 

『俺たちのSAOはまだ終わってない』

 

 

 

 

 

 

幸いなことにエギルから借りた(パクった)このアルヴヘイムオンラインはナーヴギアの後継機アミュスフィアでなくても起動できるらしく、俺をあの鉄の城に閉じ込めたナーヴギアでログインすることにした。

 

取引を持ちかけてまでこのナーヴギアを手元に置いておきたかったのは、あの茅場が手掛けたということもあるけど、何よりSAOのデータが残ってる。

つまり、俺とアスナの娘ユイもこの中にいるんだ。

 

一波乱あったけどなんとかアルヴヘイムに入ることができたが、そこでまた一つの問題と直面した。

 

俺のステータスの大部分がSAOのものだったのだ。

 

このゲームのフォーマットにはSAOのデータが使われているということで、あの事件があったプログラムをそのまま転用するなんて正気の沙汰じゃない。

 

でもアスナを助け出すためには、力が必要なのも事実だったし、そのお陰でユイとも再会することができたから、幸いだったと考えることにした。

 

プライベートピクシーの姿となったユイのナビゲートのもと飛行の練習を兼ねて、近くにいたプレイヤーと接触することにしたんだが、妖精同士の関係がここまで悪いのだと思い知らされた。

 

確かにPK推奨というのは知っていたが、一人相手に三人掛かりというのは如何なものかと思う。

 

赤い装備から火の妖精(サラマンダー)であろう男三人。

緑の装備から風の妖精(シルフ)だろう女の子。

どっちに味方するかなんて考えるまでもないだろ?

 

火の妖精(サラマンダー)たちを撃退し、リーファと名乗った少女に世界樹まで案内してもらうことになった。

 

 

 

 

 

サラマンダーの猫妖精(ケットシー)とシルフ両領主の襲撃をなんとか防ぐことができ、一息つくことができた。

 

シルフのサクヤさん、ケットシーのルーさんから勧誘されたけどリーファのお陰でうやむやにすることが出来た。

 

でも二人ともくっつく必要はなかったんじゃないかな?俺も男だし、そう言うのは正直に言えば嬉しいけど俺にはアスナがいる。

 

すごく柔らかかったけど……サクヤさんはほら………。

 

…………話を戻そう。

世界樹の下にある《アルン》という街に着いて、街の奥にある世界樹の門を潜ることでグランドクエストに挑戦できるらしい。

 

今日はこれから定期メンテナンスのためログアウトしないといけない。だから詳しい話は明日になる。

 

 

 

 

 

翌日は妹の直葉を伴って明日奈の見舞いに行ったが、問題が発生した。アルヴヘイムにダイブした時、ユイがアスナのIDを世界樹の上に確認できるというのだ。ユイがシステム警告でメッセージを送れば、システム管理者が持つデータのカードキーが落ちてきた。

間違いなくアスナは上にいる。

 

居ても立っても居られずリーファの制止を振りきり、グランドクエストに突撃したものの、門を潜りひたすら上にある扉を目指すのだが、周囲の壁から守護騎士が生まれ善戦したものの、質を押し潰す量によって半ばにも届かないところで殺されてしまう。

 

蘇生待機状態の俺をリーファによって救出され回復してもらったものの、再びグランドクエストに挑戦しようとしたところを止められ、理由を話したときに問題が発生した。

 

リーファが直葉であったこと、俺のことを兄妹以上の対象として見ていたがアスナがいることで身を引くが、(桐ヶ谷和人)に似たアルヴヘイム内のキリトに好意を抱くようになった。だがキリトの正体はリアルで諦めたはずの俺だった。

 

スグはその衝撃に耐えられず、衝動的にログアウト。

俺も後を追い、リアルに戻ってスグの部屋に向かうが涙を堪えたスグに思いの丈をぶつけられる。

 

スグの想いには応えられない。

アスナがまだ、リアルに戻って来れていない。

俺の心はまだSAOから戻ってきていないのだと。

 

再びアルヴヘイムに潜り、スグを抱き締めながらそう言えば戻ってこれるよう力を貸してくれるのだと答えてくれた。

 

本当ならスグに斬られるのを覚悟してたんだけど、スグも同じだったようで、俺に斬られることで俺への想いを断ち切ろうとしたのだという。

血は繋がってなくとも兄妹なのだと思い知ったな。

 

そしてシルフの少年、コペルを混じえグランドクエストに挑むことになる。

 

 

 

 

 

だけど、そこでまた新たな問題が発生した。

守護騎士の装備が変わっていたのだ。

 

弓を装備している奴はそのままだが、剣をもっていた奴だ。

柄の両端に刀身がある双刃の剣ではなく右手に大剣を肩に担ぐように構え、左逆手に鉤状の刃を持つ異形の短剣。

 

アイツを思わせる装備と構えに冷静だった頭が一気に沸騰した。

あれはアイツの……!アイツだけの武器だ……!

 

気付いたときには守護騎士を三体まとめて薙ぎ払っていた。

 

所詮プログラムで再現されたもの。アイツには到底及ばないが、目下の問題は守護騎士のPOP率。

 

扉に近づくほどそのPOP数は増えていき、ユイ曰くプレイヤーが攻略できない難易度に設定されているのでは、とのこと。

 

ならばそのPOP数を上回る突破力で一気に扉まで到達するだけだ……!

 

守護騎士が目の前を塞ぐように増え、活路を見いだすためコペルが非常に重いデスペナルティ覚悟で、身体中を串刺しにされながらも自爆、大きな風穴を開けた。

 

だが、その穴を眼前にして守護騎士のPOP数が跳ね上がり、開けた穴も数秒で塞がってしまう。

 

三人じゃ無理だったのか、と諦めたが新たな援軍が現れたんだ。

 

話はアルヴヘイムに初めて潜った頃に戻り、SAOのステータスがそのままアルヴヘイムに移行できていたなら、SAOの時に持っていたアイテムやお金はどうなっていたのか。

 

答えは、当然引き継がれていたけど、アイテムは文字化けしていてGMに目をつけられる前に捨てた。使わないけど見た目が気に入っていた武器とかがあったけど、背に腹は代えられない。

所持金は初心者が持ってはいけない金額で、装備を整え余っていたものをサラマンダーの襲撃に遭ったサクヤさんとルーさんに渡しておいた。

 

そのお金で装備が整った両軍が援軍としてグランドクエストクリアのために現れたんだ。

 

両軍の活躍のお陰で攻略不可能な数にまで膨れ上がった守護騎士を散らしてくれたお陰で、リーファから借りた刀と俺の大剣で守護騎士の壁を突破。

 

クエストクリアフラグではなく、システム管理者権限で閉ざされた扉にアスナから渡されたカードキーをユイが転写。

世界樹の中へと転送された。

 

 

 

 

 

そうしてアスナを見つけ出し再会を喜んでいたのも束の間、突然周囲を暗闇が覆い、ユイがなにかに拒まれるように姿を消した。

 

「遅かったじゃないか、桐ヶ谷くん。いやこの世界ならキリト君と呼んだ方がいいかな?」

 

「その声……須郷か!?」

 

「妖精王オベイロン。そう呼んで貰わなくちゃ」

 

オベイロンと自らを呼んだ須郷。

アスナを閉じ込めた元凶はこいつか!?

 

「キリト君、私以外にもSAOからここに閉じ込められてる人たちがいた。その人たちは多分、何かの実験に利用されてるみたい」

 

アスナだけじゃなく他のSAOプレイヤーまで!?

 

「実験!?一体なんの!?」

 

「人の記憶、感情、思考まで自在に操ることのできる神の御業!それを僕が手に入れられるまで後少しなんだ。邪魔をしてもらっては困るよ」

 

須郷が指を鳴らした瞬間、どこからともなく鎖付きの手錠によってアスナが拘束され、須郷のもとへと運ばれてしまう。

 

「さてティターニア、おいたが過ぎたようだ。少し反省してもらわないとね」

 

須郷はアスナの薄い生地の服に手をかけ、そのまま引き裂き羞恥によって目尻に浮かんだ涙を舐める。

 

その行為にアスナと再会したとこで多少冷えた頭が再び沸騰した。

 

「須郷ォォォォ!!」

 

「五月蝿いなぁ。君の相手は僕じゃないよ」

 

本能に任せて後ろに飛び退く。

数瞬前まで俺がいたところに、何かが落下した。

 

「紹介するよ。次のアップデートで実装予定の一週間毎にランダムで刻まれる《深淵の証》。そして、それを宿したプレイヤーを狩る為に現れた神出鬼没のエネミー、《深淵の監視者》だ!」

 

砂煙が晴れていき、隠された姿を現す。

大剣を逆手に地に突き刺し、左逆手に握られた鉤状の刃を持つ異形の短剣。

魔女の帽子を思わせるような鉄兜。ボタンで留められ立てられた襟で顔は見えない。革鎧の下に着込んだチェインメイル。必要最低限の籠手と脚甲に左だけの肩当て。

そのほとんどがアイツがSAOで装備していた防具。

 

どこまで……!どこまで汚せば気が済む……!

 

SAOからデータを流用していたヤツの事だ。この敵もデータで再現したものだろう。

 

だからこそ許せない!アイツの剣には確かな意志があった。それをなんの感情もないプログラムで再現されているのが!アスナを汚し、傷つけたことが!

 

「須郷ォォォォ!!」

 

 

 

 




投稿が遅れすいません。
蟻とかカエルとかから地球を守ってました。
フェンサー強いっすね。ACばりのクイックブーストで動きまくってスピアとかショットガンを近距離からブッパして殲滅してました。
そのせいで傘下に入った味方が全滅するんですが……
前作もフェンサー使ってましたが、これはこれで程好い強化ではないでしょうか。

それはともかく、今話はキリトの説明回及び新型エネミー登場回でした。
察しのいい読者の皆様は次章予告とかアインクラッド編最終話で分かってるかもしれませんが。

ちなみに監視者の英語はwatchdogですがダークソウル3のオープニングでwatchersとなっているのでこちらにしました。
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