sword art onlineー黒と灰ー   作:戒斗

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バレンタイン回(遅い)

突貫で書き上げました。


バレンタイン アルゴ編

バレンタイン

それはリア充と非リア充との格差。

何気なしに下駄箱や机の中を確認、若しくは興味のない振りをして期待する男子生徒諸君。

本命、義理。

その他にも贈る側と受けとる側との関係で名前を変える。異性、同性の区別なくお世話になった人間に贈られる物らしいのだが……。

 

「うぉぉぉん!」

 

結局なにが言いたいのかというと、男泣きするクライン(独り身)には関係のない話、ということである。

 

「どうしたんだあれ?」

 

「今日はアレだろ?バレンタイン」

 

「あぁ~」

 

SAOに閉じ込められ2回目のバレンタイン。

1回目の頃は、まだプレイヤー全員がその余裕がなかったこともあり、なし崩し的に男同士で泣きながらチョコを渡し合うという世にも珍しい現場に居合わせてしまった。

 

「キリトは獲得数ゼロの心配はねぇな。行く先々で現地妻作ってるみてぇだし」

 

「圏外出やがれこの野郎!」

 

喧嘩なら言い値で買うぜ?勿論、拳で払うけどな。

 

「そう言えば、前回は何かイベントあったっけ?」

 

「知らねぇな。アルゴにも聴いてーー止めとく。それをネタにからかわれそうだ」

 

主に、チョコ欲しいのカ?とか言ってくる筈だ。

ほぼ間違いなく。

 

「アルトはそう言うのに興味ないのか?」

 

「何がだよ」

 

「チョコに決まってんだろォ!」

 

「「ッ!!」」

 

クライン!急に絡んでくるんじゃねぇ!

 

「……興味ねぇよ」

 

「嘘だ!ぜってぇ嘘だ!」

 

「クソうぜぇ……」

 

「バレンタイン。それは女の子から男へと贈られる甘酸っぱくもほろ苦いーー」

 

「で?今日はどうする?」

 

「この様子じゃ攻略組もマトモに機能しないし、階層攻略は後日になるな」

 

長々バレンタインやらチョコやらを力説するクラインを無視。今日の予定を組もうとも思ったが、攻略組が動かねぇんじゃ情報の流れも止まっちまうし、ボス部屋を見つけても意味ねぇよなぁ。

 

「で?」

 

「んだよ」

 

「本当に興味ないのか?」

 

「ねぇよ。そもそも甘いのは嫌いだ」

 

「無視すんなぁ!」

 

うるせぇしテーブル叩くんじゃねえ。

 

「ヨ!暇カ?」

 

「キリトくんにアルトくん、それにクラインさんも」

 

「あんたら、本当にいつも一緒にいるわね」

 

「3人とも本当に仲が良いんですね」

 

「よう。4人勢揃いでクラインの心を折りに来たのか?折れかかってるヤツを折り来るなんてよっぽど暇なんだな」

 

「あんた本当に口悪いわね。折角作ってきたチョコあげないわよ?」

 

脅しのつもりかっての。

 

「いらねぇよ。甘いのは嫌いなんだ」

 

「おめぇ、そこは嘘でも受け取っておくべきだろ……」

 

信じられないもんを見る目は止めろ。

 

「嫌いなモンを嫌いつって何が悪い?テメェに嘘吐くぐれぇならハッキリ言った方がマシだっての。そもそもバレンタインに(かこ)つけて好意を示す?バッカじゃねぇの?」

 

「……そっカ……そうだよナ……」

 

「あ?」

 

アルゴがなんかを呟いたかと思えば、背を向け走り去ってしまった。どうしたんだアイツ。

 

「おめぇ、流石にあれはねぇよ」

 

「サイテー」

 

「あんまりですよ。アルゴさんが可哀想です」

 

可哀想って……あぁそう言うことかよ。

 

「お前らは勝手にやってろ。アルゴ探してくる」

 

「アルトくん?ちゃんと誠心誠意、頭を下げてね」

 

「……ああ。分かってる」

 

俺は自分の考えを言っただけ。

だがいつの時代でも、男は女に弱いものなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「アルトのばか」

 

主街区を見下ろせる時計塔の上でブラブラと足を揺らしながら、デリカシーの欠片もない馬鹿(アルト)に対して悪態を吐いていた。

 

アルトが甘い物が嫌いだと言うのは初めて知った。でも、だからと言ってあんな物言いはないと思う。

 

『バレンタインに託つけて好意を示す?バッカじゃねぇの?』

 

……駄目だ。目の前が滲んできた。

 

アルトの物言いも尤もかもしれないけど、女の子にとっては記念日というのは特別なものなのだ。

どのくらい経っただろう?もうすぐ日没。

 

あ~あ、無駄になっちゃったな……。

 

この日だけの女性プレイヤー限定クエスト。

戦闘には向かないステ振りの私だけど、アーちゃん達に協力してもらい、手に入った《チョコの原料》をアーちゃんに手解きを受けながらーーと言っても食材に調理器具を翳すだけだけどーー初めて異性に作った物。

 

というか、何であそこで逃げちゃったかな私。あれじゃアルトに好意を持ってるって白状してるも当然なのに。

 

今日は顔を見せられないな。

……明日からはいつものーーいや、【鼠】のアルゴを演じられるかも不安だ。

 

「……やっと見つけたぞ」

 

「!!……アルト……」

 

「手間掛けさせんな……って俺が言えた義理じゃねぇな」

 

隣座んぞ、と断りを入れながら私と同じように腰掛けて時計台の外に足を投げた。

 

「何しに来たのさ」

 

「用もねぇのに来ちゃ悪ぃのかよ」

 

そう言いながらも、何か言い淀んでいるように頭を掻いている。

 

「その……悪かったな」

 

「何に対しての謝罪なのか分からない」

 

「……」

 

「……」

 

「こういうことに関しては上手く言えるか分からねぇけどよ。お前の想いを踏みにじるような事を言って悪かった」

 

「……」

 

「許してくれとは言わねぇ。ただこの謝罪だけは受け取ってもらえると助かる」

 

「……逆」

 

「は?」

 

この鈍感は……。

 

「今日は逆。これをアルトが受け取るの」

 

データ上の物だけど、込められた想いは本物。

 

「ハッピーバレンタイン、アルト」

 

「……おう」

 

「無理して食べなくていいよ。甘いのは嫌いなんでしょ?」

 

受け取って貰えただけで十分。なのにーー

 

包装紙を丁寧に剥がし、6粒入ったチョコの1つを躊躇いなく口に放り込んだ。

 

「……次」

 

「え?」

 

「次作る予定があんなら、ビターで頼む。アレなら食えるからよ」

 

それっきり何も言わず、渡したチョコを黙々と口に運ぶアルト。

ホント、ツンデレで面倒臭いなぁ。

 

「……了解ダ、アル坊。【鼠】印のチョコはオイラからじゃないと食べられないからナ?」




うぼぁ(吐血)
自分にはラブコメなど無理なのです!
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