sword art onlineー黒と灰ー   作:戒斗

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キリコ、爆誕!


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奇声が出ました。


第4弾:第三回BoB予選

ほんと、どうしたんっつーんだか。

 

強さがどーのこーの言ってたが、戦う強さと心の強さはイコールじゃねぇ。

シノンは強さに拘りを持ってるみてぇだから、そこんとこは分かってると思ってたんだが。良くも悪くもリアルは見た目相応ってことか?

 

GGOでのシノンを思い浮かべながら、現実の彼女を思い浮かべる、ってーー

 

「変態じゃねーか」

 

アバターと現実の姿は違う。

想像したところで意味がない。

 

ベッドから降り、適当なものでも食おうと思い冷蔵庫を開けたんだが。

 

「何もねぇ……」

 

考えてみれば、和人と別れスーパーに寄ろうとしたときに朝田を見かけ、そのまま連れて帰った。

買い物なんてしてる時間は無かったんだよな。

 

しゃーない。コンビニで済ますか。

 

バイクのキーを取り、これまた適当なジャケットを羽織って外に出れば、送り帰したはずの朝田の姿。顔色はマシになってはいるが、ふらついてんな。

 

今は夜9時半過ぎ。出歩くにしてもなにか特別な用事がなければ明日に持ち越すような時間帯だ。

 

「なにしてんだ?寝てろって言ったろ」

 

「え、っと。ご飯を作ろうと思ったんですけど材料がなくて……」

 

俺と同じか。

 

「コンビニか?」

 

「え?…はい」

 

玄関に用意していたヘルメットを朝田に放れば、危なげなくキャッチ。キョトンとした顔で俺を見る。

 

「乗ってけ。行き先は同じだ」

 

「で、でも……」

 

「女子供がこんな時間にひとりで出歩くなっつってんだ。いいから乗れ」

 

バイクのエンジンに火を入れ、サイドカーに乗るよう強めに促してやれば戸惑いながらもヘルメットを被り、失礼しますと断ってからようやく乗り込む。

 

変に気ぃ遣ってんじゃねぇっての。

 

 

 

 

 

サイドカーに乗り込んで、揺らされながら運転している三神さんを見る。

 

ぶっきらぼうだけど、時々見せる優しさ。

捻くれてて、何だかんだ言いつつ世話を焼く。

 

どっちが本当の三神さんなんだろう?

ツンデレ、なのかな?

 

止めよう。言ったら殴られそう。

 

そんな思考を止めれば、思い出すのは(シノン)の相棒たるアルトの言葉。

 

彼は罪を犯したと言ってた。それを含めて自分なんだと開き直っている、と。

 

彼が犯した罪って?開き直れる豪胆さが彼の強さ?

けど、私よりずっと弱いとも言っていた。

 

どういうこと?彼の言う強さってなに?

 

「おい、着いたぞ」

 

ヘルメット越しに頭を揺すられ、気が付けばコンビニの駐車場。

 

「まだ調子悪ぃのか?」

 

「い、いえ!大丈夫です!」

 

散々この人に助けられてるのに、これ以上の醜態を見せたくない。

(シノン)だけじゃなく(詩乃)も強くならなくちゃ。

 

そう思いながら、ズボンのポケットに入れたお財布を取り出そうとして……あ、あれ?ない?

 

「財布、忘れたのか?」

 

私は小さくなりながら頷くしかなかった。

もう、幸先悪すぎ……!

 

 

 

 

 

 

アスナに断りを入れ、エギルに全てのアイテムを預け、あとはコンバートするだけ。

 

颯真……じゃなくてアルトは先にGGOを始めていたらしく、コンバートしたら連絡を寄越せって言ってたな。

 

潜ったらアルトに連絡、そのあとBoBにエントリーして……装備も整えなきゃいけないのか。

やること多いなぁ。

 

データをコンバート、アバターは自動生成。

SBCグロッケンに転送され、周囲を見渡す。

ALOとは違い、どこか殺伐としてるな。

 

無事にコンバートできたし、アルトの連絡をーー

 

ウィンドウを開こうと腕を伸ばしたとき、なにか違和感を感じた。

まずは自分の手。周囲を見渡してもゴツい男たちばかりでここまで細くはない。腕も華奢だ。

 

すぐ側の鏡に映る俺を見ればコンプレックスだった女顔がより女の子らしいものに、体も華奢で細木のようだ。

 

「なぁ、ネェちゃんそのアバター売らねぇか?」

 

ね、ネェちゃん?ま、まさか……。

 

胸を触るがアスナのような柔らかさはない。

10割筋肉の感触に文字通り胸を撫で下ろす。

 

しつこくアバターの売却を勧めてくる男に断りを入れ、街の中に逃げ込む。

 

撒いたかな?気を取り直して、アルトに連絡をーー

 

ウィンドウを開こうとしたとき目に入ったのは、この殺伐としたゲームには珍しい女性プレイヤー。

 

「すいません。ちょっと教えて欲しいことが」

 

見た目は女の子だし、第一印象は悪くないはず。

声に気を付ければ大丈夫、ちょっと道を教えてもらうだけ。

 

打算10割の考えだったけどあとから考えれば、大人しくアルトに連絡すれば良かったと後悔した。

 

手っ取り早く金を稼ぐ方法を教えてもらい、弾避けゲームをクリア。30万近く稼せがせてもらった。

 

装備を整えるため、武器屋にも案内してもらい、鍔のない高周波ブレードと光剣(フォトン・ソード)を購入。これだけで7割飛んだ。

 

にしても、『アイツみたいに躊躇いなく買うわね』って言ってたけど、誰のことだろ?

 

そのあとも、牽制用のハンドガン《ファイブセブン》とホルスターにプロテクター、簡単な服を購入。

 

高周波ブレードを背負い、光剣を腰のカラビナに《ファイブセブン》を左手で抜けるように後ろ腰の左側にホルスターをベルトで固定。

これで準備万端だ。

 

お金を出してもらったのは流石に申し訳ないな。

 

 

 

 

 

 

「ああ、この!いい加減離せ!!」

 

「ああ!もっと強く罵ってください!!」

 

キリトが待ってるっつーのに厄介、いやそれ以上の奴に見つかった!

脚にしがみついてる奴を必死に引き剥がそうとするが、どういうステ振りしてんだ。剥がれねぇ!

 

「銃士!いい加減離せ!」

 

「ならせめてその刀で斬り捨ててください!」

 

「ドMにもほどがあんだろ!」

 

きっかけは3ヶ月ほど前、《ムラサマ》の切れ味を確かめるため辻斬りをしてた頃、たまたまこいつ(銃士X)が巻き込まれた。

 

睨み付けられたときに何かが目覚めたそうだ。

……分かりたくもねぇ!

 

蔑んだ覚えもねぇし、そういう趣味があるわけでもない。

外見が美人なだけに残念でならない。

 

「エントリーが終わってねぇんだ!だから離せ!」

 

「BoBに出るんですね!尚更、ここで準備を!」

 

なんの準備だ!

 

「お前もBoBに出るんだろ!?だったら我慢に我慢を重ねたあとの方がいいんじゃねぇの!?」

 

徐々に力が緩み、最後には自分から離れてくれた。

なんとかなったか?

 

「衆人観衆の前で斬り捨てられる。……いい!とてもいい!まさか貴方からお誘いを受けるなんて!」

 

……あ、ダメだこれ。地雷を踏み抜いた。

 

「本戦まで必ず勝ち上がってください!必要とあらば私が全ての敵を撃ち抜きます!」

 

遠ざかっていく変態を眺めながら、先程の言葉を反芻する。思わぬ協力者……か?

いらねぇフラグを建てた気がする……。

 

って、時間!

 

 

 

なんとか間に合った……。キリトの奴、結局連絡も寄越さねぇでなにしてしてんだ。

 

「アルト、どうかした?」

 

「ん?シノンか……後ろの奴誰だ?」

 

シノンの後ろに黒髪の新顔。何か顔に紅葉が咲いてんだけど。シノンは不機嫌そうだし。

 

「別に、ただの変態よ」

 

「変態はやめてください。死んでしまいます」

 

「で?変態は何したんだ?」

 

「い、いえ不幸な擦れ違いがーー」

 

「なにが不幸な擦れ違いよ。大方、私があんたを女だと勘違いしてるのを分かってたんでしょ?その上、装備のお金まで……!」

 

またなんとも、このアバターで男とは難儀なことだ。ここまで女に寄った見た目なら、そりゃ勘違いすんだろ。

となると、シノンが怒っている理由も見えてくる。目の前の男が少女ではなく少年であると知らないまま、シノンは女性に対してにしか開示しないような真似をしてしまったってところか。

それをそいつは、シノンが女だと勘違いしていることを承知だったにも関わらず、何も言わなかった。

 

その上、装備を整える資金も出してもらった、と。

事案だな

 

「変態、名前は?」

 

「うっ、キリトです……」

 

キリト!?

つまりあれか?俺よりも女と乳繰り合うのを優先したわけか?

 

「どこで何をしてるかと思えば……アルトだ」

 

「ア、アルト!?悪い、連絡できなくて」

 

「全くだ。連絡しろって言っただろうが」

 

キリト、シノン、顔に紅葉、女型アバター。この式で出る答えは……。

ハハァ。

 

「おいその顔やめろ」

 

「いやいや。到って普通だぞ?」

 

「絶対嘘だ」

 

「なに?この変態と知り合いなの?」

 

辛辣だな。

初対面とはいえシノンにここまで嫌われるとなると、考えられるのは……。

 

「裸でも見られたか?」

 

「貴方にデリカシーを期待した私が馬鹿だったわ」

 

マジか。ここまで来るといっそ清々しいな。

やられる側は堪ったもんじゃねぇだろうけど。

 

「まぁ、知り合いっちゃあ知り合いだけど」

 

「相棒だ」

 

「へぇ……。でもここ(GGO)じゃ()()相棒だから」

 

シノン顔が怖いぞ。

私を強調してるし、なに張り合ってんだ。

 

「で?シノン的には許すのか?」

 

「許すわけないでしょ。この手で撃ち抜かないと気が済まないわ」

 

「つー訳だ。許してやるから負けるな、だと」

 

「ちょ!勝手なこと言わないでよ!」

 

素直じゃねぇな。

 

「なぁアルト。俺がこんな姿になったのをアスナたちには言わないでーー」

 

カシャリ

 

「おい何した今」

 

「記念写真」

 

「ふざけんな!少しは悪びれろ!」

 

「アスナもユイもきっと笑顔になるぞ?一生の宝物になるはずだ」

 

「黒歴史だよ!消せ!今すぐ消せ!」

 

「遅い。ユイに送信した」

 

「嘘だろう……?」

 

本当はしてねぇけどおもしれぇからこのまま放置。

膝から崩れ落ちたキリトが立ち直るまで10分懸かったと明記しておこう。

 

 

 

キリトとシノンがここにいるってことは、エントリーは終わったのか。なら、あとは死銃(デス・ガン)を特定すればいいのか。

 

「貴方もBoBに出るの?名声とか興味ないって言ってなかった?」

 

「俺がどこまでやれるのか、試したくなった」

 

「ふーん。前の大会は私が誘っても断ったのに?」

 

それを言われれば立つ瀬がねぇんだけど。

覗き込むように見上げてくるシノンにどう言い訳したもんか。

 

「ま、まあまあ。まずは予選からだよな?アルトはどこのブロックだった?」

 

「Aブロック。BoB優勝候補ばっかだ。大会の公平さを保つために優勝候補の数を減らす目的だろうな」

 

「私と変態はDブロックよ」

 

「シノンさん。いい加減、変態はやめてください」

 

「うっさい。この変態」

 

……キリトもアイツ(銃士)みてぇに変な扉開かねぇよな?

 

「アルトも変態も対策されたくないなら、装備は控え室でした方がいいわよ」

 

「寄らば斬る、寄らずとも寄って斬る、ただそれだけだ。俺の得物はコイツだけだからな」

 

柄に預けた左手で《ムラサマ》を叩く。

位置が丁度いいから、つい置いちまうんだよな。

 

「アルト、男前過ぎ」

 

「……まぁいいわ。二人とも必ず私が撃ち抜いてやるから、負けないでよ?」

 

「シノンはクーデレだなぁ」

 

「アルト!!」

 

その白い頬に僅かな朱を混ぜながら抗議してくる。

そんな顔で吠えられても、怖くねぇよ。

 

「アルトはツンデレだけどな」

 

「キリト。打ち上げてやるから爆散してくれ」

 

「俺、花火!?」

 

 

 

 

 

 

銃弾の雨を掻い潜り、敵との距離を詰めていく。

恐らく相手には放たれた銃弾を見てから避けているように見えてんだろうが、厳密には違う。

 

銃口の向きから大まかな弾道を予想、腕の(りき)み具合で引き金を引くタイミングを判断。

そうしてから予測線で情報を修正して、銃弾を避けてるわけだ。

 

栄えあるBoB予選第一試合は市街地で、廃車になった車の影から銃撃してくる相手にAGIを活かし詰め寄っていく。

 

「ーーったれ!」

 

弾が切れたのか、再び車の影に身を隠した。

 

相手が使っているのは《M63》軽機関銃。

100発のマガジンタイプとは言えその構造上、リロードに時間が掛かる。

 

走る勢いのまま跳躍。

流石に相手も気付いたのか、《M63》を手放して《USP》ハンドガンを引き抜き、俺に向け3連射。

 

放たれた銃弾を《ムラサマ》で弾き、すれ違い様に右腕を斬り捨て、振り返りながら胴体を両断。

ポリゴンとなって四散する。

 

試合開始から僅か3分の出来事である。

 

 

 

「ほんと出鱈目ね」

 

「練習すればあれぐらい出来るだろ」

 

試合を終えて待機エリアとなる元いた場所に転送された。

 

二本のフレキシブルアームで固定されたラックから《ムラサマ》を外し、左肩に預けながらボックスシートに身を沈める。

 

同じく第一試合を終えたシノンが隣に座りながら、呆れている声色で呟く。

 

俺の視線の先には、キリトのライブ映像。

 

相手が使ってんのは《FAL》……じゃねぇな。

あれはフルオート射撃をしようもんなら銃口が暴れまわるじゃじゃ馬だ。けどセミオートで使う分には高い命中精度があり、一部ではスナイパーライフルの代わりに中距離支援用として使っているらしい。

 

BoBに出るくらいだ。腕に自信があるんだろうが、それでも相手が悪い。

右手の光剣と左手の高周波ブレードを巧みに操り、銃弾を切り捨てていく。

こっち(GGO)でもそれ(二刀流)か。

 

「なにあれ、銃弾を斬って捨てるプレイスタイルが流行ってるの?」

 

渇いた笑いで返すしかできねぇな。

 

キリトはやっぱり真っ直ぐにしか突っ込めねぇか。

 

これは、俺とアイツの思考の違いからなんだが。

俺は並列思考で同時に多くの情報を整理できるのに対し、キリトは直列思考。

つまり、1つ1つの情報に対する処理速度が早い。

 

だからこそ俺は先読みに優れ、アイツは反射速度に優れてる。

 

「そうだ。アイツの装備にいくら使った?俺が払うぞ」

 

「別にいいわよ。ただし、これ(BoB)が終わっても私と組みなさい。それが条件」

 

「告白か?」

 

「んなっ!」

 

顔を赤くしながらフリーズしたシノン。

からかったつもりが真に受けてんのか?

 

とっつき難い性格ではあるが、無感情と言うわけではなく単に自身の興味があること以外に反応が薄いんだろ。けどまあ気遣いもできるし、引く手は多いだろうけどな。




キリトには原作通り、シノンと更衣室に入ってもらいました。
そのためにアルトの足止め役を引き受けてもらったのが、死銃かもしれないと言うことでキリトに滅多切りにされた銃士Xです。
何故かMになっちゃったんですけどね。
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