おかしい部分もあるでしょうがご容赦を
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朝田が守った人との再会から数日経ったある日、いつものようにエギルの店で
「鍵が開いてる?」
スマホを電子錠に
となると鍵を開けたのは限られる。
「兄ちゃんお帰り~」
「
鍵を開けた犯人はリビングでゴロゴロしてる親戚の紺野木綿季。
冬休みに入るのは連絡アプリで教えてられてたが、まさか冬休み当日に来るなんざ分かるわけねぇ。
というか、時間帯を考えればーー
「お前まさかーー」
「泊めて?」
思わず頭を抱えてしまった。
冷蔵庫に残ってた食材で簡単な食事を済ませ、家族会議ならぬ親戚会議。
「ここまでどうやって来た?」
「貯めてたお小遣い使って電車を乗り継いだ!」
笑顔で言うな。Vサインをやめろ。
つーことは突っぱねるのは出来ねぇな。ここまで来たとなると貯めてた小遣いも殆んど使っちまっただろうし、泊めるしかねぇのかなぁ。
「兄ちゃんもゲームするんだね」
「まぁなALOとGGO、行ったり来たりだがな。ってなんでベッドの下を見てんだ」
「え?姉ちゃんが言ってたよ?男の人はここに宝物を隠すって」
宝物つっても男にとってのもんだろうが、藍子の奴も適当なこと教えやがって。
藍子ってのは木綿季の双子の姉。
二人とも体が弱くてちょっと体が冷えれば風邪をひくし、毎年インフルエンザに罹る。
だから学校を休みがちだし、休んでる間はアミュスフィアでダイブしてんだっけ?
「じゃん!ボクもアミュスフィア持ってきてるから一緒にやろ!」
テンション
この時間ならあいつらもまだいるだろうし、ついでに紹介しとくか。
「分かった」
1台のパソコンで2台のアミュスフィアを接続できんのか?結構高ぇやつを買ったから処理速度は問題はねぇと思うが……。
「潜ったら世界樹のところに集合だよ!」
「はいはい、分かった分かった」
はしゃぐ木綿季を
ベッドは木綿季が既に寝そべってるが……まぁ1日位なら我慢できんだろ。
「あ、ボク30日まで泊まるから」
「はぁ!?」
「リンクスタート!」
ちょっと待て。30までってなると一週間あるぞ。
金はGGOで稼いでっから問題ねぇけど、年頃の女子が親戚とはいえ男の部屋に寝泊まりすんな。
ALOにダイブし世界樹を目指し羽を震わせる。
新生ALOでは飛行制限がなくなり、どこまでも自由に飛び回れるようになった。つっても生まれ変わる前のALOじゃ意識が奪われてたし、気が付けば訳の分からねぇ場所にいたからほとんど知らねぇけど。
木綿季にアバターの名前を聞くの忘れたな。アイツからも俺は分からねぇだろうし、どうすんだ?
世界樹の下にある《アルン》に着いて早速途方に暮れた。
「あれ?アルトくん?」
「ん?あぁアスナか……旦那はどうした?」
「キリトくんならお風呂に入ってくるって言ってたから、戻ってくるまでまだ時間がかかるかな」
旦那は否定しないのな。
バカップルもここまでくればいっそ清々しいな。
「アルトくんは【絶剣】の噂、聞いたことある?」
「ランナーとかが背中に張るやつか?」
「それはゼッケン。噂の方は絶対無敵の剣って書いて【絶剣】」
絶対無敵、ねぇ……。
「その人が言った訳じゃなくて、デュエルを見ていた人たちが付けた呼び名だからそこまで気にしなくても……」
……顔に出てたか。
「それで?その【絶剣】とやらはどこにいんだ?」
「不定期で辻デュエルしてて場所もバラバラだから、特定の場所にはいないみたい」
「辻デュエル?」
「うん。デュエルで勝つことができれば景品として片手剣汎用
前回のアップデートで追加されたOSS。これはプレイヤー自身が攻撃パターンを入力することで、自分だけのSSを編み出せるのだがこれがまた難しい。
OSSの連撃数が増えればそれに比例して火力も高くなるが、アスナでさえ5連撃が限界だってのにそれを超える11連撃か。
そこまで繋げれるって並大抵の努力じゃねぇな。
「……なんか周りが騒がしくねぇか?」
「本当だ。何かあったのかな?」
人波が向かってんのは世界樹前の広場か?
人の流れに従って足を運べば、人だかりが輪を描いて広がってる。
「なぁなんかあったのか?」
「辻デュエルだよ。【絶剣】のな」
へぇ。噂をすればなんとやらか。プレイヤーネームは《Yuuki》、ユウキって読むのか?
木綿季?まさかな。
「ボクの勝ちだね!次の挑戦者はいるかな?」
「俺が行こう」
「アルトくん?」
【絶剣】ってのがどれ程のもんか確かめさせてもらおうじゃねぇか。
「次の相手はお兄さんかな?」
「そうだ。その前にお前は木綿季か?」
「もしかして兄ちゃん?」
マジか。【絶剣】が木綿季かよ。世間は
後ろ腰に差した鉤短剣を引き抜く。
どんなときも全力で挑むのが俺の流儀だが、手始めはこいつだ。
「兄ちゃん、背中の剣は抜かないの?」
「はは、抜かせてみな」
そう答えてやれば、ムスッとした顔に変わる。
デュエル承諾のボタンをタップし、カウントダウンが始まった。
知り合いなのかな?
アルトくんと【絶剣】と呼ばれてる女の子は親しげに話していたみたいだけど。
「アスナ、どうしたの?」
「シノンさん。アルトくんの病気が……」
あぁ……、という顔をするシノンさん。
本人が聞けば病気扱いすんなって怒りそうだけど、病気で伝わるようになったのはアルトくんが悪いと思う。
キリトくんと顔を会わせれば戦う。強い人の噂を聞けば飛んでいく。戦ってる間もずっと笑ってる。
私はよくバーサークヒーラーなんて呼ばれるけど、アルトくんの方が
「凄いわね、あれ」
上下左右、そして突き。
苛烈なまでの攻めを短剣だけで捌き続けてる。
未来が見えていると言われても納得できるほど、その立ち振舞いには余裕がある。
「ねぇ戦ってる女の子、アルトの知り合い?」
「……ふーん?」
「ちょっ!?ち、違うから!私はーー」
「大丈夫。ちゃんと分かってるから」
「分かってない!!」
分かってる、分かってるから。
好きな男の子が知らない女の子と親しそうだったら気になるよね。
へぇ、結構やるな。
目まぐるしく動き回るユウキ。
その反応速度はキリトと同等か一歩劣るほど。
2年もの間、SAOで培ったキリトの反応速度に引けを取らねぇとなると天賦の才か。末恐ろしいな。
突きを軌道を逸らすが、僅か一歩で体勢を立て直し振り返りながら横凪ぎ。
躊躇いなく首を狙った剣を短剣で阻む。
「兄ちゃん!そろそろ本気、出したくなってきたんじゃない?」
「ハッ!バカ言え!言ったろ、抜かせてみろってな!」
「む。それじゃ……本気で行くよ!」
ユウキの剣がSS特有の光を纏う。
噂の11連撃か!
燐光が弾け、光の奔流が迸る。
ボクの切り札、OSS《マザーズロザリオ》。
捉えた手応えはあったけど、仕留めきれてない。
砂煙に隠れた兄ちゃんを警戒して剣は構えたまま。
「えぇ~……」
砂煙が晴れ、大剣と短剣を逆手に交差させて構えた兄ちゃんの姿。ほぼ無傷、自信無くすなぁ。
「やるじゃねぇかユウキ。抜くつもりは毛頭なかったが、抜いちまった以上俺も本気でいくぞ」
「あ、あはは……お手柔らかに」
目がギラついてる!恐い!
地面を滑るように距離を詰めて突き。
間一髪で避けれたけど、そこからはまるで狼を思わせるような乱舞。
攻めに回れない。リーチが違う武器を両手に巧みに操り、守りを短剣で攻めに大剣を振るう。
むぅ~、兄ちゃん強すぎ!ってマズ!
振り上げた短剣の一撃でボクの手から剣が弾き飛ばされた。そして、振り上げた大剣を両手でーー
思わず目をつぶっちゃったけど、どれだけ経っても剣で斬られる衝撃が来ない。恐る恐る目を開ければ、ボクの目の前で大剣が止まってた。
「流石に遊びすぎたか」
「え?」
目の前に表示されたデュエルのリザルトウィンドにはドローの文字。……引き分け?
あー楽しかった。
ユウキのやつ結構やるな。まぁ、キリトって前例のお陰で直列思考型との戦いには慣れてたからな。
「それで君とアルトはどんな関係なんだ?」
「兄ちゃんです!」
「え?お兄さんなの?」
「親戚んとこの双子の妹だ。別に俺が呼ばせてる訳じゃねぇからな」
キリトとアスナが金を出し合って買った
……ところでシノンの視線が痛いんだが。
「シノンどうかしたか?」
「別に」
際ですか。取り付く島もねぇな。
そっぽ向いたよ。その癖、
「そう言えば、ここにいる人でシノンさん以外はSAOで知り合ったんだよね?」
「そうだな。キリトと最初に会ったのは《ホルンカ》だったか《バラライカ》だったか言う村だったよな」
「バラライカはロシアの楽器よ。銃の名前にもあるけど取り合えずそれはいいわ。私も興味があるし、よかったら聞かせてほしいわね」
「別にいいが、今日は
「了解!それじゃボクは先に落ちるね」
本当、無邪気だよな。
裏表もねぇし、いつでも全力だから嫌味も感じねぇ。ただ人懐っこいが危機感が足りねぇけど。
「ユウキはアルトが迎えに行くのか?」
「いや、アイツは俺の部屋に泊まる。30までな」
「えっ!」
どうしたシノン。いきなり変な声出して。
「あの子、颯ーーアルトの部屋に泊まるの?」
「まぁな。俺の部屋に来るまでに小遣いも殆んど使っちまっただろうし、突っぱねるのもどうかと思ってな」
「ふーん……」
またそっぽ向いたよ。耳も動いてるし。
興味あるのか、ねぇのかどっちだ。
「「ふーん」」
おいバカップル。ニヤニヤしてんじゃねぇ。
あれから一夜明け、木綿季をサイドカーに乗せてダイシーカフェに向かう。
結局シノンの機嫌は直らねぇし、あの
「今日は里香も珪子も来てんのか」
「颯真さんお久しぶりです」
「なによ、いちゃ悪いわけ?」
悪い訳じゃねぇがーー
「初めまして!紺野木綿季です!よろしく!」
自己紹介はいいが、タイミングを考えろ。
見ろ。全員、呆気に取られてるぞ。
「遼太郎は?」
「休みが明日からだそうだ。本当は来たがってたがな」
取り敢えず、全員の自己紹介も終わったし本題だ。
「木綿季が聞きてぇのはSAOでのことだろ?」
「うん!」
あまり良いことばかりじゃねぇんだけどな。
まずはどこから話すか。
次話から本格的に回想編です。