sword art onlineー黒と灰ー   作:戒斗

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ちょっとしたダクソ要素

タイトルから予想できる方のいるとも思います。


9評価ありがとうございます!


第3刀:灰の仔狼

第二層主は麻痺のデバフが厄介なボスだったな。流石、雷光の名は伊達じゃなかった。……ん?《アステリオス》と雷光が関係あるのかって?

話せば長くなるんだけどな。ミノタウロスは知ってるよな?……そうそう、ミノス王の牛って意味なんだが朝田よく知ってるな。

 

ギリシャ神話において、ミノス王の妻であるパシパエが、雄牛との間に産んだ人の体に牛の頭を持つ生まれついての怪物。扱いに困り果てたミノスは工匠のダイダロスに命じてラヴリュスーーつまりラビリンスを造らせ、そこに閉じ込められたのがミノタウロス。その正体が雷光の意味を持つ名前を与えられたパシパエの息子、アステリオスってわけだ。

 

その伝承からSAOでは迷宮の主として配置されてたんだろ。そう言やアステリオスの名前を与えた理由に、パシパエが息子を産んだ日は嵐の夜で、稲光と共に産まれたからって説があったな。

 

…………なんだよその目は。ともかく!アステリオスと雷光の関係はこれでわかっただろ!話の続きだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

攻略の最前線が四十五層まで上がれたある日、俺は情報屋《鼠》のアルゴから強力な両手剣をドロップするかもしれないと言うクエストを受けるために第三十層まで降りてきてた。

 

狼の魂を意味する両手剣、《ルプス・アニマ》を背負い、三十層の外周区にある村に訪れたわけだ。

 

「《鼠》の話じゃここら辺のはずだが……」

 

村は閑散……と言うより焼き討ちにでも遭ったかのような酷い有り様だ。

 

「おお、旅のお方。この村はご覧の通り、酷い有り様での。客人を持て成すことができんのじゃ」

 

この村の長老であろうNPCに近付けば、聞いてもいねぇのにそんなことを(のた)い、頭上にクエストフラグが建つ。

 

「はぁ……何かあったのか?」

 

「つい先日、(いわお)のような大男が突然現れ、破壊の限りを尽くした。このまま放っておけば、他の村にも被害が出てしまう……。旅のお方、図々しいとは思われるだろうが、この通り!この村の仇を打ち倒してはもらえんか?」

 

目当てのモンはそいつを倒せばドロップするのか、クエスト達成報酬で貰えるかのどっちかって訳か。

 

「わかった引き受けよう」

 

《十二の試練》……?どう言うことだ?

 

クエスト詳細ウィンドに表れた文字に内心首を傾げる。《十二の試練》っていや、ギリシャ神話でヘラクレスが女神ヘラに課せられた無茶振りだった記憶がある。

 

マップに表示された目標地点に向かう傍ら、ポーションの補充をし武器の研磨も済ませておく。クエストの詳細にはソロ専用の文字があるが、難易度は高めだろう。入念に準備しておかねぇと何があるか分からねぇからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「■■■■■■■■■!!!」

 

「早速お出ましか!」

 

空気を震わせるほどの咆哮。

小高い丘の上に腰蓑だけを身に纏った体長3メートルはあろうかと言う大男。手には岩を削り出し、そのまま剣にしたかのような石斧剣。

纏う空気はまさに強者のそれ。

 

やべぇな。武者震いが止まらねぇ……!

SAOが始まって以来、初めて感じる死の恐怖。

 

理性は逃げろと叫ぶが、本能でねじ伏せる。

逃げても追い付かれ、くびり殺されるだろう。

 

《ルプス・アルマ》を引き抜き、右肩に預ける。

 

表示された名前は《Berserk a hero》

直訳すれば《狂った英雄》もしくは《荒れ狂う英雄》と言ったところか。

だがHPバーが表示されない。カーソルは赤く表示されてんだがーー

 

地面を踏み砕き、刹那の内に迫られ降り下ろされた石斧剣の一撃を紙一重で避けたが、余波で吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。

 

「紙一重じゃダメってか……?」

 

余波事態には攻撃判定はなかったらしく、HPはさほど減ってはいない。あの攻撃力じゃ防御してもその上から叩き潰される。だからと言って生半可な回避じゃ、さっきみてぇに吹き飛ばされて追撃もらって終わりだ。

 

とは言えヤツの攻撃は大振りな上に直線的だ。付け入る隙はある。

 

「ああああぁぁあ!!」

 

「■■■■■■■■■!!」

 

暴風のような乱撃を掻い潜り、胴に横一線。

呻き声と共にヤツは膝をつく、がーー

 

「なッ!」

 

腹に刻まれたダメージエフェクトが消え、何事もなかったかのように立ち上がりやがった!

 

「不死身ってか!?」

 

ここ(SAO)がゲームである以上、倒せるはずだ。

地面を砕く一撃を飛び散る(つぶて)を浴びながらやり過ごし、がら空きになったヤツの顔面に叩き込む。

 

「クソッ!どうなってやがる!」

 

金属同士をぶつけ合わせたような硬質な音と共に弾かれる。単発突撃型ソードスキル《アドバン》をヤツの左胸目掛け放てば、これは通る。

 

しかしーー

 

「再生?違うな。復活に近ぇか?」

 

左胸に空いた風穴もまばたきよりも早く塞がった。

 

1度目は通る。だが、ヤツにダメージを与えれば2度目は通らなくなる……成る程。《十二の試練》ってのは、ヤツの猛攻を避けつつ、異なる12通りの攻撃でヤツを殺し続けなきゃならねぇ訳だ。ソロ専用っつっても難易度はこの階層不相応だな。

 

HPバーがねぇのは、一撃加えれば即死だからか。

残機は10。ヤツの攻撃を避けて10発喰らわせなきゃならねぇ。

 

「■■■■■■■■■■■!!!」

 

「だが!そうと解ればこっちのモンなんだよ!」

 

体を屈め、頭上を通過する石斧剣をやり過ごし肉薄するーー

 

「ぐっ!」

 

蹴り!?

リアルであれば骨という骨が砕け散りそうな衝撃。

 

地面に二度三度叩きつけられ、数メートル吹き飛ばされた。

一撃でイエローまで落ちたぞ!?

 

あの筋肉は見せかけじゃねぇってことか……いいぜ、やってやる。こっちも暖まってきたとこだ。

 

咥えたポーションを吐き捨て、《ルプス・アルマ》を肩に担ぐ。相手の些細な動きも見逃すな。重心、視線、呼吸、体勢からヤツの動きを読め。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「■■■■■■…………」

 

「ハァ……ハァ……ハァ……やっとくたばったか」

 

1時間半掛かったか?

猛攻を凌いで12通りの攻撃を通す。

 

言うのは簡単だが、降り下ろせば地面が割れ、振り上げれば風が巻き上がり、振り払えば突風が吹き荒れる。石斧剣による攻撃だけでなく、徒手空拳も達人級と来た。

 

「この敵考えたやつアホだろ……」

 

戦巧者と言えば聞こえは良いが、相手取るとしたら勘弁してほしい。

 

《半神半人の首》

 

まんまヘラクレスだな。

 

神ゼウスと愛人の間に産まれたアルケイデス。もしくはアルケイデース。

ゼウスの妻であるヘラはアルケイデスを疎ましく思っていたらしい。……夫と愛人の子だから仕方ねぇかも知れねぇが。

 

とある巫女に《ヘラの栄光》という意味のヘラクレスと呼ばれたが肝心のヘラからは嫌われ、アルケイデス本人もヘラからの無茶振りで愛想を尽かしていたらしい。

 

それでもヘラクレスと名乗り続けたのだから、ヘラに対して何かしらの思いはあったのかも知れねぇな。

 

ちなみにヘラはギリシャ神話きってのメンヘラでありヤンデレであったが、それでも主神ゼウスは他所の女神や地上の女と子供を儲け、時には自分で子供を産んだらしい。

……余程の女好きだな。クラインもそうなるか?

 

ともかく、このアイテムをあの村長に渡せばクエストクリアだな。

 

 

 

「ほらこれで良いのか?」

 

「おお、旅のお方。よくぞご無事で……この首は間違いなくこの村を襲った大男のもの。かたじけない。ささやかなもので申し訳ないが、こちらをお納めください」

 

大剣《アルゴノゥト》

 

ヘラクレス繋がりか?ギリシャ中の英雄が乗った船の名前だよな。しかも大剣?両手剣じゃないのか?

 

ステータスを確認してみれば確かに《大剣》の文字がある。詳細を開けば、両手剣の熟練度が規定値を越えることが獲得条件みたいだな。

 

早速装備すれば両手剣よりもズシリとした重さを感じる。今のSTRじゃ片手で振り回せねぇな。見た目は完全にさっきまでヤツが振るっていた石斧剣。

背負えば鞘もねぇのにどういう原理なのか何かに固定される。突っ込んだら負けか?

 

なんにせよこれでクリアだな。《鼠》に連絡して今日はもう寝るか。流石に疲れた。

 

 

 

 

「クゥーン……」

 

「……なんだこれ」

 

目で見たものを言葉で表せば、トラバサミに左後ろ足を噛まれた灰色の……仔犬?(つら)構えは狼っぽいが。

 

カーソルは赤じゃねぇから、何かのイベントか?HPバーはイエローからレッドにはいる寸前。

名前は《Grey little wolf》、灰色の仔狼って見たまんまだな。

 

「仕方ねぇな」

 

トラバサミを開き、仔狼が足を抜いたのを見計らい手を離せば、火花が散る勢いで歯が閉じる。

よく食い千切られなかったな。

 

「ちょっと待て」

 

食い千切られなかったとは言え、足を引き摺りながら歩く様は見るに耐えねぇ。

 

「グルルル……」

 

「毒じゃねぇから安心しろ」

 

ポーションを取り出せば警戒心丸出しに唸るチビ。

人間が仕掛けた罠に掛かれば、そうなるか。

 

ポーションの口を切り半分口に含んで、残りを差し出せば恐る恐るポーションの匂いを嗅ぎ、毒がねぇのが確認できたのか瓶を口に咥え、残った半分を一気に飲み干した。俺が口に含んだ残りをチビの左後ろ足に吹き掛ける。

 

足のダメージエフェクトが消え、HPバーもほぼフルまで回復した。これで大丈夫だろ。

 

「次は引っ掛かるんじゃねぇぞ」

 

「ガウ!」

 

(きびす)を返して歩き出せば、軽い足音が後ろから聞こえてくる。

 

「付いて来んな」

 

「ガウ!」

 

「分かってねぇだろお前」

 

「ガウガウ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで連れて来たわけか」

 

「連れて来たわけじゃねぇ。勝手について来ただけだ」

 

そう四十五層の酒場にまでチビが付いて来た。偶々、酒場で暇を潰してたキリトに見つかり席を一緒にしたわけだ。椅子に座れば、膝の上に飛び乗るチビ。なんでそこまで懐ついてんだよ。

 

NPC達が騒がねぇってことは、モンスター扱いじゃねぇみたいだな。

 

「テイムか?」

 

「どうだかな。罠に掛かってたんだぞ?なんかのイベントって考える方が自然だろ」

 

「ガウ!」

 

言ってる意味、分かってて吠えてんのか?

 

「わぁ!可愛い!」

 

「お?アスナか」

 

キリトの居るとこアスナの影ありってか?キリトといるとアスナのエンカウント率半端ねぇんだけど。

 

俺の膝に座ってたチビを抱き抱えて頬擦りしながらトリップしてんなアスナの奴。

 

「この子の名前は?」

 

「あ?」

 

「名前よ名前」

 

「チビ」

 

「ブラックハヤテ号」

 

「貴方達!!」

 

冗談通じねぇな。つかキリト、Greyって書いてんのに黒はねぇだろ。

 

「シフ」

 

「「え?」」

 

「シフでいいだろ、なぁ?」

 

「ガウ!」

 

シフが一吠えすれば名前が《Grey little wolf》から《Sif》に変わる。

気に入ってもらえたようで何よりだ。




お待たせしました。プロットは出来ていたんですが、いざ書こうとするとなかなか筆が進みませんでした。










詫び石キタ!ジャンヌオルタ来い!

「3人目で本当にすまない」

「……………………」
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