sword art onlineー黒と灰ー   作:戒斗

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キャリバー編スタートです!

お待たせして申し訳ありません!
元々プロットがなかったので書けるか不安でしたが、なんとか第1話を書き上げました。第2章と同じく3話構成になります。

歩く18禁との決着も着きます。


キャリバー編
第1戦:地の底


和人からメール?

《エクスキャリバー》を手に入れるから、ALOに集合?

 

あのマニア……人の予定も聞かずに来ること前提かよ。

……まぁ行くんだけどな。

 

 

 

「ヨツンヘイムのダンジョン?」

 

「ああ。逆さ釣りのピラミッドみたいなダンジョンの最上?最下?層に刺さってるんだ」

 

「そのダンジョンに入るのにはトンキーの協力が必要なんです。あ、トンキーって言うのはお兄ちゃんとヨツンヘイムに行ったときに仲良くなった邪神級モンスターのことでーー」

 

仲良くなった邪神級モンスターって字面が凄ぇよ。

トンキーとやらの可愛さを語るリーファ(直葉)を無視してパーティを確認すれば、キリト、アスナ、シリカ、リーファ、リズ、クライン、シノン、ユウキ、俺。

 

「そのトンキーとやらは、フル装備の9人を乗せれる生物なのか?」

 

「ン~、クエストフラグを建てたホストが何人のパーティを組んでるかで変わると思うゾ?勿論、上限はあるだろうけどナ」

 

つまりこの人数で乗れるかどうか判らない、と。

無駄足はゴメンだぞ。

 

「なるようになるだろ。駄目だったら、往復して運んでもらえばいいんだしさ」

 

行き当たりばったりかよ。パーティリーダーなら、堅実な作戦を考えて欲しいもんだ。ま、俺が言えた義理じゃねぇけどな。

 

「いっよし!全武器耐久値の回復、終わったわよ!」

 

「後は買い出し組待ちか。《エクスキャリバー》のレアリティがレジェンダリーってこたぁ、ダンジョンの難易度も相当なもんだろ?こんな脳筋パーティで攻略できんのか?」

 

魔法支援が出来んのはアスナとリーファぐらいなもんだ。

アスナは頭に血ぃ昇れば周りの制止振り切って前に出るし、リーファはどちらかと言えば前衛職に向いてる。

パーティ全員が前衛職と言う超攻撃型の布陣。

唯一の後方支援と言えばシノンだが、こちらも物理属性の弓。出てくる敵の物理耐性が高ければ、そこで詰む可能性がある。

 

「ノーガードの殴り合いなんざ、ステゴロの喧嘩だけで十分なんだが」

 

「大丈夫だって。……アスナが自分の役割を忘れなければだけど」

 

「無理無理。【バーサークヒーラー】だぞ?素直に黙ってられるタマかよ。その点リーファも……同類だったな」

 

「そうだな」

 

「「ハハハハハ」」

 

「キリトくん?アルトくん?何の話をしてるのかな?」

 

「「!!!」」

 

キリトと笑ってれば、聞き慣れたはずの声に親しみの色が一切無い冷たい声。

目の前にいるキリトは俺の後ろに視線を向け、この世の終わりのような顔をしてる。

 

……終ったな。

 

ゲームの中だと言うのに、ここまで命の危機を感じたのはSAOを含めてもダントツだった。

 

 

 

 

 

「まったく!本人がいないとは言え、言って良いことと悪いことがあるでしょ!?」

 

「「申し開きの言葉もございません……」」

 

「なにやってんのよ、あのバカ2人」

 

あの頃(SAO時代)から変わってませんね」

 

後ろでリズとシリカが何かを言ってるけど、悪いのはこいつ(アルト)であって俺じゃない!

 

「まぁまぁ、アスナよぅ。そろそろ許してやってもいいんじゃねぇか?こいつらが馬鹿やるのは前からなんだからよ」

 

クライン……!

 

「兄ちゃん、元気だして!兄ちゃんがバカでも僕が頑張るからーーあれ?」

 

無自覚な言葉の刃がアルトを襲う。

アスナたちと一緒に買い出しに行ってたユウキの言葉に、正座のまま床に突っ伏した。

 

「妹に止め刺されたバカは放っておいて、《エクスキャリバー》の噂はどうだったの?」

 

そう。俺たちが今日《エクスキャリバー》入手に集まったのは、クエストの達成報酬で《エクスキャリバー》が手に入ると言う噂を耳にしたからだ。

 

俺とスグが見たのはダンジョンの最下層に鎮座する《エクスキャリバー》。どう見てもダンジョン攻略で入手するものだ。噂が真実か確かめるよりも誰かの手に入る前に俺たちが手に入れる。その為にSAOでも最高戦力と言えるメンバーとGGOで凄腕のシノン、俺に追い縋るほどの反射神経を持つユウキ。

 

俺たちを知ってるSAOサバイバーが見れば、戦争でもする気かと思うだろう。

 

「街中、その噂で持ちきりだったよ。でも気になる点があって、その情報を流したのがNPCらしいの」

 

「NPCが?」

 

「そうなんです。あるクエストをクリアすれば、その報酬で《エクスキャリバー》が手に入るって」

 

変だな。NPCならその存在を(ほの)めかすだけでいいのに報酬で貰えることまでは言わなくていいはずなのに。

 

「大方、そっちは偽モンなんじゃねぇの?キリトなら分かんじゃねぇか?エクスカリバーならぬエクスカリパーってやつ

 

知ってる。その頃のテレビは解像度が悪くて、バとパの区別が分かり辛かったらしい。苦労して手に入れたのにどれだけ強化してもダメージが1しか入らなくて、不具合なんじゃないかと製作会社に抗議までいったらしい。

それでも防御無視で必ずダメージが入るから、それを使い続けた猛者もいたらしい。

 

今でこそネタにはされてるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでヨツンヘイムの象とクラゲを足したような邪神級モンスター・トンキーに乗せてもらい《エクスキャリバー》のあるダンジョンに向かっている。無事9人全員が乗ることができたのだが、トンキーの姿を見てからアルトの様子が少し変だ。

 

「兄ちゃん、クラゲ嫌いだもんね」

 

「嫌いなんじゃねぇ、存在を認めたくねぇだけだ」

 

何があったんだよ。

 

「んとね。兄ちゃんが中学生に上がった頃、ボクの家族と一緒に海に行ったときに初めて見たクラゲを両手を掬ったんだけど、刺されて大変なことになったんだよね」

 

「よく憶えてんな。医者も『ここまでクラゲに刺された人を診るのは初めてだ。ミズクラゲでよかったね』とか言ってたけどな」

 

ミズクラゲの毒は人間に対して殆ど無毒なんだとか。

 

「そもそも何でアイツらは存在してんだよ。プランクトン食っては大量発生して発電所の排水口塞いだり、船のスクリューに巻き込まれてモーター壊したり、存在していいことなんざ何もねぇだろうが。幻想的だーとか言って飼ってる奴もいるみてぇだが、両性同体の9割水分の生物のどこが幻想的だってんだ」

 

余程トラウマなのかクラゲに対して随分と辛辣だ。

 

「初めて行った海でクラゲに刺されて1時間もいないうちに帰ることになっちゃったからね。思い出としては最悪なんだよ、きっと」

 

楽しい思い出作りにそんなことになれば、誰でもトラウマになったりするだろうけど。ユウキの話じゃ海に行くのも初めてだったらしいから、最悪の思い出作りになっただろうな。

 

「テメェら、なに笑ってんだよ」

 

「「「「「「べっつに~」」」」」」

 

「埋めんぞ」

 

止めてくれ。

その前に埋めると言う発想を止めてくれ。

 

「おい、あれ見てみろよ」

 

クラインの言葉に眼下を見下ろせば多腕の邪神の近くに多くのプレイヤーが集まり、トンキーと同じ水性型邪神モンスターを攻撃していく。

 

「キリトの話じゃ、邪神級モンスターは互いに敵対関係なんだろ?それを利用した経験値稼ぎ……って訳でもなさそうだな」

 

邪神同士の縄張り争いもそうだけど、プレイヤーも見付け次第攻撃してくる。つまり、今見ているような共闘するとは考えにくい。

 

「シリカ、邪神級モンスターはテイムできんのか?」

 

「あり得ません。あらゆるスキル、アイテムでブーストしてもテイム出来る確率は0%のままです」

 

クラインの質問にシリカはバッサリと切り捨てた。

 

「ヘイトがプレイヤーに向かないように立ち回ってる線は?」

 

「ヘイトってのは視界に入ってなくても溜まってく。1度も攻撃されねぇってのはシステム的にありえねぇ。シノンだってそれぐらいは判ってんだろ。あり得るとすりゃNPCが流した《エクスキャリバー》のクエストだろうよ。より多く敵対してる邪神を殺したプレイヤーに与える、とかな」

 

『慧眼ですね。暗き孔を刻みし妖精よ』

 

目の前に現れたのは巨人とも言えるウルズと名乗る女性。

 

彼女の話を聞けばここからさらに下層のにある氷の国、ニヴルヘイムの王スリュムの謀略によって絶賛殲滅され中のトンキーの同族が数を減らせばウルズの力が弱り、《エクスキャリバー》を封印したあのピラミッドが天井を突き破り、アルヴヘイムへと届き、スリュムによって氷の世界に変わる。

 

スリュムの目的は世界樹の上にある黄金の果実。

その為に策を巡らせ《エクスキャリバー》を模した《カリバーン》を報酬としてプレイヤーたちを操っている。

 

「時間制限付きのクエストか。その前にウルズ、お前に聞きたいことがある」

 

『なんでしょう』

 

「暗き孔と言ったな。なんでそれを知ってる。あれはSAOでのーー」

 

『あれは体ではなく魂に刻まれる呪い。たとえ何度輪廻転生を繰り返そうと決して消えることは無く、その身を蝕む呪いなのです』

 

暗い孔って言えば、SAOでアルトがミディールってドラゴンを倒したときにLAボーナスで手に入った外せない装備だったよな?

SAOのメインシステムであるカーディナルを内包した《ザ・シード》規格のALOならあってもおかしくはないけど、アルトがそれを手に入れたって話は聞いてない。

 

体ではなく魂に刻まれる?

アバターじゃなくてリアルの本人に影響が出るものなのか?

 

『お気をつけなさい。貴方と同じく、暗き孔を宿した者が貴方の前に現れるでしょう』

 

そう言い残しウルズは姿を消した。

 

アルトと同じ?

……まさか……。

 

ゾワリ、と全身の毛が逆立つ感覚にアルトを見れば、とても人には見せられない顔で笑ってる。

 

「あいつが……あの(アマ)が……ここ(ALO)にいる……?」

 

アルトがシフを失った遠因にして元凶。

シラと名乗ったシスター。

 

「くは……ハ、ハハ……ハハハハハ!ようやくだ!ようやく見つけたぞ!」

 

「……アルト、分かってると思うけどーー」

 

「大丈夫だ。切り替えはできる。アイツに関しては至極個人的なことだ。お前たちを巻き込むつもりはねぇし、関わってほしくもねぇ」

 

ダンジョンに辿り着き、先頭を切って歩くアルトの背中がどういう訳かその瞬間、異様に小さく見えた。

 




アルトのクラゲのくだりは作者の体験談です。
ミズクラゲは刺されても大して痛みはないので、赤くちょっと腫れる位ですが、両手で掬い上げたせいで手全体を刺され指を曲げるだけでも痛みが走るほど腫れ上がりました。
クラゲ、マジ絶許(自業自得)
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