sword art onlineー黒と灰ー   作:戒斗

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前話でボルドの英語表記書くの忘れてましたね
修正しました。



お気に入り件数が一気に増えて戸惑ってます。


第3火:呪いの大樹

「今日は3人だけか」

 

「シノンは2、3日実家に帰るって言ってたな。ユウキは藍……じゃなくてユウキの姉に宿題が終わってないのが見つかって家に連れ戻された」

 

その矛先は俺にも向き『兄さんが着いていながら、この有り様はなんですか?』と冷たく粛々と怒られた。

俺が悪い訳じゃねぇんだ。

 

「冬休みも明けるからね。最後の追い込みなんだよきっと」

 

「最初の頃に終わらせとけば苦労しねぇっつーのにな」

 

「返す言葉もございません」

 

当たり前だ。お前の課題を手伝ったのは誰だと思ってる。

 

「アルゴさんは?」

 

「協力NPCと和解する為の方法を探ってる。経過報告だと望みは薄いみたいだけどな」

 

敵対した奴がいないってのが大きな要因だが。

 

「確かに灰……だったけ?灰がいれば起こるクエストとかあったかもなぁ」

 

「それで弄るのはもう止めろ。昨日さんざん食い漁りやがっただろうが」

 

「アルトさんご馳走さまでした」

 

「おう、お粗末さん」

 

ただでさえ《ベルセルク》の製造費で金欠気味だっつーのにトドメ刺しやがって。

 

「にしても広く感じるな」

 

「……そうだね」

 

いつものログハウスの筈なんだが、いつもの喧騒が無いだけで異様に広く感じる。

 

「なぁ」

 

「ん?」

 

「なんでアルトはALOを始めたんだ?あんなことがあったなら、普通は忌避感を覚えるだろ?」

 

「理由なら簡単だ。お前らがいるからな」

 

………………。

 

「今のは忘れろ」

 

「アルトがデレたぁぁ!!」

 

「デレッ!?ざけんなテメェ!」

 

「ユイちゃん?」

 

「はいママ。今の録音データは皆さんに送付しました」

 

アスナァァァ!!ユイィィィ!!

 

「殺せぇ!一思いに殺してくれぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、元気出してアルトくん」

 

「はは……終わった……なにもかも」

 

「打たれ弱いな」

 

と言うか弄られるのに慣れてないと言えばいいのか?

感情表現がオーバー気味なVRならではだけど、アルトの頭上に黒い雲が見える。

 

「滅べ世界」

 

「そこまでか」

 

「まぁまぁ。体を動かせば嫌なことも忘れるよ」

 

「元凶が何を言う。忘れたとしても所詮その場凌ぎだ。奴らに会ったら何を言われるか……」

 

ほぼ間違いなく弄り倒されるな。

主にアルゴとかアルゴとかアルゴとか。シノンとユウキは……どうだろう?

 

「■■■■■■■■■■■■!!!!」

 

「バーサーカー!?」

 

「Arrrrthurrrrr!!!」

 

「ネタを入れすぎだ!!」

 

実は結構余裕あるだろお前!?

 

「ふー、叫んだら大分楽になった」

 

「それは何より」

 

こいつが本気で暴れたら誰も手をつけられないからな。

 

それよりもここから先の攻略だ。最初はマッピングだけのつもりだったけど、やっぱりゲームは攻略していかないとな。

 

「それにしても懐かしいね」

 

「ん?」

 

「懐かしいって?」

 

「こうして3人で攻略するのってSAO以来でしょ?」

 

ああ、そう言えばそうだ。

なんだかんだ言いつつ、この3人で集まってフィールドやダンジョンに挑んでいた。

 

憎まれ口を叩きつつもタンクとして誰よりも先に前に出るアルト。アルトにヘイトが集中した隙にアスナが間隙を縫い、俺がトドメを刺す。バランスも取れていて闘い易かった。

……うしろから俺ごと敵を叩き斬ろうとする戦闘狂に注意しないとだけど。

 

「もう!私もいますよ!ママ!」

 

「ごめんねユイちゃん」

 

「さて、ここからどうやって進むか、だな」

 

橋は崩れていて前に進めない。

 

前に飛べば難易度が変わるかもしれないとアルトに言ったけど、まさか前に進めないなんて。

 

「そう言やキリト、エンマからなにか受け取ってなかったか?」

 

「そう言えば。何に使うんだって思ってたんだけど……」

 

小環旗って名前の小さな旗。オブジェクト化出来なくてどこで使えるのか疑問になって……使えるようになってる。

 

「これを掲げれば前に進めるのか?」

 

「さぁな。だが前に進めねぇなら、進むために必要なアイテムを寄越すのがRPGのNPCだろ」

 

「見も蓋もないな」

 

「ヒッ!ちょ、ちょっと二人とも!」

 

アスナの上擦った声に視線を前に向ければ、崩れた橋の下からなにかが這い上がってくる。

 

脳ミソのような頭に青白い体。

敵……じゃないな。カーソルもHPも表示されない。

 

「向こう側に連れてってくれる……のか?」

 

「どうだかな」

 

翼も生えてるし、飛ぶことはできそうだ。

 

「大丈夫だってアスナ。もしかしたら向こう側に連れてってくれるかもしれないだろ?」

 

「そうだとしてもそれは嫌!」

 

「ならここで待ってるか?あっちにも篝火はあるだろうから、アクティベートしてこっちに戻って来れるだろ」

 

「置いていかれるのも嫌!」

 

「我が儘なお姫様だ。キリト、アスナを抱いとけ。リアルでも腕組んだりしてんだ。抱き締めるぐらい問題ねぇだろ?」

 

「そういう問題じゃないんだけどな」

 

 

 

 

橋の向こう岸の門の上に降ろされる。

やっぱり運び屋だったんだな。

 

「生きた心地がしなかったよ……」

 

「終始絶叫だったもんな」

 

語尾に草でも生えてそうな口調でアルトがからかう。

うん。いつもの調子が出てきたな。

 

「……おかしいです」

 

「ユイ?」

 

「配置されているはずの敵がいません」

 

敵がいない?俺たち以外のプレイヤーがいるのか?

 

「少し前に誰かがいたのは確かなんですが……」

 

「まさか灰、か?」

 

「恐らくですが」

 

「今のとこドロップ品は俺たちの装備より弱い。戦う必要がなくなったって考えよう」

 

「えー」

 

えー、じゃない。二十歳にもなって何を言ってるんだ。

 

 

 

 

 

無人の街を歩き、ボロ小屋の中を探索していく。

 

「誰もいねぇな」

 

「無人街って訳じゃなさそうだけど」

 

「街も荒れてるし、モンスターに襲われたのかな?」

 

どうだろう?モンスターに襲われたとしたら、もっと荒れててもいい筈。

 

「ッ!これは……」

 

「ん?どうかしたか?」

 

アルトの視線の先には、鳥籠のようなものに押し込められたNPCたち。廊下の両脇に規則正しく並べられたそれは異様な雰囲気を醸し出している。

 

「襲いかかってきたりしない……よね?」

 

「前を通った瞬間……ガァ!」

 

「イヤァァァァ!!!……アルトくぅん?」

 

「悪かった。だから細剣を抜こうとするな」

 

アルトの悪ふざけをアスナが(たしな)め、ため息を1つ。

 

「確かにあるあるだけどな。どれがそうか確かめれればいいんだけど……」

 

「こう言うのは、飛び道具で確かめるのがベストなんだけどな。シノンもいねぇし、慎重に行こうかとも思うがーー」

 

「どうした?」

 

「あれ見ろよ」

 

顎をしゃくった先には両手に鎌のような物をもったエネミー。

 

「目が赤ぇな」

 

「ああ」

 

「定番で言や、強ぇ奴だよな?」

 

「そうだな」

 

「キリト」

 

「最後まで言わなくていい。あいつは任せた」

 

確かに目が赤く光ってる。

そういう奴が通常の敵より強く設定されることはよくある。

 

だからってそんなに嬉々としないでくれ。

 

「じゃ楽しんでくる」

 

「全部アクティブにして行くなぁ!!」

 

アルトが前を通ったことで、全部アクティブになりガシャガシャと音を立てながらゆっくりとこちらに向かってくる。

 

アルトのバーサーカー!!

 

 

 

 

 

 

 

なんか侮辱的な意味合いでバーサーカーと呼ばれた気がする。

 

赤目は確かに速く、閉鎖空間の中で《ベルセルク》を振り回せねぇから多少手こずったが、先読みで刀身を置いとけば自分から飛び込んできた。

 

「よう、生きてるか?」

 

「精神的に死ぬ」

 

それは何より。

 

「この先、出口まで誰もいねぇ。さっさと進むぞ」

 

超高難易度と銘打たれてる割には手応えがねぇ。

まだ序盤だからか?

 

遠距離から槍ような大矢が飛んでくるエリアをくぐり抜け、T字路で左を選択。奥にある木のようなものを崇めるエネミーの集団。

 

「なにやってんだ?あれ」

 

「宗教的な?」

 

「どちらにせよ調べんなら敵が邪魔だ」

 

敵はまだこっちには気付いていない。

数を減らすなら今の内だ。

 

半分ほど減らしたとき、大樹が動き始めた。

 

人のような手足が生え、立ち上がれないのか上体を起こし人のような動き。

 

HPバーは1本。名前は《Curse―Rotted Great wood》

呪い腐った大樹か?

 

足を振り上げ叩き付け崇めてた奴らを巻き込み、蹴散らしながら向かってくる。

 

「敵味方関係なしか!」

 

その胴体へ向け一閃ーーが

 

「固ぇ!!」

 

刃が通らず、ダメージもない。

 

「皆さん!体についている卵のようなものを狙ってください!」

 

ユイの言葉に奴の体をよく観察してみれば、丸い卵のような物体。

 

枝に守られてる物もあれば、手足に剥き出しの物もある。

手と足を掻い潜って潰せってか?

ーー上等じゃねぇか!

 

虫を潰すように叩き付けられる手を躱し、左足の卵を斬り付けるが、柔らかな弾力と共に跳ね返される。

キリトとアスナも同様のようで困惑の色を隠せてない。

 

潰せはしなかったが同時に手応えもある。

 

柔らかく刃も通らなかったが、あの中身は衝撃吸収性に優れてる。物理が通らねぇなら。

 

「アスナ!魔法で卵を狙え!奴の攻撃は俺たちで止める!」

 

「分かった!」

 

「背中は任せたぞ?相棒」

 

生意気言ってくれるな。

 

「ハッ!俺より先に死んでくれるなよ?」

 

視線は一瞬。

攻略法は見えた。

 

ヘイトを集中させ、アスナに向かないようにすりゃいい。

火力は高いが動きは緩慢。

 

「「行くぞ!」」

 

降り降ろされる手を躱し、左右に別れる。

 

「ダメージは通らなくても!」

 

「足止めぐれぇは!」

 

 

 

 

 

キリトくんとアルトくんが大樹の足止めをして、私が攻撃魔法で張り付いている卵を潰していく。

 

「うぅ~」

 

「ママ、頑張ってください」

 

「ありがとう、ユイちゃん」

 

私が狙いやすいように大樹を回転させてくれる2人の為にも根を上げるわけにはいかないんだけど……。

 

卵が潰れ中身が吹き出していく様は、容赦なく私のSAN値を削っていく。

 

「……え?」

 

そんな私に目もくれず、私の横を抜けて真っ直ぐにアルトくんに向かう影。

 

「アルトくん!」

 

間一髪、私の声に反応したアルトくんはその場を飛び退くことで影からの攻撃を避けた。

 

ロスリックの騎士装備に身を包んだ灰。

 

ここまで敵がいないエリアがあったのも灰が倒していたからかもしれない。

 

「アスナとキリトはそのまま大樹に集中しろ!灰の相手は俺がやる!」

 

アルトくんの声に切り替えようとしたその時、大樹が突然立ち上がろうとしたかと思うと、体制を崩して倒れた。その衝撃で地面が崩れ全員が下へと落ちてしまった。

 

落下したペナルティは受けなかったけど、大樹の表面が割れたかと思うと青白い大きな手が中から出てきた。

 

……もうダメかもしれない。SAN値的に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェ!」

 

剣を両手で構え、下からのかち上げるような突き。

大剣の腹で滑らせで軌道をずらし、お返しとばかりに横凪ぎに振るえば同じように盾で受け流される。

 

明らかに強くなってる。

いや、俺の攻撃が読まれてるって言えばいいのか。

 

まだ数回しか闘ってねぇ筈なのにーーッ!

 

胴体狙いの突きを前転で躱しつつ、剣から刀に持ち変えたかと思えば、同じように胴体狙いの突き。

咄嗟に避けたが脇腹を掠める。

 

左手の盾を背負い、球体状のなにかを取り出したかと思えば炎が吹き上がり発火。

 

「くそッ!」

 

刀から斧へと獲物を変え、両手で振るってくる。

バックステップで範囲外へと退避したが、着地寸前に火球が投げられ着弾。《ベルセルク》を盾にしたもののHPがイエローまで落ちた。

 

「アルト!」

 

「こっちは気にすんな!」

 

斧を跳ね上げ、そのままの勢いで柄頭で灰の顎を跳ね上げる。大剣を背負い左回し蹴りをヤツの腹に喰らわせ、よろめき隙を晒した灰を股下から切り裂く。

 

「一撃じゃ死なねぇか」

 

耐久力も上がってんのか。レッドギリギリでHPの減少が止まる。

 

驚きもあるがやはりこう思う。

ああやっぱりーー

 

「闘いってのはこうじゃなきゃな!!」

 

互いの全力をぶつけ合う。

それこそが闘いの醍醐味。勝つか負けるかなんざ二の次だ。

 

「ハハハハハハハハ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハハハハハハハ!!!」

 

そんな笑い声が聞こえてきてやっぱりかと思う。

 

闘いになるとテンションが振り切れる。強いヤツになら尚更そうだ。

 

「アスナ!」

 

「もうこれで終わって!!」

 

手が生えてきた割れ目へとアスナの攻撃魔法が叩き込まれ、大樹のHPはゼロになりポリゴンになって四散した。

 

「アルト!」

 

「手ぇ出すな!こっからが面白ぇんだ!」

 

ほんとバーサーカー。

 

灰も武器を変えて異なる立ち回りでアルトを攻めるが、それでも一歩届かない。

理由は未来予知染みた先読み。

 

剣撃の音と炎が炸裂する音だけが響き渡り、苛烈で綺麗とも言える演武が目の前で繰り広げられる。

 

「楽しそうだね」

 

「そう、だな」

 

「不満?」

 

「え?」

 

「アルトくんの相手がキリトくんじゃないのが」

 

勘弁してくれ。俺はアルトみたいな戦闘狂じゃない。

でもーー

 

「なんであそこにいるのが俺じゃないんだろうって思う」

 

アイツが左腕にハンデを持ってるから。

そう心のどこかで思っていたからかな。

 

全力では闘っていた。

でも本気を出していたかと言われればーー

 

「これで終いだ!」

 

審判者との戦いで見せた《ナインライヴス》を浴び、HPを根こそぎ奪われた灰は消えてしまう。

今回も免罪はできなかったな。

 

「あー!愉しかったー!」

 

子供のような顔のアルトはどこまでも楽しそうだ。

 

「今日はここまでにしよっか?」

 

「どうしたんだアスナ?……ああ、あのボスか」

 

「ちょっと精神的に……」

 

SAN値チェックが必要かな?

 

「アルトー切り上げるぞー」

 

「了解だ」

 

次は全力で、本気で闘うからな?覚悟しろよ?




灰が侵入しました
灰「頚骨寄越せ」



呪腹の大樹は英語版だとcures―rotted great wood
呪い腐った大樹なんですね。

大樹のソウルのフレーバーテキストだと呪われた物品を神樹に捧げていたらしいですから、その呪いを神樹が取り込んでしまい腐った……と言うことですかね?

少しオリジナル要素を混ぜて大樹を強化。


にしても不死街のマップがうろ覚え……。
飛び飛びで申し訳ない。
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