sword art onlineー黒と灰ー   作:戒斗

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皆さんお久しぶりでございます。
引っ越しやら転職やらでゴタゴタしていました。

リハビリがてら番外編です


幕間 
つかの間の休息


「よう、楽しんでるか?」

 

「颯真か、お前こそ左腕のリハビリは順調なのか?」

 

「ん、多少筋肉が落ちちまったが日常生活には問題ねぇさ」

 

ALOのアップデート、そして仇敵と旧友との再会。

なんやかんやあり左腕も元通り。

 

そして今日はALO拡張マップ、ロスリック最速クリアを祝してダイシー・カフェを貸し切っての打ち上げと相成った。SAO組(いつもの面々)に朝田と木綿季を加え、騒がしい時間を過ごしている。

 

エギルと亮太郎の大人組は酒を飲んでおり、俺も混ざろうとしたが遠回しに止められた。何故だ。

《番外編:大人の嗜みを参照》

 

「そう、か。まぁなんにせよ良かったよ。お前いつも無茶するからさ」

 

「面倒事に頭突っ込む奴に言われたくねぇな」

 

「なんだかんだ手を貸してくれる奴がいるからな」

 

うっせ、と短く返す。

 

サッとカウンター席から女性陣が陣取ってるテーブル席へ視線を流してみれば、朝田も木綿季もハブられることなく溶け込めてるようだ。

ま、そんなことする奴等じゃないことは分かってはいるけどな。

 

「……なぁ俺ってそんなに頼りないか?」

 

「あ?どうしたいきなり」

 

「お前が自分の身も顧みないで突き進んでいく背中を見るとさ、まるで自分の命なんてどうとも思っていないんじゃないかって」

 

「俺はその場の判断で最適解だと思う行動をしてるだけで、俺自身を軽視してるわけじゃねぇよ」

 

「それでも刺し違えるような戦い方をしなくてもいいだろ。茅場から聞いたぞ。あの力は自分の命を削るものだって」

 

「……好きでやった訳じゃねぇさ。ただそうでもしないと奴を殺せなかった。それだけさ」

 

話は終わりとばかりに強引に絶つ。

 

俺と価値観が違う和人だからぶつかる。

だからこそ好ましく思える。遠慮なく物言いするこいつだから。

 

「外道な手を使うのは論外だが、最短最速で目的を果たす為ならどんな手でも使うぞ」

 

倫理も論理も関係ない。後ろ指差されようが最善を尽くすのなら躊躇う必要もない。

これまでもそうしてきた。これからもそうだ。

 

「……止めても無駄なんだろ?でも今度同じようなことしたら絶対に許さないからな」

 

「保証しかねるが善処しよう」

 

「政治家みたいなこと言うなよ」

 

「信用できないってか?」

 

「……お前、本当に後ろから刺されるぞ」

 

「否定しないお前も大概だからな?まぁ刺されるは怖いし、俺にはまだ生きる理由がある……いや、できたからな」

 

「その理由っていうのは?」

 

「……ま、気が向いた時にな」

 

なんだよそれ、と口を尖らせる和人を横目に女性陣のテーブルからくすねてきたドリンクをコップに注ぐ。

 

「大人ってのは狡いぐらいがちょうど良いのさ」

 

「お前も学生じゃないか」

 

「思ったことを口にする年齢は過ぎたって話だ」

 

「どの口が言うんだよ」

 

チン、と互いのコップが交わる。

 

「「これからもよろしくな相棒」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「全くすこ~し目を離せば、すぐ二人の世界に入るんだから」

 

「まぁまぁリズさん、それだけアルトさんのことを心配してたんですよ」

 

「本当にね。自分の命を擲つような真似はしてほしくないわ」

 

けどそれは叶わないことなんだろう。彼は何でもないことのように話してはいるけれど、自分の命を軽視している節がある。

 

大人びているのに時折見せる子供っぽい一面。

傷付くことを恐れないのに失うことを恐れている。

退かず媚びず、ただ前だけを見据え歩き続ける。

 

その背中を見て頼もしく思える反面、一抹の不安がある。

彼は傷付くことを恐れない。どれだけ傷付けられても歩き続ける。

 

それはきっと呪いのようなものだ。

 

必要とあらば自分という存在を削ぎ落としてでも前に進み続ける。

立ちはだかるもの全てを薙ぎ倒して進み続ける。

 

いつから、どうしてそうするのかは分からないけれど彼にも分かっている筈だ。その道を進み続けた先にあるのはきっとーー

 

「どうしたのよ明日奈、難しい顔しちゃって」

 

「……え?う、ううん。何でもないよ」

 

「せっかくの打ち上げなんだから、難しいことは止めにして楽しまなくちゃ損よ」

 

それは分かってる。

けれど一度覚えた不安は早々に拭えない。

 

「兄ちゃんのことでしょ?」

 

「木綿季……」

 

ズバリと言い当てられ返す言葉を見失う。

 

「兄ちゃんはこうだ!って決めたら折れるまで進む。僕が物心ついたときからそうだった。自分の考えを曲げるのも曲げられるのも嫌い」

 

でも、と言葉を区切り

 

「きっかけは……多分、僕と姉ちゃんだと思う。『叔父さん、叔母さんの分も立って歩いて』って。兄ちゃんに少しでも立ち直って欲しくて言ったんだ」

 

ご両親が事故に遭い、自暴自棄だったあの人を立ち直らせようと発した言葉。

木綿季はその言葉のせいで自分を省みなくなったと思ってるんだ。

仮にそうだったとしてもーー

 

「木綿季もお姉さんも悪くないよ」

 

「そうそう、馬鹿みたいに突っ走るアイツが悪いんだから」

 

「追い抜いてその手を引っ張って振り回してやればいいわ」

 

「うん!」

 

あの背中に守られるだけじゃない。あの背中を守れるようになる。その為にもっと強くなろう。

頼るだけじゃない。頼られるぐらいに強く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「?おい、颯真なに飲んで……って誰だ!?颯真にアルコール飲ませた奴!」

 

「おい馬鹿!脱ごうとするな!」

 

「あついんだよ!キリトものめ!」

 

「ゴボボボボ!」

 

……あっちは大惨事になってるけど。

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