sword art onlineー黒と灰ー   作:戒斗

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あばばばば、ダークソウルリマスター発売!
人間性を捧げなければ(使命感)

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第三節:確信

「なんで不機嫌なんだよ」

 

「別に」

 

取り付く島がねぇ……。理由はなんだ?一人であちこち動き回ってたからか?

 

「隠してることがあるんじゃないかしら?」

 

「そうだナ。アル坊は隠すのは上手いけド、嘘は下手だからナ」

 

隠してるってなにをーー

 

「浮気がバレた夫の図」

 

キリトォォ!

 

「馬鹿は放っておいてシフのことよ」

 

「シフがどうかしたか?」

 

「隠してることがあるんじゃないかしら?」

 

馬鹿な、あれはまだキリトにしかーー

 

「まさかお前……」

 

「反省も後悔もしてない」

 

「OK。遺言はそれでいいな?」

 

「No!」

 

 

 

 

 

 

取り合えずキリトをボコして本題へ。

 

「ホントならエギルの店に全員集めてからの予定だったんだが……簡潔に言やシフの体を作ってた。明日には試作機がロールアウト予定で、シフに試運転してもらう」

 

本来なら喜ばしいが、目の前の問題のこともある。先送りにしてぇとこだが、教授も試運転の様子を見に来ると言っていた。平行してやるしかねぇか。

 

横目でアスナの様子を窺ってみれば、無理して取り繕った笑みをこぼしてる。

 

記憶を奪われると言うことは、そいつを構成してる基盤を奪われるのと同義だ。

 

記憶がない恐怖は当人しか分からない。

……クラインには悪いことした。

 

奪ったSAOの記憶で何をしようとしてるのかなんざ興味もねぇ。御大層な建前も動機も知ったことか。

どこの誰かは知らねぇが必ず報いは受けてもらう。

 

協力者(エイジ)と黒幕がいる。電子工学と脳医学に精通し、尚且つSAOサーバーにアクセス出来るもしくはSAOのボスに精通した人物。

だが黒幕は一人とは限らない。複数ならば最低でも二人以上いる。

 

『少し気になる殿方が居おられるので、貴方とはここで暫しのお別れです。それでは皆々様方、お次は此処ではない何処かでお逢い致しましょう?』

 

なんで今思い出す?

……まさかあの(アマ)が言ってた殿方ってのはエイジのことか?それとも黒幕の方か?

 

地獄に垂らした蜘蛛の糸に縋る人間を恍惚な笑みを浮かべて蹴り落とし、利用するだけ利用して旨味がなくなれば容赦なく切り捨てるだろう。

 

仮定に過ぎないが今回の裏にも奴がいる。

これは予感じゃない確信だ。

 

奴を言葉で現すなら、人を人とも思わない化生(けしょう)

自己愛の怪物。破戒僧。

 

NPCのエラーかSAOに閉じ込められたストレスか。

理由は分からないが奴は変生した。

有象無象の区別なく(ねぶ)り尽くす魔性菩薩へと。

 

人の手に負える相手じゃないとしても、俺はあの女を殺すだろう。

 

勝てる勝てないじゃない。戦うことに意味がある。

 

 

 

 

 

 

「ユナのライブ?」

 

「そうよ。颯真も行くでしょ?」

 

「俺はパス」

 

「和を以て貴しと為す、よ」

 

「どこで覚えたそんな言葉」

 

物事を円滑に進めるには人と仲良くなり、いさかいを起こさないのが一番。

そんな意味だった気がする。聖徳太子の言葉だな。

 

「まぁ、貴方がアイドルの曲を聴くタイプじゃないのは知ってるけど明日奈の為よ」

 

「明日奈の?」

 

「彼女が無理して笑顔を取り繕ってるのは知ってるでしょ?だからユナのライブで励ましてあげようってことよ。ちなみに発案はシリカよ」

 

「あいつが行きたいだけなんじゃねぇのか?」

 

珪子(シリカ)のユナに対するのめり具合は軽く引く。

女性陣だけでカラオケに行ったときなんてユナの歌ばかり熱唱してたらしい。

本来の目的は何処に行った。

 

ちなみに俺は歌ったあとに生暖かい目で見られてから行ってない。音痴というわけじゃない。絶対に。

 

「聞いてる?」

 

「聞いてるから包丁をこっちに向けんじゃねぇ。つか、なんでお前はまだ俺の部屋で料理作ってんだ。腕も治ったんだし、自分で作れるっての」

 

「一人分も二人分も変わらない、から?」

 

「いや、変わるし疑問符を外せ」

 

「私のことが嫌いになったの?」

 

包丁を両手で構えたまま目のハイライトを消して、にじり寄ってくんじゃねぇ。

お前そんなキャラじゃねぇだろ。

 

「分かった。好きにしろ」

 

「分かればよろしい」

 

お前といいアルゴといい我の強い女が多すぎだろ。

 

にしてもユナのライブねぇ。

OSで記憶を奪われてることを考えりゃ、そのマスコットキャラも疑うべきなんだろうが、そんなこと言や女性陣になに言われるか分かったもんじゃねぇ。特にシリカ。

 

……そういえばキリトの奴、教授の所に行ってくるとか言ってたな。確かに教授はオーグマーの開発者で電子工学に造詣(ぞうけい)が深い。だがあの人がスキャニング機能なんかオーグマーに搭載させるか?

 

確かに個人の好みまで反映させるシステムがある以上、ある程度の個人に合わせた調整が必要だ。迅速に且つ個人の手を煩わせない為にデータ収集機能は搭載させているはず。

 

その為の脳内スキャニング?

 

だが脳内スキャニングで脳内ネットワークに干渉し、記憶をデータ化し収集するにはかなりの出力が必要になるはず。

それにSAOでの記憶だけを選別するとなると、高度な技術力を要求されるはずだ。

 

「んー?」

 

「……また始まった」

 

OSを標的にしたコンピューターウィルスの可能性は限りなく薄い。

第一にオーグマーのセキュリティウォールは鉄壁と言えるほどに強固だ。それを突破しようものなら足が着いて今頃はポリ公のお世話になってるだろう。

 

第二にSAOの記憶を奪う動機について。

データ化した記憶を集めて結合すれば、SAOで何があったか個人を問い詰めることなく解明はできる。

直感ではあるが、それが目的ではない気がする。

 

それにあの女が影にいるのなら、その程度で終わらせる筈がない。あのホスト崩れ(須郷)の時ですら、技術を提供した見返りに《カーディナル》のコピーを手に入れていた。

 

なら今回も自分の利になる何かを見返りとしてーーいや、己への捧げ物として要求する筈。

 

……和人からメール?

 

 

 

 

 

 

「よう和人、少し待たせたか」

 

「いや、俺も今来たとこだ」

 

「カップルの待ち合わせじゃねぇんだから、周りに勘違いさせること言うんじゃねぇ。それで?」

 

「はぐらかされたよ。限りなく黒に近いグレーってところだな」

 

黒幕もしくは協力者の可能性あり、か。

 

「重村教授はロボットにも詳しいんだよな?」

 

「専攻は電子工学だからな。必要な機材と材料がありゃ、なんでもとは言わねぇがある程度のものは作れんだろ。シフの義体だって組み上げれるぐれぇだしな」

 

人工筋肉を使ったシフの義体を作れんなら、それを応用してマッスルスーツも作れんだろうな。

それが実現すれば、色んな物に応用が……いや逆か?マッスルスーツを作れるからシフの義体を作れた。

 

もしそうなら、エイジの違和感にも説明がつく。

 

点と点が繋がり、歯車が噛み合う感覚に思わず椅子を倒す勢いで立ち上がる。

和人が狼狽えてるが知ったことか。

 

「ああ!そうか!そういうことか!クソッタレ!」

 

「お、おい。いきなりどうした?」

 

「どうしたもこうしたもあるか!教授……いや、重村がエイジの協力者だ!オーグマーを作り、自在にコントロールできる唯一の人間」

 

「……SAOと同じ」

 

「SAOの記憶にこだわる理由は知らねぇが……ああ!クソクソクソ!クソッタレ!」

 

(はらわた)が煮えくり返る、怒髪天を突く。

表現なんざどうでもいい。

 

SAO事件前のように教師面してたのもそうだが、オーグマーの開発者であることを知りながら疑いもせず、教鞭を頼んだ自分に腹が立つ。

 

「おい、落ち着けって」

 

「落ち着け?落ち着いてなんざいられるか!」

 

「仮に重村がエイジの協力者で黒幕だったとしてもなんの証拠もない。それに俺たちの言葉と重村の言葉、世間はどっちを信じると思う?」

 

「分かってんだよ!そんなこと!」

 

まさか和人に糺されるとはな。俺もヤキが回ったか。

 

確かに俺たちの言葉だけじゃ菊岡も動けない。

それに目下の問題はーー

 

「エイジと戦って明日奈の記憶を取り戻す」

 

「勝てたら記憶を返すって?まさかそんな言葉を鵜呑みにした訳じゃねぇよな?」

 

「当たり前だ。でもアイツは間接的にでも明日奈を傷付けた。許せるわけないだろ」

 

「なら勝って捩じ伏せろ」

 

タネは割れてる。

外付けの力に頼ってるようじゃキリトには勝てねぇ。

 

自分の弱さを呪い続け向き合ったキリトと奴とじゃ文字通り格が違う。

 

フルダイブ不適合者だろうがただの臆病者だろうが関係ねぇ。過去(自分)と向き合う奴に過去(自分)を否定するような奴が勝てる筈がねぇ。

 

「それで颯真はーー」

 

「お前の獲物がエイジであるように俺には俺の獲物がいる」

 

なにを企んでるかは知らねぇけどよ、例え地の果てだろうと悉く殺し尽くしてやる。

 

これは復讐でも怨恨でも、ましてや誰かに頼まれたモンでもねぇ。

奴が気に入らない。認めるわけにはいかない。

 

奴を否定する理由はそれで十分だろ。




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