臆病者の覚悟   作:ビーハーマー

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(一年五か月ぶりだし、初めて三人称で書いてるので実質)初投稿です



第7話 羨ましさ

□佐藤義正

 

 マスクド・ライザー。

 

 俺がデンドロをプレイ出来なくて、せめてもの情報欲しさにスレを巡回していた時に見かけた名前。

 

 曰く、彼は決闘ランカーとなった新人気鋭のマスターらしい。

 決闘とは、観客を集めて行われるタイマン勝負の事だ。今で言えばK1だろうか。

 七大国で行われる決闘というのは総じて花形競技であり、勝って名を残せばたちまちスターの仲間入り。故に、決闘は強者共が跋扈する魔境だ。

 そしてだからこそ、その決闘で下の位とはいえランキングに入ったライザーはきっと…いや、絶対に強者なのだろう。

 

 最初は、凄い人だ、という無味無臭な感想しかなかった。

 さして興味のないスポーツ選手を画面越しに見ているような、一切の個人的な心情もない敬意。

 ただそれだけだったのだ、最初は。

 

 興味が湧いてしまったのは、ライザーの姿や活動をもう少し深く知ったからだった。

 

 曰く、彼は――『ヒーロー』としてデンドロをプレイしている。

 彼の画像を調べてみれば、映る姿は本当に、なんというか、王道も王道な正統派ヒーロー。

 体を余すところなくヒーロースーツで覆い、頭には金属質な、これもまたヒーロー然としたマスク。

 未だに放送が続いている、あの特撮ヒーロー番組にでも居そうな姿だった。

 

 彼の活動記録をまとめている奇特なマスターがいたので、覗いた。

 簡潔に言えば、模範的なヒーロー活動を主軸にしたような人だ。

 日々ホームタウンを見回り、危機が迫れば仲間と共にそれを解決。

 バイクに跨り地を駆けて、悪い奴らを必殺の一撃で打ちのめす。

 

 本当に、本当にヒーローみたいなRPをしている人だった。

 

 

 ……しかし、俺はなんでマスクド・ライザーに興味を持ったのだろうか。

 こうした特撮RPのマスターはゴマンといるのに。

 実際、彼が話題になった時に便乗して、自分のRPを宣伝しているマスター達もワンサカいた。ほとんど無視されてたが。俺も無視してた。

 

 まぁ大体の理由は、彼が強いから、なんだろう。

 ヒーローとして頑張って、周りの人を守る。

 ゲームの中だとしても、そんな強さは俺には無理だ。

 現実と寸分違わぬこのゲームであれば、なおさらだ。

 

 ――羨ましい。

 ああして戦っている彼が。

 

 ――妬ましい。

 俺には出来ないことが出来る彼が。

 

 

 

 

 

□【斥候】ザトー

 

 そして今現在、ザトーの目の前に――

 

『俺はライザー。【疾風騎兵】のマスクド・ライザーだ』

「――あ、え、あ」

 

 そのライザーが立っていた。

 マスクのせいで少しだけくぐもった声で、ザトーに声をかけていた。

 

(何故、どうして、なんでこんなところでこの人がいる)

 

 人というものは総じて考えたこともない事態に出会ったとき、心を大きく揺さぶられるものである。

 親の仇とバッタリ出会った子供が一瞬の驚愕の後、衝動的に仇を殺そうとするように。

 テストで山を張っていない問題が出た学生が、わずかに茫然とした後に、ありえないほど焦燥したりするように。

 十年前、目の前で起きた交通事故で、ザトーが恐怖で何も出来なかったように。

 

 そして今、ライザーと偶然にも出会ったザトーが感じているのは、困惑。

 ただひたすらに「なんでこの人が」という言葉が頭の中に木霊している。

 

 ザトーには自分がここまで戸惑っている理由は分からない。

 彼にとってライザーとは、自分には出来ないことが出来る人。

 少しだけ妬ましさまで感じるほどに羨ましい人なだけだ。

 こうもおっかなびっくりする事が不思議だった。

 

(――って、落ち着け。何やってんだ俺は)

 

 ただ予想外だったからオーバーリアクションになっただけ、ザトーはそう考えて戸惑いを片付けることにした。

 

「……俺は、ザトーです。……ライザーって、あのライザーさんですか」

「ん、俺を知ってるのか?それは嬉しいな」

「決闘スレとかでよく見る名前ですから。……応援してます」

「ありがとう!応援された分まで頑張るさ」

 

 スッ、とライザーから右手が差し出される。握手の姿勢だ。

 ザトーはその右手を見たあとに、恐る恐る自分の右手――赤い腕のエンブリオ【イバラキドウジ】を、ライザーの右手と握らせた

 

「……ライザーさんの恰好で握手って、なんだかそういうイベントっぽいですね」

『ハハハ、……同僚にもよく言われるよ。遊園地にでもいたら正にそれだ、って』

「恰好が、まぁ、その……ヒーローですもんね」

『あぁ、それを目指してるからな』

「――――――ッ」

 

 ザクリ、と心に刺さるような感覚をザトーは覚えた。

【ヒーローを目指している】

 その言葉はザトーにとって、どうにも劇薬染みた言葉であった。

 十年前のあの少年のような勇気も無く、マスクド・ライザーのような強さも無い……少なくともそう思っている本人にとっては、ライザーの意志は少し眩しい。

 

(アホか、ライザーさんは俺とは違う。ただそれだけだろ)

 

 そしてまた、彼は独り相撲にも似た感傷を抑え込む。

 

「――で、話を戻そう。ザトー君。どこか行きたい場所あるんだろ?良かったらそこまで乗せていこうか」

「え、あ、あぁ。……そりゃ嬉しいですけど、良いんですか」

『良いさ。今日は決闘も無いし、この後はクレーミルに帰るだけだ。帰るついでに人ひとり乗せてくぐらいワケないさ』

「……なら、お願いします。場所は、テキス村って所なんですけど」

『ん?』

 

 ふと、ライザーが妙な反応を返した。

 

『テキス村って、……ああ、もうすぐ〈従魔決闘祭〉(・・・・・)がある村か。その手伝いか?』

「……ジュウマ?なんですかそれ」

 

 〈従魔決闘祭〉

 その単語を聞いてザトーは頭に疑問符を浮かべた。

 彼は〈従魔決闘祭〉など聞いた覚えがない。

 『アルター王国において決闘とはギデオンという都市で行われる』

 スレ巡回をした彼が決闘に関して知っている知識はそれだけであったのだ。

 

「決闘って、ギデオンでしか行われて無いんじゃ」

『知らないで村の依頼を受けたのか。じゃあ関係なかったのか。……まぁいいか。これもまた縁だ。俺も詳しくは知らないが、君に教えておこう』

 

 そしてライザーは小さな咳払いを一回した後、ザトーに朗々と決闘祭の概要を語る。

 

 ――〈従魔決闘祭〉とは二年に一度、テキス村という湖近くの村にある、小さな闘技場で行われる催し事。

 主な決闘……というよりも全決闘がテイムモンスターのみで行われていることが特徴である。

 

『まぁザックリ言うならポ〇モンバトルだな』

「身も蓋も糞もない言い方」

 

 人間がテイムしたモンスター同士が戦い合う、なるほど、確かにそうとしか言いようがない。

 ライザーの例えに、ザトーも脱力しながら納得した。

 

「で、なんでそんな決闘がその村であるんですか。ギデオンに似た類の決闘もあるでしょうし、わざわざ闘技場まで作るなんて」

『それも俺は疑問に思うんだが……なんだったか、たしか目的があったんだが……』

「村の振興とかが目的じゃないんですか?」

『いや、そんな理由じゃなかったはず……』

 

 手を顎に添えながら、うーんうーんと唸るように思い出そうとするライザー。

 

「……」

『…………!』

 

 十秒ほど直立不動のまま立ち、ようやく記憶の底から引っ張り出せたようである。

 

『アレは――慰霊(・・)のためだ』

「慰霊、え、まさかのホラー?」

『いや、ホラーかどうか知らないし、何を慰めているかまでは分からないが、確かそうだったはずだ』

「あー、従魔なんて言うんだし、モンスターの慰霊、とかですかね」

『さあ、どうだろう。詳しい理由は村に行った後に聞いてみれば良いんじゃないか?俺より住民の方が知ってるさ』

 

 餅は餅屋。当たり前のことである。

 

「そうですね。確かに、そっちの方が良さそうです」

『そうだな。……じゃあ、そろそろ行こう。バイクだから二人乗りになるけど大丈夫か?』

「あ、大丈夫です。現実で友達に乗せてもらったりして慣れてるんで」

『それは良かった』

 

 〈従魔決闘祭〉のザっとした説明も終わる。

 これ以上の立ち話をしてもあまり意味は無いし、わざわざ助けに来てくれたライザーを、こうしてずっと立たせているのも気が引ける。

 故に、ライザーの誘いに乗って、ついていこうとした。

 だが、

 

「…………あ」

 

 ある小さな疑問が頭に浮かんだ。

 

『どうした、ザトー君』

「あぁいや、関係ないことかも知んないですけど」

『なんだい?』

「どうして、ここに?この場所はライザーさんに縁が無さそうなんですけど」

 

 疑問とは、ライザーの存在。

 目的地までの足を貸してくれるこの店には、ライザーという騎兵にとって需要などはない。

 だから疑問だったのだ。何故ここに彼がいたのか。

 そして何故、自分に声をかけたのか、が。

 

「なんで俺に、声をかけたんですか」

『?』

 

 ライザー自身は「どうしてそんなことを聞くのか」という表情……はマスクのせいで分からないが、そう怪訝に思っていそうな雰囲気であった。

 

『なんで、って言われてもな……。声が聞こえたから、としか言いようがないな』

「……え、誰の声が?」

『君だ』

 

 ライザーはさらりと、そう言った

 

『偶然、歩いていたら誰かの困っている声が聞こえた。だから来てみたんだ。そうしたら途方に暮れてそうな君がいた』

 

『――だったら、助けるのも当然だろ?』

 

 マスクド・ライザーはそう、――当たり前の事をさらりと口にしたのだ。

 

「そんな事が、理由……」

『ヒーローを、目指しているからね。……なんだか気恥ずかしくなってきたな。笑わないでくれよ?』

「……ア、ハハ。俺には無理ですよ。そんな資格無いですし。」

『ん、それはどういう……?』

「ライザーさんは凄いってことですよ。――じゃ、乗せてもらってもいいですか」

『……ああ、わかった』

 

 西門から行くのでついてきてくれ、と行き先を指で示しながら歩き始めるライザー。

 曖昧な笑顔を浮かべたザトーが吐いた言葉、それにどこか釈然としないながらも、ライザーはそれ以上問うことはなかった。

 

 そして、ライザーの後を追うためにザトーも歩き出す。

 その背を見るザトーの目は、眩しい物をみるように細まっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

『――だい、に……とう、たつ』

「……?」

 

 空耳だろうか。

 ふと、地獄の底から響いてきたような、低い声が聞こえた気がした。

 ザトーの声とも、ライザーの声とも似つかない、不気味な声であった。

 

 ザトーは周囲を見回す。

 だが、彼とライザー以外に通行人はいない。目につくものは明りと壁と石畳ぐらいであった。

 

『どうしたザトー君?置いていくぞー』

「あ、今行きまーす!」

 

 気づけば、ライザーとは結構な距離が開いていた。どうやら、声の主探しに少し夢中になっていたらしい。

 

 ただの聞き間違い、そうザトーは考えて疑問を片付ける。

 そして小走りで行きながら、ライザーの元へ合流をし、共に王国の西門へと向かう。

 

 

 

『……たた、かえや、ばかのあほんだら』

 

 ――勝手に蠢く右腕に気付かないまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――着いたぞ、ここがテキス村だ』

 

 幸いに、と言うべきか。

 王国から村までの道中、特に何事も起きずザトーとライザーは無事に目的地に到着した。

 

 あまり舗装されていない道を走り続けたからか、ザトーの尻が痺れるように痛んだ点を除けば、本当に何事も無かった。

 

「尻メッチャ痛……って、ここがですか」

 

 会釈をした後ライザーのバイクから降り、大きく伸びをする。現実のように関節がゴキパキと鳴った。

 そしてめいっぱい深呼吸。土の香りが微かに匂ってくる。

 

「おおー」

 

 

 村を一目見て抱く感想は、のどか。

 遠くに見えるは、森と山の稜線。一面の麦畑。軒を連ねて建つレンガ積みの家々。

 空を遮るようなビル群など影すら無く、ただ、青空がどこまでも広がっていた。

 

「すっげ……」

 

 こうした風景は都会っ子のザトーにとって新鮮だった。

 自然が満ち満ちているこの村は、どうにもザトーにとって縁がない物ばかり。

 そのせいか、ザトーはどうにもこの景色に惹かれがち

 

 しかし、そんな村に似つかわしくない物が二つ。

 

 一つ目は、遠くの森の中に存在する、灰色の「長方形」

 二つ目は、その「長方形」より少し離れて立っている長い柱。

 

 ライザーから借りた双眼鏡を使い、ザトーは「長方形」を観察してみる。

 

 そしてその「長方形」が例の闘技場であることを理解した。

 外観はローマのコロッセオのような、石積みの円形建造物であった。

 コロッセオと違うのは、ヒビや欠けた箇所などが無い事。デンドロにおいてはメンテナンスなども何かしらのスキルで容易なのだろう。灰色の壁石は未だに新品のように滑らかであった。

 

「アレが、闘技場。……デッカ、いやホントにデッカくないですかアレ」

『ギデオンの物と比べたら一回りぐらい小さいんだアレ』

「え、ホントですか」

『ホントさホント』

「マジですかぁ……」

 

 いつかギデオンにも行ってみよう。

 そう考えながら、ザトーは双眼鏡を横に動かして、今度は柱に注視してみる。

 

 闘技場に関係するのかなー、と思いつつ観察していたザトー。

 だが、柱をまじまじと見ているうちに、彼の頭に疑問符が浮かんできた。

 

「……てっぺんに牛の像、柱には……石で出来た狼の頭が大量。え、何アレ」

 

 ――奇妙奇天烈。

 美的センスという言葉に中指を立てるデザインであった。

 目を引いたのはフジツボのようにビッシリと柱の四方を埋める狼頭の数々。

 双眼鏡で見る限り、柱の狼は本物と寸分違わないほどの精巧な作りではあるのだが、いかんせん数が多すぎて異様だ。

 正直ここまでする必要あったのかとザトーが思うほどの過剰装飾であった。

 

 そしてもう一つ妙ちきりんな部分。柱の天辺に鎮座する――牛の巨像。

 側面の狼と打って変わって、こちらは一つのみ。

 石の色そのままに加工されている狼の頭とは違い、牛の像は鮮やかな炎赤色で彩られている。

 容貌は、緩々とした体形を持つ乳牛や肉牛というよりも、筋肉が隆々と盛り上がる力強き闘牛。

 「勇ましい」

 そう思わせるような迫真の像であった。

 

 柱の無数の石狼と、天辺に立つ唯一つの牛像。それぞれは素晴らしく、作り手の技術の高さが窺えた。

 

 ただ、悲しい事に全体的なデザインが壊滅的であった。

 

「なんですアノ、……変な柱」

『……俺にも分からない』

 

 両者揃って、遠くの柱に困惑していた。

 

 

 そして、ザトーとライザーが村の入り口を探していた時、

 

「お~い!お二人さんもしかしてクエスト受けてくれた人か~!?」

 

 ザトー達を呼ぶ声が聞こえた。男の声だ

 声がする方向に振り返ってみれば、村からドタバタと手を振りながら駆けてくる人が見える。

 190センチは優に超えてそうな大柄な男。

 ザトー達の元にたどり着いた頃には息も上がり、汗だくになっていた

 

「はぁー……、はぁー……。……テキス村にようこそ!もしかして俺の依頼を受けてくれた人か!そうだろう!」

「あ、隣の人は違います。クエストは俺だけです」

「そうだったんか!そしても一人だけでもありがたいもんだ!ありがとうな!」

 

 ガッハッハと豪快に笑い、髭面の男はザトーの手を握る

 白い簡素な服から覗く腕は太く、見かけ通り、男の力は強かった。

 

 

 

「いや~まさか!俺のこんなメンドくさい依頼を受けてくれる人がいるなんてな!親切なマスターもいたもんだ!」

「え、面倒くさい?なんですかそれ」

「うん!当たり前だ!なんせ数が数なのに、ベテランだと旨味が少なくて誰も受け無さそうな状況だったんだ!これを面倒と言わずしてなんと言う!」

『ザトー君、……もしかしてクエストの詳細見てないのか?』

「えと、ギルドで見たときは『ティールウルフ討伐』ってしか書かれてなかったんですけど」

「あれ、それだけだったのか?俺、ギルドの姉ちゃんに数伝えたはずなんだけどなぁ!」

 

 ザトーが受けたクエストは【討伐――ティールウルフ】と銘打たれたもの。

 難易度は二。

 それほど難しくなさそうだから受けたのだ。

 だから、依頼主直々に面倒な依頼と言われるとは思っていなかった。

 

『クエストはメニュー欄から詳細が見れる。明確な情報はそこから知れるんだ』

 

 ライザーに言われた通りに操作し、クエストの情報を開く。

 するとそこには

 

『最近、村の近くでティールウルフが大量発生している。弱いモンスターだが、ざっと500匹(・・・・)いるのでこれらを全部(・・)討伐してほしい。後次いでに〈従魔決闘祭〉の運営も手伝ってほしい』

 

 と、書かれていた。

 

「――――――――ん?」

『これは……』

 

 依頼内容はいたってシンプルであった。

『ティールウルフ500匹全部ぶっ倒してくれ。あと、祭りも手伝ってくれ』

ただそれだけ。

 

「だから言っただろ?面倒臭いって!あ、この条件にしたのは村長だからな!」

「――――――」

 

 声も出ない。

 

『……ギルド側があえて見出しを曖昧にしたんだろう。こんな条件で報酬が二万リルは酔狂な輩しか受けないし、せめてもの隠しだったんだ』

「――――――で、俺がそれに引っかかったと」

『そうだね』

 

 次からは気を付けないとな……!

 堅く心にそう誓ったザトーであった。

 

「……でも、まぁ。もう受けたんです。どうせなら最後までやってやりますよ。ええ!」

『良いのか?多分、時間が長くかかるぞ』

「こうなったらとことんやりますよォ!」

 

 半ばヤケクソである。

 

「畜生やったらぁあああ!」

「おう頼むぜマスターの兄ちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジョンスミスの旦那ぁ。ザトー君、テキス村に行きやしたぜェ」

「そうかそうか、嬉しい限りだ。これでやっと彼を使ってゲームが出来る」

「〈従魔決闘祭〉でしたっけぇ?そこで色々遊ぶんだよなぁ」

「楽しくなるといいな」

「あぁ、絶対面白くしようなぁ旦那ぁ。——なんせ上手くいけば辺り一面焼け野原(・・・・・・・・)だもんなぁ!」

「——ま、上手くいくかどうかは手駒しだいだ。私たちは傍観者気分で茶でも飲んでいようじゃないか」

 

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