閣下改竄   作:アルカンシェル07

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第2話 Boy Meets Girl

第2話 Boy Meets Girl

 

0day

 

□第2決闘場 【悪魔騎士】ローガン・ゴールドランス

 

 廊下を歩いて行く。

 あの闘技場での勝利に浸りながら、帰路に就く。

 

 「ん?」

 

 俺の体が光り、合一形態をとっていたルンペルシュティルツヒェンが、人の形をとりアポストル形態に移行する。

 ああ、そういえば勝ってからずっとこのままだったな。

 

 「おめでとうございます主様!これで決闘ランキングに挑めますね」

 「ああ、そうだな。いま勝率高いのは3勝のミックだったか?それならあいつらが決闘ランキングに食い込む頃にはもっと上にあがっているだろうな」

 

 逃げる積りはあまりないが、おなじ〈マスター〉同士の戦いでは思った以上に苦労する。

 それならレベルが倍以上高いティアンを相手にした方が楽だろうな。まあ超級職もち相手はごめんだが。

 あいつらが登って来る間のアドバンテージを利用して出来るだけ早く上に行かないとな。

 

 

 通路から出て第2小決闘場のロビーに出る。

 ただし、このまま帰ることはしない。

 俺はロビーの受付へ足を向ける。

 受付は腰の高さまでの大理石のような光沢をもった石でできている。

 そこに二人いる女性の片方を選び、その前まで歩き話しかける。

 

 「すこしいいか?」

 「はい、なんでしょうか」

 「決闘ランキング予選を通過したローガン・ゴールドランスだ。確認を」

 

 受付をしている女性は、俺の顔に気付いたのか顔を下げて受付のしたでガサゴソとなにか探った後、顔を上げる。

 

 「はい、確認終了いたしました。ローガン・ゴールドランス様と確認いたしました。決闘ランキング予選突破おめでとうございます。今回こちらに来られたのは決闘ランキング30位の座をかけたランキング戦に挑戦されるのでしょうか?」

 「ああ、当然だな。決闘開始日は最速で頼む」

 

 おおよそ想像がついていたのか、俺の返事を聞く前から受付の下から書類を探していたようだ。

 俺がいい終わるのと同時に下から書類を取り出して、目の前に出してきた。

 

 「どうぞ、ローガン様。こちらが30位への挑戦用の書類になります。眼を通していただいてから署名をお願いいたします。30位への最速ですと明日になりますね」

 

 言われた通り、一応目の前に出された一枚の紙に目を通しておく。

 その紙には『決闘ランキング挑戦用』という題名と、各種注意事項がかかれている。

 注意事項にはこれまで10回連続で読まされてきた、決闘ランキング予選のそれとほとんど変わらない。

 基本的な設定であるレベル50以上である、や決闘ではアイテムを使えないなどのものから、各種さまざまな注意事項が書かれている。

 変わっているのは一部付け加えられているランキング戦に関する物、そして一部削除されている決闘予選に関する記述のみ。

 付け加えられているもので、一番目を引くのは『30位への挑戦に失敗した場合、決闘予選からやりなおす』というもの。

 つまりこの次の戦いに負けてしまえば、ミック達と同様に決闘予選から勝ち数0でやり直さなければいけないという事。

 負けるつもりもないし、負けるとは思わないが、それでも負ける事は出来ないということだ。

 俺は再び覚悟して、書類に自分のサインをする。

 

 「はい、これで受け付け終了いたしました。次回のローガン様の決闘は明日の12:00より第2小決闘場で開催されるセミイベントになります」

 「よし、これで受け付け終了だな。明日の12:00か、少し早いな、だが願った通りだ」

 「はい、ですが明日のこの時間となると遠くまでモンスターを狩ることは出来ませんね……。精々が皇都近郊でモンスターを倒すことができる位ですね」

 

 今の合計レベルは60。

 特典武具を手に入れてから、なるべく早くレベルを上げられるようにモンスターを倒しまくっていたから10日ほどで【悪魔戦士】がカンストし、それからさらに5日間で【悪魔騎士】のレベルを10まであげる事ができた。

 ここまで早くレベルを上げる事ができたのは、二つ目のジョブでレベルが低いうちなので、結構早くレベルを上げる事ができたからなのであろう。

 決闘の予選や教導が無ければもう少しレベルを上げる事も出来たかもしれないが、今はこれでいいだろう。

 さて、受付は終了した。これからどうしようか?

 

 「シュテル、決闘場から出るぞ。明日まで出来るだけ近くの狩り場でモンスターを倒しまくるとしよう」

 「はい、お付き合いします主さ……?」

 

 ん、どうしたんだろうか?……っと。

 

 「よっ!ローガン、予選勝ち抜けおめでとうさん」

 

 背をポンっとたたかれ、振りかえった先にいたのはミックだった。

 そしてミックだけではない。

 さらに二人。

 一人は男。

 俺が先ほどまで戦っていたガードナー使いの〈マスター〉であるブルーノ。

 こいつはやれやれというような表情をしながら、ミックに文句を言わず付き合っているようだ。

 一人は女。

 俺たちと同様に初期に決闘を行う事を選択した〈マスター〉。

 名前は七咲桜火。

 蛇腹剣のアームズを〈エンブリオ〉とする典型的な戦士タイプ。

 こいつはニコニコとしながらミックについてきているようだ。

 

 「どうしたんだ?珍しいなお前たちが一緒に居るとはね」

 「先ほどぶりですねミック・ユース。やはり主様が勝ち抜けすることができましたね、あなたがランキングにあがって来るのをのんびりとお待ちしていますよ……一応は」

 「シュテル……お前は本当にブレないな。まあいいや、実際ローガンの勝ち抜けを祝福しに来たんだからな。このあと一緒にメシでも食わねぇ?」

 「と、言われてこのボウズに連れてこられたわけだ。まあ、ワシに勝った祝いをするというのも一興か」

 「そうですねー。勝ち抜けなかったのは悔しいですけど、それでも同期の勝利は祝いたいのです」

 

 ……すごいな。

 負けたうえで、他人を祝福できるのかこいつらは。

 俺に出来るか…………いや、できないな。

 俺には他人を祝福できない。

 他人が自分より上回っているのを許容できない。

 たとえ今上回っているとしても、ソレを認めずにすぐに上回ってやると思うだろう。

 ………俺もそう思えるようになれば変わるのだろうか?思えるようになるのだろうか>

?もしおもえたら■■■■■だろうか……っつ。?なんか一瞬頭が痛くなったな、一体なんだったんだ?

 

 「?どうしたんだローガン、頭を手で抱えて」

 「…ああいや、なんでもない。気にしないでくれ」

 「それじゃあー、食事処に行くとしましょうか、私はおなかがペコペコなのです」

 「そうだな。そんで、ドコにいくんだ?ワシゃああんまハイカラな所は御免被るぞ」

 

 どこかに一緒に飯に行くのは決定なんだな。

 まあ、いいが。

 

 「なら、和食か?でも、天地ならいざ知らずこのドライフ皇国に、和食屋があるともおもえねぇんだが」

 「おお!和食か、実はワシはこの年になるまで、和食といったものは食ったことが無いんだわな」

 「へー、そうなんですねー。私も懐石料理とかは食べたことなかったですけど、日本食おいしいので、お勧めなのです」

 

 懐石料理なんて食べる機会なんて俺も生前含めてなかったからな。……親に連れられたことなかったしな。

 日本人でも食べたことない奴は多いだろうしな。

 

 「まあ、和食でも構わねぇけど、ワシが食べたいのは要はあんまり飾ってねぇものってことだな」

 「じゃあ、普通のレストランか?別にそれでもいいぜ、俺もあんまり飾ったものは好きじゃねぇからな」

 「私もそれでいいのです」

 「ああ、俺もそれでいいぞ」

 

 レストランに行くことが決定する。

 それでさらにどこに行くか?と、いうことになり、そこでミックが名乗りを上げた。

 そして、ミックの行きつけの所に行くことになった。

 

 

 「うん、やっぱここの料理はうめぇな」

 「そうですねー。やっぱりお金をかけなくても、おいしいものはおいしいのです」

 「いいものだな、こういうものも」

 「うむ、ジジィにはこのくらいでいいな。あまりコテゴテしいのは好きではないからの」

 

 あれからミックの勧めるレストランで食事を楽しんだ後、外に出てお互いに思い想いの感想を述べ合った。

 

 「そういえば、ブルーノさん。ワンちゃんはどうしたのですか?私も触れあいたいのです」

 「ん?クーか。あいつはワシの紋章の中におるぞ。あいつは基本大きいから、街中で出すのには向かん」

 「そうですかー、ふれあえないのは残念なのです」

 「まあ、外に出る事になったら、あいつに触らせてやるさ」

 

 やったー、と喜ぶ桜火を見ながら、ぴょんっと跳びはねた。

 ブルーノはそんな桜火を見ながら、暖かい目で見ている。

 

 「くっくっく、それにしても『クー』ねぇ。その名前で犬型のガードナーってことは、名前が2択位にまで絞れるな」

 「ん?どういうことだ。犬型の『クー』?」

 「っち、失言だったか。まあいい、いずればれただろうからな。ああワシのガードナーの名前は『クー』だ。そう呼んでくれ」

 「クーちゃんかぁ。可愛い名前ですね!……それでその2択って何なのです?」

 「お?分らないってことは、桜火って英語圏じゃなさそうだな」

 「まあ、名前からして日本人っぽいが……」

 

 そういうってことはミックは日本人じゃないのか……

 まあ、たしかに友人たち含めて日本人っぽくなかったしな、欧米の人間ぽい気はする。

 

 「分らないので、あとで調べておきましょうか。それじゃあ、いつか触らせてもらえる日を待っていますね。わたしはそろそろログアウトしなければならないのです」

 「んむ?ワシもそろそろ検診の時間だな……ログアウトさせてもらうとしよう」

 「おーそうか。じゃあまた決闘場でな!」

 「ミックはまだログアウトしないんだな。まあ俺もしないんだが」

 「はい、それではおさらばです。ブルーノそれと七咲桜火。主様と決闘場であうのがなるべく遅くなればと思います」

 

 おいおい。少しきついぞシュテル。

 

 

 その後、少し喋った後、ブルーノと桜火がログアウトをして、俺とミックそれとルンペルシュティルツヒェンだけが残された。

 

 「さてシュテル。俺たちも外に狩りに行こうか」

 「はい、そうですね主様。それではミック・ユース。あなたともお別れですね」

 

 そう言ってミックに別れを告げ、外へ行くために門のある所まで足を向けようとした時、ミックはあわてて俺とルンペルシュティルツヒェンの肩をつかみ、足止めさせられた。

 

 「ストーップ。ちょっ、待てよおい。なにさらっと別れようとしてんだよ!」

 「いや、別にこれ以上何かすることはないだろう?」

 「どうしたんですかミック・ユース。まだ主様に用事があるというのですか?」

 

 ミックは俺たちの肩から手を外し、腰に当ててからため息をつく。

 

 「はぁ、いや結構前にだけど言っていただろ?俺のリアフレが一緒にパーティーを組めるようになったらお前も誘うって。今日は午後からあいつらが全員時間できるから誘おうと思ったのに、いきなり別れようとするなよな」

 「ん?あーそういえばそうだったな。レオンとキャロルには会った事あったが、全員で集まるのは初めてだな」

 

 そう、前々からミックにパーティーを一緒に組まないか?と誘われていたんだが、誰かしらの都合が合わずに今日までその日が来ることはなかったのだ。

 レオンは初日のあの忌まわしい事件の時に、キャロルは何度かミックと一緒にあっているが、あと一人はまったく会ったことがない。

 それで、今日やっと全員が一緒に行けるようになったという事か。

 

「それは分ったが、だからと言って行ってくれなければ、分るわけないだろう?」

「まあ、サプライズしようとしたのは、こっちが悪かったけど、だからと言っていきなり別れようとすんなよなー」

「それは分りましたが、あなたの友人はいつこちらに来るのですか?あまり無駄な時間を使うようでしたら、主様にとって迷惑です」

「あー、あともう少しだな。っとレオンからだ、中央広場で待つってさ。そんじゃ、行こうぜローガン、シュテル」

 

 強引だな。まだ行くとは言っていないんだが。

 まあレベル上げなら全員で言った方がいいのか?

 だが【悪魔騎士】はパーティーには向かないんだが、そこのところは分っているのかどうか。

 【悪魔騎士】には従属キャパシティがまったくないため、《師団》スキルを使わないならパーティー枠に入れるしかない。

 5人パーティーなら、あと1体しか召喚できないのだ、それでは【悪魔騎士】の意味がないと思うんだがな。

 そこの所、ミックを含めたパーティーメンバーがどう思っているのか、ミックに聞いてみるとしようか。

 ちなみに余談の一つだが、《師団》スキルは《旅団》の上位スキルで《軍団》の下位スキルであり、その効果は初期値で50体の悪魔を収容可能なスキルだ。

 

 「んー、俺は別にかまわないと思っているんだが、他の奴がどうかってことか。

レオンはとりあえず文句は言わないな、あいつは基本的にこう言ったことでは文句は言わねぇからな。むしろ敵を押さえつけるタンクの役割を担えるやつが増える事に喜ぶんじゃねぇか?

  アンジェラのやつも文句は言いそうにないな。基本的にそこまで細かく言うやつじゃないし、むしろそれをうまく使ってやろう!ってタイプだな。

  キャロルは……すこし文句を言うかもしれないけど、まあ気にするな。そもそもあいつ自身がパーティープレイに向かないタイプだしな

  だからまあ、気にするな。多少効率が悪くなる位なら、パーティーの人数が増える事にくらべれば些細な問題だからな。それにキャロル以外はまだ下級のままだし」

 「ああ、そういえばキャロルだけは上級職なのか」

 「ついこの前、上級職に付けたからな。俺はこの通り、二つ目のジョブで下級職を選んだし、レオンとアンジェラはまだまだレベルが低いしな」

 

 そういえばレオンはリアルが忙しくてあまりログインできないとかいっていたか。

 だが、アンジェラもなのか?

 前に聞いた限りだと、そこまで忙しそうではなさそうだったんだが。

 その事について聞いてみる。

 

 「あいつは最初から下級職をふたつとっていたからな。戦闘用の【工兵】と生産用の【技師】をふたつとっているからな、俺たちとは別行動で【技師】のクエスト受けたりしているし、その分合計レベルは俺たちより高いけどな」

 

 なるほど、戦う生産職というわけか。

 フランクリンのやつのように生産一本というわけではなく、生産したもので前線に出て戦うというところか。

 

 

 そう、しゃべりながら歩いていると、目的地である皇都中央の大広場にたどり着く。

 いまもなお、上空から降って来る人間がいるほど、人にあふれているがミックの友人がどこに居るのか分るのだろうか。

 と思っていたがどうやらミックは見つけられたようだ。もしかしたら〈エンブリオ〉のスキルで人を探すスキルでも習得したのかもしれない。

 

 「おっ!あそこだな、行こうぜローガン」

 

 ミックに手をひかれて、人ごみを抜けた先には3人の人間がたっていた。

 なお、シュテルは置いていかれているが、〈エンブリオ〉であるアポストルなら場所はすぐわかるだろうから気にしてはいない。

 

 「遅いのですよ☆待ちくたびれました」

 

 そう言って文句を言ってきたのは一人の少女。

 年齢は10歳前後、身長は120cmほどのピンクの長髪をふわっとさせていて、その瞳には星のマークが輝いている。どうやら最初のキャラエディットの中にはそんなものもあったようだ。

 服装はこれまたふわっとしたピンクと白の洋服。あえていうなら魔法少女系というのだろうか。生前はよく見ていたあの長寿シリーズのキャラを思い出す。

 名前はキャロル☆キャロライナ☆キャロライン。

 愛称はキャロと呼んでほしいそうだが、そこらへんは無視してキャロルと俺たちは読んでいる。ちなみに俺の知る限り唯一のルンペルシュティルツヒェンが、名前?のみで呼ぶ相手だ。

 

 「まあ、いいんじゃないのかねぇ。そこまでにしときなよキャロル。んであんたさんが、ローガンかい?はじめましてだね」

 

 そう言って仲裁しながら挨拶をしてきたのは初めて会う女性。

 年齢は……30近く。身長は180近くあり、顔にはバツ印のようなやけどかなにかを模した傷があり、筋肉がよくついている。

 服装はスーツをはおっており、どこぞのギャングのようだ。

 名前はD・A・D(デッド・エンジェル・デスペラード)

 愛称はアンジェラと呼んでいる。名前からしたら少し異なると思うのだが、リアルがそういう名前なのだそうだ。

 だがゲーム内でリアルの名前を言っていいのか?ともおもうが、ゲームの中のこいつとリアルを結び付けられっこないとかで、そう呼んでいるらしい。

 

 「ははは、まあとりあえず、挨拶は不要なようだし、これから外にモンスターを倒しに行こうか」

 

 そしてこいつが初日にもあったレオン。

 いろいろと気苦労があるようで、苦笑している。

 

 「それで今日はどこまで行くのです?キャロはともかく☆レオンはあまりながくいられないのです」

 「そうだなー、ローガンも明日試合があるみたいだし、今日は顔合わせ的な意味合いが強いしな。とりあえずはなるべく遠出しないようにだなー」

 「それなら、〈カルリッサ平原〉はどうかな。今日は夕方までそこまで出向いて、夜の間モンスターを狩りまくる。そして朝になったらこっちに戻ってくればいい」

 

 〈カルリッサ平原〉か、少し遠いな。確かここから西に向かって数時間かかったはずだ。

 それにその計画にはひとつ問題がある。

 

 「夜の間にモンスターを狩るという話だが、暗い中だとモンスターを倒すのもきついだろう。それでは効率が悪い」

 「ん?ローガンおまえレオンから〈エンブリオ〉の事について聞いていたんじゃないのか?」

 「僕とローガンが交換し合ったのはお互いの〈エンブリオ〉の名前だけだからね。能力に関しては秘密にさせてもらっていたよ」

 

 そうだな。とはいえ、ミックにはルンペルシュティルツヒェンの《偽証》の事に関しては話してしまっているから、伝手で聞いているかもしれないが。

 そうなると、こっちもレオンの〈エンブリオ〉。たしか、ラーだったか?それの詳細を知りたいな。

 

 「ふむ、それで一体どういうスキルなん……」

 「そんなのは後でいいでしょ、今はとにかく☆レッツ、ムーブだよ!!」

 「ま、キャロルのいうことも一理あるさね。時間は金なりだよ、歩きながらでも話しは出来るんだからね」

 

 そういう、女性二人に押されて、会話が中止されてしまう。

 しかし、細かい話し合いが移動途中でも出来るというのも確かなので、俺たち6人は連れだって〈カルリッサ平原〉へ向かう事にしたのだった。

 

 

◇◇◇

□〈カルリッサ平原〉 【悪魔騎士】ローガン・ゴールドランス

 

 途中、レオンのAGIバフを受けながら、道中の敵を倒しながら進み、3時間がたった頃には〈カルリッサ平原〉にたどり着いていた。

 

 「とー☆ちゃーく」

 

 キャロルが跳びはねながら長い道のりが終わったことを喜ぶ。もっとも帰り道があるのだが、その事については考えないようにしているらしい。

 

 「さて☆これからかりまくるのですよー」

 

 そう言って、左手の3つの輪が交差している紋章から、一本の杖を取り出す。

 あれがキャロルの〈エンブリオ〉なのだろう。

 会ったことは数度あるが、一緒に戦闘をしたことはないのでどのような力を持っているのか想像できない。いや、魔法系であることは分るが、恰好からして。

 

 「そうだな、狩りの始まりだ」

 

 そう言って、地面に手をつく。

 アンジェラが触れた地面は湖の波紋のように波を打ち、その波紋の中から銃が2丁出てくる。

 あれがアンジェラの〈エンブリオ〉だろうか?

 

 「はあ、すこしくらいのんびりしてもいいんじゃないか?」

 

 そういって、右手に持っていた杖の〈エンブリオ〉を掲げる。

 その杖は金色でできており、身長程の長さをもつ柄で、下方の先端に4つにわかれている二つのU字を交差させたような意匠があり、上方には宝石のような部分から大きな翼の意匠と、大きな金属の球体がついている。

 初日に見た形と変わらないその杖の名は、【太陽獣杖ラー】。

 ここに来るまでにその〈エンブリオ〉の能力の一端はみているが、Type:アームズの中でも変わっている〈エンブリオ〉のひとつだろう。

 

 「それじゃ、いくよ。《太陽は獣に変わる》モード:アリエス」

 

 レオンの掲げた杖が変化する。

 その変化は、先についている金属の球がはずれ、宙に浮くこと。

 そしてさらにその球体が、まるでロボットの変身音を響かせて、新しい形に変わる。

 その形は一体の金属でできた羊。ラーの形態の一つであるモード:アリエスだ。

 移動中に聞いた話では、ラーは金属球が3種類のいずれかのガードナーに変化するタイプらしい。

 そしてその変形した3種類のガードナーはそれぞれに異なる力を持つ。

 アリエスの力は状態異常特化で3種類の状態異常を使用することができるらしいが、いま重要なのはアリエスのもう一つの力。

 

 「アリエス、《夜の住人》発動」

 

 それと同時に俺たちパーティーメンバー全体にスキルがかかる。

 日が暮れて、暗くなってきているとは思えないほど、周囲が明るく見える。

 それが《夜の住人》の効果らしい。効果としては、全員に《暗視》効果がつき、そして夜の間中味方全員に各種耐性スキルがつくというもの。

 耐性はあって困る物でもないし、なにより《暗視》効果はうれしい。

 

 「うっし。それじゃあ狩りをしようぜ!」

 「「「「おう!」」」」

 

 ミックの号令を聞いて、俺たちはモンスターを倒すべく動き始める。

 ルンペルシュティルツヒェンも合一形態になっており、いつでもスキルを使用することができる状態にしてある。

 今回の俺の役割は、遊撃と回避タンクの召喚。

 ここに来るまでに俺がやる役割を話あい。それによって、俺が召喚する悪魔も決定された。

 単体戦闘能力の高い《ナイト》ははっきりいって、費用対効果が最悪だ。

 だから今回はコストが低く、1体のみが召喚され、かつ相手を撹乱することができる悪魔を召喚する。

 

 (スカウト・SA)

 「《強化召喚》“斥候よ”《コール・デヴィル・スカウト》」

 

 呼び出されたのはポイントとSTR・AGIを3倍化させた《スカウト》。

 召喚数はいらなく、召喚時間はさすがに妥協する。

 そして、自分のステータスも高める事は忘れない。

 

 「《融合召喚》“斥候よ”《コール・デヴィル・スカウト》」

 

 俺の体を闇色の光が覆う。

 先ほどと異なり、ポイントと召喚時間、そしてAGIを3倍化させる。

 召喚時間を延ばすのは《融合召喚》の効果時間が、召喚スキルの召喚時間と同じだからだ。

 

 さあ、行こうか!

 

 

 あれから4時間近く狩りを続けてた。

 合い間に移動をはさんだとはいえ、かなりの間モンスターと戦い続けていたことになる。

 レオンの「一度、ちゃんと休憩しようか」という提案に全会一致で可決され、俺たちは見晴しのいい〈カルリッサ平原〉の真ん中で、レジャーシートを敷いて座って休憩をすることになった。

 

 「はぁー、疲れた疲れた。そんじゃあ今日の結果でも確認いたしますかね」

 

 そう言ってミックはシートにごろんと寝そべりながら、ウインドウを開いているようだ。

 レオンはこのあたりの地図を開きながら、「こっちがいいかな?それともこっち?」とか言いながら、次の狩り場所について考えている。……他の連中がモンスター討伐一直線だからそういう細かい雑事が全部レオンに降りかかっているんだな、お疲れ様とだけ労っておくぞ。まあ変わったりはしないんだが。

 キャロルは特になにをするでもなく、上を見上げてのんびりとしている。というよりは星でも眺めているのだろうか。

 アンジェラは……湖の波紋に手を突っ込んで、なにやら操作をしている。狩りの途中で聞いた話だと、アンジェラの〈エンブリオ〉はどうやら銃ではなく、あの湖の波紋のみであるということ。

 銃器や機械類の性能を高める改造生産スキルを保有しており、〈エンブリオ〉の名前はマーキュリー・アンド・ザ・ウッドマンというらしい。ずいぶん長い名前だな。

 この戦いの最中に一度使った、《シルバー・バレット》というスキルもその〈エンブリオ〉による改造でついたものらしい。

 さて、他の人間のことはこれくらいでいいだろう。俺も自分がどう変わったのかを確認しようか?と思い、ウインドウを開こうとして………

 

 「よっしゃぁーーーーー!!!」

 

 そんなミックの大声に中断させられた。

 

 「っ、うるさいですよミック☆何があったというのですか?」

 

 キャロルは耳を押さえてミックに対して文句を言う。

 それくらいの大声だったというわけだ。

 だがミックはその文句に対して、謝るのではなくウインドウを可視化させてこちらに見せてきた。

 そしてそこに表示されていたのは――

 

 「俺の〈エンブリオ〉が第4形態に進化したぜ!」

 

 ――ミックの〈エンブリオ〉が上級に上がったことを示すものだった。

 

To be continued

 




余談1:ラー
   【太陽獣杖 ラー】
    type:アームズ・ガードナー
    特性:獣変化
固有スキル1:《太陽は獣に変わる》
固有スキル2:《■■は獣に変わる》

(=○π○=)<レオンの〈エンブリオ〉
(=○π○=)<隠したいタイプではなかったので、最初から名前だしてたやつ。
(=○π○=)<ついでにスキルも隠すものでもないのでアンジェラともどもここで紹介。
(=○π○=)<保有スキルは一応ふたつ。ただし一つ目の固有スキルが3種類のガードナーに変化することができるタイプなため、実際は結構多いともいえる。
(=○π○=)<変化タイプは以下の3つ。

モード:ファルコン 《???》バフスキル《???》
モード:スカラベ  《???》デバフスキル《???》
モード:アリエス  《太陽は死と旅をする》状態異常スキル。《夜の住人》暗視+各種耐性スキル。

(=○π○=)<見ての通り、かなりスキルがおおくて、リソース面がカツカツ。
(=○π○=)<一応、レギオンとしてではなく。ひとつのリソースをいろんなタイプに変化させるという方法をとっているため、すこしリソース面は余裕がないわけでもない。
(=○π○=)<当然というかなんというか、ステータス補正が死んでいる。


余談2:マーキュリー・アンド・ザ・ウッドマン
    【錬換金湖 マーキュリー・アンド・ザ・ウッドマン】
    type:キャッスル・テリトリー
    特性:銃器類改造
固有スキル1:《あなたが選んだのはどっち?》

(=○π○=)<D・A・Dの〈エンブリオ〉。金の斧。
(=○π○=)<実はかなり最近まで邦題とどっちがいいかずっと悩んでいた
(=○π○=)<邦題の方が短くて分りやすいけど、かっこわるい。
(=○π○=)<こっちは長いけど、かっこいい。
(=○π○=)<んで、アンジェラの必殺が戦闘中に発動するものでもないため、かっこよさ優先でこっちに決定。
(=○π○=)<スキルは湖の中(エンブリオの中)に入れた銃器に、《ゴールド・ラッシュ》か《シルバー・ブレット》のいずれか一つのみを付け加えるスキル。
(=○π○=)<ちなみに付け加えないで、そのままとりだせば、銃器保管用の倉庫にもなる。
(=○π○=)<付け加える二つのスキルはどっちも、使用するとその銃器が壊れるもろ刃の剣。使うたびにお金が無くなっていくタイプのスキル。
(=○π○=)<《ゴールド・ラッシュ》はその銃器・機構を強化するスキル。
(=○π○=)<《シルバー・バレット》はその銃器に特殊な弾を装填するスキル。
(=○π○=)<詳細はおいおい。
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