第5話 悪魔戦士ギルド
□皇都中央広場 【悪魔戦士】ローガン・ゴールドランス
この世界に初めて来た時と同じに、この皇都に戻ってきた。
俺の手の甲の紋章から光の球が出てきて、人の形をとりルンペルシュティルツヒェンとして現れる。
「主様、この世界にお戻りいただけて嬉しいです。主様?どうしたんですか主様!」
ログインしてからすぐ、俺は跪き右手で喉を押さえる。
『デスペナから復活したわけではなく、ログアウトからの移動だけだから治らない』
この状況を簡単に心の中でルンペルシュティルツヒェンに説明する。
ステータスを開き自分のHPを確認すると、残りがかなり少ない。
さらに喉頭外傷と出血の二つの状態異常が出ている。
喉頭外傷はおそらくこのとおり、うまく喋れなくなる傷痍系状態異常だろう。
だが今の問題はもう一つの状態異常。
出血は基本的に大した状態異常じゃあない、出血に応じてHPが少しずつ減っていくというのは高レベルでHPの高い人間からすれば何も問題のない状態異常だ。
ただし俺のHPがあと残り少ない状況であるこの場合はこの状態異常は俺への死の宣告に等しい。
これも食糧と一緒に回復薬等も買わなかった俺のせいだ。
だが今はそんなことを反省する時間も無い。
約束された死が2秒後に迫ろうとして……。
「ファースト・ヒール」
俺の体が光り、HPが全快する。
「これは……」
「助かったのですか?主様」
周囲に居た人間の中からこの中央平場に跪いたままの俺に一人の男が近づいてくる。
「大丈夫だったかい?緊急時らしかったから辻ヒールさせてもらったよ」
その男は初心者の服にこのレベル帯ではあり得ない程の意匠をした杖を持っていた。
年齢としては20代ごろだろうか、茶色の肩まで伸びた髪に赤い瞳をしている。
容姿としては結構いい部類に入るだろう。
最も自分の容姿を自由に設定できるこの〈Infinite Dendrogram〉ではリアルの容姿の保証は出来ないのだが。東方の一カ月キャラメイクのような人もいるだろう。
「ああ、ありがとうな」
「主様を助けていただいて有難うございます」
俺も立ちあがって、その〈マスター〉らしい男にお礼を言う。
「そうか助けた甲斐があってよかったよ。この程度お礼をされるほどのことでもないし、回復魔法の練習にもなったしね。僕の名前はレオン・アーノルドだよ、よろしくね」
「よろしくなレオン。俺の名前はローガン・ゴールドランスだ」
「私は主様のエンブリオのルンペルシュティルツヒェンです」
「へえ君はエンブリオだったのか。男性のガードナーなんて初めて見たよ、モンスターっぽくないんだね」
「私はガードナーなどではなく、Type:アポストルwithテリトリーです。ガードナーなどとは一緒にしないでいただきたい」
どうやらレオンの言葉がルンペルシュティルツヒェンの琴線に触れたようである。結構真剣な表情でレオンに訂正を求める。
まあ、アポストルなんてそうそういないからな、ガードナーと誤解されても仕方ないだろう。
それとかってにカテゴリーをばらすなよな。
『あっ!申しわけありません。私のことをガードナーと同一に見られたのでつい明かしてしまいました』
「えーと、ごめんね間違えてしまって。でもアポストルなんてカテゴリーがあったんだね、最初のチュートリアルで教えてもらえなかったからレアカテゴリーだよね?僕のは普通のアームズだからそういったレアなエンブリオはうらやましいよ」
自分のエンブリオに後悔はなさそうだが、少しだけうらやましそうにする。やっぱり、ゲーマーなのであろう。
「やっぱその杖がアームズのエンブリオなのか?」
一応気になったので聞いてみる。
「ああ、そうだね。まあこっちもそっちのエンブリオの名前を聞いちゃったから教えてもいいかな、【太陽獣杖ラー】それが僕のType:アームズのエンブリオだ。能力に関しては…明かさなくていいよね?お互いにまだしゃべっていないし」
「そうだな、俺もこいつの能力を教える気はないし、ゲーマーなら情報の秘匿は当然だろう」
俺もその言葉に同意する。知られてしまったり、推測されてしまう事は防げないが原作のローガンのような他者に能力をばらす行為をする気はない。
「おーい、レオンまだなのかー」
周囲の群衆の中から若い男の声が聞こえる。
群衆の中からひょこっと赤い髪の少年が顔を出してこっちをみて手を振っている。
レオンを呼んでいるようだ。
「ああごめんフレンドを待たせているんだ。これで別れるとしようか」
「そうだな、そうしよう」
そういうとその後、俺たちはフレンド登録して別れた。
◇
「主様、これからどうなさるのですか?」
「とりあえず、悪魔戦士ギルドにいってみるとするさ。ジャックからメモを貰ったからな」
そう言い、アイテムボックスからメモを取り出しひらひらとルンペルシュティルツヒェンの前に出して見せる。
クエストにも興味があるし、聞いておきたいこともいくつかあるからな。
そうして俺は悪魔戦士ギルドに向けて足を踏む出す…が、そのとき腹がぐぅと音を立てる。
「ああ、そういや飯食っていなかったな」
「そうですね、結構おなかがすきました」
「これはギルドに行く前に、腹ごしらえだな。どこかのレストランに入るとするか」
腹を押さえながら、レストランを探しだしそこで食事をすることにした。
会計は400リルだった。結構したな、残りは後600リルか。
食事を終えた俺たちは、再び悪魔戦士ギルドに向かって歩きだした。
ちなみにルンペルシュティルツヒェンの食癖は「お肉を食べない」だった。菜食主義者なのかな?
◇
ジャックからもらったメモを見ながら、道を歩く。
今歩いているのは人通りの少ない裏道。
ところどころ窓が割れていたり、地面の舗装がはがれていたりと少しばかり治安が悪そうなイメージがする。
歩きながら道中に存在する家屋をみていくと、盗賊ギルドや暗殺者ギルドや毒薬師ギルドなどの看板が見て取れる。
やはりこの道に存在するのはそういった暗い部分もあるジョブを取り扱うギルドなんだろう。
たまに浮浪者や目元深くまでローブをかぶった怪しい人間とすれ違うし、死体らしきモノも時折見れる。
はっきり言って心臓に良くはない。
原作のローガンがどうだったかはよくはわからないが、俺はこういったダークな雰囲気に気後れしてしまうタイプだ。
ローガンへの憑依転生ではなく普通に転生していたらまっとうな【戦士】とかに就いていただろう。
内緒話ではあるが昔プレイしたゼルダの伝説の時のオカリナというゲームで闇の神殿が怖くてクリアを諦めたことがあるほど怖がりだった。
今は改善しているとはいえ、理由も無くそういったものに進んでかかわる気はなかった。理由ができてしまったのでこの道を進むしかないが。
「結構、治安が悪そうですね主様。正直に言うと、いつ主様が悪党どもに襲われないかとこの道に入ってからは常に不安に駆られています」
二人して歩いていた途中、ルンペルシュティルツヒェンがそんなことを言う。
なるほど確かにそんな懸念が無いわけでもない。
だがおそらく大丈夫だろう。
「おそらく、襲われないさ俺たちは〈マスター〉だからな。ただの子供なら襲われているだろうが、常識外の力を行使する〈マスター〉を相手に向かってくる犯罪者はそうは多くない、もし襲って来て死んだとしても3日後に復活して報復してくると考えれば大抵のやつは襲撃を諦めるだろう。それでもなお襲ってくるとしたら、そいつは自分の実力に自信がある熟練のティアンか、自分の実力も俺たちを襲ったらどうなるかということもわからない愚か者か、俺たちと同じ〈マスター〉くらいだろう」
一息に俺たちがなぜ襲われないかを説明する。まあこういった説明は原作を読んだからこそわかる事情なのだが。
ルンペルシュティルツヒェンもなるほど、と頷くと懸念が晴れたのか少し気楽になったようだ。
絶対に襲撃されないとは思っていないようだが……それでいい、絶対に襲撃されないというわけでもないので、そんな慢心をして襲撃死などしては笑えない。
俺とて、そう言いながら常に周囲に気を配っているわけなのだから。
そんな気を配っていたわけだが、幸か不幸か、まず幸の方であろうが襲撃などなく、何事も起こらず悪魔戦士ギルドの本部にたどり着いた。
ギルドは地下に存在するらしく酒場の横に設置された地下へと続く階段を降りると、鉄の門があった。
合図はいらないのかな?と思いながら、意を決して鉄の扉を開けるとそこには、大きな会堂があった。今居るのは2階部分で飲食をしたり談話している人がいる。
どうやら酒場部分のようで、宿泊施設などにはなってなさそうだ。
下に降りる階段を見つけ、広い会場のような部分に移動する。
どうやらこの部分が悪魔戦士ギルドの本部に当たる場所なのだろう。
この地下ギルドをコンサート会場のように見立てるならば、そのステージ部分に存在する広いカウンターに『悪魔戦士ギルド受付』と書かれた看板があり、数人の男性が書類作業をしている。
「どうやら主様と同じ〈マスター〉はいないようですね」
「まあ〈マスター〉が最初からこういった職業につくことはそうそうないだろうな。見栄え良くないし、【戦士】とか【魔術師】のような職業に就くやつが多いんじゃないかな?」
周囲に居るのは年季が入った人間ばかりだからな、〈マスター〉はいないだろう。
一番若く見えるのがカウンターを除けば40台あたり、顔の容姿も言っては何だが悪いといえる。〈マスター〉でそんなキャラメイクをするやつはそうはいないだろう。
と、そんな会話をしながら、受付に向かって歩く。
「すまないが少しいいか?」
全員何かの作業に従事しているようで、俺がカウンターに向かっても気づかれなかったので、何かの作業をしていた一人の男性に声をかける。
どうやらその男は今俺に気付いたようで、あわてて作業を中止して対応をしてくれる。まあ、このカウンターが結構高くて、俺の背の高さぐらいあるからな。
もう少し低くてもかまわないと思うんだが。
「いやあ、お待たせしてごめんなさいねお客様。いやあ、お客様のような方が来られるとは思わなくて申しわけありませんね。さて依頼は何でしょうか?村の周囲にはびこったモンスターどもの掃討ですかな、それともどこかの建物の破壊依頼ですかな?それとも誰かへの嫌がらせでしょうか、私たち悪魔戦士ギルドはある程度法にのっとっているのなら何でも受け付けしましょう!人員が必要な場合、他のギルドでは複数の人間を雇う人件費がかかりますが、我ら悪魔戦士ギルドなら一人分の料金で複数人分の仕事をこなせるのです。私どもに依頼するほかないでしょう!ね!ね!」
なんかすごい剣幕で捲し立てられた。一応行っとくがこのギルドは合法だよな?建物の破壊とか嫌がらせとかまっとうなギルドへの依頼とは思えないんだが。
ルンペルシュティルツヒェンも押されているし。
「いや、残念ながら客じゃなくて俺も【悪魔戦士】だ。このギルドの登録と、クエストの発行といくつかの情報を仕入れたい」
そう言いながら簡易ステータスを開き相手に見せる。
「へぇ、あんたも【悪魔戦士】だったんだね。そんな若さでこのジョブに就くなんて珍しいねえ、ってあんた〈マスター〉だったのかい。それなら納得なのかね、最も現時点であんた以外の〈マスター〉は一人も登録して来てないけどもさ」
同じジョブに就いているとわかったのか最初の営業全開の剣幕は鳴りをひそめ、普通な感じの結構気易い喋り口調になっている。
俺の手の紋章にも気づいたようだ。
それとやっぱりティアンでもこのジョブに就いている人間は珍しいんだな。
〈マスター〉も俺一人か、まあゲームがリリースされてからそこまで時間が経ってないし、原作開始時点ならもう少し増えるかもしれないが。
「っと、これで登録は完了だな、ちゃんと持っとけよ」
そう言ってギルドの会員証らしきものを手渡してくる。
結構普通なんだな。
「それでクエストの発行と情報の仕入れだな、クエストは今のあんたのレベルだと3つ……いや〈マスター〉なら1つしか受けられないな。クエストの内容はこの皇都から東に行ったところにある〈ヴァニリア村〉ってとこの周辺のモンスター退治だ、受けるつもりならこの紙にサインしな。そこに正確な情報も載っているから見ておくといい。ちなみに残りの2つは長期間の潜入捜査と信用問題だね。悪いけどどちらも任せられないよ」
そういいながら1枚の紙がこちらに差しだされたのでそれを見てみる。
どうやらこの受付の男が簡単に説明してくれたように、ここからほぼ東に馬車で1日程の距離にある〈ヴァニリア村〉というところの周辺に最近モンスターが多く住み始めたので少なくしてほしいという内容で期間は3日。
他のギルドではなくこちらに依頼して来たのは、周囲を荒らすわけには行かず弱いくせに数が多いせいで長い期間に多い人員を雇う金が無かったからのようだ。
こういうのは広域制圧型の出番である。
報酬も悪くない。
のこりの2つのクエストである、長期間の潜入捜査と信用問題があるクエストに〈マスター〉であるこの俺が受けられないのは当然だな。これも問題ない。
「わかった、この〈ヴァニリア村〉でのクエストを受けよう」
そういい、差し出された紙にサインをして男に差しだす。
「ほいよ、これでクエストの受注完了だ。3日以内にあっちにたどり着けなくても、あっちでモンスターを討伐しきれなくてもクエスト失敗だからな気をつけてくれよ。まあイレギュラーがあったら場合によっては大目に見るが出来る限り依頼を完遂してくれ」
「了解。気をつけるとするよ」
「これでクエストの受注完了ですね、主様」
契約を後ろから見ていたルンペルシュティルツヒェンが、「さあ、すぐに行きましょう」という感じでこちらを見てくる。
だが、まだだよ。まだ情報を仕入れて居ないんだからな。
「そんで、情報を仕入れたいってことだが、何を聞きたいんだい?」
「とりあえずは2つだな。1つは【悪魔戦士】の上級職・超級職の転職条件。2つ目はこのジョブに必要なポイントの効率的な蒐集方法だな」
俺の言葉に対し、受付の男は片目の眉をぴくっとさせながらこちらの質問に答える。
「まあ、良く聞かれる質問ではあるな。じゃあ1つ目からだ」
そう前置きして、視線を下にさげてゴソゴソと何かを探し始めながら会話を続ける。
「【悪魔戦士】の上級職である【悪魔騎士(サタニックデビル)】の転職条件は1・召喚した悪魔の数が666体を超えること。2・自分と悪魔たちだけで亜竜級の単独討伐。3・悪魔戦士のジョブレベルが50になること。この3つだ」
「2つ目と3つ目はともかくとして1つ目はかなり難しいな。普通のやつが満たすのはかなりきついんじゃないか?」
「まあ、だから他のジョブに就きながら少しずつ満たしていくしかないな。あああと【悪魔戦士】のレベルが40になったら今までよりもっと召喚数を満たせる召喚スキルを習得できるから。……て普通のやつなら?」
「へぇ、40でそんなスキルを覚えるんだな。ああ、俺はもうすでに1つ目の条件をほとんど満たしているよ」
12時間の狩りで10分ごとに6体の悪魔を召喚し続けたから、それで432体分。それに最後の狩りで大体200位は召喚しているからもう少しで達成可能だと思う。
「はあ。全くマスターってのは空恐ろしいねぇ。普通なら自分でも戦ってクエストやバイトなんかもやりながらレベルを上げていくから、悪魔戦士のジョブがカンストするころになっても合計召喚数は300にもいかないっていうのに」
「まあ、おれはマスターの中でもこういったことには向いているからな」
「んでまあ、超級職である【魔将軍(ヘル・ジェネラル)】に関して何だが、一つ目の悪魔の合計召喚数が10万体を超えるっていうのはわかっているんだが、残りの二つの条件は全く分かっていないんだよな。まあ3つ目の条件は他の超級職と同様に特定クエストのクリアだとは思うんだが、2つ目の条件がまるでわからねぇ状態だな」
「10万体ってかなりきついな」
「ああ、ポイントのやりくりもきつくてな。今うちにいる熟練の【悪魔騎士】でも合計召喚数はやっとこさ1万いったかどうかって話だぜ」
そうか、条件が一部ロストしているんだな。
面倒だが頑張って条件を見つけるしかないな。
それと10万体っていうのはかなりきつく感じるが、【悪魔騎士】の召喚数条件をかなり簡単にクリアしそうになっている現状を考えると、悪魔騎士のスキルとルンペルシュティルツヒェンの進化によっては結構簡単に達せそうだな、と思いルンペルシュティルツヒェンの方を見てみる。
『はい、確かに難しい条件ではありますが、私が進化し続ければこの程度の条件簡単にクリアして見せましょう』
ああ、お前もそう思うか。
原作でもローガンは【魔将軍】の条件をあっさりクリアしたって話だからそこまで難しく考える必要はないのかもしれない。
「んで、ポイントの収集方法に関しただが、ほらこれだ」
そういい、さっきからがさごそと探していたものをとりだし、俺に渡してくる。
アイテムボックスのようだが、何なんだろうかこれはいったい。
「うちのギルドが低レベルの初心者用にやっている支援の一環ってやつだな。このジョブは何かと初期費用がいるらな、その分の負担をなるべく軽減してやろうってことで出来た制度だぜ」
そう言いながらもう一つアイテムボックスをとりだすと、そのなかからアイテムを出して言ってこちらに説明する。
「まず1つ目の支援としてアイテムボックスだな。お前さんは初めからアイテムボックスを持っているようだが、一応そのアイテムボックスは渡しておく。何かと便利だからな。
2つ目は初期に使うであろう500ポイント分の素材アイテムだな。これも最初に5回分でも悪魔を召喚できるようにって入れてある。
3つ目はこの周辺とレベル50までに戦うであろうモンスターのドロップ一覧とそのポイント数・売却金額だな。抜けはそれなりにあるが、まあ普通にモンスターを倒す分にはそれほど問題ないな。ちなみにレベル50以上は有料だ、っていっても150を超す位になると情報全然なくてむしろこっちが情報を買いたいくらいだがな。
4つ目は最初のお勧めポイントとか変換や売却した方がいいっていうもののリストだな。
これで全部になる」
「へぇ、ずいぶん手厚い支援をしているんだな。結構意外だったぞ」
「そう思われても仕方ないとは思うがな、結構ダークな部分もあるし。まあでもいまいる【悪魔戦士】系統についている奴って本当に少ないからな。新規のやつを引きとめるためにもこっちはいろいろと大変なのさ。ああちなみにそれは初心者支援だからな。レベルが50を超えたら新しい初心者用の費用として二万リルを徴収するからな」
「金とるのかよ」
まあ、当たり前と言えば当たり前なのか?奨学金のようなものか。
「ただより怖いものはないからな。ああ、レベルが50超えたらすぐ返納する必要はないが、なるべく早くな。ある程度期間たったら返済の催促をして、それに拒否したらこっちから刺客送りこむから。まあ、〈マスター〉相手だとあんまり意味ないかもしれないが」
「怖いな、おい。いやまあちゃんと返済はするさ」
『むむっ。主様に対して刺客をさし向けようというのですかこの男は。いいでしょうそれなら相応の対応という物を教えて差し上げましょう』
借りっぱなしも気持ち悪いからな、そこはある程度ちゃんとするさ。
それとシュテル?そんなことしてくれるなよ。ちゃんと返しに来れば刺客なんてこないんだからな。
ルンペルシュティルツヒェンにこっちの考えが読みとれたのか、むむっとしたままであるが、行動に移すことは止めてくれたらしい。まったくもって助かったよ。
「これであんたが知りたがっていたことは全部だな。他になんかあるか?」
「そうだな、いまの熟練のティアンってどんなやつなんだ?」
「うん?それは【悪魔騎士】のだよな。いまの最高はヴィクター・ミルキオーレって名前のやつだな。今のレベルは500カンスト、次点が200代だからかなり高レベルだな」
「うわ、カンストしているのか。それでも召喚数10万にはまるで届いていないんだな」
「それだけ厳しい条件ってことだな。ああそれと忠告しておくがヴィクターにはあまりかかわらないようにしておけよ、優秀だがそれに輪をかけて問題を起こすやつだからな」
「問題って何してるんだ?」
「ああ、まああまり大声で言える内容じゃないんだが、ポイントに使用する生贄に奴隷を使ったりな。違法ではないんだが、少し倫理的にまずい。強くなるためには手段を選ばないやつだからな、俺たち悪魔戦士ギルドが悪くいわれる理由をいくつも作っていたりするんだ。だからなるべく関わらない方がいい」
そうかジャックがいろいろいっていたが、そいつが一番の原因なのかな。
まあ俺にはあまり関係ないが。
「それじゃ、もうこれくらいでいいかな?いろいろと教えてくれて助かった。それじゃあこれで失礼するが構わないな」
これでこのギルドでやっておきたいことも全部済んだ。とくに用事があるわけでもないし、そろそろ帰るとしようか。
「ああ、構わねぇよ」
受付の男ももう問題ないというし、ルンペルシュティルツヒェンを伴って、身をひるがえし、ギルドの外に出る。
◇
悪魔戦士ギルドから外に出ると、もともと暗かった路地がさらに暗くなっている。
空を見上げると、もう日が暮れて夕焼けも残っていない。
結構時間がたったなと思いながら、今日の成果を喜ぶ。
「さて、いろいろ情報を仕入れられてよかったな。結構有意義だったぞ」
「よかったですね主様。それでこのまま、クエストの地に行くのでしょうか?」
「いや今日は行かない、もう暗いしな。どっかで宿屋をとって、明日の朝一番に出るとしよう。今日は宿屋で貰った情報の精査だな、手伝っても貰うぞシュテル」
「はい、かしこまりました主様。お手伝いいたします!」
とりあえず、ここには宿屋はないだろうし中央広場に戻るとするか。
もっともこんな場所に宿屋があっても絶対に泊まらないが。
それから来た道を戻り中央広場に戻ってから、宿屋を探すことになる。
いくつかの宿屋が埋まっていたりもしたが、ようやく宿屋を見つけ宿泊費が足りないためすぐ近くの店でいくつかのアイテムを売却しながらそこに泊まることにするのだった。
To be continued
(=○π○=)<今回出てきたレオンとかヴィクターとかはまたでてきます。
(=○π○=)<当然ながら完全オリキャラです