ネイトが胸を触ったトーリのことを吹っ飛ばして、酒井と優頼の三河入りの手続きを男装?女装?の格好をした生徒、本多正純に任せた。
手続きを終え、武蔵と三河の通りを三人は歩いていた。今夜行われるトーリ告白前夜祭を酒井が話していた。
「行きませんよ。これが聖連にバレたらどうするのですか⁉」
「大丈夫だ。同類と見られるだけだ」
「それは嫌だ!大体、総長兼生徒会長が告るとか、教導院で騒ぐとか。前回だってアルコールランプとフラスコで闇鍋して、マグネシウムが爆発したじゃないですか」
「闇鍋ならぬ光鍋ってな」
「あそこにマグネシウムを置いているのが悪い」
「理科室でやるな⁉」
この事件により正純の仕事が増えた。会計のシロジロとハイディは金だ金だ!って、騒いでいたが。
正純は先日あったネイトの話を話始めた。
「先日あったミトツダイラの取引相手にも迷惑をかけたと」
「その話ね。実はミトツダイラ家が欲していたと聞いたか?」
「 え?」
正純から驚きの声が聞こえた。
「その取引相手ね。襲名狙いで言い寄り、あわよくば婚姻関係を結ぼうとしたらしい。ネイトもさ、結構家のことを考えるタチでね、俺に相談していたんだよ。
俺を疑わないでくれよ。ただ、誰かが気づいたんだよ。なあ、優頼?」
「俺も知らねえぞ?ただ、全裸相手に特性悶絶クリームをかけるところしかしてないぞ。鰻を突っ込んだり,
BLのネタにしたりしたのアイツらだからな」
それを聞いて、疑いの目と言うより、引いている正純を無視して、この現状を見て酒井は口を開いた。
「やっぱり変だよな」
「変、というと?」
「三河からの荷はあるんだが、武蔵からの荷がないんだよ」
「そういえば……、武蔵からの買い付け発注が少ないような」
「こっちからのにはあるはずなんだが、今日は少ないだよ」
そうなのだ。いつもなら同じくらいの荷物なのだが
、今回はいつもより多くの荷物が三河より送られているのだ。まるで……。
「三河が形見分けしているみたい」
「おいおい、物騒なことを言わないでくれよ。確かに、鎖国状態だし、武蔵から距離を置いているからって、だがまあよく分からねぇ」
空から武蔵よりは小さいがそれでも大型の航空戦艦がコバンザメみたいに複数の小型船を引き連れて通りすぎた。
「ヨルムンガンド級ガレーの栄光丸」
「まあ、授業で習うところか?乗っているのはK.P.A.Italia所属、教皇総長インノケンティウスだな」
「ええ、P.A.ODAは浅井攻めの最中ですし、大罪武装の開発要求にでもきたのでしょう」
大罪武装とは神各武装の一つでこの世に八つしかない都市破壊級個人武装。七大罪の原盤とされる人間の八想念をモチーフにしてある。
暴食、淫蕩、強欲、悲嘆、憤怒、嫌気、虚栄、驕りの大罪武装は作られ 、P.A.ODA以外の国に送った 。
暴食は
トレス・エスパニアとエグザゴン・フランセーズになぜ二つあるのかは一纏めになっている怠惰と驕りに含まれている虚栄があるから。だが、威力は抑えられている。
「トレス・エスパニアが新大陸に攻略の際、使ってみたところ、機獣たちを全滅に追い込んだらしいけど、威力と例は自由に使える聖譜顕装だとよ」
「そう言えば、大罪武装には人間を素材にしているときいたことはあるかい?」
それを聞いた優頼と正純は驚愕した。あまりにも不道徳的で非人道的なことだから。酒井は噂だよっと一言言った。
「けど、三河の人払いはそれによるものだとか」
「それはありえませんよ。当時、私もその場にいて、三河の住人は一人たりとも減っていませんでした。それに行方不明なら大騒ぎですよ」
「だよね。けどさ、これに関しては噂で済ませるの?」
「え?」
正純は酒井を見た。酒井は続けてしゃべった。
「俺さ、正純君もさこっちにこれると思うけどな?」
「こっち?」
「俺の過去を平気で語れる側さ」
過去、それを言ったとき、正純は少し俯き、どう言うことですかと言った。
「例えばさ、俺が左遷された理由、殿の嫡子襲名した人を聖譜記述通りに自害させたこと。それを笑って語れる側にさ」
松平・元信には弟がいた。その弟に聖譜記述に書いている元信の嫡子、松平・信康を襲名させたこと。
記述通りだと織田家とのトラブルで死ぬのだが、当時、織田・信長を襲名した人物はいなかったため、拡大解釈で切り抜けようとしたらしい。だが、P.A.ODAの包囲により、暫定同盟を結ばれてしまい、恭順の証として嫡子を殺せと言われたのだ。酒井は弟公の後見人として自害は止められなかったため、左遷させらた。 噂だと信康公は死を望んでおり、酒井がついた時には遅かったと。
三河住人が知っているとおりならこのような理由。
だが、軽々と言えない正純。それに気づいた優頼。
「本多は知っているか?昔、三河に住んでいたことを。たぶんさ、本多も東も知らないと思うけど、記憶ないんだ。名前とあれの名前しかわからないし、不気味だと思われていたんだと」
今回三度目の驚きだった。酒井ほど思い過去ではないが、それでもインパクトはあったらしい。
「実はさ、元信公には内縁の妻がいるのは知っていたかい?それに子供もいることも」
どうやら四度目の驚きだった。
「その子供は何をして、どうしているのですか?」
「だからさ、こっち側に踏み込んできなよ。俺はさ、いじめられるのは好きさ」
「おい、ドM発言かよ」
「うるさいなぁ。とりあえず、踏み込んできなよ」
もう少しで三河側の関所に着きそうだった。そこへ、正純に証書得たらどうするのかを聞いた。
「後悔通りに行こうかと」
「へえ、いいね。だとしたらあと一歩だ」
「どういうことですか?」
「まあ、みんなを知れるのはいいことだしな」
うまいぐらいにはぐらかせられたが、通る前に本多忠勝の息女、二代によろしくとお願いされた。
酒井は思い出したように帰る正純に言った。
「後悔通りを知ることがみんなに近づく近道だ。例え、悲しい出来事だしても。俺や優頼、トーリ達の側に来ることを、俺は祈っているよ」
関所を越えて、目に入ったのは新名古屋城を中心に建物が広がっている三河の地。
三河の入り口に三人組が待っていた。一人は小柄で眼鏡をしている中年男性、もう一人は大柄でガタイのいい中年男性、その後ろにいる優頼ぐらいの歳のポニーテールの少女。
酒井は目を凝らす動作でしゃべりだした。
「おぉ、そこにいるのは松平四天王の内、榊原・康政と本多・忠勝の二人がお迎えとはね。俺もまんざらじゃないってことか。井伊はどうしたよ?榊原、ダっちゃん」
聞かれたので榊原が答えようとしたが、それを忠勝が止めた。
「見せろ」
一言。その言葉を聞いた途端、酒井と優頼は身構えた。
「おいおい、お前が見せろって言葉大体ろくなことがないじゃないか」
「まさか、歓迎されていないとか。なに十年ぶりの俺らに対する言葉ですか?」
刹那、後ろいた少女が消えたのだ。会話しているたった数秒でその場から消えてしまったのだ。
ガキンっと、金属同士がぶつかり合う音が酒井の後ろから聞こえた。
先程いた少女が刀を振り回し、斬ろうとしたところを、優頼が止めたのだ。
少女が止められたことには驚いていなかった。逆に怒っていた。それもそのはずだ。優頼が刀を止めるために使ったのは……。
「釘で止めるとは、それは抜かないので御座るか!」
「うん。手元にあったのがこれだから。それにアマゾネスより遅かったし」
バカにされていると思ってもしょうがない。だが、油断していた少女は、酒井の動きに気づいていなかった。
そして、滑り込むように少女の強調されている下半身を揉んだ。
「やっぱ、若い子はいいねぇ」
「この変態が!」
少女の悲鳴と酒井の頬を叩く音が響いた。