挟み結ぶ鉄鋏使い   作:葵・Rain

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酒房の大人達

 酒井がセクハラ行為をしている時、武蔵では梅組の生徒が今日の幽霊探しとトーリ告白の準備をしていた。

 武蔵右舷の艦多摩の商店街には浅間と直政、鈴とアデーレの四人が買い物をしていた。周りにはK.P.A.Italiaやトレス・エスパニアの学生たちがいた。

 

「人数分とはいえ、少し買いすぎたじゃないかねぇ?」

 

 直政の言う通り、肘にかけたり、ハードポインターにもかけているほどの大荷物。女子四人が運ぶのにはきつい量だ。

 

「が、ガッちゃんやゴっちゃんとか、いてくれると、よ、よかった」

「ナイトもナルゼも運送の仕事がありますからねぇ。あ、ミトに飛ばされたトーリくんの事を頼んでおけばよかったですねぇ」

 

 アデーレが浅間に浅間神社の話を振った。

 

「そうですね、やはり春先の契約関係の仕事が多くて。特に過激な術式の注文が多くて、月間発注量がヤバイですねぇ」

「そりゃあ、浅間神社に行けばそういうのが貰えるからじゃないかね」

 

 直政は去年あったことを言い出した。

 去年の学園祭の時、弓道部の人間射的に出て、道場から逃げ出した部員まで撃ち抜きそうであったのだが、偶然通りかかった優頼が矢を切り落とした。そこから浅間・智対橘・優頼の曲芸じみた戦いが始まった。ちなみに勝ったのは優頼。そして、浅間の言い分は、『加速系を入れていない人を射つのは鴨を射つより楽なんだからしょうがない』らしい。

 話題を変えて直政は今日の幽霊探しのことを聞いてきた。

 

「私らに付き合ってこのまま幽霊探しに参加だろ?あたしもチーフの泰造爺さんから休み貰いにいくけど……。少し手伝ってからになるけど」

「たまにやっているゴンドラごっこやブランコ遊びしていますねぇ」

「一応、実験だから。それにしても監視が無くなったからのか空が騒がしくなってきたな」

 

 空を見上げてみると、白い線が直線や曲線で空に絵を描いているかのように見える。

 

「配達業者たち監視が終わったからってレースや模擬戦をやり始めたね」

「あ、ナルゼたちが行きましたよ。あの二人、二人一組では最強クラスなんだとか」

「ホント、あたしの周りはろくなのがいないわね」

「マサ、それ鏡を見て言いなさい」

 

 直政気にしないのか、話を変えた。

 

「こんな世の中なのに、一人の男の告白が通るかどうか、通し道歌じゃあるまいし」

「通し道歌で思い出しましたけど、副長って酒井校長の息子じゃないですよね?」

 

 アデーレの唐突の話題に食いついたのは直政だった。

 

「それは違うねぇ。あいつ本人が言っていたのだから間違いない。天涯孤独って聞いたさね」

「優頼くんのことなんですが、彼武蔵来てから契約した術式以外に三河で契約した術式がありましたね」

「副長って脚力系や加速系、足場系を契約していると聞きましたが、他にあったのですか?」

「封印されている状態ですから」

 

 橘・優頼。三河出身なのだが、記憶喪失で経歴がいまだ不明。唯一の手がかりが名前と傍に落ちていた一機の重武神だけ。術式はサタナニズム、つまり悪魔教のみ。そして、三河にいたのは僅か一年。

 

「唯一わかっているサタナニズムは封印されていますし、残り一つはわからず仕舞いですし」

「まあ、少しづつ記憶を思い出してきているって本人が言っていたから大丈夫さ」

 

 自分の話をしている頃、本人とは言うと……。

 

「ぶっあっくしょんっ!なんだ風邪か?」

「おいおい、唾が飛ぶだろ唾が!」

 

 木造の店で酒を飲んでいた。窓側に優頼と酒井が座り、向かいに忠勝と榊原、少女がいた。

 

「父上、出来れば改めて自己紹介を」

「自己紹介?俺の隣にいる人は酒井・忠次。エロ親父だから気をつけろ。そんで俺が武蔵の副長の橘・優頼。一年位ここに住んでいたぜ」

「エロ親父って?お前こそ調教師が」

「はっはっはぁ、誰が調教師だ。相手を挑発し、相手を脅し、あとは甘い言葉で堕落させ、俺の下僕にしているだけだが?」

「同じだよ!」

「ち、調教?」

「ああ、二代は聞くな」

 

 頭を掻きながら後にいた少女、二代に言う忠勝。それを聞いて、腹を擦る榊原。酒井が井伊・直政のことを聞こうとした時、話を折るかのように襖が開いた。そこにいたのは鹿の角に似たカチューシャをしている女性が現れた。

 

「鹿角様」

「げっ、鹿角!?」

「judーー下らないと思ったら、酒井様ですか。左遷からのこのこやって来て、酒飲みをしている他に未来ある少女にサービスもせずにいたのですね。まったく、大した大人です。ささ、二代様お屋敷にお戻りを」

 

 開口一番に酒井に対して毒舌を吐く鹿角。自動人形特有の感情のない言葉で心に傷をつけていく。

 

「ダッちゃん相変わらずお前のとこ?」

「ああ、一番飯が女房に似ていて、剣筋もあるし、礼儀作法もできるからなぁ」

「それにお久しぶりです橘様」

「ははは、お久しぶりですね。では、これで」

「どこに行こうとしているのですか。そこの座りなさい。貴方と言う人は会った当初は可愛げがあったというのに、武蔵に行ってからというもの連絡は寄越さない、私が出ようとしたら切る、あげくの果てに逃げ出そうとする。やはり、もう少しここで色々と教えておけば良かったと思います」

 

 心配しながら説教をする母のような姿だと、優頼は思った。本人は母がいたのかはわからないらしいが。

 それを見て笑う酒井と忠勝、ポカーンとしている二代、眼鏡を拭き始める榊原。

 焦り始める優頼は鹿角に二代を呼びに来たのだろ?と話した。鹿角は名残惜しながらも、二代に船の準備が出来たと話し、二代と忠勝は立ちあがり部屋からさった。

 

「あれ、これって全部俺が払う感じか?俺一文もねぇよ」

「私が奢りましょう」

「榊原のおっちゃん、ここは俺が払うよ。ただ、聞きたいことがある」

「聞きたいこと?」

「そこは学長、聞きたいんでしょう?忠勝のおっちゃんと二代の分、それに榊原のおっちゃんのを奢れば三つ分聞ける」

「全く、いい心意義してるぜ。榊原、まずは井伊のことだ。さっきは聞けなかったが、何かあったんだろ?次にホライゾン・アリアダストのことだ。数年前、ここからばったり消えたことがある。神隠しに会ったと思ったが、一年前に戻ってきたんだが、何の秘密がある」

「最後にあんたら何をしようとしているんだ?」

 

 榊原は口を閉ざしていた。重い腰を上げながら、その場を立ち上がった。

 

「まあ、外に出ましょう。話しやすいことがありますし」

 

 目を閉じながら言った。




 どの作品も必ず月一を目指していますが、ランダムで月に数回投稿することがあります。何が言いたいのかと言うとノルマは達成しているからいいよね?
 それと何気に矛盾が生じたので設定を見直し中です。
 感想等お待ちしてまーす。
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