では、どうぞ!
ただ会話もなく酒井と優頼は関所のところまで来ていた。その時、二人の後方から轟音がなった。振り向くとそこには光の柱が立っていた。
「消滅したか」
「それよりも急いで、っ!?」
「どうした優頼って、なんだあの武神は?」
武蔵へ向かっている三機の武神がいた。色はトレス・エスパニアの赤と白、隊長機らしきものには頭部に一本の角、肩に二重の金色の輪が印されていた。だが、優頼が驚いていたのはその姿だ。一般的なトレス・エスパニアの
「グレイズ」
「グレイズ?知っているのか、っおい!しっかりしろ!?」
優頼はグレイズと言った途端この場を倒れた。酒井が支えて応答を続けたが、反応しなかった。それに気づいた関所の人間に酒井共々連行された。
それと同時に武蔵ではホライゾン・アリアダストの捕縛。明日の夕方に自害が決定した。
優頼はどこかの部屋で目覚めた。簡易二段ベットの上で薄い布一枚を羽織っていた。服装はぼろぼろの黒のタンクトップに灰色の作業ズボン。
優頼は夢だと感じた。たまに見る夢、自分が無くしたかもしれない記憶の夢、決して忘れてはいけない大切な夢。
「起きろぉぉおユージン!」
朝から騒がしい声で階段を下りたそこには、茶髪を短く切った髪で優頼と同じ背丈の青年が下のベットで寝ている青年、ユージンを起こしていた。
「優頼おはよー!」
「朝から騒がしいぞシノ!」
怒鳴り声を上げながら下からユージンはベットから起き上がってきた。金髪の癖っ毛があり、これまた身長も同じくらいだった。
「おう、おはよ」
――シノとユージン、知っている名前だが、どういった人物なのかはわからない。
優頼はかけていたいつものジャケットを羽織った。だが、違和感を感じた。原因は体だった。今の自分より少し筋肉質な体でちょっとした違和感だが、なんか気味が悪かった。
優頼は廊下を出てどこかに向かっていた。自分は動かしていない、体は知っているかのように動いていた。一つの扉の前にいた。そこの扉を押し開けた。
最初に感じたのは暗いところにいたせいで目の前が眩しいことだった。肌に感じる乾いた風に乗る砂埃、血と汗、火薬の焼いた匂い、喧騒と金属同士がぶつかり合う音。目を開けた先には……。
「こんな所じゃぁあ、終われねぇえ!だろ?ミカぁぁぁぁあ!」
その叫び声とその名前、そしてその武神いや、ロボットは。
「ガンダムバルバトス」
地面を割り、巨大な鈍器を振り回し敵ロボット、グレイズを潰した白を主体とし赤と青が部分的にある機体、ガンダムバルバトスがエメナルド色のツインアイを光らせて産声を上げた。
優頼はバルバトスを見ていると、後ろに気配を感じた。そこには貝やサンゴなどがへばり付いているロボットがいた。よく見渡すと何かに乗っていた。無線から声が聞こえた。
『しっかりしろ優頼!』
誰かが叫んでいる。反応を返そうが声が届かなかった。バゴッと凹む音が聞こえた。
――終わるのか?夢なのに現実だと思ってしまった。死への行き道、永遠の孤独、会うことはない仲間たち、会えない人たち、だけど、心が落ち着いていた。あ、そうか言っていたな兄貴たちがまた会えるって。なら、会うまで生きないとな、この世界で。
優頼は思いっきり扉を蹴飛ばして、中に入ってくる海水を押しながら泳ぎ、海中にいるロボットへ近づいた。開いているコクピットへ入りこんだ。
「いくぞブエル!」
ブルーのツインアイを光られせて海中から飛び出した。
『オルガ手を離して!』
戦車に近い機体、茶色のモビルワーカーへ近づくグレイズの上位互換のライトグリーンの機体へ右手に持っていた剣で切りつけた。
『なにぃい!?』
「やらせない!」
剣は錆びていたため半ば壊れてしまった。そばに落ちているロングソードに持ち替えて、敵に向けた。
海中にいた成果動きは鈍い。逆上した敵がこちらに近づいてくるが、そこへ装いを新たにしたバルバトスが止めた。
『こいつは俺がやる!』
敵はミカが持っているレンチ型メイスでふっ飛ばした。それを見届けて優頼は気を失った。
場面が変わった。場所は平原、バルバトス、ベージュ色の機体グシオンリベイク、黒い機体漏影が二機、その目の前には黒いグレイズだが、名残があるのは顔ぐらいですべて一回り大きく赤いモノアイでこちらを見ている。
その上から白を基準に青い鎧を着た大きな大剣を持った機体が空から降ってきた。
「うおりゃゃやあ!」
ブエルに乗っている優頼は大剣でグレイズ否グレイズ・アインへ斬りつけた。
『邪魔をスルノカ優頼!』
「ああ、あんたを止めるためだくそ兄貴!」
優頼は自然と兄貴といっていた。優頼には家族がいないはず。なのに、言っていた。
グレイズ・アインは阿頼耶識の恩恵を受けたかのような速さでブエルを圧倒していく。加勢に行く仲間たち。だが、全員が吹き飛ばされた。
『あれが阿頼耶識の力』
誰かが言った。この時、優頼は感情が昂ぶった。
「許さない。てめえぇら許さない!」
ブエルは答えるかのように目の色をブルーからレッドに変えた。
左手に背中にマウントしている太刀を持ってグレイズ・アインへ斬りにかかった。二つの斧で対抗しようとしたが、早すぎた剣戟により両腕を両断した。次に両足、頭と斬っていく。残ったのは胸のみ。
「兄貴さようなら」
コクピットがある辺りに大剣で突き刺した。グレイズ・アインは身震いを起こさず機能を停止した。コクピットあたりを力ずくで引き千切り棺桶みたいな物を取り出した。その中には四肢を切断された死んだ優頼の兄貴だった。
「三日月、後は頼んだ」
兄貴の入っている入れ物を大事に抱えブエルのブースターを吹かして、その場を後にした。
場面は少し発展した町の丘にいた。丘の上には英語でアイン・ダルトンと書かれていた。その前に優頼は手を合わせて拝んでいた。
――これが兄貴の、アイン・ダルトンと言うのか。その人との記憶は曖昧だけど、これは言える逃げ出した俺と違い、逃げなかった。己の力を見せつけたんだ。
優頼はその場をあとにした。
事務室では、丸い体型の青年が壮年の男と激論を繰り広げていた。外は子供たちが多く、周りを走り込みや箱に入っている物資を運んだりしていた。優頼は慣れない机作業を勤しんでいた。
場面は変わり、一つの部屋にいた。そこに座っている老人に見覚えがあった。蒔苗東護ノ介と呼ばれるここアーブラウの代表者。
「先生少し失礼します」
優頼は机に置いてあった花瓶から蒔苗を遠ざけた。外にいる警備員に蒔苗を頼み、腰の刀で花瓶を切り落とした。そこにあったのは一部屋は吹っ飛ばすことができる爆弾だった。だが、爆発はしなかった。運よく線を切れていたため、大事には至らなかった。
その日は記念行事だったが当然中止。
その夜、優頼はある場所へ向かっていた。そこには髭面の男たちが数十人いた。優頼は問答無用に切り始めた。刀に付いた血を持っていた布で拭き取りその場をあとにした。
夜とは違う黒い空間、宇宙に優頼はいた。そこには半壊したブエルが漂っていた。そこへ一隻の宇宙船がやって来て、ブエルを回収した。一人の女性が近づいてき、ブエルから優頼を取り出し、ベットに寝せた。
目が覚めた優頼は格納庫にいた。正面には黒い鎧と背中に五本の棒のようなものがある機体。隣に現れた女性は優頼に話しかけた。
『これが改装したブエル、ガンダムブエル鬼武者。一応言っておくけど、今までより反射反応はもちろん、各部性能は強化されている。だけど、エイハブ粒子のほかに○○粒子もあるから、どんなことが起きても自己責任だから』
女性に対してお礼を言い、新しくなったブエル鬼武者に乗り宇宙船を後にした。
場面は今朝と同じところ。肩パーツは壊れ、背中の武装もなくなり、全体が傷しかなかった。持っているのは一本の大剣のみ。
「あと少しだ、あと少しでお前らを倒せる」
目前には、数多のグレイズやその強化機が斧やライフルを構えていた。その先頭にグレイズとは違う機体が一機いた。
『今こそ討つとき、覚悟しろ化け物』
その機体はブースターを吹かせてブエルに突撃した。その後ろから続くように襲いかかってきた。ブエルは唯一の武器を構えて、襲いかかってくる機体に向けた。
そこで途切れ、場面は自分がいる場所。幼い自分がブエルといる三河近郊だった。