メジロマックイーン推しです。
今回は5000文字とかなり熱が入りました。
それ毎日やれよって話なんですけどね
平田との戦いが終わって数週間が経った。
相変わらず霊夢の監視下に居るが特に問題を起こさずに寺子屋で教師をやっているらしい。
人里に買い出しする際に少し覗いたが、生徒との関係は変わらず良好のように見えた。
本当だったらあいつを殺して安心するのが一番だが、慧音に止められているので今回は俺は関わらない形で事が進んでいる。
まぁ、あいつが何かすれば霊夢が問答無用で潰すだろうし俺の手を下すまでもない…か。
それにしても慧音の奴、お人好しが過ぎるのか平田に脅されているのか分からないが、元々敵同士である平田を受け入れるのには理解に苦しんだ。
俺は今でも平田は信用してないし、何なら慧音にも敵意を向けている。
以前とは変わらない態度を取っているから本人も気づいていないと思うが、何か起こせばあの二人諸共殺すつもりだ。
それは霊夢にも伝えているから何かあれば直ぐに俺に伝えるようにした。
そんな訳で外の世界では2月に差し掛かった頃合の時期に今日も俺は買い出しを終えて紅魔館に戻っていた。
「咲夜さん今日頼まれていた買い出しのやつです、確認お願いします」
「ありがとうございます。」
今日も居眠り門番をシバいていた咲夜を紅魔館の入口で捕まえて買い出しの報告をした。
買い物袋から品を取り出し、丁寧に1つずつ確認していた。
そして、咲夜さんの手が急に止まると。
「光さん、この紅茶の茶葉はリストに載っていなかったはずですが…」
「すいません、実は厨房でその茶葉の量が少ないのを見まして念の為と思い買っておきました、余計な事をしたとは思っています」
実は咲夜さんには頼まれていない品を買っていた。
以前食器を片付けている時に偶然目に入り量を確認したら明らかに少なかったから、先に買って追加で買いに行く事は無いようにした。
とはいえこれは明らかなルール違反だし余計な事をしているのは承知の上だ。
俺も怒られたところで逆ギレしたりはしないさ。
怒られる覚悟はしながらもどんな反応をするか気になっていた俺はじっと咲夜さんを見ていた。
光の話を聞いた咲夜は疑問に思っていた表情から一変、ぱあっと明るい表情になると
「そんな!余計な事だなんてとても助かります!これは私の確認不足でした、お嬢様の機嫌を損ねる前に気づいてくださってとても有難いです!」
少し興奮気味に感謝の気持ちを述べると全ての品の確認を終えて急いで厨房へ向かっていった。
その姿は大人の女性とは程遠く、初めて来たばかりのメイドの女の子のようだった。
そんな咲夜さんを見送った俺は少しほっとした表情で部屋に戻っt…
「貴方が他人に優しさを見せるなんて珍しいわね」
「うお…レミリアかよ…」
「あら?私が居て不服かしら?」
「別に、どうとも思ってねぇよ、それで?何か用か?」
少し嫌そうな表情でいる光に対してレミリアはフフ…っと笑って。
「そろそろ貴方にも
「……?」
彼女の返答に光は頭にハテナを付けざるおえなかった。
知っておいて欲しい事とは何だろうかと、レミリアに付いていきながら部屋に案内された。
そしてレミリアは自分の椅子に腰掛けると。
「話しておきたいってどういう事だレミリア」
「そうね、これから話す事は
「咲夜さんの…過去…?」
あまりにも予想外の内容に思わず動揺してしまった。
「その話と俺に何が関係あるんだよ」
「…貴方にとってはどうでもいいことかもしれないでもあの娘と仲良くしたいのならば黙って私の話を聞いて欲しいの」
「仲良く……」
俺は少しの間考えると、再びレミリアに視線を向けた。
「わかった、それが俺に今後関係してくるのかは知らないが聞いてやる時間はある、話せ」
「その返事を聞けて満足よ、これは
・・・・・・・・・・・
最近、光さんが妙に丸い。
丸いというのは彼が太り始めているという訳じゃなくて、尖っていたのが丸くなっているという意味だ。
食器を片付ける時、厨房にある食材の在庫を確認したり、妹様の遊び相手に率先して受け入れたり、今日の買い出しだって不足していた材料を追加で買って来てくれていた。
買い出しの時に少し多めに金銭を渡しているが、まさかここで役に立つとは思わなかった。
来たばかりの彼ならば『それはお前の仕事だろ?俺には関係ない』と言って突き放していただろう。
紅魔館に住む前に私が放った言葉が効いているのだろうか。
今考えてみればすごく恥ずかしい言葉ね、光さんに言われて自分の気持ちをそのまま話してしまったけれど、それが逆にいい方向に進んでいるのかもしれないわね。
「ふふ…」と1人でに笑いながら厨房で食材の整理をしている咲夜を横に…。
「何やらご機嫌ですね咲夜さん!」
美鈴が立っていた。
「め、美鈴!?貴女門番はどうしたのよ!」
「いやー少しお腹が空いたので咲夜さん何か作ってくれないかなーと思ったんですけど…その様子じゃ私はお邪魔のようですね」
珍しいものを見たと言わんばかりの表情で立ち去ろうとしていた美鈴に咲夜が黙っている訳がなかった。
「美鈴♪」
「やめてくださいその呼び方恐怖でしかないです」
「このナイフが貴女の脳天に突き刺さる前に今見た事は綺麗さっぱり忘れなさい?いいわね?」
「はい!私 紅 美鈴は十六夜咲夜さんが一人で笑っている所なんて見ておりません!」
「貴女そんなに死にたいの?」
「あ!いや!そういう訳じゃ…」
「わ・す・れ・な・さ・い・?」
美鈴の肩を掴んでいる咲夜の手が更に強くなると同時に美鈴の顔面も段々蒼白になっていった。
そして数分後、紅魔館にひとつの断末魔が響き渡ったのだった。
・・・・・・・・・・・・
「咲夜さんが
「ええ、そうよ正確に言えば
男性不信…全然聞かない言葉だが、すぐに分かった、人間不信と同様男性に対してだけ不信感を抱いているという意味だろう。
「…咲夜さんに何があったんだ」
「私達が幻想郷に来る前、咲夜は幼くして孤児だったのよ、両親を殺されてしまったから」
「両親が…」
「ボロボロになりながら道端で泣いていた彼女を見つけたのが私と当時メイドをしていた美鈴だったの」
咲夜さんから以前仕える前に担当してたって言うのは聞いてたが、やはりあの美鈴がメイドって全然想像つかない。
「最初は警戒心が強い子で手を焼いたけれど1年、2年と経ってようやく可愛げのある子に育ってね、美鈴がメイドの任を降ろすのもそう長くなかったわ」
「それで、咲夜さんが今のメイド長になったって訳か」
「…それでどうして咲夜が男性不信である事が分かったのかは、紅魔館に来てからすぐの話…」
レミリアは1度机に置いてあった紅茶を飲んで喉を潤すと、再び口を開いた。
「実は咲夜を拾った同時期にパチェが1人の
「引き取っていた…?」
「えぇ、その子の父親がパチェと面識があってね…私も何回か顔を合わせたことがあって顔見知りではあったのよ、だけどその子の父親も戦闘で死んでしまってね、死ぬ直前にパチェに託したらしく紅魔館で引き取ることになったのよ、そして初めて咲夜とその子が対面した時咲夜が酷く怯えながら暴れ出してねそこで知ったのよ男性不信というのを」
「それは咲夜さんが男達に何かされたという事か?」
「彼女は『時間を操る程度の能力』を持っていたことで元々住んでいた里では忌み嫌われていたのよ、特に男性が…彼女に暴力や罵声を浴びせては飽き足らず…咲夜を散々信頼させて最後は裏切りをはかり奴隷として売ろうとした者も…」
「なんだよそれ…咲夜さんは何もしてないんだろ!?」
「…確かに咲夜は何もしていなかった、ただ能力者という名だけで酷い扱いを受けていた」
「それが男性不信の始まりだったと言うことか」
「そういうことよ、だけど咲夜に拒絶された彼はその話を聞いて『自分がその子の拠り所になれるように頑張る』と言ってくれてね、しばらくは咲夜に嫌われ続けていたけど彼女がメイド長になった時に、ようやく既に執事長になっていた彼に心を開いたのよ」
「咲夜さんも変わろうとしていたのか」
「変わろうしたというより彼が変えてくれたのかもしれないわね」
「それで、この数ヶ月その執事長さんの姿はまだ見ていないが…どこで何をしてるんだ?」
「…………」
「レミリア?」
痛いところをつかれたと言わんばかりに黙り込むと、決心した表情で再び光の方を向いた。
「これも初めて話すわね…私達、幻想郷に来たばかりの時に異変を起こしたのよ」
「異変…!?お前ら霊夢に喧嘩売ったのかよ!?」
「ま、まぁ簡単に言えばそうなるわね…赤い霧を発生させて日光を遮ったのよ吸血鬼にとって日光は天敵だから」
「なるほど…それで結果的に霊夢にボコボコにされたと」
「そうね笑…フランと2人で霊夢と魔理沙に挑んだけど負けちゃったわ、その時彼もこの異変に参加していたわ」
「そいつは能力者だったのか?」
「いいえ、父親は能力者だったけど産まれて直ぐに死んだ母親に似たのでしょう元々能力は持ってなかったのだけど、この異変で能力が開花したのか私達が負けた後に霊夢達に1人で立ち向かったのよ」
「結果的にどうなったんだ?」
「奮起はしたけど負けは負けよ、でも彼は諦めなかったのよ、
「謎の男…?」
「それは一体誰なのかは未だに分からない、恐らく彼が能力を開花させた原因だとは思うけれど」
「それで…咲夜さんはどうなったんだ?」
「彼が行方不明になってから大分変わったわね、それは良い意味でとても丸くなって今じゃ大人の女性よ」
「昔はもっと尖っていたのか」
「それは貴方に負けないくらいよ、本当に紅魔館の人達以外に敵意むき出しで信じようともしなかったわ」
あの咲夜さんにそんな過去があったなんて全く知らなかった…。
俺だけ望みもしない能力のせいで周りに嫌われ続けていたと思っていたけど、咲夜さんも同じ経験をしていたんだな。
レミリアの話を聞いて俺は少しこの世界の人達に対する感情が変わったような気がした。
「それで、私らしくないお願いかもしれないけど…」
紅茶を飲み干したレミリアは立ち上がって光に近寄ると。
「もしこの先貴方と咲夜がぶつかった時、この話を思い出して欲しいの、恐らくまだ彼女には男性に対する恐怖心が消えていないと思うの、だからその時はーーーー」
レミリアがそう言いかけた時俺は無意識のうちに手で制していた。
そして、俺から思いがけない言葉が飛び出した。
「分かったよ、その時は咲夜さんを救ってやる、俺が幻想郷の英雄になるにはこれくらいやらねぇと務まらねえって訳だろ?」
「光……」
レミリアは心底驚いた表情で俺を見ていたが、俺だってびっくりだよ、まさかこんなこと言うとは思わなかったわ。
話を終えて1人部屋の椅子に腰掛けていた光はレミリアの話を思い返していた。
正直まだ信じられない。
それは俺が人間不信だからかなのか、それとも
考え込んでも事が進まないのでこの話はレミリアに言われた通りにする事にした。
明日も鍛錬をしよう、レミリアのあの言葉…恐らく運命を読んだのか、あいつの能力はまだどんなものなのか分からないが、近々咲夜さんとぶつかる時が来るのだろう。
その時が来た時、対応出来るように覚悟はしておこう。
・・・・・・・・・・・・
「平田 和也が裏切りをはかったようです…
暗闇の中で響く声に1人の名が挙げられた。
その声に反応するようにエゲリアと呼ばれた者はため息を漏らしながらゆっくりと歩み寄っていた。
「はぁ…あいつはまだ人間の心が残ってたのかもしれないな…少し出すのが早かったか」
「どうします?『教皇』の力を使えば始末は容易いかと」
「いや、今は博麗の巫女が平田の監視下に居る下手な真似をすればこちらの存在に警戒心を強めるだけだ」
「そうですか」
「それよりも
「はい、既に配置出来ているはずです」
「真っ向勝負で倒せないのなら
「……私はただ憎しみの為に生きています、それを果たすまでは死ねません」
「ハッ……お前らしいな…今後も期待しているぞ