戦闘回です、あまり数話かけて進めると鬱陶しいと思いましたので少し短めにしました。
では、どうぞ
「パチュリー様!」
「…咲夜?」
その頃レミリアの元へ先に向かっていたパチュリーは咲夜と遭遇した。
咲夜の表情を見るにレミリアから全て聞いたように見える。
「光さん…光さんは何処に…!」
「落ち着きなさい咲夜、レミィから聞いたのね」
「お嬢様が見た運命で私と光さんが接触してはいけないと言うのは承知しております、ですがこれは私が招いた事…私が治める必要がございます」
「…!だからといってもしこれで二人の間にまた何かあったらーーー」
「それも覚悟のうえです!」
「咲夜…」
咲夜の眼は本気だった。
こうなればたとえレミリアだろうが言う事を聞かない。
相変わらず頑固な子だ。
戻ったらレミリアがどんな反応をするのか楽しみだ。
「……わかったわその代わりどんな罰を下されても文句言わないでよね」
「何なりと受け入れるつもりです」
「…今頃彼は戦ってると思うわ」
「……!」
「彼なりの気遣いだとは思うけれど私を見くびって欲しくないわね……咲夜この件貴女が後始末するべきよ、必ず光を連れ戻して」
「はい…!では失礼します」
その瞬間咲夜は目の前から消えた。
パチュリーは冷たい風を受けながら曇りつつある空を見上げた。
懐かしく感じるわね、
…って今更過去の事を掘り返したところで何も変わらないわね身体を冷やす前にレミィの元へ行こう。
・・・・・・・・・・・・
体勢を低くしてリクイッドに接近した光は抜刀したと同時にリクイッドに斬り掛かった。
リクイッドは後ろに仰け反り斬撃を交わした。
そのままバク転するように距離をとると再び光はリクイッドに接近した。
そして今度は身体を回転させて胴体に斬り掛かろうとするが、地面を蹴って身体を浮かせるとそのまま刀をいなすようにして回避された。
地面を蹴るにしては想像以上に飛躍したように見えた。
奴の『隠者』は一体何なのか、レミリアを攻撃した時は突然現れたように見えた、なんとかして奴の能力を特定しなければ。
すると光は能力を使い、強化を図ると、そのままリクイッドに近づいた。
「ほぉ…これがお前の能力か」
「余裕ぶっこいてると足元をすくわれるぞ…っと!」
正面から斬り付けるように見せかけて足元を払うとリクイッドは少しバランスを崩した。
そこへ刀を逆手に持ち、脇腹目掛けて刃を通した。
……が、斬った感触は無かった。
それと同時に光はリクイッドの姿に驚愕した、それは。
「
リクイッドの身体が確かであるが、脇腹目掛けて斬りつけたはずが頭部の上を通していた。
そしてあっという間に地面の中へ溶け込んでいくと、光は危険を察知して後ろに飛んだ。
その瞬間、光のいた場所に獲物を狙っている海底動物のように地面から飛び出てきた。
これが奴の能力。
「普通の人間ならビビってその場に動けなくなるんだが…お前は違うようだな」
「馬鹿言え、俺だって人間だ」
「能力者が人間と言えるのか?」
「あぁ、この世界では常識は通用しねぇからな、人間だぜ」
「くだらない…さっさと終わらせよう」
そう言うとリクイッドは地面の中へ沈むと、今度は横から飛び出した。
光は反応して刀で応戦するが手前の地面にそのまま潜り込んだ。
真冬の寒さでカチカチに凍っているはずの地面がこうも簡単に水たまりのような状態になっていると考えると感覚が鈍りそうだ。
ならばと光はまだ水たまりのような状態になっている地面に刀を突き刺した。
しかし、返ってきたのは地面を刺すような感覚だけだった。
なるほど、こいつ
となれば…これはその場の地面に溶け込んでいると見せかけて地中では自由自在に動いてると言う訳でこの水たまりは地中に潜る前に能力を発動した際に出来るという事か。
瞬間リクイッドが別の場所の地面から飛び出したかと思うと、周りの木が突然倒れ始めた。
よく見ると根元から地面が溶け出していて支える事が出来なくなっていた。
光は倒れてくる木を刀で一刀両断しながら距離を取っているリクイッドに接近し、刀を振るうが、リクイッドは地面を蹴って土を散乱させると、光は奴の能力を目の当たりにする。
泥水と例えるよりこれは
光は目に入ると不利な状況になると思い、腕で泥水を祓った。
しかし、感触に違和感を覚えた。
少し大きい石を祓ったか、光は頭の整理をするために1度後ろに下がって距離をとった。
なるほど、
「お前…
「この短時間で導けるとはなかなか頭がキレるな。良いだろうならば俺も容赦はしない!」
そう言うとリクイッドは凍っているはずの地面に手を突っ込むと液状化した土を掴んでいた。
「知ってるか?速度が上がると、液状化した物って横長になるんだぜ?」
「それがどうした?」
「横長になったものがもしも硬いものだったとしたら…?」
「……っ!?」
何かに気付いた光は刀を構えるとリクイッドは両手に持っている液状化した土を投げつけた。
液状化した土は飛ばされた勢いで徐々に横長になっていくにつれて段々と液状化が解除され、硬い土の状態になると先が尖った槍のような形に変形していた。
それが1本、2本と形になっていくと最終的には数倍の数になっていた。
光は流石にこれには全て刀で弾き返せる訳もなく、横に飛んで全て回避した。
回避した先には1本の木があり、そこに全て刺さった。
これをまともに受けていたら今頃手脚のどこかを切断していたか、そのまま内蔵を貫通して死んでいたかもしれない…考えるだけでゾッとする。
殺られる前にこいつを始末するしかない…!
光は深呼吸して、再び構えると、前に飛んで身体を横に回転させてその勢いで刀を振るった。
リクイッドは液状化した土で盾を作るとそのまま掴んで、光の斬撃を防いだ。
更に光はガラ空きになった胴体に蹴りを入れ、リクイッドをぶっ飛ばすと、体勢を低くして一気に距離を詰めた。
「……なるほど」
「…ふっ!!!」
光は想いを力に変え、刀に伝えると大きく刀を振り巨大な斬撃を放った。
リクイッドは下半身だけ地面に沈めて土の槍で応戦した。
そしてそれが
先程のように土の槍を投げただけでは全て弾かれてしまっていただろう。
リクイッドは両手を深く地面の中へ突っ込むと大きく上へ振りかぶった。
すると液状化した地面が巨大な盾となり、それを何回も繰り返すことで厚みが増して光が放った巨大な斬撃をも防げる程になった。
斬撃と土の盾が相殺すると一気に光はリクイッドに詰め寄り、スペルカードを取り出した。
〜蝶符「妖刀・千子村正」〜
「くっ…!」
輝きを放った刀はリクイッドが投げた土の槍を切り刻みそのまま接近した。
堪らずリクイッドは液状化し、身を潜めて回避すると、先程より少し後ろの場所から顔を出した。
この時光はリクイッドの行動に疑問を抱えた。
「(
光は構えたままゆっくりと歩き出すと、後ろから土の槍が飛んできた。
それに気付いた光は横に転がって回避すると再び斬撃を放った。
この斬撃はリクイッドを倒すための弱点を探るつもりで放った。
そして思惑通り液状化して身を潜めると再び静寂が訪れた。
光はふと1つの大きな石を広い思いっきり投げつけると、1つの木に当たった。
その瞬間当たった木に大量の土の槍が刺さった。
光は全てを理解した。
リクイッドが簡単に液状化しない理由、それは
光が届かない空間は真っ暗闇、つまり潜ったとしても視界が見えない為、場所が分からなくなる。
そこで音による振動で相手の場所を察知して攻撃する。
ということは…
「姿を見せたなリクイッド!!」
「っ!?馬鹿なーーーー」
リクイッドは慌てて土の盾を出したが、能力で更に強化していた光の斬撃に耐えられずそのまま吹き飛ばされてしまった。
突き止めた弱点、光は勝ちを確信したが、やはり簡単には行かないのがこの世界。
リクイッドはよろよろと立ち上がるとタロットカードを取り出した。
「面白い…久しぶりに本気を出させてもらう!雨天 光!!!!」
リクイッドのタロットカード『隠者』が光り出すとそのまま光に包まれた。
さて、ここからが本番だ気を引き締めるぞ。