「行くぞ!!!」
タロットカードを使用したリクイッドはすぐさま地面の中へ潜って行った。
やはり、タロットカードを使う前とは違って躊躇いがない。
……となると先程のやり方では通用しないという事だな。
すると光は地面にある石を拾って近くの木に投げ飛ばした。
しかし、音がしてもリクイッドが出てこなかった。
恐らくリクイッドはタロットカードを使った事で地面に潜っても見えるようになっている。
となれば、今いる俺の場所もーーーー
その瞬間、光の足元が液状化し始め、リクイッドが飛び出してきた。
光は読んでいたかのようにタイミングを合わせて刀で斬りつけたが、リクイッドの土の盾で防がれた。
「お前……見えるようになってるな」
「もう小賢しい真似をしても無駄だ!確実に仕留める!」
そう言うとリクイッドは再び地面に潜った。
光は見えているのなら自由に動けると思い、液状化した場所を警戒するように遠回りをしながらリクイッドの攻撃を待った。
モグラ叩きのようにタイミングを合わせて叩けばいつかは攻撃が通るはずだ。
そう思い、刀を構えると、地面の中から笑い声が聞こえた。
「そんなに警戒しても何も出ないぞ雨天 光」
「あ?」
すると突然リクイッドが地面から飛び出したと思うと、光の足をがっしりと掴んでいた。
「俺のタロットカードはな…
ニヤリと笑ったリクイッドはそのまま光を地面の中へ引きずり込んだ。
「なっ…?こいつ!」
光は完全に引きずり込まれる前に逃れようとしたが、あまりにも早く、為す術なく引きずり込まれてしまった。
中に入ると、そこは海の中にいるような感覚だった。
幸い呼吸はできるが、身体がいつもより重く感じる。
そして、リクイッドは土の槍を作り、接近してきた。
「俺のタロットカードはな…ただ俺自身を液状化した場所に潜れるわけじゃないんだよ、消耗が激しくなるが…こうやって俺の土俵に引きずり込めば、有利になるのは俺の方だろ?」
「くっ……!」
「さっきはいいように利用されたからな…今度は出し惜しみなくお前を痛めつけてやるよ!」
泳ぎながら土の槍を振り上げると光は重い腕を何とか動かして刀で防御すると、ずしりと大きな衝撃が全身に走った。
長らく潜っているリクイッドとは対象的にこの状況にとって光は圧倒的に不利だった。
リクイッドの攻撃を防ぐと反撃しようとリクイッドの腹部に蹴りを入れようとしたが、足が思うように動かず、そのままリクイッドに避けられてしまった。
隙だらけになった光の右足にリクイッドは槍で切り裂くと、そのまま蹴りを入れて距離を離し、更に接近するとその勢いで拳を振るい光の顔面にヒットさせた。
光はそのまま吹き飛ばされると、ひとつある事に気づいた。
それは
だからリクイッドは自由に地面の中を移動出来たというわけか、リクイッドが移動することで周りの地面も液状化していくと思っていたが、案外そうでもなかったみたいだ。
…となれば
光は上の硬い地面に手を出した。
するとその場の地面が一瞬にして液状化した。
これだ…!
・・・・・・・・・・・・
「かなりの距離を飛ばされたな雨天 光」
「生憎、かなりキツめの一発をくらったよ」
「それもそうだ、ここは俺の世界だ、これからお前は何も出来ずに死んでーーーー」
「それはどうかな?」
光はそう言うと、刀を構えて斬撃を放った。
だが、リクイッドのいる位置から見ると少し高めに見えた。
リクイッドは土の盾で防ぐことなく下に飛んで避けると、光はその瞬間を待っていた。
上の方から重い何かが倒れる音がし、リクイッドは見上げた。
するとそこに見えたのは……
「…!」
「そうだ…液状化した地面から少しでもはみ出ればその場所は液状化される、つまり周りの物もここへ引きずり込むことが出来る!木でも!石でも!」
「ちっ…!」
斬撃によって液状化された地面に根を支える物がなくなった木が次々と倒れ始めていた。
地面から手を出して液状化するのなら距離を作り長くさせ持続する事が出来る斬撃を放てば、近くの木や石などが液状化した地面の中へ入り込んで障害物となる。
これなら慣れていない光でも対等に戦えるようになってくる。
リクイッドは土の槍や盾で落ちてきた木々を破壊して進んでいくが、その間に光が斬撃を放つので、更に木や石が入り込んでリクイッドを妨害し、光の姿を眩ましてくる。
そして、ついに苛立ちを見せたリクイッドは1度地面の中から顔を出した。
「まさかこんなにも利用され続けるなんて…面白い、ならば俺にも
リクイッドが地面から顔を出している一方光は変わらず斬撃を放ち続けていた。
正直全身に重りをつけながら斬撃を放っている気分でいつこの両腕が壊れてもおかしくなかった。
それでも、リクイッドを確実に仕留めるために、光は木や石などを地面の中へ引きずり込んでいた。
しばらくして、斬撃を放ち続けていた光が突然手を止めた。
何かがおかしい、地面の中なのでよく分かるが、石や木が入り込んだ時
しかし、
その瞬間。
「あが…!?」
光の左腕に強烈な痛みが走った。
それは斬撃を放ち過ぎた代償ではなく、
光は上を見上げると、一気に青ざめた。
そこには
「これは…」
「どうやら気づいたようだな雨天 光」
一方光の動きを察知したリクイッドは両手に液状化した土を持って空に投げ飛ばしていた。
土の槍の正体は木や石が落ちてきて、液状化している地面を利用して空に土の槍を生成していたのだ。
光が何処にいるか分からないが、それでも全体的に土の槍を生成する事で自ずと光に命中するという作戦だ。
お陰で光が何処にいるかよく分かる。
リクイッドは最後に液状化した土を持って空に投げ飛ばしだと同時に地面の中へ潜り込み、光の動きを観察した。
そして、見事に生成された土の槍が光を貫くと、ニヤリと笑って一気に接近した。
斬撃を放っていなかったお陰で光の元まで時間はかからなかった。
「そこだ!雨天 光!!!」
「っ!!!」
所々に貫かれた跡がある光は身体にムチを打ち、刀で土の槍をいなそうとしたが、衝撃に耐えられず、刀を手放してしまった。
それを確認したリクイッドは土の槍で光の肩を貫くとそのまま地面の外へ打ち上げた。
「があああああああ!!!」
「このままお前にはここで死んでもらうぞ!」
空中に浮いた光に向けてリクイッドは土の槍をなげつけ、そのまま光の腹部に突き刺さった。
「簡単に…終わると思うなよ…!」
光は最後の力をふりしぼり、地面に落ちる勢いを利用して体勢を整えた。
狙うは奴の急所、貫かずに腹部に残ったこの土の槍でリクイッドを仕留めようという考えだ。
「落ちる勢いを使ってその槍で俺を殺すつもりだな?最後の断末魔という訳か!だが残念だったな!俺はこのまま液状化した土の中へ逃げれば硬い地面!お前が無駄死にするだけだ!早速この場の地面を……」
その瞬間、倒れかけていた木がリクイッドに向かって倒れ始めた。
油断していたリクイッドは気付くのに遅れたものの間一髪それを液状化して防御する事に成功したが、それが命取りとなってしまった。
ほんの数秒、リクイッドの液状化した地面に逃げるのを遅らせたことが決定的となった。
そしてリクイッドが気づいた時には光の腹部に刺さった土の槍が視界に入り…。
「終わりだ…リクイッド!!!」
「ま、待て!話せば分かーーーー」
光の腹部に残った土の槍は硬い地面に突き刺さると同時に、リクイッドの頭部を貫通した。
リクイッドは勢いよく宙を舞い、地面に叩きつけられるとそのまま動かなくなり、次第に身体が光の粒となり消えていった。
光は先程の衝撃で吐血し、そのまま倒れると意識を手放した。
咲夜が駆けつけてきたのはその後の話である。
・・・・・・・・・
「失礼しますエゲリア様。先程リクイッドが雨天 光に敗れたようです」
暗闇の中、ひとつの声が響き渡り、エゲリアと呼ばれた者は鼻で笑った。
「問題ない、あの雨天 光に致命傷を与えただけでも手柄だと思おう、そろそろお前の出る幕だな」
「ようやくこの私の復讐が果たせるという訳ですね」
「あぁそうだ、支度をしろすぐに送り込む」
「かしこまりました」
そう言うと1人の男は一礼し、背を向けて歩いていった。
夏も終わりますね、急な気温の低下は体調不良になりやすいので、体調管理をしっかりしましょう。
ではまた