「たっだいま〜♪」
静かな部屋に陽気な声と共に扉が勢いよく開かれた。
それに反応するように皆折神の方を向いた。
「何処ほっつき歩いてた折神!」
一人の男が椅子から立ち上がり机を強く叩いて問う。
「そんなに怒らないでよ〜ちょっとした暇つぶしをしてきただけさ」
「どうせまた私達の邪魔になるような事をしただけだろう…」
「あーっ!ひっどーい!僕の事そんな風に思ってるんだ!」
「貴様がいつもふらふらと消えれば余計な事をして帰ってきてるからだろ!」
声を荒らげた男は再び机を強く叩いた。
「ちょっとそんなに怒らないでよぉ…折神こわーい…」
「………」
折神は怖がるような反応を見せていたが、何もかもがわざとらしかった。
声を荒らげていた男はため息をついて静かに椅子に座った。
それを見た折神はスッと表情を元に戻す。
「まぁいいや、それで?あの執事君は幻想郷に?」
縦長の机に5つ用意されている椅子のうち、最後に空席だった椅子に座る折神は対面するように座っている男に問いた。
「あぁ…今さっき向かわせた、そろそろあの
「おぉ〜まさに感動の再会…!!!泣けますなぁ〜…」
「それで?貴様は雨天 光に何をした?」
「むむっ!見てたんだね!流石
折神はケラケラと笑いながら机にある紅茶を飲んだ。
そしてほっと一息つくと答えた。
「光くんにはちょっとした
「細工だと?」
「うん!確か今の時間は……夜の23時かー!
「ふん…またどうせつまらない見せ物だろうが…まあいい、高みの見物と行こう」
机に座っている5人は机の真ん中に置かれている水晶で幻想郷を覗いた。
「さてと…僕をガッカリさせないでよね雨天 光君♪」
・・・・・・・・・・・
一方永遠亭の病室にて就寝時間となった光は、ベッドの上でぼーっとしていた。
結局咲夜さんは見舞いに来なかった。
既にレミリアが俺の事について話しているだろうな、咲夜さんがどんな反応をしたのかはその場に居なければ分からないが、きっと安心した表情をしているに違いない。
…不思議だな、
次第に睡魔が襲ってきた光はそのまま目を閉じた。
そして
再び目を開けるとそこは懐かしい高校時代に通った母校が建っていた。
俺は既に卒業しているので、夢だと言うのはすぐにわかった。
だが、どうして今更こんな夢を見ているのだろうか、俺はゆっくりと正門から入り、履いている靴をロッカーに入れて、学校用の上履きを履いて廊下を歩いた。
校内はとても静かで、昼間だと言うのに人も見当たらなかった。
とりあえず俺は卒業する年、3年棟へと足を運んだ。
階段を一段一段と登る度に懐かしく感じた。
高校時代はこの能力のせいでクラスメイトからは気味悪がられ、周囲から避けられていた。
俺自身仲良くするつもりもないし、両親も既に他界していてずっと一人だったし、慣れていたのもあって有難い限りだった。
俺が在校していた組の教室に入ると、そこには…
教室の窓から吹く風で滑らかにゆれる綺麗な茶髪のロングを見て、俺は誰だか分かった。
「久しぶりだね光くん」
「どうして……」
「ちょっとー久しぶりの
俺の反応に彼女は頬を膨らませていた。
同じだ…
「いや…まさかお前が居るとは思わなくてな、動揺してしまった」
「そっかーでも嬉しいなぁ光くんが来てくれるなんて」
「………」
これは夢だ、俺は今病室で眠っている。
夢のはずだ、なのに…何だこの本当に会話しているような感覚は…。
「光くんは今何してるの?」
「え、俺か?俺はー…」
夢の中とは言え幻想郷で英雄になる為に修行してるとか恥ずかしくて言えねぇ
「社会人やってるよ…」
「へぇー!意外だね!あの孤独を好む光くんが!」
「うるせぇよ…それより………お前は?」
「私?私は何もやってない」
「優等生だったお前が珍しいな…」
「あはは…私ったら大人になってダメになっちゃった」
「そんな…事ねぇよ…」
「…懐かしいねここ、よく一緒に話してたっけ」
「あぁ…そうだな」
「ねぇ光くん!さっきから反応鈍くない?私の事嫌いなの?」
今、俺はどんな顔をしているのだろう。
あいつだってわかった途端声が震えて視界もおぼついてる。
きっと俺は泣きそうな顔をしてるのかもしれねぇな…。
「そ、そんな訳ないだろ!俺だって嬉しいさ!」
「ふーん、それならいいんだけど!」
「……なぁ…あのさ…」
「ん?どうしたの光くん」
「俺は…」
言葉が出ない、怖いからだ、
「俺は………!」
逃げたんだ、俺は弱い、結局またお前を救えなかったんだ。
ごめん、そう言いかけた瞬間、風が1層強くなり俺は目元を腕で覆った。
彼女がどこかへ行くような気がした。
嫌だ…俺はまたお前を……!!!
俺はすぐに立ち上がり彼女の背中を追った。
「待ってくれ!!!ーーーーーー」
彼女の名前を叫ぼうとした瞬間、俺の視界は真っ暗になった。
「そうか、お前のせいだったのか…いつまでも張り付いてくるダニが」
「っ!?」
再び目を開けるとそこは永遠亭の病室だった。
そして横には心配そうに見つめる鈴仙が居た。
「れい…せん…?」
「光さん!大丈夫ですか?何だかうなされていたように見えて…」
「あぁ…大丈夫だ、ちょっと悪夢を見ただけだ」
「そうでしたか…念の為師匠を呼んできますね」
そう言うと鈴仙はそそくさと病室を出た。
窓を見る限り既に日は昇っていた。
2日続けて最悪な目覚めだ…なんなんだこの数日嫌な事しかない。
とりあえず永琳に検査してもらってただの悪夢だと気が楽なんだがなぁ…
だが…一つだけ
どちらかといえば男の声だった。
あの声の正体は一体なんなのだろう。
俺の記憶では聞き覚えがない。
・・・・・・・・・・・
「検査結果は異常なし、今日で退院出来そうね」
「マジか、あんな怪我負っておいて2週間で帰れるのか」
「能力者故回復も早いと思うわ、ただし、すぐに戦闘に出ないことそれだけは約束して傷口が開くだろうし」
「分かってるよ、ただどうても戦闘に出ないといけない場合になったら?」
「その時はまた自分で考えなさい、場合によっては出禁にするけど」
「おー怖い怖い分かりましたよ先生」
そう言って俺は正式に退院する事になった。
眠っていた時間を除くとまだ2日くらい病室にいたつもりだったが、身体は覚えているようだ。
眩しい、まさに2週間ぶりの日差しといった所だ。
鬱陶しそうに太陽を睨みつけた後前を向くとそこには。
「迎えに来たわよ光」
「パチュリーに小悪魔、わざわざ来たのか」
「レミリアお嬢様に頼まれて来ました!」
「そうか、何がともあれ感謝はしておくよ」
「それじゃ行きましょうか」
「はいはい」
俺はそう返事すると、帰路へ向かった。
事があった後の咲夜さんと顔合わせるの気まずいなぁ…
・・・・・・・・・・・・・
私は大きな罪を犯した。
お嬢様の予知をまともに聞かず、光さんを自らの手で傷つけた。
光さんはきっとこんな私を許すわけが無い、あの時私は彼に約束した。
『これから変わるというなら私は大歓迎です』と、結局変わってないのは私だ。
紅魔館に来てから私は1度も変わってなどいない。
私はため息をつくと、扉がノックされた。
どうぞと返事をすると失礼しますと言い扉を開けた。
そして私は次の瞬間、時が止まったような感覚に陥った。
それは能力を使われたのではなく、純粋に衝撃的すぎて放心状態になってしまったのだ。
「あ…あぁ…貴方は…!」
「
「そういえばパチュリー」
「どうかしたのかしら?」
「レミリアから聞いたんだが…昔紅魔館にいた執事長、名前はなんて言うんだ?」
「あー…あの人ね…彼の名前は…」
「この
「丑満時 静夜…貴方と同じ人間よ」
今回はかつてボツにした作品の主人公を持って来ました。
丑満時 静夜君、分かる人には分かる
彼がどんな人物なのか今後の展開を楽しみにしていてください。
それでは。