東方想伝録   作:司馬懿です

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変化する気持ち

 

 

 

 

 

 

一方その頃、別世界ではエゲリアが戻っていた。

薄暗い中レンガで出来た廊下を歩いていると、反対方向から折神が鼻歌を歌いながら歩いてきた。

お互いの顔が見える距離まで近づくと折神は笑顔で歩み寄ってきた。

 

 

「おぉ、エゲリア君じゃないか!首尾はどうだったの〜?」

 

「いい感じに取り込んだと思う、後はあの英雄モドキが好きなように暴れてくれる事を願うだけだ」

 

「まさか僕の企みに1枚噛むとは思わなかったよ〜」

 

「勘違いするなお前みたいなゲス野郎に手を貸した覚えはない、ただあの英雄モドキに俺の配下を殺られたその腹いせだ」

 

「素直じゃないね〜、まっ!君がどう思おうが僕には関係ないしどうでもいい事だから♪」

 

「相変わらず癪に障る言い方だ…話はそれだけか?俺は行くぞ」

 

「うん!お疲れ様〜」

 

 

エゲリアはそのまま暗闇の中へ消えていくのを折神は手を振りながら見送り、再び向き直って歩き出すとこう呟いた。

 

 

「さて…今頃幻想郷あっちはどうなってるかなぁ〜♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

響き渡る爆発音と共に霊夢と咲夜が黒煙の中に弾幕を撃ち込む。

少し経つと黒煙が衝撃波と共に晴れると、黒い霊力を放つ偽光が立っていた。

 

 

「どうした!幻想郷の能力者にしては随分と逃げ腰だな!」

 

 

偽光は無数の斬撃を放つと、霊夢が弾幕で相殺させる。

回り込んだ咲夜はナイフを放ると、偽光は振り向きざまに斬撃を放って弾き飛ばす。

更に上から霊夢がお祓い棒を振り下ろすも、刀で防がれ、霊夢は更に力を入れて押し込むと偽光は刀で弾き飛ばすが更に霊夢は圧をかけて偽光を封じ込める。

すると偽光は霊力を更に放出させて、強引に霊夢を弾き飛ばすと後ろから接近している咲夜に斬撃を放つ。

それを弾幕で相殺すると同時に時を止めてナイフを放る。

そして再び時が動き出すと偽光はニヤリと笑い刀に力を込める。

すると普段なら白く光るはずの刀が黒く光り始めると更に刀身も伸び始めた。

 

 

「俺を甘く見ない方がいいぞ!」

 

「くっ…!」

 

 

偽光は一回り大きくなった刀を大振りし、巨大な斬撃を作るとそのまま咲夜の弾幕を弾き飛ばすと更に斬撃は勢いを知らず咲夜の方へ向かって飛んでくると、時を止めて後ろへ下がり、ナイフを配置して構える。

時を動かすと偽光が予想通り反応しナイフを弾き飛ばしたその瞬間を狙い急接近するとそのままナイフを振り下ろした。

咲夜の奇襲を難なく刀で防ぐと間髪入れず霊夢が背後から仕掛ける。

すると偽光は強引に刀を振り回すと今度は霊夢がお祓い棒で防ぐが、偽光は霊夢のお祓い棒を土台に弾き飛ばすと同時に空高く飛び上がった。

すかさず咲夜が追撃するためナイフを配置して時を動かす。

霊力を上げて更に飛び上がって回避すると、高速で刀を切りつけて斬撃の雨を降らせるが、時を止めて回避して背後に回ってナイフを配置する。

背後から気配を感じた偽光は刀身を伸ばしてそれを一掃すると今度は高速で刀を突き、槍型の斬撃を放つ。

それを霊夢が割り込んで弾幕で相殺すると、黒煙が発生し、霊夢はその中へ突っ込むと、それを確認した咲夜が横からナイフで応戦し、晴れたと同時に偽光の目の前に現れて不意打ちを仕掛ける。

反応に遅れた偽光はすかさず刀でガードするが即座に弾かれた事で胴体がガラ空きになり、そこへ弾幕を打ち込んだ。

もろに受けた偽光は空中を舞うと霊夢は更に顔面を蹴り落として地面に叩きつけた。

 

 

「うっ……くぁ……」

 

「咲夜!今よ!」

 

「分かってる!」

 

 

その場で膝を着いた偽光を仕留める為に咲夜が急接近してナイフを振り下ろそうとした瞬間ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()

 

「っ!?」

 

「あのバカ……!」

 

 

本来の光の口調に咲夜は一瞬迷ってしまった。

その隙を逃さなかった偽光は咲夜に切りつこうとしたが、間を割って霊夢がなんとかお祓い棒で弾き飛ばすと蹴りを入れて距離を取った。

 

 

「……ごめんなさい霊夢私とした事が」

 

「アンタがどれだけ気に入ってるのか知らないけど、本来の光を取り戻したいなら次はないわよ!」

 

「……次は失敗しない、貴女に合わせるわよ」

 

「そう……なら出し惜しみ無しよ!」

 

 

そして霊夢はスペルカードを発動した。

 

 

 

〜霊符「夢想封印」〜

 

 

 

色とりどりの弾幕が放たれると、偽光もそれを見てスペルカードを発動した。

 

 

 

〜蝶符「妖刀・千子村正」~

 

 

 

「そう簡単に倒れるかよ!」

 

 

普段なら白く光る刀も偽光によって黒く光り、黒い斬撃を放つ。

弾幕同士がぶつかり合い大きな爆発音と黒煙が発生するとお互いに煙の中へと消えていく、そこへ咲夜がスペルカードを発動する。

 

 

 

〜奇術「ミスディレクション」〜

 

 

 

黒煙の中であらゆる方向から無数のクナイとナイフが偽光を襲う。

偽光は急いで黒煙から逃げ出すと、すぐさま斬撃で応戦する。

更に追い打ちをかけるように横から現れた咲夜は片手に握っているナイフを振り下ろした。

偽光はそれを間一髪身体を横に倒して回避した後、咲夜を蹴り飛ばす。

 

 

「惜しかったな!これで終わりにしてやる!」

 

 

偽光は咲夜を仕留める為スペルカードを発動しようとしたが、周りに四角形の結界が貼られている事に気づく。

 

 

「なっ…!?」

 

 

 

〜夢符「二重結界」〜

 

 

 

「咲夜!今よ!」

 

「今度こそ!」

 

 

 

〜幻象「ルナクロック」〜

 

 

 

結界の中に青ナイフと緑ナイフがばら撒かれ、偽光は為す術が無く、苦渋の表情をしながら叫んだ。

 

 

「いい気になるなよォ…!俺は何度でも現れてやる…!コイツが生きている限りなぁ……!!!」

 

 

大きな爆発音と共に宙を舞い、そのまま地面に叩きつけられた。

そして偽光から黒い霧が放出されると咲夜は光の元へ駆け寄った。

 

 

「光さん!大丈夫ですか!」

 

「……ありがとう……ございます……咲夜さんに霊夢……」

 

「はぁ……とりあえず咲夜はコイツを頼むわよ、私は今からあの文屋に色々と問いただしたいから」

 

「分かったわ、ごめんなさい色々迷惑かけてしまって」

 

「……あの時一瞬迷ったのはやっぱりコイツが大切だからかしら?」

 

「………」

 

 

咲夜は気を失った光の顔を見ると、目を細めて答えた。

 

 

「この人には沢山迷惑を掛けたから」

 

「そう……じゃあ私は行くわ、目が覚めたら私が迷惑そうにしてたわよって言っておいてちょうだい」

 

 

そう言うと霊夢は飛び去って行った。

咲夜は妖怪の山から離れ、静かな草原の所まで光を運んだ。

そして周りに気配を感じない事を確認した後、自身の膝に光の頭を乗せた。

春の風が吹く中、光のサラサラとした髪を触る。

普段から手入れしているのか、触り心地が良い。

霊夢の言う通り、私はこの人の事が大切なんだと思った。

偽物の光さんから言われたあの言葉、まるで本物の光さんに言われたような感じで思わず手が止まってしまった。

この人には本当に迷惑かけてばかりだ、幻想入りした時は人間不信だったから私はもう信頼に値しない存在だと思っていたのに、この人は私を信じて一緒に戦ってくれる…貴方は確かに変化している。誰かを信じようと努力してくれている、自分の事を大切にしてくれるみんなを、それなのに…あの時私が慰めてもらった時何故貴方は辛そうな顔をしたんですか…?

咲夜は眠っている光の頭を撫でながら呟く。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()……貴方の事……もっと知りたいです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

妖怪の山を通り過ぎた後、人気のない森の中で立ち止まると背後から気配を感じた。

 

 

「居るんでしょ紫」

 

 

すると霊夢の背後からスキマが出現し、紫が顔を出す。

 

 

「まさか彼が襲われるなんて思わなかったわ〜(棒)」

 

「分かりやすい棒読みね…まぁそんな事はどうでもいいわそれよりも見てたんでしょ?()()()()()()()()()()を」

 

「そうね〜、一応全部見ていたわ」

 

「ならどうして止めなかったの?ましてやその相手がタロットカード使いなら……」

 

「正確に言うなら()()()()()()()()の方が正しいわ」

 

「どういうこと?」

 

 

紫は扇子で口元を隠すと少し眉をひそめて話し始めた。

 

 

「寝静まった夜だったかしら…文屋が何か察知したのかいつもと違う雰囲気を漂わせていて、その後ろに()()が見えたわ、それが能力者だと気づくのには時間は掛からなかったし、幻想郷の住民では無いことも、そして後は文屋に手を出す瞬間に捕まえれば…なんて思ってたけど浅はかだった、最初はどんな能力を使うのか観察する為に文屋の近くにスキマを置いて近づいたのだけれど、それが()()()()()()()()()()()になったのよ」

 

「近づいたことで捕まえられなかったってこと?」

 

「恐らく人影の声からして男だったわ、そしてその男から霧のようなものが放出されたのよ」

 

「霧……射命丸が操られている時にも霧みたいなのが出てたわ」

 

「その霧が原因だと思うわ」

 

「それなら尚更、アンタの力で霧ぐらいかき消せたでしょう?」

 

「最初に言ったはずよ捕まれられなかった理由があるって私もそうするつもりだったわ、だけどその霧に近づいた瞬間……()()()()()()()()()()()()()()()()()に陥ったのよ」

 

「自分が自分じゃなくなる…?」

 

「所謂精神崩壊ってヤツかしら、その男から放出された霧には近づいた者を蝕む力が宿っていたのよ、私も思わず離れざるおえなかったわ」

 

「いくら大妖怪であるアンタでも長居は出来なかったのね」

 

「ええ、そしてその霧は攻撃を仕掛けた文屋をあっという間に包み込んだわ、それから文屋の様子がおかしくなって今に至る感じかしら」

 

「……その人影、顔は分からなかったの?」

 

「……真夜中だったし何より妖怪の山での出来事、顔は全く見えなかったわ」

 

「なるほどね、霧の能力を使い更にその霧に近づけば精神崩壊が起こる……また厄介な能力者に出くわしたものね、この事は後々光にも伝えておくわ」

 

「そうしてちょうだい、私が伝えに行っても信じてもらえないだろうし」

 

「アンタが光に何を消しかけたのか知らないけれど、あまりアイツをからかわないようにしてよね」

 

「あら、霊夢からそんな事を言われるなんて思わなかったわ」

 

「……どういう意味よ」

 

「いえ、仲が良いみたいで良かったわ、じゃあ私は帰るわね」

 

 

そう言うと紫は手を振りながらスキマの中へ入っていった。

再び静けさが戻り、霊夢は鬱陶しいくらいに眩しい太陽を見ながら大きなため息をついた。

 

 

「次のタロットカード使い(能力者)が来るのも時間の問題ね……」

 

 

 

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