東方想伝録   作:司馬懿です

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どうも、9月も中旬に差し掛かりまだまだ猛暑が続くこの季節にだらだらとする日々が多くなりました。
今回はかなり長めです。


友との再会、そして…

 

 

翌日早朝、光は紫に言われた通り霊力を感じる場所へ向かっていた。

普段は霊力を肌で感じる程度なので誰かと同行し、会話しながら向かう程の余裕があるのだが、今回はちょっとばかり例外だ。

今回の件一人で向かって正解だった、何だこの()()()()()()()()は…一歩一歩足を前に出す度に押し潰されるような感覚に襲われる。

これは…少しばかり警戒しながら向かうべきか。

光は刀を手に掛ける。

普段は敵の気配を感じてから構えているが、流石にこれは度が過ぎている。

霊力を感じる場所に近づくと段々と重みが増していく。

歩くだけで疲れそうだ。

そして目的地に到着し、目の前に立っている黒マントで覆われた明らかに怪しい後ろ姿を見つけた…というか、そいつからとんでもない霊力が溢れ出てるから丸分かりなんだけど…。

 

 

「おい、お前か?新しいタロットカード使いは、悪いが自己紹介する前にご退場してもらう………え?」

 

 

光は刀を抜いて戦闘態勢に入ろうとした瞬間、振り返るそいつの顔を見て目を疑った。

なんでだよ……なんで()()()()()()()()()()()()()

 

 

「久しぶりだね……光」

 

飛鳥(あすか)……どうして!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

その頃紅魔館ではレミリア達が朝食を済ませていた。

 

 

「そういえば咲夜、光が見当たらないのだけれど?」

 

「光さんでしたら朝早くに用事があると仰って出掛けておりますが…」

 

「そう……何か光から聞いてないかしら?」

 

「光さんから…?いえ、特に何も聞いておりませんが」

 

「…………」

 

 

なにか引っかかる、この霊力…。

スキマ妖怪や花妖怪とは違った独特な霊力、光がそれを感じないとは思えない。

 

 

「……お嬢様もやはり感じますか?」

 

「これだけダダ漏れの霊力なら皆感じるわよね」

 

「そうですね、この重苦しい感覚…明らかにいつもと違います」

 

「……光が心配だわ、咲夜見に行ってくれないかしら?」

 

「かしこまりました」

 

 

咲夜は頭を下げて向かおうとした瞬間、扉が勢いよく開かれた。

そこには魔理沙と呆れ顔のパチュリーがいた。

 

 

「その話聞かせてもらった!この私を差し置いて抜け駆けは許さないぞ!」

 

「貴女の出る幕じゃないわよ魔理沙……」

 

「ふふ、元気な子は好きよ、いいわ一緒に行きなさい」

 

「ほ、本気ですか?お嬢様」

 

「人数が多いほど安心できるわ、この霊力だものただものでは無いわ」

 

「……その通りですね、かしこまりました。魔理沙くれぐれも足を引っ張らないで頂戴」

 

「任せろ!」

 

 

二人は紅魔館を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

「昔と変わらないな、君は」

 

「嘘だ…どうしてお前が…!」

 

「すまない、()()()()()()()()()()まさか別の世界で暮らしていたなんて」

 

「そんな事はどうでもいい!どうしてお前がここにいるんだよ!」

 

「俺は決めたんだよ()()()()()()()()()()()()()()って、その為に沢山努力してここまで来たんだよ」

 

「理想郷?何の為に」

 

「何の為…?忘れたのかい?君があんな仕打ちを受けて人間不信になったと言うのに、俺はもう同じ過ちを繰り返したくないだけなんだ」

 

「過ち…?まさかお前()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「………そうだ」

 

「馬鹿野郎!あれは俺のせいだと葬式の時に言ったはずだ!」

 

「違う!光は何も悪くないんだよ…俺はアイツを救える事が出来た…だけど…出来なかった、気付いてやれなかったんだ…!だから俺は自分が許せなかった、もう嫌なんだお前まで失いたくないんだ…だから俺は、俺の理想と思える世界を作りたいとここまで来たんだ光に会うために…!」

 

「飛鳥…」

 

「光、お前の力が必要だ」

 

 

そう言うと飛鳥は光に歩み寄り、手を差し出す。

 

 

「共に、俺達の理想郷を作らないか?」

 

「………」

 

 

光は飛鳥の差し伸べられた手を見つめる。

自分の手を伸ばし、差し出された飛鳥の手を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

握らず、下がると刀に手を置き抜いた。

 

 

「断る」

 

「何故だ…?お前にとってこれ以上のない提案じゃないか!」

 

「確かに悪くないかもしれない、お前の言う理想郷と言う奴はきっと良い世界なのだろうな、だけどそんな事をしてアイツは戻ってくるのか?」

 

「っ……!」

 

「お前は明るくて、友達想いの奴だ、こんな俺を気にかけてくれて凄く嬉しかった…でもな」

 

 

光は霊力を増幅させる。

 

 

「いくらお前でも()()()()()()()使()()()()()になっちまったら元もこうもないだろ」

 

「…………」

 

「それに理想郷…?お前はそんな屁理屈は言わない奴だった!どうしちまったんだよ?アイツが死んだ事でお前の中で何かが崩れちまったのか?人間不信になっちまった俺みたいに!」

 

 

飛鳥は目を瞑り俯くと差し出した手を下ろした。

そして不気味な笑みを浮かべると右手から何かを発生させた。

それは()だった。

距離を取っていても熱気を感じる所あれは本物だろう。

重苦しい霊力の正体は飛鳥であり、受け入れたくないが飛鳥はタロットカード使いになっていた。

そしてその能力は炎を操る。

 

 

「……残念だ」

 

 

そう言い飛鳥は右手の炎から()を出現させた。

その見た目は鞘から柄まで黒と赤で統一されていた。

それを抜くと刀身まで赤と黒で出来ていた。

見た事ない刀の色に思わず目を見開いた。

そして飛鳥はそれを両手で握ると構え、光と同時期に地を蹴った。

 

刀と刀がぶつかり合い火花が散ると何度も刀を振るい続ける。

そして一瞬の隙を狙って飛鳥の首元を突くが、上手く刀で受け流された後その後の斬撃も全て弾かれる。

光は瞬時に体勢を低くして刀で足を払うが、飛鳥は上に飛び回転しながら後ろに下がると光は更に突っ込み刀を振るう。

再び火花が散り、今度は振り抜いて無理矢理弾くと身体を回転させて反対側から攻撃するが刀で弾かれる。

光はその反動に身を任せて下に潜り込むと背後に回り、左右にステップを踏みながら近づく。

そして飛鳥の左脇に刀を振るうと見せかけて瞬時に移動して右脇に刀を振るうが、読んでいたのか飛鳥は刀で防いで動きが止まった瞬間に振り向き更に刀を振り下ろした。

刀で防いだ光は顔をしかめた。

()()、重いのだ。

それは霊力のせいではない、光の攻撃全てを軽々といなされた彼自身の実力故に重いのだ。

そしてニヤリと笑った飛鳥は。

 

 

「軽いな」

 

 

そう言い弾き飛ばすと更に刀を振り下ろす。

対応出来なかった光は刀を手放してしまう。

そして刀を行先を見ていた光に、飛鳥は耳元でこう呟いた。

 

 

「この世界はもうすぐ終末を迎える……だがまだ間に合う……選択は君次第だ、光」

 

「……!」

 

 

光はハッとなり後ろを振り向くと少し焦げた野原だけが残っていた。

それと同時に魔理沙と咲夜が到着した。

 

 

「光!大丈夫か?」

 

「あ、あぁ…」

 

「……?先程まで感じていた霊力が…」

 

「そう言えばそうだな、光は何か知っているか?」

 

「……いや俺にも分からない」

 

「そっかー……ちぇ、どんな能力者なのか見たかったぜ」

 

「お前はただ戦いたかった為だけに来たのかよ…」

 

「当たり前だろ?これだけの霊力出してる奴なんて花の妖怪とか大妖怪くらいしかいないぜ!」

 

「……それ程までに……あいつは……」

 

「光さん…?」

 

 

何か思い詰めた光に咲夜は違和感を感じたが、とりあえず3人は特に留まる理由も無いため帰宅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

その夜、光は自室で両手を見ながら朝の事を思い出していた。

外の世界で俺の事を気にかけてくれていた友との再会、だがそいつは幻想郷を攻撃してくるタロットカード使いの一員、そして奴には現時点で歯が立たない事が分かった。

今俺があいつと戦えば確実に殺される。

何よりも明るく友達想いだった飛鳥があんなにも豹変してしまった事が一番受け入れ難い。

 

 

「飛鳥……どうしちまったんだよ……なんであんな事に…」

 

 

光はため息を付くと扉がノックされる。

どうぞと言うと咲夜が入ってきた。

 

 

「すみません夜遅くに朝方にあった事でお話がありまして…」

 

「あぁ…霊力の奴ですね」

 

「もしかして光さん霊力を放っていた方と何かありましたか?私で良ければ話してくれませんか?」

 

「……特に何も無かったですよ」

 

「本当ですか?あの時の光さん何処か思い詰めている表情をしていました…私じゃ話し相手になりませんか…?」

 

「……咲夜さんには敵いませんね、分かりました今日あったこと全て話します」

 

 

光は椅子をもうひとつ用意するとそこに咲夜を座らせて語り出した。

 

 

「今日俺は信じられない出来事に遭いました、霊力を放っていた者の正体それは新たなタロットカード使いであり外の世界で俺と仲良くしてくれた友人だったんです」

 

「光さんのご友人が、タロットカード使い……」

 

「名は十神 飛鳥(とがみ あすか)、俺と仲良くしてくれた時はとても明るくて、友達想いで誰とでも仲良くできた男女問わずクラスの人気者だったんです…だけど今の彼はそんな面影もありませんでした。」

 

「………」

 

「その原因としてひとつだけ心当たりがあります、それは飛鳥の幼なじみの小山 凜音(こやま りんね)だと思います彼女は俺より付き合いが長く、飛鳥同様俺とずっと仲良くしてくれていました…だけど、当時化け物と言われて虐められていた俺と仲良くする事は周りから見て良いことでは無かったんです、飛鳥は人気者だったから許されていた所はありましたが、凜音は違いました主に女子から酷い虐めを受けてしまい、彼女は……最後……屋上から……」

 

 

光はそこで震え出した。

強く握っている両手には涙が落ちていた。

 

 

「……!」

 

「飛び降りたんです……自殺したんです!俺のせいで……俺が彼女を殺したんですだからあいつは…!」

 

「そんなことありません…光さんは何も悪くないですよ…!」

 

「でも…飛鳥はその事件のせいで…」

 

「その飛鳥さんという方も光さんと同じように苦しんだ後に堕ちてしまったんだと思います、光さんが人間不信になってしまったように、だけど光さんと飛鳥さんにはひとつだけ違う部分があります」

 

「違う…部分?」

 

「それは貴方には()が居るということです、幻想入りした時貴方はどんな事があろうと誰も信じないという方でした…だけど今はこうやって自身の辛い過去を私に話してくださいました。それは光さんが少なくとも私を信じて話してくれたということですよね」

 

「それは…」

 

「貴方は今籠っていた殻を破ろうとしています、だけど飛鳥さんは今殻に籠ったまま破ろうとしませんそのキッカケすらないんです。だから光さん」

 

 

咲夜は光の両手を優しく握ると光の目を見てこう言った。

 

 

「貴方が今度は飛鳥さんの殻を破ってあげてください、貴方にはその権利があります」

 

「……っ!」

 

「辛かったですよね、一人でずっと抱え込んでいたんですよね、だけどもう大丈夫です私が、幻想郷(ここにいるみんな)が貴方の味方です」

 

「咲夜……さん……」

 

 

光は内に溜めていた想いが溢れ出したのか涙が止まらなくなってしまった。

それを見た咲夜は優しく抱き締めた。

 

 

「ありがとうございます……話してくれて、ようやく貴方の事が知れてよかったです」

 

「あぁ……俺は……俺は……!」

 

 

その夜、光は泣き続けた。

涙が枯れてしまうほどに、咲夜はただ黙って光を優しく抱き締め続けた。

かつて心を閉ざした自分がレミリアにそうされたように。

そしてその扉の向こうではレミリアが背を向けて立ち、どこか誇らしげな表情で天を仰いでこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かったわね、咲夜、光」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

その日俺は夢を見た。

いつの日か見た学校の教室、そこにはやはり凜音が立っていた。

 

 

「元気?光」

 

「あぁ……この通り元気だよ凜音」

 

「そうなら良かった」

 

 

ニッコリと笑った凜音はふわりと歩き出した。

光はそんな凜音を見て優しく微笑んだ。

 

 

「なぁ凜音」

 

「ん?どうしたの?」

 

 

光はここで本音を言おうと思ったが、やはりまた止まってしまう怖いから。

……だが、いつもはここで終わっていた光は勇気を振り絞ってこう告げた。

 

 

「……すまん今はまだ言えないみたいだ、だからさ待っててくれないか?ここでいつかきっと言える日が来るから」

 

「……うん!分かった、待ってるよ」

 

 

そう答えた凜音はどこか嬉しそうだった。

そして風で靡くカーテンが彼女を覆い、それが無くなるとそこには()()()()()()が呆れ顔で立っていた。

 

 

「結局何も変わっていないじゃないか出来損ないが」

 

「どうかな?少しずつだが、変わってきているぜ?」

 

「ハッ…どうだかな?俺はお前を信じられん、もしもの事があればまた使わせてもらうからな」

 

「勝手にしろ…出来るもんならな」

 

 

そう言うともう一人の光は舌打ちをして立ち去る。

それと同時に光自身の意識も遠のいていく。

 

夢が覚める、さぁ物語はまだまだこれからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日光の中で何かが変わろうとしていた。

 

 

 

 

 




もういい加減光くんに大きな変化を与えないと飽きてしまうよなぁと思っていました。
はい、ここです。
新キャラ2人同時にドーンって感じでね
次回は多分戦闘回になると思います。
それではまた。
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