東方想伝録   作:司馬懿です

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今回から第3章に突入しますが、短めです。
ユルシテ…ユルシテ…



第3章『花咲く恋と憤怒の炎』
少しずつ変わるから


 

 

翌朝、咲夜は厨房で朝食の準備をしていた。

一見いつも通りの朝に見えるが、今日は少し違った。

隣には果物の皮を剥いている光が笑顔だからだ。

 

 

「いい匂いですねぇ…自分あまり朝は食べないんですけど咲夜さんの作る料理は何故か食欲がそそられるんですよね〜」

 

「そうなんですか?でしたら少し量を減らしても大丈夫ですよ」

 

「話聞いてました!?咲夜さんの料理は食欲がそそられるんですから減らされたら泣きますよ!?」

 

「冗談ですよ、いつも残さず食べてくださりありがとうございます」

 

 

咲夜は微笑むと、光はこちらこそと笑顔で返した。

昨日の夜をきっかけに光の笑顔をこんなに見れたのは初めてかもしれない、今までは人間不信の影響であまり表情を表に出さなかったが、彼の中で少しだけ余裕が生まれたのかもしれない。

それだけでも咲夜にとっては大きな変化だと思っている。

 

 

「……昨日はすいませんでした、あんなに泣きじゃくって…凄く子供みたいでしたよね」

 

「そんな事ありません、それくらい一人で抱え込んでいたという事なんですから」

 

「……俺少しずつですけど前を向こうと思います、まだ完全に克服した訳じゃないですけど、いつかきっと胸を張っていられるように……」

 

「大丈夫です、少しずつでいいんです。焦る必要なんてありませんよ、何かあれば私が相談に乗ります」

 

「咲夜さんにはいつも助けられてばかりですねぇ…」

 

「気にしないでください、お互い様ですよ」

 

「…ありがとうございます」

 

光は微笑むと、咲夜もふふっと笑った。

和やかな空気の中、厨房の扉が開かれる。

パチュリーが起きたようだ。

 

 

「なんだか楽しそうな会話が聞こえたから来てしまったわ」

 

「パチュリー様、もしかして私達の声が大きすぎて起きてしまいましたか?」

 

「そんな事ないわ、むしろ久しぶりに朝から良いものを見せられたわ」

 

 

そう言いながら目で光の方を見た。

 

 

「少し垢抜けしたかしら?良い表情してるわよ」

 

「……そう見えるのか?」

 

「そうね、もしかして咲夜と何かあったのかしら?」

 

「パ、パチュリー様!?」

 

「なんもねぇよ…そろそろ朝食が出来るから()()()は先に席座っとけ」

 

「はいはい、分かったわ」

 

 

厨房を出るパチュリーの姿はご機嫌だった。

少し間が空いて、ハッとした咲夜は光の方を向いた。

 

 

「光さん…今パチュリー様の事を…」

 

「……あいつには色々と迷惑掛けてますから、俺なりの恩返しです」

 

「ふふ…そうですか」

 

「……なんですか」

 

「いえ、なんでもないですよ、もうすぐ出来上がりますし運びましょう!」

 

「りょーかいです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

朝食を終え、片付けが終わると光は紅魔館の外へ出た。

鍛錬だ、タロットカード使いはまだまだ数多くいる。

幻想郷を救う為にこの世界に来た俺はやはりヤツらと戦わなければならない。

何よりも血迷った飛鳥をぶん殴るという目標も新しく出来た。

間違った道へ足を踏み入れたのなら目を覚まさせるのが友人としての務めだ。

だが、残念ながら今の光は飛鳥に歯が立たない。

あの時飛鳥にこれでもかと攻撃をしたが、ビクともしない上に一撃で仕留められてしまった。

それが今鍛錬をする一番の理由だ。

光は刀を出現させると、想いを込める。

それに答えるように刀は白く光る……が違和感を覚えた。

 

 

「いつもより輝いている…?」

 

 

おもむろに刀を振ると、衝撃波が発生した。

庭にある茂みが激しく揺れ、大きな重低音が光の耳を刺激する。

幸いにも紅魔館を破壊するまでの威力は無いが、光は驚きを隠せなかった。

 

 

「なんだこれは…俺がいつも放つ斬撃とは違う…何か」

 

 

昨晩の事がキッカケで心に余裕が出来たのか、それが刀に伝わっていた。

ならばと光は紅魔館の壁を蹴って飛ぶと、空に斬撃を放った。

すると白く光り輝く斬撃が、高速で放たれ上空にある雲を真っ二つに斬り裂いた。

今までの何倍の速さで斬撃を放てたのだ。

光は自身の力に驚愕したが、これを使いこなせばいずれは飛鳥を倒せるかもしれないと柄を強く握り、ひたすらに刀を振るった。

今日は買い出しも無いので、鍛錬が終わった頃には日が沈んでいた。

大粒の汗を拭い、光はシャワーを浴びようと紅魔館に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

夕食を済ませた光は特にやることも無いので廊下をブラブラ歩いていた。

すると反対方向からレミリアの姿が見えた。

 

 

「お疲れ様、今日は随分と鍛錬に力が入ってたわね」

 

「まぁな…このままじゃダメだと思ったからやってるだけだ」

 

「珍しいわね、今日の朝パチェから聞いたわよ、光からパチェって呼ばれたなんて」

 

「子供かよあいつは…」

 

「それくらい貴方の事を気にしてたのよ」

 

「……何度も言うがお前含む紅魔館のみんなには世話になってばかりだからな、俺なりのアイツへの恩返しだ」

 

「そんなの必要ないわよ()()()()()()()()()()私の事もレミィって呼んでいいわよ」

 

「気が向いたらな、これからも迷惑掛けるが…力を貸して欲しい」

 

「今更ねいつでも頼りなさい」

 

 

レミリアはそう言い微笑むと光ははいはいと返事したが、どこか嬉しそうだった。

そして会話を終えると眠気が襲ってきたので光は自室に戻ることにした。

家族……か……

悪くないかもな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

その日の夜、一人の男が紅魔館の門前でスマホを片手に誰かと話していた。

 

 

「予定通り紅魔館に到着したぞ飛鳥さん」

 

『……では手始め通りにやれ』

 

「あいよ……本当に()()()()()()()?」

 

『あぁ…構わない、私の友人であっても戦いに私情は捨てるべきだ』

 

「流石、『無情の剣聖』と言われたお方だ、わかった、それじゃああんたの指示通り奴を誘き出して仕掛ける」

 

『くれぐれも油断はするな』

 

「へい」

 

 

男が電話を切ると、再び男は紅魔館の方を見てから夜闇の中へ消えていった。

 

 




次回は戦闘回になると思うので、頑張ります
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