翌朝、光は咲夜に頼まれて買い出しの為外に出る準備をしていた。
早朝にも関わらず窓から強烈な日差しが襲い掛かり、照らされた光の目を細める。
支度をして門前まで足を運ぶとそこには
「美鈴!?どうしたんだお前がこんなボロボロに!」
「すいま……せん…どうやら相手を舐めていたみたいです…」
「誰にやられたんだ?」
すると美鈴は視線を門の反対側にある森林に向ける。
光はその視線を辿ると、木陰に『人影が見えた』。
人影は視線に気づくと更に奥へと歩いていった。
「っ!?アイツか…!」
「光さん…私の事はいいですから、ヤツを追ってください」
「……分かったお前はここでじっとしてろ」
光は刀を出現させるとそのまま森林の中へと消えていった。
人影を追って走り続けるが、見失ってしまい途中から辺りを見渡しながら歩き出した。
「よぉ…」
すると後ろから声が聞こえたので振り返ると、そこには黒マントを着た男が立っていた。
「……美鈴を攻撃したのはお前だな?」
「あぁそうだな、お前を殺す為の道具としてな!」
そう言うと男は黒マントを投げ捨てて刀を抜くと走り出した。
黒マントを投げ捨てて晒し出した姿は赤髪に上裸だった。
そして紺色の半ズボンを履いていて極限まで動きやすいようにしたような服装だった。
光は刀を構えると男が振り下ろしたと同時に刀を振り、弾き飛ばす。
その反動でガラ空きになった男の胴を斬り払う。
感触は良く、男は間もなく倒れた。
正直この男に美鈴が負けたとしたら相当あいつは訛ってることになる。
あいつを下に見ている訳じゃない、手合わせしてその実力はよく知っているから。
帰ったら少し鍛えさせようかと帰路に立とうとした瞬間。
『男が立ち上がる』気配を背後で感じた。
光は目を見開き振り返るとそこには、
「流石幻想郷の守護者、洗礼されているな」
「………」
「その様子じゃ何故この傷を負っていて立っていられるんだと言いたそうだな」
「だからどうした?」
「残念だったな、生憎とそれが
「能力…?」
「宣言しよう、
そう言うと男は再び走り出した。
こいつ…胴体に深い切り傷が付いているんだぞ?何故動けるんだ?
こいつ無敵か?
光は刀を構え直し、弾くと切り傷に蹴りを入れた後、怯んだ隙に足で頭を払い落とす。
するとすぐさま起き上がると同時に下から刀を振り上げてくる。
光は身体を反って斬撃を回避するとそのまま回転させて首元に刀を振うと男は体勢を低くして回避し、足元に刀を振る。
それを飛んで回避して着地する勢いそのままに刀を振り下ろす、男は刀で防御すると光は更に刀を振り続けて押し込む。
所々に切り傷が出来るが、やはり男はそれでも力を緩めなかった。
「(やはりこいつ…攻撃を受けても力を緩めようとしない…ならもう一度同じ箇所に!)」
光は男を蹴り飛ばし、距離を作ると一気に接近し男の刀を弾く。
そしてガラ空きになった胴に再び切り込む。
感触的に効いたかと思いきやその表情は余裕そのものだった。
「言ったはずだ!効かないと!」
「ちっ!」
男は刀を振り下ろすと何度も繰り返した。
光は刀で防御するのが精一杯だった。
こいつ、これだけの攻撃を受けておいてまったく気にしないのは何故だ?出血も酷い…いや待てよ?
そう思えば、あれだけの深手を負わせておいて
光は隙を着いて男を突き飛ばし距離を取った。
男はすぐさま刀を構え、再び突っ込むと光は合わせるように刀を振り上げて弾き飛ばす。
男はその反動を利用して足で光を蹴り上げる。
光は身体を反って回避するが、その隙に距離を取られてしまう。
ならばと光は刀に想いを注ぎ、突っ込むと男の足元に潜り込んだ。
そして素早い動作で男の胴を斬りつける。
まともに食らえば致命傷になるはずだが、やはりこのタロットカード使いは簡単にはくたばらない。
それどころか最初に攻撃を受けた時よりも効いていないように見える。
こいつ…『戦いの中で耐性が付いているというのか?』
……耐性?なるほどそういう事か…!
「……お前の能力『攻撃を受ければ受けるほど耐性が付く能力』だな?」
距離を取った男はニヤリと笑い刃を向けた。
「やはり理解が早いな、この俺
河野辺は接近して力強く刀を振り下ろすと、光の刀と交えた。
光はそれわ払った後に河野辺の脇腹に回し蹴りするが、足で止められると同時に足を掴かまれ、そのまま振り飛ばされる。
体勢を整えて着地するとすぐさま目の前に接近する河野辺に斬撃を放つ。
斬撃は河野辺の身体を切り刻むが、最初の一撃だけ怯んだみで、その後は斬撃を受けても微動だにしなかった。
そして距離を詰めた河野辺は刀を振り上げると横に転がって回避する。
更に河野辺は光が立ち上がる暇も与えずと、複数の斬撃を放った。
それを斬撃で相殺すると距離を詰めて刀を振り下ろす。
河野辺が刀で防御した瞬間に刀を横に振り払い体勢を崩させると身体を回転させてその勢いで刀を振るうと河野辺の背中を斬りつけるが、体勢を崩された河野辺はその勢いで身体を回転させて刀を振り下ろしてくる。
光はそれを刀で防ぐ。
そして光は刀で防ぎながら考えた。
奴は斬れば斬るほど耐性がついて行く、時間をかければかけるほど不利な状況になっていく。
このまま消耗戦をしても相手の思う壷、ならば早い段階でスペルカードを出して急所を狙って早急に終わらせよう。
そう思った光はスペルカードを発動した。
〜蝶符「妖刀・千子村正」~
輝き始めた刀を握り直した光は河野辺を弾き飛ばすと首元目掛けて刀を振った。
これには河野辺も目を見開き咄嗟に刀で制すと、光の刀を無理矢理振り払い、蹴りを入れるとすぐさま刀を振り下ろす。
光は刀で弾くと、河野辺の腹部に突き刺す。
そのまま大きく振り飛ばし、木々に叩きつけると河野辺はすぐさま木を土台にして飛び、再び接近して刀を振り下ろし、そこへ更に切り込む。
河野辺の太刀筋を見ながら光は丁寧にいなすと、隙をついて弾き飛ばし、ガラ空きになった胴を再び突き刺すとそのまま押し込み、蹴り飛ばして無理矢理刀を引き抜いた。
先程とは打って変わってかなりの血が吹き出ていた。
やはりスペルカードが乗った斬撃には耐性が付くのに時間がかかるようだ。
ならばと更に追い打ちをかける為に立ち上がった河野辺にタックルして木に叩きつけると横から振ってくる斬撃を弾き返し、右腕を斬りつけた。
すると右腕は綺麗に切断され河野辺はようやく苦悶の表情を見せる。
左腕で光の首を掴み、木を土台に飛ぶとそのまま光を地面に叩きつける。
怯んでいる間に切り落とされた右腕から刀を拾い上げ、倒れている光に振り下ろす。
光は倒れた状態で刀を出して防ぎ、両足で河野辺の胴を蹴り上げる。
距離が取れた隙に立ち上がり、地面に叩きつけられた河野辺に斬撃を放つ。
河野辺は膝を付きながら刀で弾き飛ばすが、所々に斬撃が当たる。
全身が傷だらけの河野辺だったが、やはり出血の量が少なくなりつつあった。
流石にスペルカードでさえ耐性が付き始めている。
既にスペルカードの効果が切れかけているし、一気に仕留め切れなかった所はまだまだ未熟な所だ。
だが、早めにスペルカードを発動した事で河野辺の腕を切断した上にかなり消耗している様子だ。
このまま一気に仕留める…!
光は立ち上がろうとする河野辺の身体を蹴り飛ばす。
地面を転がった後背を向けながら不意を付いて斬りかかろうとする河野辺だが、光はそれを弾き飛ばして、河野辺の頭を掴むと地面に叩きつけて抑え込む。
そして首元に刀を向けた。
「さっきの言葉が嘘のようだな?河野辺」
「………」
「首を切り落とすことにさえ耐性を付かれてしまったら困るからなその前にここで死んでもらうぞ」
光はそう言うと刀をそのまま振り下ろし河野辺の首を切り落とした。
が、その直前河野辺の身体が光り出した。
光は思わず腕で目を覆った。
「くそが!!!」
「ならばこっちも容赦はしねぇ!『戦車』の真の力を使ってなぁ!」
光は視界不良の中、刀を振るうが感触はなかった。
既に脱出されていることを知ると光はその場から離れた。
そして段々と河野辺の姿が見えるようになるとそこには
光は即座に斬撃を放つと、河野辺は刀を使わずに斬撃を全て受ける。
が、もはや傷ひとつ付かなかった。
更に光は刀で切り刻むが、刀すら使わずに全て受ける河野辺は余裕の表情だった。
光は青ざめると後ろに下がって思考を巡らせる。
さっきの光りは
願わくば耐性もリセットされて欲しいが…やはり現実は非道だった。
美鈴の言っていた
やはりあの時さっさと仕留めていればこんな事には…!
光は自分の慢心を大いに恥じながら目の前にいる完全回復した河野辺に斬りかかった。