東方想伝録   作:司馬懿です

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今回は一応この作品はR15指定してるのですが、ちょっとエッチな場面がありますので苦手な方はお控えください。


手伝い、修羅場、トキメキ

 

 

 

 

翌日光は紅魔館に戻っていた。

所々に傷は残っているが、永琳達が最善を尽くしてくれたお陰で大方痛みも引いた。

タロットカードの連中と戦う度に永遠亭にお世話になってしまうから申し訳ない気持ちになるが、永琳達は「それが仕事だから」と笑って返してくる。

そう言ってくれればこちらも遠慮なく通わせてもらうが、それでも毎回は永琳達にも負担がかかるのでなるべく深手は受けないように心がけようと思った。

そのためにも光は更に強くならなければならない。

幻想郷を守るためにそして飛鳥を止めるために。

 

 

「あら?こんな朝から出掛けるのかしら?」

 

「あぁ…レミリアか、少し守矢神社(もりやじんじゃ)に手伝い行ってくるだけだ」

 

「くれぐれも無理はしないでちょうだい」

 

「力仕事では無いから傷口が開くとかいうのは無いと思うが気をつけるよ」

 

 

光は身支度を整えると紅魔館を出た。

今日は妖怪の山にある守矢神社から手伝いを頼まれているから朝方から出ることにした。

守矢神社の連中とは幻想入りした時にした宴会で面識があるから問題ないし、こう見えてアイツらとは仲が良い方である。

ニコラスを撃破した後被害を確認するために妖怪の山を行き来していたが、その度に顔を出してお茶を淹れてもらっていた。

どこぞの博麗神社よりかは良心的で話し相手にもなるからとても助かっている。

俺自身人間不信なのもあって普通は初対面の奴らには警戒心を強めていたが、何故か守矢神社の連中とは直ぐに打ち解けられた。

咲夜さんの次には仲良くなれているかもしれないな。

妖怪の山へ向けて、坂道を登っていると遠目から椛が坂道を下ってこちらに向かってきた。

 

 

「おはよう、椛」

 

「おはようございます光さん、先日の異変ではお世話になりました」

 

「良いって、あれから特に問題は無いのか?」

 

「そうですね今の所はそれらしき能力者には会っていません……それより光さんは守矢神社に用があるんですよね?」

 

「まあそうだな、あいつらから話を聞いたのか?」

 

「彼女達から光さんが来ると聞いたので事前に天狗達には言っておきましたから、このまま進んでも大丈夫ですよ」

 

「助かるよ」

 

「いえいえ、また何かあれば言ってくださいね」

 

「おうよ」

 

 

光は椛に手を振って別れるとそのまま坂道を登った。

妖怪の山に入り、所々に白狼天狗が居たが全員光だと分かると会釈だけして通り過ぎて行くのを見ると、これも椛が事前に連絡してくれたお陰だと改めて感謝した。

少し経つと守矢神社の前に到着し、階段を上ると寺の向こうから1人の少女が走ってきた。

 

 

「おはようございます!光さん今日はよろしくお願いします!」

 

「おはよう早苗、やるからにはぱぱっとやるぞ」

 

「はい!」

 

 

こいつは守矢神社の巫女東風谷早苗(こちや さなえ)

胸の位置ほどまである緑のロングヘアーに髪の左側を一房髪留めでまとめ、前に垂らして、白蛇と蛙の髪飾りを付けている。

衣装は白地に青の縁取りがされた上着と、水玉や御幣のような模様の書かれた青いスカートは共通。博麗霊夢とは違うデザインの巫女装束を着ているが、もっとも特徴的な腋の部分は同じ。

そしてお祓い棒は霊夢とは違ってバサバサする形のものではなく長方形のヘラ状のものを持っている。

 

 

「神奈子と諏訪子は?」

 

「私ならここにいるわよ」

 

 

ふと早苗の後ろを見てみると八坂神奈子(やさか かなこ)が早苗を追うようにして歩いてきた。

紫がかっている青髪とサイドが左右に広がったボリュームのあるセミロング。

頭に冠のようにした注連縄を付けていて、右側に赤い楓と銀杏の葉の飾りが付いている。

瞳は茶色寄りの赤眼、背中に複数の紙垂を取り付けた大きな注連縄を輪にしたものを装着している。

服装は、全体的に赤いシルエットで上着は赤色の半袖、袖口は金属の留め具で留めている。

上着の下には、白色のゆったりした長袖の服を着ている。

首元には小さな注連縄があり、白い長袖上着の袖、腰回り、足首とあちこちに巻かれている。

臙脂色のロングスカートで裾は赤色に分かれており、梅の花のような模様が描かれている。

 

 

「神奈子は元気そうだな、諏訪子は中か?」

 

「あぁ、今準備をしている。悪いね手伝ってもらって」

 

「気にするな、俺とお前らの仲だ」

 

「じゃあ早速中に入ってもらいますね」

 

「邪魔する」

 

 

そう言うと寺の中へと入っていくと、そこには少女が座っていた。

 

 

「光じゃないか!待ってたよ!」

 

「手伝いに来たぞー諏訪子」

 

 

こいつは洩矢諏訪子(もりや すわこ)、神奈子と同様守矢神社の神として祀られている。

髪型は金髪のショートボブ、青と白を基調とした壺装束と呼ばれる女性の外出時の格好をしている。

足には白のニーソックスをはき、頭には俗にケロ帽子と呼ばれる市女笠(いちめがさ)に目玉が二つ付いた特殊な帽子を被っている。

神奈子とは対照的に身長が小さいが、実力は神奈子に負けず劣らずだ。

見た目で判断してはいけないとはこういう事を言う。

 

 

「聞いたぞ大きな怪我を負ったって、力仕事では無いから傷に響かないと思うけど、無理はするなよ?」

 

「問題ないさ、永琳達のお陰で傷も癒えてる」

 

「そうか…ならいいんだが辛かったら遠慮なく言うんだぞ?」

 

「はいよ、そんじゃ始めますか」

 

 

そして光達は作業に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ふぃーこれで良しと」

 

「光さん手伝って頂きありがとうございました」

 

「おう、思った以上に早く片付いたな」

 

「まだお昼前だし少しお茶でもしていくかしら?」

 

「そうだな今日は特に予定も無いし」

 

「わかった、早苗用意して頂戴」

 

「わかりました!」

 

 

そして光達は縁側で他愛のない世間話をして、あっという間に日が沈んでいった。

夜になる前に光は守矢神社を出て紅魔館に戻ると、あの猛暑の中動き回ったので風呂場へ向かい汗を流し夕食を済ませて自室に戻った。

さてとパチェから借りた本でも読もうかと眼鏡を探したが、俺とした事がズボンのポケットに入れたままだった。

時間的にまだ咲夜さんは洗い物をしているはずだから、まだ脱衣所の籠の中にあるはずだ。

 

 

「洗われる前に取り出しておかないと…」

 

 

光は部屋から出ると急いで風呂場へ向かい、脱衣場に到着する。

幸いな事に現時点で利用している人は居らず、すぐさま自分が使った籠から眼鏡が入ったケースを取り出した。

そして自室へ戻ろうとした瞬間…。

 

 

ガチャ

 

 

……と()()()から人影が現れた。

一瞬湯気で見づらかったが、それが晴れるとそこには()()()()()()()()()()が立っていた。

 

 

「えっあ……咲夜さん?」

 

「光……さん?」

 

 

雪のように白い肌が浴槽で温まった事で少し赤みを増していて水の雫が色気さを更に掻き立たせており、周りの男達を虜にしてしまいそうだ。

今まではメイド服を着ているのでバスタオル1枚だけの咲夜さんはいつもと違う感じがして今とてつもない修羅場だということは分かっているが、思わず言葉を失ってしまった。

そして咲夜は少し経って状況を理解すると顔を真っ赤にして…。

 

 

「きゃああああああああああああああ」

 

 

その夜一つの叫び声と同時に大きな破裂音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

「それで咲夜にブたれたという訳ね笑」

 

「笑い事じゃねぇぞレミリア、俺にとっては謝っても謝り切れない事件だぞ」

 

 

その後レミリアの部屋にて今まで起こったことを話すとレミリアは堪え切れない笑みを見せていた。

光の頬には見事に綺麗な赤い手跡が残っていて、その隣にいる咲夜は寝巻きに着替えた後も顔を真っ赤にさせて俯いたままだった。

 

 

「うぅ…もう私お嫁に行けません……」

 

「あぁ…なんと言えばいいか…本当にすいません…」

 

「本当に災難だったわね咲夜、光には責任を取ってもらわないといけないわね笑」

 

「笑いながら言うセリフじゃないだろお前は、でもまぁ…そうだな…なんてお詫びすればいいか…」

 

「あうぅ……」

 

 

事故とはいえとんでもないことをしでかしてしまい、落ち込む光と一生赤面して俯く咲夜を見たレミリアも流石に何とかしてあげようと思い咳払いをした。

 

 

「大丈夫よ咲夜、光、私達は家族なのよ?裸の付き合いってヤツよだからお互いそんなに気にしなくていいわ、風呂場だけにこのことは水に流しましょう、ね?」

 

「……確かにお嬢様の言う通りですね…気を取り乱してしまい申し訳ありません…」

 

「あ、いや…わざとでは無いとはいえ俺の不注意なので謝るのは俺の方です、本当にすいません…」

 

「はいはい、お互いに謝った訳だしこれで終わりにしましょう、明日からは今まで通り!ね!」

 

 

レミリアが二度手を叩いてこの話を終わらせると二人は部屋から出た。

そして二人並んで歩く廊下、重苦しい空気になってしまった。

光はなんて声をかければいいか考えるが、本当に見出せず頭を抱えてしまう。

そんな時、咲夜さんが勇気を振り絞ってくれた。

 

 

「あの…先程はすみませんでした。叩いた箇所は…腫れてしまいましたか?」

 

「全然大丈夫です、むしろ叩かれただけで済んでラッキーだと思ってます。普通ならナイフで串刺しにされてましたよ」

 

「私をなんだと思ってるんですか!」

 

「すいません!美鈴とのやり取りを見てつい…」

 

「美鈴が特殊なだけであって光さんにまで同じ扱いはしません!」

 

「特殊って…あー…確かにあいつ毎日居眠りしてるもんな…」

 

「もしも今回の件が美鈴だったら今頃一ヶ月の逆さ吊りにしてますよ」

 

「咲夜さん美鈴の扱い酷すぎません!?仲悪いんですか!?」

 

 

寝静まる夜にも関わらず紅魔館の廊下で二人の話し声が響き渡る。

すると突然咲夜がふふっと笑いだした。

 

 

「なんだか光さんと会話すると自然と笑ってしまいますね」

 

「そうですか?」

 

「はい、お嬢様の言う通り先程の事が嘘のようにいつも通りに戻ってしまいます」

 

「確かにそうですね話し出す前はあんなに空気が重かったのに」

 

「今回の事はお互い無かったことにしましょう、とは言っても本当は恥ずかしかったんですけど」

 

「それは出来ませんねぇ…だってあの時の咲夜さんすごく綺麗で言葉を失いましたから」

 

「はぁ…私の事からかってますか?」

 

「いえ?俺は心の底から思った事を言ったまでです」

 

「あまり調子に乗らないでくださいっ」

 

「いでっ」

 

 

咲夜は呆れ顔で光にデコピンをすると微笑み、自室の前で足を止めた。

 

 

「それでは私はこれで、また明日」

 

「はい、また明日」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

自室に戻った咲夜は枕に顔を埋めていた。

男である光に自分の裸を見せたこともそうだが、彼自身が放った言葉が頭から離れなかった。

 

 

『あの時の咲夜さんすごく綺麗で言葉を失いましたから』

 

 

「なんてこと言ってるんですか光さんは…」

 

 

光は本当に思ったことを言ったまでだが、だからこそドキドキしてしまうし、顔が熱くなってしまう。

 

 

「本当にずるいですよ光さんは……」

 

 

その夜咲夜は光の言葉が何度も頭の中を駆け巡ったせいでなかなか寝付けなかったのだった。

 

 




という訳で2022年最後の更新でした。
来年も何卒よろしくお願いします!
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