東方想伝録   作:司馬懿です

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あけましておめでとうございます
今年一発目の投稿です。


VS暗上 秀人

 

 

ある日、光と咲夜、そして平田が猛暑の日差しを浴びた森林の中を歩いていた。

パチュリーに用事があった平田は紅魔館の帰り光に監視として送り出されたが、何故か咲夜も駆り出されていた。

きっとレミリアの仕業だろうと光は直ぐに理解した。

そして平田を中心に歩くが、ここで平田が違和感を覚えた。

何故この二人は目を合わせようとしないのか…?

それにこの猛暑が原因なのか二人共顔が少し赤くなっているように見える。

 

 

「えーと…お二人方はどうしてそんなに挙動不審なのかな?」

 

「お前には関係ねぇよ」

 

「確かに僕には関係ないけどそんなにあからさまだと逆に気になってしまうよ」

 

「……すみませんが平田さん、今回ばかりは触れないでいただけないでしょうか」

 

「おっと…咲夜さんまでその様子だとお二人の間に何かあったということだね…分かった、あまり深追いはしないようにするよ」

 

「ありがとうございます」

 

「それはそうと咲夜さん」

 

「どうかしましたか?」

 

 

平田は咲夜に小声でこう告げた。

 

 

 

「貴女は感じませんか?この()()を」

 

「……やはり平田さんもお気づきでしたか、光さんも既に刀に手を置いていますので既に気付いていると思います」

 

「一応視線だけでは人影は確認出来ませんでした、恐らく背後……でしょうか?」

 

「その可能性はあまり無いかもしれません、念の為能力を使ったのですがここら一帯には人影ひとつありませんでした」

 

「なるほど…となると相手は透明人間でしょうか?僕も元は向こう側の人間でしたが、残念ながらお互いに能力をあまり見せ合わなかったのでこればかりは……」

 

「お気になさらないでください、とにかく今は勘づかれないようにしましょう」

 

「そうですね」

 

 

すると平田は次に光の方に顔を向けるとこちらも小声で告げる。

 

 

「光くん君は何時でも戦闘出来る状態にしておいてくれ、一番君が標的にされやすいからね」

 

「そんな事俺が一番理解してる」

 

「よろしく頼むよ」

 

 

そして再び三人の間に沈黙が生まれ、鳴り響く蝉の声と土を踏む足音だけが森林の中を奏でていた。

すると次の瞬間、感じていた視線が段々と気配へと変わり、咲夜は即座に時を止めた。

気配のする方へ視線を向けると、そこには光の背後を襲撃しようとしている男が居た。

咲夜はその間に入り、構えると能力を解除した。

それと同時に男の刀と咲夜のナイフがぶつかり合い、男を弾き飛ばす。

姿を現した男は黒髪と灰色のシャツに黒のジャケットを羽織っていて、黒ズボンと袖垂れロープが着いていた。

 

 

「惜しかったなぁ!俺を背後から奇襲したみたいだが」

 

「まさか時を操れるメイドまで居たとは想定外だったが…まぁ問題ない」

 

「ほぉ?随分と余裕だな」

 

「奇襲は俺の得意分野なんでね何人だろうと相手になってやる」

 

 

すると男は瞬く間に姿を消した。

そして先程のように気配が消え、視線のみを感じるようになった。

光は二人を集め、背中を合わせるようにして三方向から構えた。

あらゆる方向から感じる視線に三人は1秒たりとも油断しなかった。

しかしそれは突然起きた。

あらゆる方向から感じていた視線、()()から感じたのだ。

光は訳が分からなかったが、今すぐその場から離れなければならないと悟った。

 

 

「全員離れろ!」

 

「……!」

 

 

そして三人がそれぞれ散開すると、先程まで背中を合わせて居た場所で男が刀で一回転していた。

あと少し気づくのに遅れていたら全員無事では済まなかっただろう。

しかし、その光景を見て光含む全員が理解出来なかった。

確かにあの時背中を合わせていたはず、どうやって三人の背後の真ん中に割り込んできたのか、もしも上下から仕掛けてきたのなら気配を感じるはずだ。

 

 

「もう少しで俺達を切り刻めたのに惜しかったな」

 

「…やはり幻想郷の能力者達は簡単には倒せないか」

 

「お前の能力見せてもらうぞ」

 

 

そう言うと光は地を蹴り、男に接近する。

そしてそのまま刀を振り下ろすと男は刀を振り上げて防御に、()()()()()()()光の斬撃は相殺されるどころか空を切り、気づけば何処にもいなかった。

光は更に頭が混乱した。

 

 

「な、なんでだ…?咲夜さん!なにか分かりましたか?」

 

「い、いえ…私も突然消えたように見えました…」

 

 

突然消えた…?奴の能力は透明化なのか?だとしたら足音や風を切る音が聞こえるはずだ。

だが、そいつにはそれがない。

考えれば考えるほど分からなくなってくる。

すると今度は横から気配を感じ、とっさに後ろに下がるとそこに大きな斬撃が通過した。

反撃しようと斬撃が飛んできた方へ身体を向けるが、既に姿が無く、逆の方向から斬撃が飛んできた。

それを咲夜がナイフで相殺させて更に時を止めていた為、男の姿を捉えており、大量のナイフを放ったがこれも姿を消していて、今度は咲夜の方へ三つ斬撃が放たれていたが、平田と光が斬撃で相殺させた。

すると今度は光の背後に現れ首元を切り落とそうとしてきたが、間一髪刀で防いだ光はそのまま切り込もうとするが、その前に弾き飛ばされてしまい距離を取られ、前を見た時には既に姿はなかった。

認識するまでもなく姿を消す男に光はイラついていた。

すると平田がハッとした表情で光の方を見る。

 

 

「思い出した…!彼の名前は暗上 秀人(あんじょう ひでと)、奇襲を得意とするThe tower(ザ・タワー)(塔)のタロットカード使いだ!」

 

「…奴の能力は分かるのか?」

 

「いや…僕がいた組織は普段からお互い別々に行動していたから能力を見せる機会が無くてね、正直分からない…けどあまり真正面から戦おうとしない人だとは聞いているよ」

 

「なるほど、奇襲特化型なら……平田、お前のワイヤーで奴を妨害することは出来るか?」

 

「うーん…正確性に欠けるけど出来ないことはないよ」

 

「そうか…なら一瞬でも隙が作れると言うならお前は攻撃より妨害に徹してくれ」

 

「英雄様からの命令とあればお安い御用さ」

 

「咲夜さんは俺と一緒に奴の撃破に専念してください」

 

「分かりました」

 

 

光と咲夜は構えると、平田はコインを出してあらゆる場所に張り巡らせた。

そして視線から気配に変わった瞬間、一つ平田の仕掛けたコインが反応し、そのコインから放出されたワイヤーが飛んだ先は木の……()だった。

光は疑問から確信に変わった。

迷うことなくワイヤーが飛んだ影に斬撃を放つと、何も無いはずの影から暗上 秀人と呼ばれた男が現れ、斬撃を弾いた。

 

 

()()使()()()()ならその陰湿な戦い方も納得出来るな?暗上とか言う野郎」

 

「少しは頭がキレるようだな…なら俺も容赦はしない」

 

 

すると暗上は徐に影に触るとそれを()()()()()、暗上に向かって飛んでくるワイヤーに対して腕を大きく振り下ろすと、手に持っていた影が()()()()()()となりワイヤーを弾いた。

 

 

「俺の能力は影を自由自在に操る…お前らにこの能力を対応出来るか?」

 

 

すると暗上は影の中に溶け込み姿を消すと、気配は感じなくなったが、視線だけは感じ取れていた。

奴が影の中に隠れていたからあの不気味な視線ばかり感じ取っていたのだろう。

所々平田のコインが反応しているので影の中で動き回っているのが分かる。

光はならばと刀に想いを込めて、走り出すと木に足を付けて飛ぶと別の木の影から出現した暗上に刀を振り下ろし、胴体を斬り裂いた。

しかし感触はイマイチだった。

確かに暗上を斬り裂いたが、その斬り裂いた暗上の身体はみるみるうちに黒くなっていき、ドロドロに熔けてしまった。

 

 

「これは…影で出来た()()!?」

 

「光!後ろだ!」

 

「っ!」

 

 

すると背後から暗上が刀を振り下ろしてくるが、咲夜が割って入り防いだ。

 

 

「光さん走ってください!」

 

「は、はい!」

 

 

咲夜の言う通り光は走り出すと、直後に暗上の背後に大量のナイフが出現した。

光はそれを見て無我夢中に走った。

降り注ぐナイフの雨に暗上は冷静に影の中へ溶け込みそれを全て回避した。

あの咲夜の能力をもってしても回避されてしまうとなると、やはり不意を突いた奇襲なども簡単に回避されてしまうだろう。

しかも今居る場所は森林、影がそこら中にあって暗上にとっては好都合な環境だ。

そして斜め後ろの木の影から暗上が現れると、斬撃を放ち更に影の中へ潜っていくと今度は別の影から現れた。

光は斬撃を避けると地を蹴って刀を振るうと、胴体に命中した。

しかしそれは影で出来た偽物で、その間咲夜が本物の暗上の動きを見ていたので対応していた。

再び暗上は影の中へ潜り込むと、場所を移動して咲夜の背後へと回った。

そして刀を振り下ろした暗上が現れると、時を止めていた咲夜はナイフで胴を斬り裂いたが、偽物を斬り裂いただけで、更にそこから無数の暗上が現れた。

 

 

「そちらがそう出るのなら私も容赦はしません」

 

 

 

 

 

〜幻象「ルナクロック」〜

 

 

 

 

 

暗上の分身達の周りに大量のナイフが出現すると無数の暗上に突き刺さる。

次々とドロドロに溶けていく中、本物の暗上は飛びながらナイフの間を縫うように回避すると咲夜に接近した。

咲夜は咄嗟にナイフを取り出したが、刀で弾かれそのまま刀を振り下ろされる。

しかし間一髪で光が刀を突き出し防御すると、蹴りを入れて距離を取る。

暗上は光が着地する前に影の中に潜り込み、光の足元に生じた影から現れるとそのまま刀を振るった。

空中で身体を回転させて回避した光はその勢いのまま刀を振り下ろした。

暗上はそのまま影に潜り込もう…としたが。

 

 

「ようやく捕まえた…!」

 

「なに…!?」

 

 

常時反応していた平田のコインのワイヤーが、暗上の腕を掴み妨害していた。

その間に光の刀が暗上を捉えていて暗上は咄嗟に刀で防いだが、勢いに押されそのまま木に叩きつけられてしまう。

その際頬に切り傷が出来た。

 

 

「なるほど…流石に3人相手じゃ本気を出させざる負えないようだな!」

 

「出せよ、お前のタロットカードを」

 

「言わずとも!」

 

 

暗上はタロットカードを取り出すと空に掲げた。

そしてそのタロットカードは応えるように光り出すと辺り一面を包み込んだ。

 

 

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