東方想伝録   作:司馬懿です

50 / 60
VS暗上 秀人 XVI The tower.

 

 

 

暗上を包み込んだ光が弾け飛ぶと、この森林の中ではあまりにも不自然な()()()()()がポツンと置かれていた。

そこから暗上が現れると刀を構えた。

見た感じ奴の能力強化は無さそうだが、何が起こるか分からないのがタロットカードの能力…警戒は怠らずに行こう。

そう思っている矢先暗上が早速攻撃を仕掛けてくると、光は防御して応戦した。

その隙に咲夜が回り込んでナイフを振り下ろし背後から攻撃を仕掛けたが、光を弾き飛ばした後に振り向きざまに刀で防御し弾き飛ばしたと同時に刀を振り下ろしたが、咲夜はナイフを使っていなした。

一度距離を取るために咲夜は後ろに下がると更に()()()()()()()()()()()()()が現れた。

咲夜は即座に時を止めると鼻先に刃がある状態でギリギリ回避できた。

あと少し判断が遅れていたら咲夜の顔は無事では済まなかっただろう。

暗上の周りにナイフを設置した後、能力を解除すると空を切った暗上にナイフが襲いかかる。

しかしナイフの嵐が暗上を滅多刺しにする直前、咲夜は()()()()()()()

 

 

「いったい…何が…?」

 

 

光、平田はおろか宙を舞っている咲夜でさえ理解が追いつかなかった。

確かにあの時大量のナイフが飛んだ先には暗上が立っていた。

それなのに何時どこで攻撃したのか、全く分からなかった。

常人離れした身体能力を手に入れたのか、それともあの()()()()()が関係しているのか…。

更にそこへ追い打ちをかけるように暗上が現れると刀を振り下ろし、咲夜を斬り裂いた。

咲夜はその勢いのまま落下すると、地面に身体を打ち付けてピクリとも動かなくなってしまった。

 

 

「これで厄介な時止めは仕留めた…後は…」

 

「てめぇ!」

 

 

光は地を蹴ると刀を振り下ろす。

暗上は防御して弾き飛ばすと、斬撃を放った。

すると暗上の背後から突然()()()()()が現れると同じような動作で斬撃を放ってきた。

そういう事か、奴はタロットカードを使った事で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ようになったのか。

光は平田と共に斬撃を放って相殺すると一度距離を取った。

 

 

「平田!」

 

「分かってるさ!」

 

 

光は刀に想いを注ぎ、平田はタロットカードを光らせた。

本当ならば『想集六連斬』を使って一気に仕留めたい所だが、河野辺戦で使った時に思うような威力が見込めなかったのもあってかあまり使おうとは思えなかった。

二人の動きを見た暗上は地を蹴り走り出すと、刀を振り下ろす。

連れて後ろから暗上の分身が現れ、同じように刀を振り下ろしてきた。

それを光は本体を、平田は分身をそれぞれの武器で防いだ。

分身が消えたのを見て平田は後ろに回り込み背後から攻撃を仕掛けると、暗上は光を弾き飛ばした後に振り向きながら刀を振り抜き、平田の体勢を崩すとその平田に分身が向かってくる。

平田は体勢を崩した勢いを使って地面に手をつけて側転し、分身の攻撃を回避した。

更にコインが暗上に反応してワイヤーが飛び出し、暗上の刀に当たった。

その隙に光が急接近して刀を振るうと、暗上はワイヤーを切断するため刀を複数回振り続けた後そのまま後ろに下がった。

すると次の瞬間円形型の影から無数の暗上の分身が現れ、雨のように光へと向かっていくが、平田が割り込み反応しているコインを駆使してワイヤーで分身達の攻撃を巧みに妨害した。

そして光の足元に輪刀を置くとそれを足場にさせて振り上げると光を本物の暗上の方へ飛ばし、光はその勢いのままスペルカードを発動した。

 

 

 

〜蝶符「妖刀・千子村正」~

 

 

 

霊力を蝶に変え、刀に込めると暗上目掛けて振り下ろす。

暗上は防御すると見せかけて横に飛んで回避すると、影を固めて盾にすると光の追撃を受け止める。

そのまま力で弾き飛ばすと、今度はこちらがと言わんばかりに分身達を出現させ、光に襲いかかる。

それを全ていなして回避すると、大きな斬撃を放った後、回り込んで斬撃が暗上に接触する時と同じタイミングで切り込む。

その間に平田が上から丸型の斬撃を放ち援護する。

それを見た暗上は一歩後ろに下がり刀を振るうと、まずは斬撃を影で作った遮蔽物で一定時間抑え、その間に光の攻撃を受け流し、上空から飛んでくる平田の弾幕を分身で相殺させる。

そして再び迫ってくる斬撃を横に飛んで回避し、影の中へ潜り込むと光の背後に現れ奇襲を仕掛ける。

気配を感じた光は即座に体を横に傾けて斬撃を避けると、最速で刀を振り下ろすが、暗上の分身が受け止め、その後ろから本体の暗上が刀を振り下ろしてくる。

そこへ平田が割って入り、暗上の攻撃を防御すると、暗上は再び影の中へ潜り込み、少し離れた場所に現れると構え、飛んでくる平田のワイヤーを弾いて光の方へ突っ込む。

暗上がこちらへ近づく前に三度斬撃を放ち、待ち受けると、暗上は全ての斬撃を避けて刀を振り下ろし光の刀と交わる。

その隙に背後に回った平田はワイヤーの弾幕を背に輪刀で攻撃する…が

 

 

「やはり来ると思ったよ」

 

「……!」

 

 

光の刀を弾き飛ばしたと同時に背後から現れた分身が更に光に追撃し、その間に平田の方を振り向いた暗上はワイヤーを避けた後下に潜り込み平田の腹部を切りつけた。

平田はそのまま吹っ飛び木に身体を打ち付けると力無く倒れてしまった。

分身を駆除した光は間髪入れず斬撃を放つが、暗上は後ろを向いたまま回避し影の中へ消えると、光の目の前に現れ、刀を振り下ろす。

 

 

「どうやら時間のようだな」

 

「くそが……!」

 

 

光のスペルカードの有効時間が切れかけているのを悟った暗上は更に刀に力を入れて押し込むと横に振り抜いて体勢を崩させると光の脇腹に回し蹴りをする。

地を転がった光はすぐさま立ち上がり、刀に想いを込めると斬撃を放ち、地を蹴る。

分身に斬撃を対応させて真っ向から光の攻撃を受けると、そのまま受け流した後、光の身体に刀を突き刺して空に放り投げる。

光が地に着く前に刀を構えると飛び、光の身体を切り刻んだ。

更にそこへ円形型の影から無数の暗上が現れ、追い打ちをかけた。

全身が傷だらけになった光は息を荒くして地面で大の字になって倒れていると目の前に暗上が現れ、トドメの一撃を与えたーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだった。

 

 

「っ!?」

 

「こ、これは?」

 

 

暗上はおろか、光すら理解ができなかった。

何故なら()()()()()()()()()()()()が発動したからだ。

このスペルカードは相手の想いを取り込むことで発動するがそれは光の仲間のみであり、暗上のような完全に光と思惑が違う相手には発動しないはずだ。

まさか…この暗上という男……

 

 

「くっ…!これで終わりだ!」

 

 

暗上は再び刀を光に突き刺そうとしたが、身体を転がして回避すると立ち上がると同時に刀を振り上げた。

命中とまでは行かなかったが、わずかに暗上の肩を掠めた。

一度深呼吸した光は未だに光り続けているスペルカードを発動した。

 

 

 

〜記符「アブソリュート・イメージ」〜

 

 

 

全身から湧き出てくる活気を感じながら光は走り出した。

明らかに様子が違う暗上は分身を出現させ攻撃に備えると、光は暗上の分身をあっという間に消し飛ばすと空高く飛び刀を振り下ろしてきた。

暗上は刀で防御するが、重力を押し付けられたかのようにずっしりと身体が重くなるのを感じた。

あまりにも光の力に圧倒され、攻撃を防ぐだけでもやっとだった。

そして限界が来た暗上は刀を弾いて後ろに下がろうとしたが、間髪入れず光が接近し、顔面を思いっきり殴られた。

勢いよく吹き飛ばされた暗上は地を転がり、木に身体を叩きつける。

急いで立ち上がろうとしたが、既に光が刀を突きつけており、なすすべがなかった。

 

 

「どうやら俺もここまでのようだな…」

 

「………」

 

「やれよ、俺は既にお前の仲間を二人倒している、生かす理由も無い」

 

「ならひとつ聞かせろ、()()()()()を」

 

「俺の…想い?…何を言ってんだ?」

 

「その言葉のままだ、あの時俺は完全に負けていた…だがあの時俺は誰の想いも取り込めない状況でスペルカードを発動できた、それがどういう意味がわかるか?」

 

「……俺の想いを取り込んだってことか?」

 

「そうだ、それも少なからず俺と同じ想いだからという意味でな」

 

「……それで?そうだとして、お前はどうしたいんだ?」

 

「お前の返答次第なら…考えてやらんこともない」

 

「……何をだ?」

 

「俺達の仲間にだ」

 

「……はぁ!?」

 

 

暗上は目を丸くして思わず立ち上がった。

 

 

「お前自分が何言ってんのかわかってんのか!?」

 

「分かってるつもりだ、だからあの時俺は刀ではなく拳でお前を殴ったんだ、致命傷にしない為にな」

 

「ハッ……俺も舐められたものだな……今からでもお前を殺せるというのに」

 

「俺も()()()()()のせいで少しは馬鹿になっちまったみてぇだな、まぁお前がまだその気なら俺も容赦はしねぇよ」

 

「わかったわかった……乗るよ、良その話乗ったよ…正直タロットカード使いでありながらこの世界は居心地がいいと来た時に感じたんだ…この世界も乗っ取るのが少し勿体ないと思ってな、気持ちが揺らいだんだ」

 

「交渉成立だな、とりあえず二人を永遠亭に…」

 

「その必要はない、雨天 光」

 

「?」

 

 

すると暗上は徐に咲夜と平田に手を向けると、二人の周りにある影が動き出した。

そして二人の傷口に触れると黒い固形物のようになって固まった。

 

 

「俺の能力は治療にも役立ててな、基本的に影は日陰とかに出来るから比較的冷たく、薬草とかと組み合わせれば治るはずだ、とりあえずお前にも所々に影を引っ付かせておこう」

 

「うえぇ…感覚が気持ち悪いが、まあ幾分か動けるようにはなったな」

 

「う……うぅん……」

 

 

すると気を失っていた咲夜が目を覚ました。

 

 

「咲夜さん!大丈夫ですか?」

 

「は、はい……突然身体が楽になりましたので……」

 

「それは良かったです…暗上が能力で手当してくれたんです」

 

「あのタロットカード使いが…?本当に信じて大丈夫なのでしょうか?」

 

「まああれだけの仕打ちをしたからな…無理もない、とりあえず傷口は塞いであるから幾分か歩けると思うが、どうだ?」

 

「た、確かに…これも彼の能力なの…?」

 

「とりあえずパチェに治療してもうために平田を連れて紅魔館に戻りましょう」

 

「はい」

 

「それで…俺はどうすればいいんだ?」

 

「とりあえず俺についてこい、引き取るにはもってこいの場所がある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

「なるほど、それで?光は何時から博麗神社(ここ)を宿屋だと思ってるのかしら?」

 

 

咲夜と平田をパチュリーに預けた光は暗上を連れて博麗神社まで来ていた。

そこではかくかくしかじか説明した後、ここに暗上を預けると提案した。

 

 

「良いだろ別に、お前一人なんだから寂しいだろ?」

 

「余計なお世話よ!それに一人の方が騒がしくなくて気が楽よ!」

 

「まあまあそう言わずに、暗上もここならすぐに気に入ると思うぜ」

 

「勝手に話を進めないで頂戴、そいつ平田と同じでタロットカード使いなのでしょう?そんなヤツを匿う程私も馬鹿じゃないわよ」

 

「そんな酷いこと言わずにさぁ〜頼むよ博麗の巫女さーん」

 

「やめろよ光、霊夢さん嫌がってるだろ」

 

「あーっと、居候者のお前に発言権は無いぜ?」

 

「だからといって見ず知らずの俺を無理矢理押し付けても迷惑なだけだろ…」

 

「はぁ…分かったわよ!引き受ければ良いんでしょう!?引き受ければぁ!?」

 

「お、流石博麗霊夢様!ありがたや〜」

 

「アンタいつか覚えてなさいよ……さて暗上とか言ったかしら?ここに住むからには私の言う事に従ってもらうわよ」

 

「分かってるさ」

 

「さて…問題は大妖怪様だが…」

 

「いいわよ」

 

 

声と共に背後からスキマが現れるとそこから紫が出てきた。

 

 

「彼、幻想郷を気に入ったみたいじゃない、私は幻想郷を愛してくれるなら大歓迎よ♪」

 

「決断早っアンタ大妖怪なんだからもう少し考えなさいよ」

 

「あらそう?何かあれば博麗の巫女が対応してくれるから問題ないと思ったのだけれど」

 

「どいつもこいつも…いい加減にしなさいよ…」

 

「はいはい、お喋りはそこまで、クソ妖怪、お前はもう用済みだ」

 

 

光のシッシッと手を払うと、紫は少し不服そうな表情をしながらもスキマの中へ消えていった。

 

 

「ふぅ…それじゃ、後は頼んだぞ霊夢」

 

「ちょっと!待ちなさいよあんた!……はぁ、今日のアイツはいつも以上に自分勝手ね」

 

「霊夢さんは苦労してるんだな」

 

「アンタという厄介者を預かることになったからね…それに霊夢でいいわ、とりあえずアンタの名前…改めて聞かせてくれないかしら?」

 

「俺は暗上 秀人、よろしくな!」

 

 




という訳でまさかの暗上くんが仲間入りとなりました。
しかも光自身の口から
これはいつかどこかで実現させようと思っていたので個人的には満足です。
ありがとうございました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。