東方想伝録   作:司馬懿です

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奇妙な殺人事件とその手下達

 

 

 

 

暗上と戦いを終えたその日の夜、大きな悲鳴が普段は静かなはずの森林の中で響いた。

 

 

「ぎゃああああああああああああ」

 

「ま……待て……!やめてくれ……やめ……」

 

 

ザシュッと斬り裂く音が聞こえたと同時に周囲に鮮血が飛び散った。

そして殺された複数の人間達の前に立つと男は徐ろにカメラを取り出すとその死体達を撮影し始めた。

 

 

「うーん……」

 

「『()()』様、報告です。先程『塔』の暗上秀人が寝返ったという情報がありました」

 

「そうか…やはり河野辺と暗上(無能の同僚達)はあの方の期待に添えられなかったようだね」

 

 

紅林と呼ばれた男はカメラの履歴を確認しながら振り返るとそう言った。

そして紅林の前には数人のフード付きのマントとそれぞれ違う仮面を被った男女が膝まづいていた。

 

 

「やはり君達()()()を配属させなかった()の判断は適切だったという事だね」

 

「悪魔様、実行日は…」

 

「んー…明日にしよう、ここの世界の住民達(素材達)はイマイチだし、早いうちにあの英雄さんを始末して作品にしたいかな」

 

「了解しました、それでは明日に向けて準備を進めてまいります」

 

「あぁ…そうしてくれ」

 

 

すると複数人居た構成員は全員夜闇の中へと消えていった。

紅林は再び変死体の方に向くとカメラで撮影し始めた。

 

 

「雨天 光……一体どんな死に様を見せてくれるのかな?そして、どんな作品になってくれるのか楽しみだよ……精々雑魚達に殺されないでくれよ?フフフ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

翌朝、光はいつもの時間に起きて顔を洗い、廊下を歩いているとレミリアと遭遇する。

 

 

「おはよう光」

 

「あぁ…おはよう」

 

「聞いたわよ、暗上という男を仲間に迎え入れたって」

 

「…言葉だけならまだしもあいつ自身の想いを見たからな」

 

「良いんじゃないかしら?その人にも善意が残ってたってことだし、仲間が増えれば光の負担も軽くなるわ」

 

「まぁ仮にもタロットカード使いだしな、俺の仲間になったからその能力が消える訳じゃない、それに今は霊夢に任せたからもし何かあればあいつが片付けてくれるだろうしな」

 

「まあ、何がともあれ仲間が増えたことは喜ばしいことよ私達に何か出来る事があれば言ってちょうだい」

 

「おう」

 

 

2人は別れると、光は咲夜を探すため厨房の方へ向かった。

そして朝食を食べている時、美鈴から伝言を預かったので、食べ終えた後指定された現場へ向かう事にした。

そこには既に霊夢と暗上が居て、それぞれ違う表情をしていた。

ブルーベリーのように青ざめている霊夢の話を聞いた後その惨状を見てみると無意識のうちに俺も青ざめている事に気づいた。

それ程までに見るに堪えなかったうえに謎だらけの光景だからだ。

まず全員が共通しているのは()()()()()死んでいるのだ。

それだけじゃない、恐らく致命傷と思われる箇所から吹き出た血も吹き出たまま()()()()()()()のだ。

まるで殺された人達のみ時間を止められたかのような光景だ。

そしてこの時期にこんなことする連中はひとつしかないので、今では俺達の仲間になった暗上なら少なからず何か分かるかもしれない。

そして霊夢の横で険しい表情をしている暗上に話を聞いてみた。

 

 

「あぁ、こういうやり方は一人しか思い浮かばないな…」

 

「そいつの情報とかはあるのか?」

 

「名は紅林 陽真(くればやし ようま)所有しているタロットカードはThe devil(ザ・デビル)(悪魔)そのカードに司った能力を利用して悪趣味な事をする野郎だ」

 

「それがこの光景を生み出したって事か?」

 

「あぁ、アイツは死体をカメラで撮影してコレクションにするんだが…どれも気味の悪いものばかりだよ、目の前にあるこの変死体だって珍しくない」

 

「コレクションって…自身の欲求を満たすために今まで沢山の命を粗末にしてきたってこと?そんなの絶対に許せないわ!」

 

「霊夢さんの気持ちは十分に分かる、だがそれはアイツにとってはどうでもいい事なんだ、しかも変死体を撮影したから満足するだけじゃなくその()()()にもこだわりを持っていて気に入らなければ他の人を殺しては撮影してを繰り返す、根っからのクズ野郎なのさ」

 

「なるほど、今まで戦ってきたタロットカード使いとは違って単純に歪んでいる奴のお出ましって事か」

 

「あぁそういうことになるな…そういえば光、平田から()()()聞いてなかったのか?そのタロットカード使いってわざわざ言うのも長いだろ?」

 

「ん?まぁ聞いてないな」

 

「そうか、一応教えといてやる、奴らは()()()()()って組織名で行動している」

 

「ルフェール…覚えておく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

しばらくしてその変死体を調べた後、霊夢は先に暗上と共に現場を離れた。

そして光だけが残り、もう少しだけ調べていると、後ろから複数の足音がこちらに向かってくるのが聞こえた。

ゆっくりと立ち上がり後ろを振り返ると、それぞれ異なる服装をしているが、全員仮面を被った男女数人が立っていた。

そしてフードを被っている男が前に出てきた。

 

 

「お初お目にかかる、我々はとある異郷の手下、我が主様が幻想郷の英雄である貴方とお話をしたいそうだ、一緒に来てもらおうか」

 

 

それを聞いてすぐにこいつらが何者なのか察した。

この状況でなんの支障もなく異郷の手下を送り出すとしたらルフェールくらいしかないだろう。

それに例えこいつらがルフェールと関係ないとしたら必ず幻想郷が拒絶しているはずだ。

光は男の言葉に鼻で笑い、刀を出現させると構えた。

 

 

「ならひとつだけその主とやらに伝えておけ()()()()()()()()()だってことをな…まぁ、お前らが生きて帰れたらの話だがな!」

 

 

光は地を蹴ると、男達も武器を構えた。

男達は刀や、銃、魔法などそれぞれ違う武器を持っていた。

刀を持った手下が応戦すると後ろから銃を構えた手下が発砲した。

それを体勢を低くして回避すると刀を持った手下を蹴って怯ませると狙撃手の方へ走り出し、切り刻もうとするが、横から魔法使いの手下にバリアを張られ、防がれてしまう。

一度距離を取るとそこへ魔法使いの手下が氷のつららを大量に出現させ、放った。

光はそれを刀で破壊すると接近し、刀を振り下ろすが魔法使いの手下はバリアを自身に展開し防御した。

その隙に背後から狙撃手が発砲すると、光は振り返った勢いで弾丸を弾くと、突っ込み切りつけた。

そこへ刀を持った手下が回り込み、刀を振り下ろした。

しかしそれを読んでいた光は横に飛んでそのままそいつを土台にして飛び、魔法使いの手下との距離を一気に詰めると飛んだ勢いのまま魔法使いの手下を切りつけた。

 

 

「くそっ!舐めやがって!」

 

 

最後の一人になった刀を持った手下は走りながら、姿を消した。

これは俗に言う暗殺術と言うやつか、運が悪いなこいつは、幻想入りしたばかりの俺だったら簡単に殺せたのにな。

光は目を瞑ると、流れる霊力を感じ取り、刀を持った手下の位置を特定した。

そして再び姿を現し攻撃を仕掛けたと同時に、懐に潜り込み刀を振り抜いた。

最後の一人が倒れると、ルフェールの手下達は光の粒となって消えた。

ついに奴らも手下を送り出す手段に出たか…。

この事はみんなに伝えておかないと。

光は急いで紅魔館へ向かいこの事を話した後、博麗神社へ向かい霊夢達にも報告した。

 

 

「なるほど…私達が居なくなったあとそんな事が起きていたのね」

 

「所詮はタロットカード使いの下についてる奴らだからあまり強くはなかったが…これからは警戒しておいた方が良いだろ」

 

「そうね、数の暴力って言葉があるし…」

 

「とりあえず、あと二箇所にも変死体が発見されたって話だ、手分けして調査しよう。くれぐれも不意を突かれないようにな」

 

 

霊夢達は頷くと光は博麗神社を後にし、紅魔館で少し休憩してから再び調査に行った。

そして現場に着くと、やはり同じような光景が広がっていた。

どれも死体の格好は違うが、共通して言えるのは血液が吹き出たまま固定されていることだ。

恐らく霊夢達が調査している現場も同じ状況だろう。

光は隅々までその変死体を調べていると、気づけば日が暮れていた。

あまり暗い中調査しても埒が明かないし、それなりに調べたと判断した光は、帰る準備をした。

しかし、今、すぐそこに()()()()()事をまだ光は気付いていなかった。

 

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