東方想伝録   作:司馬懿です

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VS 紅林 陽真

 

 

 

紅魔館に帰ろうとした光は暗闇の中に一つ()()があることに気づいた。

そもそも今回の事件現場自体があまり行ったことがない場所だったから、建物がある事はもちろん知るはずもなかった。

だが、本来ならば日が落ちて家を明るくするはずだが、この建物は明かりをつけるどころか、人の気配すら感じなかった。

近づいてよく見てみると所々に苔や草が生い茂っており、既に人が離れてから長い年月が経っているように感じる。

普通ならば寄り道せずに帰るのだが、これも男の性なのか、中がどうなっているのかと言う好奇心に駆られて思わず入ってしまった。

長いこと手入れされていないので倒壊の危険があると思っていたが、案外広く綺麗な内装をしていた。

既に家主がこの家から引っ越したのか、それとも強盗によって荒らされたのかは分からないが、一つの机と椅子以外は何も無かった。

ただ壁には額縁がいくつか飾られていた。

よく見てみると机の上に何かがあり、近づいてそれを手に取った。

暗くてよく見えなかったが、月光に照らされて内容がくっきりと見えるようになった。

そしてそれを見た光は思わずその紙を手から離した。

何故ならそれは()()だったからだ、しかも今朝見た変死体の。

しまった…ここは紅林 陽真の拠点だったのか。

光は急いでこの家を出ようとしたが、既に時遅しだった。

 

 

「どうしたんだい?そんなに慌てて、()()()()に何か問題でもあったかい?」

 

「紅林 陽真…!」

 

「おっと…その反応を見るからに喑上君から話は聞いているみたいだね、僕も自己紹介とかよりもやりたい事をしたい主義でね、時間を無駄にしなくて丁度良いよ」

 

「やりたい事?まさかここの住民達を虐殺してあの悪趣味な作品とやらにする事か?」

 

「いや…もうそれはやらないよ、思った以上にここの素材達は豊富じゃない」

 

「お前…!」

 

「でもその代わり…とてもいい素材を見つけたよ、()() ()()()()()()()()()をね!!!」

 

 

すると紅林はナイフを取り出し躊躇無く光に突っ込んできた。

光は刀を出現させ、応戦すると蹴りを入れて後退させる。

その後走り出し、回り込んだ後に飛んで刀を振り下ろすと紅林のナイフとぶつかる。

刀とナイフなので、光が力で押し勝つと紅林は弾いて、後ろに下がる。

直後にナイフを投げてくると、光は頭を少し傾けて回避すると、手ぶらになった紅林に切りかかろうとすると、紅林は突然()()()を取り出した。

なるほど、これであの変死体を撮影していたわけか、ならこいつをぶっ殺すついでにこの悪趣味なカメラもぶっ壊してやるぜ!

光はそのまま紅林に刀を振り下ろした…が、しかし

 

 

「……甘いね、君は」

 

 

そう言うとニヤリと笑った紅林はカメラのシャッターを押した。

すると次の瞬間、金切り音と共に身体の動きが鈍くなったのを光は感じた。

その間に紅林は壁に刺さっているナイフを取りに行った。

光は能力を使って何とか身体を動かすと、刀を構えた。

ナイフを回収した紅林は再びカメラを向けると、シャッターを押した。

するとまた金切り音と共に身体が動かなくなった。

能力で抜け出した後迫ってくる紅林に刀を振るうと再びシャッターを押したと思ったら、フラッシュと共に目の前から消えていた。

気がつくと背後から紅林がナイフを振り下ろしていたが、間一髪刀で防ぎきれた。

こいつ…あの()()()で能力を発動しているようだな、あれで相手の身体を固定し、ナイフで切り裂いていたんだ。

俺は幸いにも能力者だからこちらも能力で何とか抜け出すことは出来るが、そうでない奴らは…考えるだけでゾッとする。

更にはあのフラッシュで目眩しと同時に瞬間移動もしている。

奴の隙を狙うのは恐らくあの瞬間移動している時だろう。

だがその為には目眩しされている間に奴の動きを読むしかない。

カメラのフラッシュを回避する程の反射神経は持て余していないのでね。

今回のタロットカード使いは厄介な相手だ、出来るだけ隙は作らないように徹底しないと一瞬で殺されてしまう。

光は体勢を低くして構えると、地を蹴り突っ込むと、紅林はカメラを構えた。

そしてシャッターを押す直前、光は横に飛んでフィルム外へ移動した。

やはり金切り音が聴こえたが身体には異常がなかった。

所詮はカメラだ、姿形を捉えていなければ能力も発動出来ないということか、その割には紅林の表情は何一つ変わっていない。

余裕と言ったところか、ならばその余裕一瞬で無くしてやる。

光は壁に足をつけ、そのまま蹴ると紅林へ急接近する。

紅林は回避する為、カメラのフラッシュで回避した。

今だ、これで紅林が何処にいるか特定することが出来れば…。

その瞬間、ギシッという木の床を踏む音が聴こえ光はその方向へ刀を振るった。

しかし当たったのは紅林のナイフで間一髪防御されてしまった。

視界が元に戻るとそこには口元は相変わらずニヤリと笑っているが、額からは冷や汗のようなものが伝っていた。

 

 

「この短時間で戦い方を理解するとは、流石は英雄といったところか」

 

「所詮はカメラだからな?弱点をつけばお前は何も出来ない」

 

「それはどうかな?」

 

 

紅林は弾いたと同時にカメラのフラッシュで再び消えると、今度は物音どころか何処を見渡しても紅林の姿はなかった。

刀を構え、出処を待っていると上からナイフが光目掛けて飛んでくるとそれを刀で弾いた直後、そこにはカメラを構えている紅林が立っていた。

身体を止められると思い横に飛ぶが、それが間違いだった。

紅林は再びフラッシュで姿を消すと、なんと光の飛んだ先に紅林が立っていた。

そして再びカメラを構えると…。

 

 

「しまっーーーーー」

 

 

金切り音と共に光は空中で固定されてしまう。

そして紅林は光の脇腹に思いっきり蹴りを入れた。

為す術なく光は勢いよく壁に叩きつけられ胃液が逆流しそうになった。

紅林はその様子を見て笑いながら転がっているナイフを拾い上げた。

光はゆっくりと立ち上がると、刀を持ち直す。

そして激突した衝撃で壁から落ちた古びた額縁を拾い上げるとそれを持ったまま紅林の方へ突っ込んだ。

紅林は再びカメラのフラッシュで移動しようとした瞬間、光は走りながらその額縁を前に立てて、防御しながら突っ込んだ。

そしてフラッシュ音が聴こえたが、額縁によって目眩しされず、更に紅林は目眩し出来なかった事で瞬間移動も無効化されていた。

 

 

「こいつ……!」

 

「うおおおおおおおおおおお!!!」

 

「がはっ!」

 

 

紅林は額縁に当たるとそのまま光によって押し飛ばされ、壁に激突する。

光は更に額縁で潰そうとしたが、古びていたのもあってか壁に当てた衝撃で壊れてしまった。

ならばと怯んでいる紅林に刀を突き刺そうとしたが、ナイフで弾かれ、一瞬だけ出来た隙に再びフラッシュで目眩しをして回避した。

 

 

「どうした?ご自慢の能力を対策されて流石に焦ったか?」

 

「そうでもないさ、良質の素材程手に入れにくい事は重々承知している」

 

「悪いが俺はその良質な素材には値しないと思うが?」

 

「それはありえない、君はこの世界の英雄であり、能力者…良質なわけが無い…!君はそう思ってなくとも僕はそう思っているから良質な素材なんだ!」

 

「どこまでも悪趣味な野郎だ」

 

 

光は地を蹴ると、横にある額縁を使って横に飛んで、更に壁に足を付けると別の方向へ飛んだりと紅林に的を絞らせないようにあらゆる方向へ飛びながら接近した。

ならばと紅林も机を蹴り倒して障害物を作ると、身を隠しながら光の動きを止められる瞬間を伺った。

そして光が壁を蹴った瞬間、着地したと同時に地を蹴り紅林の方へ向かうと、刀を振り上げた。

紅林はその振り上げたのを見て、カメラを向けてシャッターを押した。

そして金切り音と共に光を捉えると、ナイフを握り光の身体を引き裂こうとした瞬間…。

 

 

ギィ……

 

 

「なんだと!?」

 

「この距離ならお前を確実に攻撃出来る!」

 

 

先程蹴った壁に飾ってあった額縁が紅林の方へ落ち始め、紅林は思わず後退せざる負えなかった。

その隙に拘束を解いた光はそのまま刀を振り下ろした。

紅林はその斬撃を咄嗟にナイフで防ごうとするが、刀とナイフでは明らかに差がありすぎた。

しかし、勢いがあった為光の刀も木製の床にめり込んでしまい、引き抜く暇もないのでそのまま紅林に殴りかかった。

普段鍛えているので光のラッシュが紅林を遅い、胴がガラ空きになった所を右ストレートで吹き飛ばした。

吹き飛ばされた勢いは衰えずそのまま壁に激突すると、床に突っ伏した。

光は刀を引き抜いて歩き出すと、紅林が突然()()()()()

 

 

「ハハハハ……!!!いいねぇ!燃えてきたよ!僕も本気を出さないといけないみたいだ!!!」

 

「ようやく()()のお出ましか…来い!」

 

 

そしてその光は部屋中を覆い尽くした。

 

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