東方想伝録   作:司馬懿です

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VS金山 刃

 

 

 

 

光が金山と戦い始めた一方、咲夜はベッドの上から窓の外を見ていた。

その表情はどこか寂しそうで、まるで恋焦がれる乙女のようだった。

 

 

「光さん…」

 

 

彼の名前を呟くとそっと唇に手を置いた。

時間が経って冷静になったが、自分のした事を振り返れるようになり、ボンッという効果音と共に思わず両手で顔を覆った。

普通に考えて恥ずかしすぎる行為をしてしまった…。

穴があったら入りたいというのはこういうことだろう。

自分の為に必ず生きて帰ると約束してくれた事が嬉しくて衝動的にキスをしたが、それにしても相手の事を考えて無さすぎる…!

嫌われてしまった…せっかく自分の想いを伝えたのに台無しにしてしまったあああああああああ

咲夜は掛け布団を両手で掴んでジタバタするとその音を聞き付けたのかレミリアが心配した表情で病室に入ってきた。

 

 

「咲夜!?大丈夫!?」

 

「お、お嬢様!?だ、大丈夫ですよぉ?」

 

「顔が真っ赤じゃない!永琳!咲夜が大変よぉ!!!」

 

「え!?お嬢様!?私がなんともございませんからそんな大きな声を出さないでくださいぃぃぃぃぃ…」

 

 

その後駆けつけた永琳によって検査を受けたが、ちょっと意地悪な表情をした永琳に()()()()と診断され余計レミリアに心配をかけたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

それと同時刻、とある場所では二人の男が刃を交えていた。

金山は鮮血のような色の瞳で睨み付けるも口元は避けるほどに笑っていながらボロボロの刀を振り続けた。

今にでも折れそうなのに一向に折れる気配がなかった。

光は金山の斬撃を刀で弾きながら様子を伺ったが、なかなか隙が生まれない。

刀の振りが早いのだ、今まで戦ってきた三人の刀使いと比べて圧倒的に違う。

そしてその斬撃一つ一つに重みがあって、飛鳥と戦った時と同じような感覚だった。

やはり咲夜さん達を一斉に倒しただけの実力を持っているということか…。

笑いながらただ刀を振り回すその姿はまさに狂戦士のようだった。

 

 

「さぁ!見せてみろ!貴様の力を!」

 

「くっ!」

 

 

あらゆる方向から刀を振るう金山に光は防御するだけで精一杯だった。

このままでは体力を消耗し続けて一方的に攻撃を食らう未来しかない、何とかしてこいつの攻撃から逃れなければ。

金山の斬撃を受けながら打開策を考えていると、突然下から黒い物体が飛び出てきた。

光はその物体に見覚えがあった。

 

 

「遅くなったな、光」

 

「攻撃するなら事前に言えよ暗上…」

 

「ははっすまんすまん、助太刀に来たぜ」

 

「暗上秀人…貴様が来た事は好都合だ…!死んでもらう!」

 

 

金山は刀を持ち替えると暗上の方へ向かうと刀を振り下ろした。

それを暗上は足元にある影に潜り込んで回避すると、体勢を建て直した金山は振り返って光の方へ走り出した。

光は振り下ろされた金山の刀を受け止めると、弾いて後ろに下がると入れ替わるように暗上が斬撃を放った。

金山は斬撃を刀で破壊すると、地を蹴って走り出し、光に刀を振り下ろした。

光は刀で斬撃を防ぐと押し上げて体勢を上げさせると胴体に切り込もうとするが、一歩下がった時点で構えている金山は光が刀を振るうのと同じタイミングで突進し、今度は光が体勢を崩した。

即座に金山の攻撃を防ごうとするが、腕に切り傷が出来てしまう。

そこへ暗上が割り込んで刀を振り上げるが、身体を仰け反って回避すると刀を突き刺した。

しかし刺された暗上は分身で、黒くなって溶けると別の方向から本物の暗上が斬撃を放った。

即座に振り返って刀で一掃した金山は刀を逆手に持って背中に置くと、背後から突き刺してきた光の攻撃を防いでみせた。

予想外の防ぎ方に目を見開いた光はすぐさま次の攻撃を仕掛けるが、刀を持ち替えた金山にあっさりといなされてしまった。

その間背後に回った暗上は刀を大きく振り上げて斬撃を放った。

それを見た金山は腰を低くして大きく刀を横に振るうと、真っ二つにして消滅させた。

更に横から走ってきた光を目視すると、刀を持ち直して光の斬撃を次から次へといなした。

光も刀に想いを込めたのか振りが早くなっているのを感じたが、金山は驚くどころか光の斬撃を難なく合わせていた。

暗上から見て倍速にしたような光景が広がっていて二人の動きは全く見えなかったが、それでも光の方が劣勢だという事は理解出来た。

能力を使うだけでも勝てない事を知った光は一度下がって暗上を見た。

既に光の身体の至る所には傷が出来ていた。

 

 

「暗上、俺に合わせろよ」

 

「りょーかい…!」

 

 

暗上は影を使って分身を大量に作ると金山を囲むようにして一斉攻撃した。

金山はあらゆる方向から来る暗上の分身を一人ずつ破壊していくと、上から光がスペルカードを発動した。

 

 

 

〜蝶符「妖刀・千子村正」~

 

 

 

刀身が真っ白に光り出すと光はそのまま金山めがけて振り下ろした。

金山は目を見開き、ニヤリと笑うと刀で受け止めた。

大きな衝撃音とともに金山の立っている地面に大きな凹みが生じてクレーターのようになった。

それでも笑ったまま刀から手を離さない金山は一度刀を横に振って弾くと、光は弾かれた体勢を利用して顔面に蹴りを入れると、見事に命中した。

光はそのまま地面に着地したと同時に刀を振るうと、金山は顔を横に向けたまま刀で防いだ。

ゆっくりとこちら側を見た金山は変わらず口元が裂けるほど笑っていた。

そして金山は光を弾き飛ばして距離を離すと突然刀を納め、両手を広げた。

すると突然空中に()()()()()()()が出現した。

それを見た光と暗上は刀を構えて警戒した。

 

 

「なんだ?あの球体は…」

 

「これは()()()()()()()()()()()()()だ」

 

「血液…切り傷の事か」

 

「そうだ、そしてこの血の球体は俺の力を最大まで引き出してくれる源だ」

 

「……何が言いたい」

 

「はははははっ…この()を使うのはいつぶりだろうか…切っても切っても、蓄えても蓄えても…()()()()()くらいに蓄えても…この渇きは満たされることが無かった…」

 

「干からびる…まさか()()()()()()()はお前だったのか」

 

「そうだ」

 

 

俺がこの世界に来る前、外の世界で起きた血を吸われて干からびている変死体が発見された事件があった。

実は俺がまだ外の世界にいた時、幻想郷でも同様の事件が起きていた。

まさかその犯人がルフェールの奴だったとはな。

 

 

「俺はあらゆる世界で様々な実力者と相対してきた…しかしこの渇きはいつまで経っても満たされることは無かった、最早最後に満たされたのは何時だっただろうか…」

 

 

金山は広げていた両手をぐっと握りしめると、周りに浮遊していた血の球が金山に吸い寄せられ、それを取り込み始めた。

それを見た暗上は何かを察したのか影を掴んだ。

 

 

「暗上?どうした?」

 

「まずい…光俺の傍から離れるなよ!」

 

 

そして全ての血の球体を取り込んだ金山は狂気じみた笑顔で語り始めた。

 

 

「雨天 光…教えてやろう…俺の()()()()()()()は血の球体を一定数取り込む事で発動することが出来る、まさに渇きを求める俺にぴったりの能力だ」

 

「タロットカード…!」

 

「そして今、俺の渇きは力となって解放される!」

 

「光!捕まってろ!」

 

 

暗上は光を抱き抱えて影で壁を作ると防御態勢に入った。

そして次の瞬間金山の声と共に今までに経験したことのないような衝撃波が光達を襲った。

 

 

「俺のタロットカードはjustice(ジャスティス)(正義)だ!、貴様らが俺の渇きを満たすのに相応しい相手かどうか見定めてもらうぞ!」

 

 

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